平成17年度 第2回市原市議会定例会 6月24日(金)

市議会レポート【代表質問】うわぶ玲子

1.市長の政治姿勢について

佐久間市長におかれましては、市長の職につかれてちょうど2年ということで、1期目の半分が経過したわけです。3月議会の市長あいさつでも述べられているように、市民や各種団体、企業など各分野の方々と幅広く接し、直接生の声を聞くという、その行動力には頭が下がります。

そこでお伺いしますが、佐久間市長の身上とされている「直接、生の声を聞く」という行動によって、何を一番得ることができたと感じていらっしゃいますか。そのことは市政運営にどのような形で反映されていますでしょうか。お聞かせください。

市長として市民に望むことは何でしょうか。ちなみに「市長あいさつ」を振り返って読ませていただきますと、就任時は「市民の皆様は、行政にとって大切なお客様です。」と述べていらっしゃいますが、現在は「それぞれの責任と能力に応じた役割分担のもとに協働してまちづくりを推進する。」としています。
この間、市長の市民に対しての意識に、何か変化があったのでしょうか。

関連して市民との協働について、お聞きします。総合計画においては市民会議の開催、市民まちづくり事業への取り組みなど、市原市ならではの市民参画を進められたことは評価します。今後の政策を進める上で市民参加、市民の役割をどこまで、どのように進めたいと考えていらっしゃるでしょうか。

次にまちづくりについてお伺いします。市原市は豊かな自然、温暖な気候、臨海部の産業と資源に恵まれていますが、中心核不在に象徴されるように、市原市を代表する決めてになるものを、作りえてこなかったという気がします。
つくりっぱなし、あるいは中途半端、こだわりが感じられないなど、市原の負の面の特徴としてあげられるのではないでしょうか。
今、東口整備など、交流核作りが提案されているわけですが、市長のおっしゃる50年、100年先を考えてのまちづくりが、確かに望まれます。

ではこれまでやれてこなかった、先を見越したまちづくりを成功させるためには、何が必要だと考えていらっしゃいますか。お答えください。

2.五井駅東口整備事業について

市原市総合計画基本構想で位置づけられた都市交流核の一翼をになう地区として、五井駅東口の整備事業が提案されました。とかく東口整備事業のみがクローズアップされがちですが、都市交流核づくりの一部分だということを、まずは押さえておきたいと思います。
プロポーザル方式により書類審査の一次選考、プレゼンテーションでの二次選考が行われ、最終的に地元区画整理組合の準備会でイトーヨーカドーに決定したということを聞いております。
そこでまず今回の整備事業における、地元区画整理組合準備会と行政、あるいは行政をトップとする協議会の責任の範疇についてお伺いします。
最終的な企業パートナーの決定は準備会となっていますが、少し矛盾する点があるのではないでしょうか。確かに東口の50haは組合施行ですので、その箇所だけでしたら準備会の範疇ですが、企業に求められている提案は五井駅周辺市街地を含む都市交流拠点をどのように捉えるかを第一としています。

区画整理事業については組合施行ということでは、事業責任は組合ということになりますが、前段で申し上げましたようにこの事業の目的を考えると、果たしてそれでよいのかということです。各機関の責任の範疇について、具体的にお聞かせください。

今後「基本計画案」がつくられていきますが、この基本計画の対象になる区域はどこまでになるのでしょうか。また事業計画については対象範囲はどこになるのでしょうか。プロポーザルで提案された内容との整合性、基本計画と事業計画との整合性についてもお聞かせください。

市原市の特徴の中でマイナス面として、中心核がないということが言われてきました。過去、総合計画に位置づけられながらも実現に至っていないというのが現状です。なぜ実現に至らなかったのかということですが、必然性にかけたことや、計画の全体像が市民レベルで共有されなかったこと、計画が引き継がれなかったことなど、推測ですが考えられます。今回は総合計画においてこれまでの中心核より更に広がりをもつ、「都市交流核」として位置づけられました。その交流の中心になると思われるものが、五井駅東口整備事業ということでしょう。名だたる街には中心といわれる場所があります。確かにそういう意味では中心核は欲しいところですが、では何をつくったらよいのか。現在提案されている大型ショッピングセンターを中心とする整備計画が本当に市民の望む中心核づくりであり、50年100年後に名実ともに「ここが市原の中心です」という、誇りを持って示せるものなのか、確信のなさも含めてかなり疑問です。
先般、東口関連もあってアメリカ視察に行きましたが、そこで学んできたことのひとつは「まちづくり」には終わりがないこと。挑戦しようとする人々の意思の問題が重要だということです。抽象的に聞こえますが、今回の東口および都市交流核づくりにおいても同じことがいえます。必要なことは、この根本のことをきちんと確認し、合意を図っておくことです。
「市原の中心核としての都市交流核を作るんだ、その姿はこんなイメージで、何年かかかっても作り続けるんだ。」ということを市民に投げかけ、首長が変わっても計画が引き継がれるようにしなければ、50年100年を考えたまちづくりはできません。あの歴史の浅いアメリカでさえも、何十年もかかって魅力ある街が形成され、しかも今も見直し、手直しがされ続けているということでした。

今回の整備計画は「線引き見直しの時期」の関係ということで、非常に急がれているように感じますが、市民の合意作りが絶対必要です。市長や行政や地元地権者、議会だけでこのような大事業はできません。見解をお聞かせください。

くりかえしになりますが、この計画が中心核づくりとするならば、できるだけ早く中心市街地活性化基本計画の見直しも含めて、全体像を示すことが必要なのではないでしょうか。ご見解をお聞かせください。

3.指定管理者制度について

指定管理者制度の目的は時代状況の変化のなかで、多様化する住民ニーズに合わせて公の施設の管理に民間の能力やノウハウを活用することで、市民サービスの向上と経費の節減等を図るとしています。今回、指定管理者へ移行する施設として16施設があげられていますが、このサービスの向上と経費節減については、具体的にどの程度の効果を期待し、見込んでいるのでしょうか。お聞かせください。

公の施設に対してのマイナス評価としては「非効率」「サービスが画一的」「天下りシステム」などがあったと思いますが、一方、行政の管理だからこそ「公正」であったわけです。「公正」ということをどのように保障し、マイナス面をどのように解消しプラスに転じていくか、管理の運営形態や内容について利用者である「市民」との合意の下に、個々の施設について具体的な検討が必要と考えます。

今回、指定管理者に移行するにあたっては、内部でそのような議論がされたのでしょうか。されていないとしたら、各施設ごとの利用に関わる状況を点検し、例えば閉館時間の延長など、日ごろの課題を中心に整理すべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。

16施設でいえばサンプラザ市原をはじめとして、その利用状況等、課題を抱えている施設がいくつかあり、見直しの必要があると考えます。行政改革への取り組みと併せて、指定管理者制度への移行の今がひとつの時期といえますが、どのようにお考えでしょうか。今後の取り組みも含めてお聞かせください。

いづれにしても、市民が利用する市民のための施設であることから、市民との合意形成や協働を念頭において、施設運営への市民参加の仕組みや管理運営のチェックを市民が行える仕組みを、具体的に確保していくべきと考えます。条例を見た限りにおいては不明確ですが、市民参加はどのように考えられているのでしょうか。お聞かせください。

4.介護保険制度について

介護保険制度の大幅な改革が行われようとしています。具体的なことがわかるのは夏以降とのことですが、見直しの一部は10月から始まるとのことですので、準備状況や見通し等を中心にいくつかお伺いします。
介護保険の大幅な見直しの原因に増え続ける介護給付費を抑える目的があるわけですが、それに関連して利用者負担の公平性の見直しがあげられています。具体的には介護保険3施設での居住費用、いわゆるホテルコストと食費を保険給付の対象外とすること。また通所系サービスの食費についても保険給付の対象外とするとされ、この10月から施行されるとあります。
在宅サービスと比べて施設サービスが安すぎることや、施設サービスの質の向上ということからも、基本的にはこの見直しは必要と考えます。問題になる低所得者への対応については、新たな補足的給付を行うとありますが、内容までははっきり示されていません。
この制度について、現場の事業者の意見等をお聞きしますとかなりの不安があるようです。それは古い施設ほど措置制度のときに入居した方がいるので、現在の一割負担以上に費用が発生することになるが、払える能力、あるいは払う意志がない人がかなり多く出てくると思う。そのときの負担は結局、事業者がかぶることになるのではという不安でした。逆に事業者がもう面倒を見切れないと利用者を退去させるような事態が起きることも心配です。

現状でのこの制度見直しの影響はどの程度と把握していますか、また対応はどのようにお考えですか。見解をお聞かせください。

その他見直しの大きな柱が予防型重視システムへの転換ということが上げられています。要支援や介護度1、および介護予備軍など軽度の方には地域において一貫して連続したサービスを提供する仕組みを目指すとしております。責任主体は市町村となっていますが、どのようなサービスがどの程度、準備されるかお聞かせください。

また、これらのマネジメントを担う機関として地域包括支援センターの創設が必要とされています。2~3万人に1ヶ所必要ともいわれていますが、市原市での設置の見通しについてお聞かせください。

他に新たなサービスとして、地域密着型サービスの創設があげられています。
身近な地域で、地域の特性に応じた多様で柔軟なサービス提供が可能となるようということで、小規模多機能型居宅介護やグループホームなど、在宅福祉の面からは歓迎すべき政策と思います。
サービスが充実するかどうか、市町村格差があらわになってくるといわれています。例えば小規模多機能型についてはどのような機能をつけてもよいといわれ、かなり柔軟なサービスができるものと思われます。

市が認定することになっていますが、これらの創設についての見通しはいかがでしょうか。市原市にあったモデル的なものを作るお考えはないでしょうか。
さらに、医療と介護の連携の強化というのがあげられています。第三次の計画でも上げていますが、具体的にはどのようなことが考えられるでしょうか、お聞かせください。

5.障害者自立支援法について

2003年に始まった支援費制度は一定の成果をあげながらも、見込みを上回る支給額から、このままでは財政的に維持できないことや、住む市町村によってサービス量の格差がありすぎるなど、何らかの見直しが必要と考えられてきました。そして昨年、今後の障害者保健福祉施策改革のグランドデザイン案が示され、障害者自立支援法案が国会に出されています。その内容はなかなかわかりにくく、また多くが政省令の中で示されるということですから、個々の問題は今後のことになると思いますが、法案に関連しての市町村の対応など、基本的な問題をお聞きしたいと思います。

まずは障害者自立支援法における市町村の役割をあげるとすると、具体的にどのようなものでしょうか。簡潔にお答えください。

次にこの障害者自立支援法の大きな特徴はケアマネジメントを制度として導入するということです。介護保険と同様にケアプランの作成を相談支援事業者が行いますが、その役割として利用者から聞きだし、利用者のニーズに対するアセスメント、ケアプランの作成、サービス調整、その他多岐に渡ります。コミュニケーション能力、情報収集能力、社会資源の把握力などいくつかの能力が要求されるわけですが、まずは、この相談支援事業者の確保についてはどのように考えられているのでしょうか。その質(専門性)と量についての確保についてお聞かせください。

また、総合的な相談支援事業体制をどうつくるかが求められていますが、その見通し二ついてお聞かせください。

次にこれまでも問題になってきた在宅サービスの不足と基盤整備の問題はどのようになるのでしょうか。障害者自立支援法が文字通り障害者の「自立および社会参加」を基本におくとすれば、これまで立ち遅れてきた在宅サービスの基盤整備について、重点的に進める必要があります。障害者自立支援法では市町村障害福祉計画の策定が義務づけられています。現在の障害者基本計画との整合性も含めて計画策定についてはどのように考えられているのでしょうか。

また、介護保険制度の高齢者施策と同じように、現在実施されている整備事業の積み上げ数値をはっきり示すとともに、整備すべき事業を数値目標として示さなければならないと聞いております。これらの対応はどのように進められるのでしょうか。お聞かせください。

その他、今後ケアマネジメントが展開されていくと障害者の生活の特性に応じたニーズ把握が重要になってきます。社会生活をする上での困難さだけでなく、どのような生活をしたいのかといった、希望や要望に基づいたニーズの把握です。障害者個々人のニーズ把握の必要性と対応について、お考えがありましたらお聞かせください。

6.残土処分場問題について

栢橋地先において(株)アイ・ケイ・ケイによる残土埋め立ての申請が提出されています。この地域はこれまでNTL、和光企画による残土埋め立ての事業が行われており、崩落事故など数々の問題を起こしており、NTLの事業停止にまでいたっております。また今回申請がだされているアイ・ケイ・ケイについては、和光、NTLとあきらかに同一事業者によるものと思われますが、証明できないとの理由で、許可に至ろうとしています。
許可に当たって市原市長あてに県から意見照会がきており、最終的に4月20日付けで県に対して市からの回答が出されております。今回の回答書を読ませていただきましたが、問題箇所への踏み込んだ回答が書かれており、大変評価しております。ひとつは構造基準において安定計算の数字をはっきりすること。県条例では数値の設定は行っておらず、そのことが崩落事故を起こす結果に結びついていると思われます。
また搬入時間について市の意見として「8時から17時」の間で、学童の通学・帰宅時間を除く時間とするよう求めています。NTL、和光の二事業者が昼夜分かたず膨大な量の土砂を搬入したことにより、崩落事故をおこしたことから、もっともな要求です。
その他、現在、事業停止を受けているNTLとの同一性がないことを証明するための十分な調査を求めています。

これらの意見に対して、県は解答をする義務はないとも聞いておりますが、市の意見はどの程度聞き入れられるか、あるいは許可に当たってどの程度影響あると判断されていますか。ご見解をお聞かせください。

この事業者のいいかげんさというか、したたかさを示す出来事が住民説明の内容に現われています。ダンプの搬入台数を昨年の5月の西国吉町会の説明会では、200台から300台としていますが、10月の栢橋町会への説明に対しては、一日700台と大幅に増やしています。住民との約束が簡単に反古にされることは大きな問題です。約束をどう担保するのかということですが、やはり条例のなかに「住民同意」ということをきちんと盛り込むべきと考えます。

県条例、市条例の改正、そして場合によっては市条例の適用も考えていくべきではないでしょうか。ご見解をお聞かせください。

前段で申し上げましたように、この地域の開発は二事業者だけでも広大な面積になり、今回のアイ・ケイ・ケイとあわせると、20数haにもなるわけです。この地域の大部分が森林なのですが、森林法の主旨であります「森林保全」に明らかに反するものであります。許認可が県にあるということで、現状では仕方がないかとも思いますが、「森林保全条例」などの検討も視野に入れるべきと考えます。
またやむを得ず開発許可が出た場合にも「残置森林」を規定数、きちんと残させることが絶対必要です。これまで事業者は計画図面では「残置森林」を残すとしながらも、意図的に伐採してしまい、行政は指導ということで杉等の苗木を植えさせる「造成林」ということでお茶を濁してきました。何十年かかって漸く森林が出来上がるのに、簡単に伐採をし苗木を植えて代わりとしてしまうなどということは、詐欺行為に等しいわけです。

今回のアイ・ケイ・ケイでは森林法によると1.86haほどの残置森林が、決められていますが、これを守らせるためにはどのような措置が必要とお考えでしょうか。
以上いくつか申し上げてきましたが、残土処分場に対しての市行政としての対応で、その他、今後の強化策をお考えでしたらお聞かせください。

7.都市景観と美しい街づくりについて

「まちづくり」の大きな要素に美しい街並み作りが上げられます。欧米の整った街並みや、美しく手入れされた自然の風景に感動を覚えた方はたくさんいることでしょう。しかし残念ながら私たちが住む街を改めてみまわすと、乱立する広告物や看板、張り巡らされた電柱と電線、小さく縮こまった街路樹など、美しいとは程遠く「薄汚い」といってよい街並みが多いのが現実です。
3月の予算委員会でも、既存の街並みのブラッシュアップということを申し上げてきました。
昨年制定された景観法を含む「景観緑三法」はこれまでにない厳しい規制力で、街や農村などの美しい景観造り定めています。そして景観の改善に向けてひとり一人の自覚、事業者や行政の責務を明確化しています。すなわち市町村は、個人や企業などに対して、美を確保し作り出すという観点から、土地の使い方、建物、工作物の作り方について、一定の規制を課すことができるわけです。文字通り美しい国づくり、地域づくりに向けて正面からとらえた法整備がされたものと評価もし、大いに期待するところです。

さて本市ではこの4月に「景観行政団体」になったとお聞きしていますが、それによって具体的に何ができるようになるのでしょうか。お聞かせください。

まず美しい街をつくる以前に汚い街をなくすことが先決です。今回、屋外広告物法も改正されたということで、広告や立て看板、旗等の撤去について容易になったと思われます。

その他電線の地中化、緑化の推進、建築物のデザインにいたるまで、見直したい課題は数多くありますが、今後、この法律制定を受けて、自治体としては何をどのように進めていくのでしょうか。お聞かせください。また新しい景観基本計画も策定されるときいていますが、これまでの計画とどのような違いがあるのでしょうか。お聞かせください。

美しいまちづくりということでは、「駅」に降り立ったときの印象が、その街のイメージを決定する場合もあります。「駅前広場」はある意味ではその街の「顔」です。市原はJR3駅がありいづれも東西の駅前広場があるわけですが、とても美しいとはいえません。広告物、看板類も景観法でいづれ規制するとともに、まず花壇の手入れ、樹木による緑化など、すぐにできることから務めるべきです。ちなみに八幡宿駅前の花壇はここ何ヶ月かは、雑草が伸び放題の状況です。駅前等の美化への取り組みについてお聞かせください。