平成17年度 第3回市原市議会定例会 9月22日(木)

市議会レポート【個別質問】うわぶ玲子

1.都市交流核づくりについて

「市の中心核が欲しい」というのは、これだけいくつもの町村が合併を重ねた市原市にあっては、当然、かつ、自然な願いであるのかもしれません。しかしこれまで計画にあげられながらも、なぜか実現するまでに至りませんでした。市民の間にも、強い願望となって話題に上がるまでにはならなかったと思います。なぜなのか? それほど必然性、緊急性のある課題ではなかったということかと思いますが、今、五井駅東口整備構想をきっかけに、その事業を中心にしながら、都市交流核に発想を広げ「都市交流拠点整備基本計画」も示されました。議会でも特別委員会の中で、相当の時間をかけながら議論をしている最中ですが、事業規模、重大さから言いましても、市原市がこれまで経験したことのないものになるのではと、改めて感じております。きょうは特別委員会の中の議論と重なる部分もあると思いますが、いくつか質問させていただきます。
東口50haの開発とともに、西口についての問題がかなり挙げられています。2年前に作られた中心市街地活性化基本計画では、対象区域を、五井駅を中心に東西に広がる約50haとしていますが、いわゆる西口を中心とした既存の市街地が対象です。この中心市街地が今後どうなっていくのか、またどうしていくのか、交流拠点整備の中で重要な課題であり、基本計画にも「中心市街地のまちづくりのあり方」として示されました。しかし、まだまだ抽象的なイメージの域にとどまっている部分が多く、具体的な提案にはなっていません。ここは、現に人が住み、街があるわけですから、東口とは違い、整備計画を作るのも実施していくのも大変むずかしいわけです。

そこでお聞きしますが、「推進協議会」では「西口の拠点整備」については、どこまでの範囲、あるいは責任範疇ということで話しあわれているのでしょうか。今後の計画がどのように示されていくのかも含めてお答えください。

西口の整備は「まちづくり」をいかに進めていくのか、つまりそこに住む人たちが中心になり、将来的に、この街をどのようなところにしていきたいのかという「意思」の合意が欠かせません。皆さんの「合意形成」はどの程度、図られているとお考えでしょうか、お聞かせください。

前段でも申し上げましたが、「交流拠点整備」というこの計画が、個人的感想では予想していたより、はるかに大規模、かつ、お金も根気も要る事業ということを感じております。全体計画は、どの程度の予算規模と期間を要するとお考えでしょうか、お聞かせください。

「言うは易く行なうは難し」というとおり、どんなに立派な計画があっても本当によいものを作ることはできません。行政のリーダーシップももちろん大事ですが、なによりも「まちづくり」に取り組み、具体化していく人々の「力」が必要です。その点について現状をどのようにとらえているのでしょうか、お聞かせください。

2.障害福祉について

グループホームについて

障害者が地域で自分らしく暮らしたいというのは、あたりまえの願いであり権利ですが、これまではそのための支援が十分でなかったために、多くの障害を持つ人や家族は、人生の居場所を病院や施設に頼らざるを得ませんでした。
大多数の保護者の方の心配は、親亡き後の子どもさん(当事者)の行く末です。そのため、学校に就学途中でも施設に空きが生じた時点で、決して本意ではないのに、入所をさせる方があるということを聞いております。こういった方たちも含め多くの方たちが地域に戻りたいと願いながら、実現できないでいます。
第三次千葉県障害者計画では「誰もが地域でその人らしく暮らすために」を掲げ、今やるべきこととして、障害を持つ人も「地域で生きる」ことができるためのシステムの構築をあげています。
その大きな柱が住まいですが、住みなれた家で暮らすこととともに、独立、自立した生活をするうえで「グループホーム」や「生活ホーム」「ふれあいホーム」の整備もかかせません。
現在このグループホーム等の数は17年1月現在、千葉市、船橋市を除いた千葉県下では144ヶ所、定員644名分、市原市では現在9ヵ所、35人分と聞いております。千葉県では現行のグループホーム制度のあり方を検討するため、第三次千葉県障害者計画推進作業部会の下に、「障害者グループホーム等のあり方研究会」を設置し、報告書もまとめられています。それらも参考にしながらいくつか質問させていただきます。

1. 市原市の整備率について現状をどのように考えておられるでしょうか、全国レベルと比べてどうなのか、またニーズに対してどれだけの対応ができているのかも、あわせてお答えください。

2. 今年度「グループホーム整備促進事業」として、知的障害者、精神障害者グループホームを対象に、市原市独自の補助金交付が500万円、予算化されたことは評価していますが、今年度は「知的障害者のグループホーム」1ヵ所のみと聞いております。今年度の応募状況をお聞かせください。また必要数からみると大変少ないわけですが、今後の整備目標数は何ヶ所と考えていますか。知的障害、精神障害それぞれの目標数を、お聞かせください。

3. 新たなグループホームとして身体障害者や、重度重複障害者、医療的ケアの必要な重度障害者のグループホームも必要性が言われています。これらについての取り組みはどのように検討されているのか、お聞かせください。

就労支援について

障害の有無にかかわらず、誰もがひとり一人の適性と能力にあった多様な就労の場や、就労方法が確保され、そこで働くことができ、収入を得て生活し、生産活動に従事する権利や自らが働く喜びを実感できることが重要です。また、これらを実現することは、現に障害を持ち、これから就労を希望する多くの人たちに勇気と希望を与えることになります。
障害者の就労について先進的な取り組みをしている滋賀県では、「滋賀県社会就労事業センター」を設立し、福祉と環境と農業の連携をテーマに、それぞれの現場で新たな就労の場を創り出すなど、積極的な政策を展開しています。
千葉県においても平成15年度を「障害者雇用促進元年」として、幕張メッセで「チャレンジドジャパンフォーラム」を開催したのを契機に積極的に就業支援施策を開始しました。「障害者就業支援キャリアセンター」が設置され、相談、生活実習や就労準備実習、ジョブコーチの配置などへの取り組みを始めています。市原市内の福祉作業所からもキャリアセンターを通して就労に結びつくことができました。
そこでいくつかお聞きします。

1. 行政として障害者の就労支援に対しての現在の取組状況とその成果についてお答えください。

2. 県の政策が今後、市の政策にどのように反映されてくるのでしょうか。例えばキャリアセンターの活用なども含めて、具体的にありましたらお聞かせください。

3. 市内養護学校との連携は何か図られているのでしょうかお聞かせください。
ちなみに、市原養護学校の17年3月の卒業生は、就職希望者の3人全員が一般企業に採用が決定しています。学校側の努力が大きかったと思われますが、行政としても何か支援が考えられているのでしょうか。お聞かせください。

4. 市が運営している五井及び三和の福祉作業所においても、一般就労への道筋や、工賃のアップなど改善すべき点が多くあると考えますが、これらの課題に対してどのような対応を考えているのか、お聞かせください。

5. 一般企業への就労は現実的には難しい状況の中では、行政として障害者の就労の場を具体的に検討し提供することが求められていると考えます。現在、市役所において、障害者の就労にはどの程度取り組んでいるのかお聞かせください。併せて一般職のみならず、臨時職としての採用等についてどのように考えているのか、お聞かせください。

6. また、法定雇用にとどまることなく、例えば滋賀県の例など参考に、庁内のさまざまな仕事について、障害者の就労の可能性について検討する「検討会議」を立ち上げてはいかがでしょうか。お考えをお聞かせください。

3.児童虐待について

16年の児童福祉法の改正により、これまで児童相談所に集中していた児童相談や虐待通告についても、市が一義的に対応していくことになりました。
ところで児童虐待関連の相談処理件数は年を追うごとに、それこそ「うなぎのぼり」に増えているときいております。
市原市の場合15年度の児童相談室への相談件数は7639件そのうち虐待に関するものは2530件、実質人数は183人、同じく16年度は相談件数8114件そのうち虐待は3309件、実質人数264人と聞いています。この2年間の数字を比べると、件数そのものも多いことで驚きますが、件数、人数とも増加率が3割から4割りと異常な伸びを示していることも注目することです。
また、市原市の件数は、千葉中央児童相談所管轄の中でもかなりの数字を占めていると聞いております。

その原因は何だとお考えですか。また、この数字は15、16年度についてですが、現在の傾向はどうなのかも合わせてお答えください。

押し寄せる相談や通告に対して対応をしていかなければならないわけで、ほんとうに大変なわけです。家庭相談員の皆さんは相談を聞くだけでなく、その後の対応ももとめられるわけで、本当にご苦労が多いことと思います。前段で申し上げましたように、今年の4月から市においての業務の責任が強まったわけですが、人の配置など以前に比べて何がどう強化されたのでしょうか。お答えください。また今後に向けて計画がありましたらお聞かせください。

虐待の問題への対応のひとつは、起きてしまったこと、起きていること、起きようとしていることをいかに早く察知し、子どもを状況から救いだし保護するかです。
通告も含めて情報収集はうまくいっているのでしょうか。また子どもの保護については十分に対応できているのでしょうか。保護については、現在は千葉の中央児童相談所になっていますが、これだけ数が増えている中で、十分な対応ができるのでしょうか。不安です。数の上でも、市原市が中央児童相談所の半数を占めているわけですから、当市の中で一次保護のような対策を立てるべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。

また虐待問題への対応で大事なのは、やはりそこまで至らないうちに予防しくいとめることです。子育て支援の必要についての緊急性は、代表質問でも申し上げましたが、ファミリーサポートセンターなど早急な取り組みを重ねて要望いたします。

また現在、保健センターが行っている誕生後の訪問については、訪問希望の葉書が返却された家庭のみということで、虐待防止という意味で必要な家庭には行けていないのではと思います。せっかくの制度が十分に活用されていないのではとおもうのですが、この制度の充実についてお考えがありましたらお聞かせください。

4.アスベスト問題について

今年の6月に大手機械メーカー「クボタ」が兵庫県尼崎市の旧神崎工場で、従業員や周辺住民に発がん性のある石綿による健康被害が広がっていたことを明らかにしたことを契機として、石綿被害・アスベスト問題が社会問題化しました。今議会でも何人かの方が取り上げていらっしゃいます。先の代表質問等で現在の調査状況などについての答弁がありました。

そこでお聞きしますが
調査した状況やデーターについての取り扱いはどうするのでしょうか。市民への情報開示がもちろん必要ですが、どのようになるのかお答えください。

現在は飛散しない状況でも、今後、破損、あるいは解体、改修などが考えられます。それまでの管理、あるいは除去をどのようにしていくのかも、大変な問題です。どこにアスベストが存在しているのかを、早急に把握し公表するとともに、誰もがわかるように表示することが必要と考えます。公共施設について早急に実施すべきと思いますが、お考えをお聞かせください。

アスベストによる健康被害が、今後どれだけ広がっていくかわからない不安な状況なわけですが、このように被害が拡大したのは国行政の対応の遅れと、縦割りの弊害が指摘されています。補償問題も含めて被害者への十分な対応が望まれます。
また、日本で使われた1千万トンと言われるアスベストは、燃やすことできず、腐ることもないまま、私たちの身のまわりのどこかに残されたままです。最盛時には三千種類を越す用途があり、量的にはかなりの部分が建材として使われてきたわけです。今、ことの重大さがはじめてあきらかになりつつありますが、この処理を誤れば、さらに数十年も被害を拡大することにもなりかねません。その場しのぎの対応にならないように、抜本的、総合的対策を、国に強く求めるものです。
また、先の質問の答弁にもありましたが、解体、改修、除去時についてのガイドライン、マニュアルが作られましたが、行政においても関係者に対して十分なリスクコミュニケーションを図りながら、対策を進められるよう要望します。

次に特に学校校舎に関することについてお聞きします。1987年(昭和62年)に当時の文部省が全国の公立学校を対象に一斉アスベスト調査を行い、そのときに発見された吹きつけアスベストについては、撤去等の対策工事が行われました。それでアスベスト問題は終わったと思われていたのが間違いのひとつといわれています。62年に行われた実態調査が不十分だったことは文科省も認めており、平成15年10月1日の都道府県教育委員会に宛てた通知「学校におけるアスベスト対策について」のなかで、「石綿を1%超えて含有する吹きつけロックウール、吹きつけひる石など・・」についても規制の対象とするよう指示しています。

市原市の場合、学校校舎については、これまでどのような対応がされてきたのか、また現在の状況を受けて新たな対応がされているのか、お聞かせください。

5.読書教育の推進について

大人も子どもも活字離れが進み、ゆっくり読書に親しむという習慣が薄れつつあることが心配されています。そのようななかで、子どもたちにとっての読書の効果はいろいろ考えられますが、何よりも読書を通して「自ら学び考えることができる」ことだと思います。
本市でも平成13年から小学校に読書指導員の配置が行われ、現在は6人の読書指導員が12校を受け持って、子どもたちへの読書指導や本の整備といった任務にあたっていらっしゃいます。

そこでお聞きしますがまずは読書指導員が配置されてからの成果をどのようにとらえていらっしゃるのかお聞かせください。

次に読書指導員の人数ですが、13、14、15年は2名ずつの採用がされていましたが、16、17年の採用はゼロでした。目標が小中学校全校に配置ということからしても、なぜ、2年間ゼロだったのか、今後はどうしていくのかをお聞かせください。

子どもたちへの読書指導を進めるためには、「学校図書館」をいかに活用していくことができるか、ということにもかかってきます。それには「学校図書館」の本の整理や整備も含めて、使いやすい状態に手入れがされていることが重要で、読書指導員の仕事もまずは本の整理、整備から始めることになるとお聞きしました。利用しやすい状態に整った学校図書館で、子どもたちが読書教育を受けながら、更に図書館自体の機能も充実していく、使うことでよい方向に回転していくことだと思います。
読書教育では、先進的なお隣の袖ヶ浦市では、「人のいる温かい学校図書館」ということで、平成7年度から読書指導員の配置を進め、11年度に全中学校に配置を完了しています。学校数は本市と比べて桁違いに少ないとはいえ、10年以上読書教育、情操教育に一貫して力を注いできた考え方は大いに学び、進め方についても是非、参考にしていただきたいと思います。
そこで、袖ヶ浦市の例なども参考にしながらお聞きいたします。

読書教育推進の鍵は、お金や機械ではなく「人」、つまり読書指導員の力が大きいことを袖ヶ浦市でも述べられています。読書指導員の役割、図書主任との役割分担、学校内の位置づけなどについてお聞かせください。

次に学校図書館の役割についてお聞きします。読書に親しむことで、本好きの子どもたちを育てるという目的も大事な役割ですが、これからは学校図書館を利用して学ぶことができる「学習情報センター」としての役割も重要になってくると思われますが、これについてはどのように考えられているのでしょうか。
生涯学習課では、「子どもの読書活動推進に関する基本的な計画策定」ということで、17年度以降に推進計画を策定するとあります。どういうものになるのか、お聞かせください。