平成19年度 第1回市原市議会定例会 3月2日(金)

市議会レポート【代表質問】桑田なお子
議席1番、桑田尚子です。
市民ネットワークを代表して質問いたします。
質問に先立ちまして、この3月をもって退職される職員の方々の長年のお働きに感謝いたします。これからは、健康に留意され、地域の中で、今まで培われた経験と知識を生かしご活躍されますよう願っております。

1.市長の政治姿勢について

市長就任以来、「元気ないちはら」作りをスローガンに市政運営されてこられました。
「ともに輝く 元気なふるさと いちはら」はどの程度実現できたのでしょうか。

4年前、市民ネットワークは市長候補予定者に公開質問状を出し、それに答えていただきました。実質的には市長のマニフェストといえるものとして、私どもは受け取っています。今回、改めて読み直しました。
実現したものは、市政の基本となる総合計画と実施計画の見直し、組織改革では部門ごとに政策部門を新設し、政策形成過程を含めた情報公開、発達支援センターの設立、市民本位の土日曜・祭日の窓口開庁、少人数学級の推進などです。これからも、これらの中身の充実を期待するものです。
一方、まだ不十分と思えるものに「民間活力の活用と行政パートナーシップの確立」があります。
民間に任せられるものは民間にという考えのもと、老人ホーム給食業務委託、臨海衛生工場夜間業務委託や新井浄水場の業務委託などがあります。又指定管理者制度による民間委託が進み、一定の経費節減が図られたことは評価いたします。

「行政パートナーシップ」では総合計画の「まちづくり」の5つの基本方向に市民との協働を意識して「ともに」という言葉が付いています。(ともに支えあい、ともにはぐくみ、ともに培い、ともに創造し、ともに成長する)
「協働」とは市と市民が対等の立場で共通して取り組む事業ですが、お金を出すのが「市」、手足となって働くのが「市民」という構図で行政の下請けのようになる危険性もあります。「行政パートナーシップの確立」に向けて、市長は「市民との協働」を今後どのように進めていくお考えなのか、お聞かせください。

さて、「協働の拠点」として五井駅西口に昨年の秋、市民活動センターが開設されましたが、市民に知られていないためか、顔としてのセンター長がいないためなのか、利用が今ひとつという感じがします。

この事実をどのように分析し、今後どのような対策を考えておられるのかお聞かせください。

そして妙高地先の負の遺産対策などが県の管轄だったこともあるでしょうが、取り組みが足りなかったように思います。本来ならば、市原市内で起きていることですので、市と県が連携してもっと積極的に取り組むべきです。緑豊かな自然環境を子どもや孫に引継ぐことは、私たち大人の責任です。林地だった残土処分場跡地では森林に戻すように指導されていますが、そこの土は石灰が混ぜられており、木を植えてもまともに育っていず、草むらになっているのが現状です。失った自然を回復するのは容易ではありません。

この事実に対して改善策を考えておられるのでしょうか、お聞かせください。又、いつになったら環境モデル都市と呼ばれるようになるのでしょうか。合わせて見解をお聞かせください。

また、今回、乳幼児医療費助成が就学前まで拡充されたこと等、子育て支援に積極的に取り組まれたことを評価いたします。

次に「こどもの国」について伺います。
休園が決定してからこの間、「こどもの国を何とか続けられないのだろうか」と多くの市民の方からの問い合わせや、心配の声が私どもに寄せられていました。この4月からオープンすると聞き、喜びホッとしています。
「こどもの国」は、市内の中心部にあり重要な観光資源であり、又、私たち市民の憩いの場です。今回、この「こどもの国」を運営する業者との話し合いはあったのでしょうか。あったとしたらどのような話し合いがなされたのか、お聞かせください。

2.平成19年度予算について

三位一体の改革に伴う国から地方への財源委譲、個人市民税の定率減税廃止などの制度改革、そして景気の回復による法人市民税の伸びのため、平成19年度予算案が11年ぶりに、高い水準となったことは喜ばしく、実施計画の仕上げに向けた積極型予算を組まれたことは評価いたします。しかしながら、『19年度は計画事業費の10割ではなく9割であり、全体では、達成率8割が見込まれる』とあります。仕上げであれば、10割をめざすべきと考えます。

今回、実施計画に載っていながら、予算が付かなかった事業が436件中42件ありました。例を出せば、認可外保育補助事業ですが、どのような判断できめられたのか、見解をお聞かせください。

今回、乳幼児医療費助成を小学校就学前までに拡充、県内市としては初めて小学生の入院医療費の助成を決めたりするなど、子どもに関する施策や都市の骨格づくりを重点に編成されたことも、評価いたします。
いざなぎ景気を越えたといわれますが、一般市民や高齢者世帯の税負担が増え、平成17年度から平成20年度にかけての3年間で実質2万円のアップになっていますので、なかなか景気がよくなったとの実感は持てません。
経済格差は広がり、社会保障制度が危うくなり生活保護世帯も増えています。社会の安定を考えれば、所得保障を必要とする人に対しての保障が得られる制度が必要です。

市民の税金を有効に使うため、無駄な経費はなくし「小さくて効率的な自治体」を目指すことは必要です。まだまだ一般市民から見ると、市役所には人が多すぎると見られています。内部管理経費や施設管理経費等が大幅に削減されていますが、不都合は生じなかったのか、まだ削減できる可能性があるのか、お聞かせください。

今年度、「ゼロ予算事業への取り組み」が公表されています。アイディアとしてはすばらしいのですが、事業内容によっては相手があり、事務費程度の小額の経費だけでよいのか等の疑問は残ります。長続きする方法を考えるべきですが、見解をお聞かせください。

3.学校教育について

昨年末から、いじめや虐待、家庭内殺人事件などが報道されました。これがニュースにもならないぐらい日常的になってしまいましたら、それこそ世も終わりです。

さて、子どもは未来であり、「子どもの笑顔」は私たち大人に元気を与えてくれます。
よい環境を整えることは、必ずしも至れり尽くせりの環境ではありません。本来持っている生きる力を育む、五感(見て・聞いて・触れて・臭って・味わう)を十分に使って、バーチャルではない本物に接する生活が必要と考えます。
幸いに市原の南部には、自然の豊かな地域があります。もっとも、毎年子どもたちの森林体験活動事業費は計上(今年7万6千円)されています。森林組合の協力を得て、しいたけの栽培などを体験していますが、対象は南総地区の小学校のみです。足の確保を何とかして、それを拡大する予定はないのでしょうか。昨年は学童保育の中でお米作りの農業体験を行い、収穫したお米で炊き込みご飯を作り、子どもたちにも好評だったと聞いています。ぜひとも学校教育の中で、取り入れてみては、いかがでしょうか。
又、都市部の学校にビオトープを作るのも意味があると思いますが、わざわざ人工的にビオトープをつくらなくても南部には本物の自然があります。

豊かな自然は市原ならではの宝ですので、野外体験活動が実現できるようにプロジェクトチームを立ち上げ、ぜひとも生かしていただきたいと思います。月出小学校の校舎も活用できないでしょうか。見解をお聞かせください。

総合計画の中に「子どもが輝く教育と思いやりのある心の育成」とあり、学校教育では基礎・基本を踏まえた学力の充実と一人ひとりの個性を大切にした教育を目標としています。きめ細やかな指導ができる少人数授業や小学校1年生、2年生の35人学級はそれなりの成果を収めているものと考えられます。これからどのような長期的展望を持っておられるのか、見解をお聞かせください。

『思いやりのある心の育成』には、幼児期から障害者や高齢者と自然にふれあい、お互いに支えあい助け合って、交流にとどまらず、一緒に生活することだと考えます。今回、認可外幼稚園に対して、障害児指導への助成の事業が新規に始まったのは評価するものです。
平成19年度から小学校では特別支援教育が始まり、ADHD(注意欠陥多動障害)やLD(学習障害)の児童も特別な支援の対象になるのですが、国からの予算と人の配置はほとんど無く、名称が変わるだけで、ほとんど今までと同じだと聞いています。それでも、コーディネーターの設置と子どもの支援をどうしていくのか話し合う校内委員会が持たれます。そこで3点お聞かせください。

1点目、障害の内容にも異なりますが、基本的にはともに生活することが必要と考えます。見解をお聞かせください。

2点目、教頭あるいは教務主任がコーディネーターを務めると聞いていますが、兼務できる仕事内容なのか、お聞かせください。

3点目、校内委員会の構成メンバーをお聞かせください。

今年度もまた読書指導員が増員され、19年度には22人となり全小学校45校を一人で2校を担当できるようになったことは評価します。次世代育成支援計画には全小中学校に配置と書かれてあります。そこで2点お聞かせください。

1点目、これからの予定をお聞かせください。

2点目、現行の勤務体制は時間が限られ、時間内では終わらず、時間外はほとんどボランティアで仕事をしていると聞いています。このような現実を把握しておられるのでしょうか、見解をお聞かせください。

4.地域福祉について

2000年(平成12年)に社会福祉法が改正され、福祉が措置から契約に大きく転換しました。そして、地域での生活を総合的に支援する「地域福祉の推進」が法的に位置づけられました。その年に介護保険がはじまり、平成18年には障害者自立支援法ができました。昨年、千葉県の9月議会で「障害がある人もない人も共に暮らす千葉県づくり条例」が制定されました。
誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続け、地域で支えあうことができる施策を子ども・障害者・高齢者と分けずに横断的に展開していく支援体制が求められています。
(1) 誰もが、(2)ありのままに・その人らしく(3)地域で暮らすことができるという「新たな福祉像」を実現するには3つの要素があります。①生活支援と②相談、そして③権利擁護の要素です。この要素は、対象者が誰であっても必要な基本施策です。
①生活支援と②相談を受け持つ役目に支援センターがあります。例えば高齢者を対象とした在宅介護支援センター、子育て等を対象にした子育て支援センターがあります。
また、障害者を対象とした地域生活支援センターが市原では4月から開かれる予定です。しかし、一部の人しか知らないため、本来の機能が発揮できていません。保健所は社会福祉課と統合され、健康福祉センターと名称が改められ、保健・医療・福祉の行政分野の総合相談窓口と位置づけられましたが、このことを知っている人はごくわずかです。県では24時間365日対応の中核地域支援センターを各保健所圏域に1箇所ずつ作りました。市原市も五井駅東口近くに「市原福祉ネット」という名称で中核地域支援センターがあります。

昨年12月には市民会館で高齢者部会が開かれ、市の介護保険課、地域包括支援センターなどと意見交換などが行われたと聞いておりますが、この県の機関と、他にどのような連携をとっているのか、お聞かせください。

さて、市原市でも施策の企画段階から当事者を含めた話し合いがなされ、昨年「いちはら 支えあい 福祉プラン」という地域福祉計画ができました。
こども・障がい者・高齢者という横断的な地域福祉をすすめるには、行政だけでは限界があります。地域に住む一人ひとりがお互いに支えあい、助け合って実現するものです。

誰もが地域で暮らすには、みんなで策定した地域福祉計画の実践にかかっています。各地の取り組み状況、又その中で出てきた課題をお聞かせください。

昨年11月から始まったファミリー・サポートセンターも地域福祉を支える、特に子育て家族を支援する大切な働きです。しかしながら、まだ市民に知られておらず、利用者、協力者の登録数はそれぞれ30数人と聞いています。

広報だけではないやり方で、周知する必要があります。今後の予定をお聞かせください。

今、「権利擁護」が福祉のキーワードになってきました。
地域社会で生活する権利、自己決定する権利、苦情や要望をいう権利、誰もがその人らしく生きる権利などが保障されるべきですが、「わがまま」「こだわり」「がんこ」は、評価されず、あきらめさせられてはいないでしょうか、検証が必要です。
各施設には、第3者委員会が設けられていますが、そのメンバーが施設の関係者で占められることが多く、形骸化して機能していないところが多いと聞いています。県では千葉県社会福祉協議会の中に「運営適正化委員会」を設け権利擁護の立場から、福祉サービスにおける苦情解決事業を行っています。

市原市ではどのような取り組みを行っているのかお聞かせください。

又、市原市では権利擁護が直接の目的ではありませんが、平成17年から介護保険施設に介護相談員を派遣して、結果的にはそれなりの効果をあげていることは評価いたします。

1年半の取り組みを踏まえた、これからのあるべき姿をお聞かせください。

又、障害者施策においては市民啓発や福祉教育を通して障害や障害者に対する市民の理解を深めていくことが、非常に重要と考えます。広報・啓発については具体的にどこが、何をしていくのか、今後の展望も含めてお聞かせください。

5.環境行政について

(1)残土処分について

自然と共生して豊かに暮らせる快適なまちを目指し、緑豊かなふるさとを守り伝えようとしていますが、いたるところにゴミは捨てられ、山の木が切られ残土処分場となっています。県は平成15年に残土条例を改正しました。市原市も平成16年には県条例の一部改正を受け、事業期間の設定、許可の取り消しなどの規制強化、事業施行者や土地所有者の責務強化等、条例の一部改正をいたしました。この改正によって適正な埋め立て行為が確保されてきたでしょうか、お聞かせください。

申請書類は、書類だけの審査のため、書類と実際の中身が異なっていたり、許可されると軽微な変更と称して、いとも簡単に搬入する土を変えたりと問題が多いのが現状です。
又、隣接地ではなくても、下流にあって影響が大きい近隣の町会にも説明や同意が必要と考えますが、条例では土地所有者と関係者(土地の権利を有するもの)になっています。
違反を犯しても、新たに会社を作り、役員名を変え申請すれば、書類上問題なしとみられるなど、多くの問題をかかえています。

とにかく、適正な残土処分が必要ですが、3千平方メートル以上は県の管轄になっています。先の12月議会でも県の条例を上回る、市条例が必要と訴えましたが、市原市は県下の40%の土量で処分場が多く、事務量も多くなり、監視体制の強化も必要となるので、検討しているとの回答でした。

県に行っては他人事、市に行っても県の管轄だからといって踏み込めないと言われてしまいます。今の体制で、もっと市原市が介入できる条例の改正は考えられないでしょうか、見解をお聞かせください。

(2)山砂採取について

羽田空港再拡張工事に伴い、千葉県の山砂が羽田沖に埋められようとしています。
共用開始が平成21年末と決まっていますが、漁業権のことで着工が遅れていますので、突貫工事になるのではないかと危惧しています。
およそ3千万立方メートルで東京ドームの24個分です。
山砂を運ぶダンプが現在、県内では年間約6000台ですが、今回その2倍の1万2千台が往来することになります。市原では、2箇所の業者が請け負うことになっています。

今でもトラックが多いと感じますが、さらに多くなるわけですが、その影響(交通渋滞、騒音等)をどのように予測し、どのように対応しようと考えておられるでしょうか、運搬のルールも事前に対策を取るべきと考えます。見解をお聞かせください。

又、山砂採取跡は環境アセスメントの対象ではないといわれますが、どんな影響があるのか把握する必要があります。一気に大量の山砂が採取されますので、地下水・井戸水への影響、崩落などの防災の観点、山がむき出しになり、山の保水力がなくなり、一気に水が流れ込む等の心配があります。

本来、跡地は再生して森林に戻していかなくてはなりません。県では緑化のために予算が組まれていると聞いています。緑化に対し、十分に県と市で話し合って対応すべきと考えますが、見解をお聞かせください。

又、山砂採取後の跡地が残土処分場に利用されるのではないかとの12月議会での質問に、条例に従って適正に処理していくとの回答でしたが、果たしてそれで緑の保全につながっていくのでしょうか、今までの例を見ていますと、はなはだ疑問です。
見解をお聞かせください。