平成20年度 第1回市原市議会定例会 3月10日(月)

市議会レポート【個別質問】岡村由美子

1. 保育所について

まず、待機児童対策についてお伺いします。
女性の社会参加と、雇用の不安定化が進む中で、幼い子どもを育てている世帯においても共働きが当たり前になりつつあり、子どもの数が減少しても保育所の需要は増大しています。
わが市でも現在200人を越える待機児童の解消が喫緊の課題です。市の新実施計画で、五井保育所の建て替えと、ちはら台地区と五井西地区においてそれぞれ保育園設置がしめされました。

この計画を含め、待機児童解消の今後の見通しについてお聞かせください。

次に保育の質の確保についてお伺いします。
公立保育園の廃止、民営化が本格化したのはおおむね2000年以降で、全国の保育所の数を2005年と2006年4月の数値で比較すると、公立保育所は242箇所減少し、民間保育園は371箇所増えています。
一方、全国各地で保護者などが保育所の存続や廃止計画の見直しを求める運動に立ち上がり、裁判で住民側勝訴の判決が下りるなど、各地で、緊迫した政治状況を作り出しています。
先日、八千代市の保育園民営化をめぐる裁判にかかわった方に、話をお聞きしました。「準備不足で民営化が強行されたために、毎日の生活の中で長年育んできた保育士との信頼関係が断ち切られたのが一番つらかった」とのことです。
社会福祉法人の保育所の中には優れた保育を行っているところが数多く存在するのは事実ですが、今政府が進めている民営化は、この優れた民間保育所の保育を広げることが目的でなく、自治体の財政支出を削減し、国と自治体の責任を縮小し、「権利保障としての保育」を「切り売りとしての保育サービス」に切り替える、すなわち保育の「市場化」をすすめるためのひとつの方策として行われているように思えます。
私たち市民ネットワークの千葉県全体の組織の中でも「保育所の民営化について考えること」は2008年の共通のテーマであり、学習会を開いたり、県内市町村の情報や意見交換を積極的に行ってきました。
県内では、習志野市、千葉市が民営化の方針を出していますが、そのほかは住民運動などの動向を見るなど、慎重なところが多いようです。
市川市は指定管理者制度の導入にあたって、保護者と市が何度も会合をひらき、事業者に対するかなり高いハードルを示した協定書を取り交わしました。

保育所については公立がいいのか、民営がいいのか?というより、子どもにとってどんな保育所がいいのか、保育の質を議論し、それを担保していくことが必要です。
市原市における保育士の勤続年数について公立、私立の数字をそれぞれみてみますと、勤続年数5年以下が公立は約26%、私立は約92%です。私立は開始後5年に満たない園が3園中2園ということですが、公立にくらべると保育士にかかる負担が大きいと聞いております。また、正規雇用の割合は、公立が約55%、私立が約59%です。

勤続年数、正規雇用の割合、賃金など雇用の安定が、保育の質の確保に大きく関連するといわれますが、ご見解をお聞かせください。

「保育の質の確保」と「市町村責務」についてのお考えをお聞かせください。

また保育の質の確保のためには、第三者評価できるしくみをつくることが必要です。昨年、民間の保育園で第三者評価を実施したところがありますが、個々で第三者評価をするのは費用がかかります。公立、民間を問わず、一括した第三者評価制度を導入していただきたいと思いますが、いかがでしょうか?

指定管理者制度は、5年ごとの見直しの際に第三者がチェックできる、という利点がありますが、5年ごとに事業者が変わるリスクがあり、子どもが安定的に保育される環境としては、児童福祉にそぐわないという意見もありますが、指定管理者導入についての見解をお聞かせください。

(答弁)

  • 待機児童対策については新実施計画で新たな保育施設整備を位置づけた。受け入れ枠が拡大するため解消に大きく貢献できると考える。企業内託児所の整備促進にも努める。
  • 保育の質に対する市町村責務については国基準や保育指針を順守し保育環境を維持することは当然のことながら、職員雇用の安定を図ることも重要と考える。保育の質の維持確保のため、労働関係法令を順守しながら雇用の安定に努めていく。
  • 職員研修による保育の質を図っている。
  • 第三者評価制度は保育の質を高めるきっかけになるというメリットがあるが、相当の費用がかかるので民間保育や他市の動向を調査し、研究していく。
  • 指定管理者制度は保育運営に民間の力を導入するひとつの手法だが、民営化という手法も含めて他市の事例等参考にしながら、慎重に検討をしていく。

2. 新学習指導要領改訂案について

2月15日、文科省から「新学習指導要領」改訂案が示されました。学習指導要領はもともとは教職員の手引書であったものが1958年の改訂以後、「教育課程の基準」の位置付けとなり、教員への拘束力を持つものとなってきました。
今回示された指導要領は小学校では2011年に、中学では2012年に全面実施されるもので、来年からは移行期間にはいります。
改訂の大きな特徴は2つです。
ひとつは学力低下批判を受けての、授業時間と内容の見直しです。ほぼ40年ぶりに授業時間を増やし、「基礎」にプラスして、「活用」を重視していく内容になっています。これまで「ゆとり教育」の名の下に、学校が週5日制になり、「生きる力」を育てようと「総合学習」を目玉としてきましたが、今回の見直しでは、総合学習の授業は小学校で週3コマから2コマへ。「ゆとり教育」の見直しで、元に戻ることになりました。
現場の先生方は一貫性、継続性のない教育方針の転換にふりまわされて大変でしょう。
「学力」とは何か、という本質的な議論が果たして充分になされたのか、疑問です。

2つ目の特徴は平成18年12月の教育基本法改定以降の、はじめての学習指導要領として、改定教育基本法の影響が色濃く見られる点です。
今回指導要領の改訂案では道徳教育の教科化は見送られたものの、全教科を通じて道徳教育を行うと明記。各学校に「道徳教育推進教師」を置くなど、子どもたちの心の内面に踏み込んでいく内容です。
「思想・良心の自由」に踏み込みかねない方針転換は、とても危険であると感じております。
市民ネット平和部会ではこの数年、憲法研究者を中心に憲法と戦争について考える学習会を市民と一緒に続けており、昨年の10月で16回を数えています。
太平洋戦争では「お国のために」と国民を戦争へと総動員していきました。そんな中、当たり前のように、子どもたちにも「お国のために戦地で死ぬことを誉れとする」教育が浸透していきました。
「愛国心」や「公共の精神」そのこと自体が悪いというわけではありませんが、ことさらにそれを盛り込んだ今回の指導要領改訂案に、「国」の概念をふるさとや郷土でなく、天皇や統治機構あるいは国体という意味にとらえた当時の権力者の意図と通ずるものを、色濃く感じております。

また、埼玉県や茨城県などの公立小学校で「愛国心」表記が通知表の評価項目に盛り込まれている問題について、文科相は「内心を直接評価してはならない」と述べています。「国を愛する心情」を内心に踏み込まないで評価することは難しいことに思います。外国籍の子どもも在籍する公立校において、「日本の国」を愛するという評価項目を設定することにも慎重であらねばならないと思います。

以上踏まえて二点質問いたします。

方針が変わることで一番ふりまわされ、大変な思いをするのは現場の先生方や子どもたちだと思いますが、今回の改訂に対してどんな方針を持ってのぞまれますか?お聞かせ下さい。

(答弁)
学習指導要領の理念や方法が各学校に理解され、混乱や誤解を生じることのないように努めるとともに、「市原の子どもは市原で育てる」という市の教育方針を貫きながら、各学校で行われてきた教育実践が、今までどおり継続発展できるように支援していきたい。

今回の改訂が、憲法で保障されている「思想良心の自由」を制限することにつながりかねないと思われますが、お考えをお聞かせください。

(答弁)
今回の改訂「生きる力」の育成は継承されていることから、「思想良心の自由」を制限するものではないと認識している。

(再質問)

「思想良心の自由」の保障に関連してお伺いしたいのですが、埼玉県などの公立小学校で「愛国心」表記が通知表の評価項目に盛り込まれていることを新聞で読んで、私も子どもの通知表を見てみたのですが、そのような評価項目が無かったので、ほっと胸をなでおろしたところでした。

通知表の評価項目のなかの、教科、生活態度などの評価項目は、だれがどのように決定するのでしょうか?お聞かせください。

(答弁)
校長です。

3. 障害者自立支援法について

2006年4月に障害者自立支援法が施行されて2年。応益負担、障害程度区分、事業所の報酬単価の低さなど、当初からかなり、問題点が指摘されていました。
この2年の間にちょっとずつの見直しが頻繁に行われたため、つぎはぎだらけになって、ただでさえ複雑な制度が一層わかりにくくなり、利用者、事業者、自治体は振り回されているようです。現在の一番の課題として、事業者の報酬単価が低く、事業として運営するのに充分な収入が得られない、ということが上げられています。

はじめに、今まさに報酬単価が低いために、事業存続が危ぶまれている学齢期の障がい児支援についてお伺いします。
「人生の中でもっとも難しい仕事は自らの子育てであるといっても言い過ぎではない時代となってきました」と、子どもに寄り添った実践をしてこられた立教大の浅井春夫さんがその著書で述べておられますが、なかでも、障がいを持ったお子さんを育てておられるご家庭の大変さは想像を超えるものがあります。
市民ネットワークには子ども部会があり、月に一回のミーティングを事務所で開いており、子育て中のお母さんたち中心にざっくばらんな情報交換をしています。
その子ども部会が主催して、2年前に「育ちにくい子どもについて語り合ってみませんか?」という会をサンハートで開きました。障がい児を育てておられる方々20数人が参加されました。おひとりおひとりの話に療育アドバイザーが耳を傾けて、ひとりひとりに寄り添ったアドバイスをされるのを、みなで共有したひとときでした。「こんなふうに語り合える場がほしかった」と涙ぐむお母さんもおられました。
そのとき療育アドバイザーが繰り返したのは「家庭で抱え込まずに、児童デイサービスなどを大いに利用しなさい」というアドバイスです。
児童デイサービスは、1972年にはじまり、さまざまな制度改変に翻弄されながらも、現在は障がい乳幼児と学齢期の障がい児にとっての療育と生活の場を拡大させています。
現在は市内で4つ。主に小中学生のお子さんが利用し、約150人の障害を持つお子さんが契約し、働いている働いていないには関わらず「学童保育」的機能を担っています。障がい児を育てているお母さんが少しの間でもほっとできる場、そして、療育の場としてなくてならない存在です。
しかしながら、自立支援法施行により、学齢期のお子さんの児童デイサービス継続が危ぶまれるような制度改定が示されました。今は3年間の「経過措置」の間ですが、支援費制度のときに比べて事業者収入は約75%に減っています。
経過措置後は就学前のお子さんを7割受け入れなくてはなりません。
現在、学齢期のお子さんの預かりの場としてほかに「日中一時支援」がありますが、「療育」機能はありません。また、報酬単価も4時間未満で障害が中度のお子さんを受け入れた場合平均1590円で、仮にデイサービス事業者が移行したとしても報酬単価が安すぎて、運営できない事業者がでてきます。
学齢期のお子さんが放課後あるいは、休日に利用するサービスがただでさえ不足しているのが現状です。サービスの選択肢がますます少なくなり、家庭に引きこもってしまう親子が増えてくることが懸念されます。
市町村で独自に対応しているところがいくつかあります。たとえば高知市では日中一時支援事業の報酬を経過措置の児童デイサービスと同じ報酬額にし、学齢期の障がい児の受け皿として確保しています。

学齢期の障害児の「日中一時支援」に療育の機能をぜひ持たせていただけませんか?市のお考えをお聞かせください。

次に発達障がい等に対応できるお医者さんの派遣の問題と受給者証について伺います。
発達障がい者が思春期から成人期で環境の不適応を起こしたあとの相談が増えているとのことです。ライフステージに応じた支援が必要とされていますが、発達障がい者の支援は制度の狭間にあり、とりこぼされています。

市原市障害者基本計画に「発達障がい専門の医師を確保」とありますが、発達支援センターへの医療相談など適切な支援ができる専門医師の派遣については、どのような状況ですか?
また、受給者証を発行するときに発達障がい、ADHD、LDについても考慮していただきたいのですが、いかがでしょうか?お伺いします。

「地域自立支援協議会」についておたずねします。
昨年県内で7割設置されました。6月議会で質問したときは、「地域自立支援協議会のケアマネジメント機能については、主要な機能なので、どのような組織で持つことが適切であるか、今後検討する」と答弁をいただきました。

「地域自立支援協議会」の現在の状況、これからの方針についてお聞かせください。

(答弁)

  • 学齢期の障がい児の支援については学校終業時の見守り支援を中心とする日中一時支援と、心身の発達支援を目的とする療育機能を持つ児童デイサービスの2つの事業形態があり、事業による役割や機能が分担されているので現状では2つの事業の統合は難しい。
  • 発達支援センターへの専門医師の派遣については、医師は児童・成人問わず不足しているが、小児神経科と内科による嘱託体制であったところを19年度から精神科と小児科医師各1名を増員し、4名体制に強化した。
  • 療育手帳を持たない発達障がい児などへの受給者証の発行は児童相談所や、発達支援センターなどに意見を求めたうえで受給者証を交付している。
  • 地域自立支援協議会については、1月に要綱を制定した。3月下旬に第一回の会議を開く。今後の方針は障がい者施策を計画的かつ円滑に進めるために設置するもので、委員の意見や提案を十分聞いて、目的達成に努めていく。

4. 男女共同参画社会づくりについて

1979年、国連で女子差別撤廃条約が採択され、日本は85年にそれを批准し、2000年に男女共同参画基本法が制定されました。
本市では2004年に「市原市男女共同参画社会づくり条例」を制定、一年前の3月に「いちはら男女共同参画社会づくりプラン」が策定されました。
私自身、数年前「女性のためのカウンセリング講座」に2年ほど通ったりなど、女性たちの抱えるさまざまな問題に関心があり、本市の条例制定の際には、月一回の草の根の勉強会に参加するなどして、条例制定過程を見守ってまいりました。なお、条例制定後の現在も、その会は続いております。
市条例制定より4年。ふりかえってみますと、条例制定の前後は男女共同参画推進に対する意識が盛り上がりましたが、制定後は見えづらくなった・・・と感じております。庁内組織も2001年に男女共同参画室ができたと喜んでおりましたら、条例制定を前にその名称はなくなり、「人権国際交流課」の中に埋もれてしまったことも男女共同参画が見えにくくなった一因に思います。
2月8日の新聞にDV防止に対する逆風が吹いており、「DV防止に関する講演会を開催することに抗議を受けて、つくばみらい市は中止、長岡市では予定通り開いた」という記事がありました。男女共同参画やDV問題に深い関心を寄せる多くの皆さんが、危機意識を持って見守り、あるいは抗議の声を上げています。が、市原市では、市民の関心がまだ薄いというのが現状のようです。

さて、昨年3月プランが策定され、すでに一年が経過しています。この一年、どのような取り組みがなされたのか、お聞かせください。
まさに男女共同参画の市民意識を育てることを目標のひとつとすべきと思います。このような理念を根付かせるためには行政が推進の役割を担う必要があると思われますが、今後の具体的方針について、お聞かせください。
また、同プランはいささか総花的に感じられるのですが、どこに最大の力点を置いているのでしょうか?

市条例のポイントのひとつは「男女平等教育」が明記されたことでした。
教育分野においてこれまで推進してきたことと、今後の取り組みについて具体的にお聞かせください。

次に庁内体制づくりについてお伺いします。
2008年から団塊世代が続々と退職年齢を迎えています。市役所においても、3月、4月は、まさに人事異動の季節です。退職、配置換えもあります。もとより、それぞれの役職にふさわしい職員が男女を問わず、適材適所に配置されるべきです。今、女性職員の数は約3割です。

しかし2006年の管理職に占める女性の割合は0.8%、2015年には5%と目標値がプランに示されていますが、数の上で3割を占める女性職員をもっと広く様々な場面で登用すべきと考えますが、女性の管理職登用に対する、今後の市の方針をお聞かせください。

とりわけ、政策立案できる立場に積極的に女性を登用することで、女性職員を育てていく必要があると思いますが、現状と見解をお聞かせください。

意欲のある女性職員でも、子育て中の何年かは第一線で働くことは難しいと思います。しかしながら、市民生活に密着した市町村の仕事において、子育ての経験は貴重といえます。

子どもがある程度手を離れたときに、政策決定に有効な研修や学習会などで、子育て期間のハンディを取り戻せる機会を設けること、すなわちポジティブ・アクションの促進が必要と思いますが、いかがでしょうか?

最後にDVの防止と支援についてお尋ねします。
相談件数は16年82件、17年72件、18年127件と増えています。平成18年に「市原市配偶者暴力被害者緊急避難支援要綱」が策定されています。

緊急避難の際の対応についてお聞かせください。
その後の生活再建など女性の自立に向けた支援についてどのように対応しておられるのか、また、今後の課題について具体的にお聞かせください。

民間の相談機関との連携についてお聞かせください。

昨年は担当課が「デートDV」の講座を開いたとのことで、評価します。しかし、参加者が少なかったようですし、また肝心な若者の参加がなかったようです。
「若い人たちは一見、男女平等のようで、実はDVに対する認識が不足している」と相談支援に実際に当たっている方から聞きました。市内の高校等で実施すれば、大変効果的と思いますが、いかがでしょうか?

(答弁)

男女共同参画社会づくりプランについて

  • プランに掲げた施策としては男女共同参画推進フォーラムやDV防止セミナー、女性のチャレンジ支援事業や事業者に対するポジティブアクションセミナーを実施している。
  • 外部委員で組織する審議会や男女共同参画研究員会議など、実効性のあるプランの推進に向け協議している。
  • 市民意識を高めるために各種講演会やイベントを通じて市民意識啓発と市民団体育成に努めていく。
  • プランの最大の力点としては意識啓発に重点的に取り組むとともに、再就職やキャリアアップを目指す女性のチャレンジ支援や事業者の積極的改善措置の促進に取り組むなど、施策メニューを多様に展開していく。

男女平等教育について

  • 技術家庭科における共同学習や性差を超えた職業観の育成をはかるキャリア教育がある。教育委員会として男女平等の教育を一層推進していく。

庁内体制づくりについて

  • 課長職以上にしめる挑戦指標5%を確実に達成することが重要と認識している。
  • 男性職員と同様のジョブローテーションを通じ、さまざまな職務経験による能力の開発を図るとともに、その適正を見極めながら、女性職員の登用を図っている。
  • 今年度も職域の拡大を図りつつ、課長職登用のステップとして、女性職員の監督職への登用を積極的に実施した。
  • 研修機会を提供については市町村職員中央研修所や千葉県自治研修センター等への派遣研修を通じ、能力開発や意識改革を推進し、早期の女性リーダー育成に努めている。

DVについて

  • 緊急避難の際の対応は千葉県女性サポートセンターと連携をはかり、今年度は3件の一時保護をした。
  • 自立支援については母子生活支援施設入所や市営住宅への入居案内、生活保護費受給など、関係機関と連携し、対応している。今後の課題は経済的自立に向けた就業支援。
  • デートDVは教職員に対し、県市で実施するセミナー情報を提供する。

(再質問)

男女共同参画については、私は目に見える形で意識を変えていくことが必要と思います。意識改革の方法はいくつかありますが、たとえば今前に座られている執行部の方々の中に女性がいて、議員の質問にご答弁くださるのは私の大きな希望ですが、市民にとっても目に見える意識改革として大いにアピールすると思います。
力を秘めている女性職員はたくさんおられます。しかしながら、もちろんいきなりの管理職登用はご本人にとっても大きな負担となることが予想されます。男性職員にとっては管理職「モデル」となる先輩がたくさんいるのに比べ、女性は0.8%と少ないのです。
一歩一歩、日常の仕事のなかで積み上げていくことが不可欠です。ぜひ女性職員を「育てていく」ための効果的方法を考えていただきたいのです。
ほかの自治体の成功事例を参考にしたり、また、実際の職員の声をたとえばアンケートや職員同士のワークショップなどの形で掬い上げるなどして、「育てていく」ための効果的方法をぜひ探っていって、実践していっていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
このあたりについてもう一歩踏み込んだご答弁をお願いいたします。

(答弁)
今後もポジティブアクションを念頭に管理職登用を図っていく。

5. 団塊世代への働きかけついて

2008年3月には多くの団塊世代の方々が退職されます。
いわゆる2008年問題といわれるものですが、企業等の人員配置ががらりと変わってしまいます。
一方地域社会の側から見ると、長らく仕事一筋でこられた方々が、地域に目を留め、地域活動に汗を流してくださる機会となりうる、「協働」にとってはこのうえないチャンスといえます。
たとえば、森林の保全に貢献している里山活動をしている市民団体が市内には10団体以上あり、のどから手が出るほど人手を必要としています。
全国でもまれなことですが、千葉県の里山条例の中に「里山活動協定」があります。里山活動団体と土地所有者を結びつける協定として全国でも初めての試みとして注目されていますが、今後さらに協定を結んで、里山の活動をひろげていくことが可能です。里山活動は仲間づくりにもなり、からだを動かすことがストレスの解消になることは、現在活動中の方々が証明しておられます。
1月15日、走り始めた南総西のコミュニティバスも住民主体の運営協議会が主体となっています。日に100人以上の利用とのことで、順調な滑り出しです。地域の方々の涙ぐましいほどの努力と行政の協働の成果です。交通対策も定年後の方たちのパワーとノウハウを必要としている分野です。公共交通の利用の促進は、マイカーに乗る回数を減らすことになり、もちろん地球温暖化対策にも効果的です。
今、市内には多様な市民活動団体が、団体登録をされています。

そうした市民団体と退職をされた方々をつなげていけないものでしょうか?
市が仲介の労を取って、または市民活動センターと連携して、企業を退職した方々に向けた市民活動の説明会を開催したり、交流会を開いたりしてはいかがでしょうか?人手のほしい市民団体が自分たちの活動をPRし、会員も募る場として設定すれば、市民団体同士の交流の場ともなり、また市民は、活動の場を手にすることができます。見解をお聞かせください。

2月23日に閉講した「市民環境大学いちはら」が大変好評だったようです。昨年11月から7回にわたる講義は、大学、NPO団体、地元企業などから幅広い分野の講師陣をそろえ、市全体をエコキャンパスと見立てた発想、フィールドワークを取り入れたプログラム。環境の大切さを中心にすえて、学ぶだけではなく学習の成果を生かすことや協働へつなげることを目的のひとつにかかげた生涯学習として、魅力あふれる内容だったことがうかがえます。生涯学習部、企画部、環境部、経済部の庁内各課がそれぞれの強みを生かしての連携、PRにも力を入れ、高校や、新聞にも働きかけたことで、70人定員に対し、102名の公募があり、また、他の市町村からの問い合わせも多く、他市の市議会が話を聞きに来たりしているとのことです。
対象者は10代から幅広い年代にわたっていますが、50代~60代の参加者が60%、平均年齢が56歳です。このような企画は仕事や子育てが一段落する世代が地域に目をむけるきっかけとしても大いに注目されます。

今後の計画についてお聞かせください。
仕事で培った団塊世代の能力、ノウハウをこんどは地域で花開かせるしくみづくりを、ぜひ庁内の連携で実現させてほしいと思いますが、いかがでしょうか?

(答弁)

市民活動について

  • iほっと市民活動センターを市民公益活動の支援拠点として、管理・運営を行っている。
  • 社会福祉協議会と連携し、市民中心の「市民活動センター運営委員会」を組織し取り組みを進めている。
  • 昨年秋には下部組織として公募市民等からなる実働部隊としてのワーキングチームが発足した。そこで企画した事業の第1弾として3月22日センターで企業の退職予定者やOB、人事担当者を中心としたセミナーを、市共催で開催する。基調講演や事例発表、ワークショップ形式による3つの分科会からなり、参加をうながす絶好の機会となりうると期待している。
  • 全庁的に連携し、また社協や活動を行う方々と協働し、活動団体と団塊世代はじめとした市民が出会う機会の提供など公益活動がしやすい環境づくりに努めていく。

生涯学習について

  • 「市民環境大学いちはら」については環境問題に対する受講者の意識の高さと学んだ成果を実行に移そうという熱意を感じた。今後はアンケート結果を参考にしながら庁内連携をはかりつつ、日本大学生産工学部とも協議し、充実をはかっていく。
  • 団塊世代に対する生涯学習の果たす役割は重要と認識している。現在、生涯学習推進プランを策定中だが、平成20年度は生き生きキャンパス事業として芸術、文化、地域資源を活用した地域学をテーマにした「まちづくり塾」を新たに開講予定。

6. 緑に関する施策について

2月、「市原市地球温暖化対策推進計画」が示されました。その中で、大きな課題になっている二酸化炭素排出量の削減に、森や林の保全をはじめとする緑化が大変有効です。今回は緑の保全に焦点を絞って、2月に示された市の緑化協定制度改定と「市原市緑の基本計画」に関連して質問いたします。

緑化協定制度改定では、工業専用地域に所在する事業所に対し、敷地面積の10%を緑地率と定めて、将来における目標総緑地率を事業敷地内外で20%と定めています。今回の改定で樹木だけではなく芝や花壇なども緑地率にカウントすることになりました。今回の改定は、事業所の設備投資推進のための敷地を広げることが大きな目的のひとつです。しかし、公害対策や温暖化対策の視点では、とりわけ、樹木による緑化推進がぜひ必要と思いますが、見解をお聞かせください。

また、企業の社会責任や地域貢献が注目される中で、目標総緑地率を達成すべく、緑化への動機付けを含めた緑化推進を積極的に行政から臨海企業に働きかけていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか?

「緑の基本計画」策定にあたっては市町村の「独自性や創意工夫の発揮」が求められています。15日に懇談会の公募を終え、今後本格的に計画の中身を詰めていくことと思います。懇談会委員12人の中に公募の方が4人、企業関係者もはいっておられるとのことです。

この計画が実効性のあるものとなるように、今後どのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。
また、都市計画マスタープランとの整合性を計るため、どのような協議がなされているのかお聞かせください。

(答弁)

  • 緑化協定については樹木による緑化推進に努める。
  • 目標総緑地率は将来的に一定の緑地を確保することにより、工場周辺の環境保全や地球温暖化防止、ヒートアイランド現象の緩和など、良好な都市環境を維持するため導入した。目標達成するよう市原市臨海部工場連絡会に強く働きかけていく。
  • 緑の基本計画については庁内関係部で「策定委員会」を設置し、横断的取り組みを行っている。策定段階から市民、事業者から幅広い意見を聞き、計画の目標設定をし、公表し、積極的な啓発活動を行うことにより実効性のあるものにしていきたい。
  • 都市マスタープランとの整合については「策定委員会」で、計画対象区域や計画人口などについて整合を図っている。