平成22年度 第3回市原市議会定例会  うわぶ玲子 決算委員会担当

※21年度決算については来年度の予算及び実施計画に要望・指摘事項が反映される事を期待して認定しました。

意見陳述 市民ネットワーク 上符玲子

法人市民税の大幅な減少と、それを埋め合わせるために、最終的に臨時財政対策債を限度額いっぱいの30億円を借り入れるという、状況にいたりました。
市債全体の調定額は70億円を超し、「60億円程度に抑制する」という枠をこえてしまったわけですが、公債費残高は年々減少してきているものの、市債の増額は財政状況を悪化させる要因になりかねません。慎重な対応が必要と考えます。
また収入未済額は特別会計も合わせると100億円を超える額になり、憂慮すべき状況になってきています。債権回収対策本部・設置の効果が見えるように、一歩踏み込んだ対策を期待します。
比較的豊かだった本市の財政状況も、今後の見通しも含めて厳しい状況にあることを全体が再認識し、よりいっそうシビアな予算管理をお願いします。
市長質疑でも申し上げましたが、経済の悪化は市の財政にも影響を及ぼしていますが、同時に市民生活にも直接的に深刻な影響となって表れてきています。
生活保護を受ける方が増え続け、家庭生活の困窮は子どもたちの生活にも経済的、そして精神的負担を及ぼしています。
また地域では急速に高齢化が進み、高齢者のみの世帯や一人暮らし世帯は増え続けています。援護が必要になったとき、介護保険だけでは高齢者の暮らしは支えきれないことは目に見えています。今から「地域のケア」づくりの準備が必要です。
市長は「子育て一番のまち」を掲げて取組を進めていらっしゃいます。子育て支援・教育などへの取り組みと成果を評価いたしますが、子育て世代は経済的な支援や、子育て環境の整備などをさらに望んでいます。
次世代育成支援行動計画の着実な実現を望みます。
このように市民の暮らしに直面する課題は緊迫さを増してきており、行政の対策が強く求められています。
一方で総合計画・各種計画に掲げられる中・長期的な市原市の方向を見定め、進めていくことも、まちづくりの視点には欠かせません。先ほどの総括質疑でも取り上げました「命の源の水や土そして森」といった自然環境保全の取り組みは、次の世代に対しての責任であり、市原市を磨き上げ、魅力あるものにするためには、とても重要な取り組みと考えます。
また、市原市のあらゆる計画、そして「まちづくり」を進めるうえで大きなカギを握るのが市民の力、地域の力です。地域で多くのボランティア、NPO、市民活動の方々が力を発揮されています。行政の下請けにならないよう、主体性を尊重し、かつ必要な支援策もとることが今後の継続とさらなる広がりをつくりだしていくためにも重要です。
いずれにしても、市民の血税である限られた予算を、どのように使うのかということが、ますます問われてくる時代になったわけです。
議会に対しても、行政に対しても納税者としての市民の厳しい目が向けられています。議会改革も必要ですし、職員のさらなる意識改革と、すべての職場において市民に寄り添った行政が行われるよう、佐久間市長のリーダーシップを期待いたします。
以下、款別でいくつか申し上げます。

総務費では

指定管理者制度は早期にモニタリングを実施し、より市民サービスの向上が図られるようにしてください。
協働事業の評価と公開や、資金提供の仕組みづくりなどが、課題となって残されています。NPO や市民活動、また町内会や地域福祉を担う小域福祉ネットワークまで含めた、協働事業の実態や行政との関係、支援の在り方などを整理する必要があると思います。
都市交流拠点整備はプロポーザルで示されたものとは大幅な変更になりました。またヨーカドーの出店は一応、約束されたとはいえ、他の計画区域についても今後、計画通りの実現ができるか不確かです。
中心核づくり、交流と賑わいの創出という市の計画を、ほんとうに達成していくには、そのための仕組みづくりと行政の継続した関与が必要です。
また、この計画への投資は少なくとも緊急的な市民生活のための費用ではないわけです。それだけに投じた予算は絶対に無駄にしてはならないと思います。

民生費では

障害者の地域での自立生活をどのように実現していくか、そのためにはどのような支援が必要かということが課題です。とにかく何が必要かは当事者や家族に聞くことがまずは基本ですが、障害者自立支援協議会ではその基本に沿って議論がされてきたことは評価します。計画の実行に期待します。
前段でも述べましたが高齢化が進む中、いまから地域でのケア体制をつくっていくことを念頭に置きながら、必要な準備を進めることを提案いたします。
子育て支援については学童保育の整備状況は評価いたします。保育所の待機児童対策は新規の保育所整備等の努力は評価いたしますが、一定の地域では今後も入所希望者が増え続けると思われます。きめ細かな対策を検討してください。
発達支援センターの充実をはかるために、たとえば市内外の療育機関・事業者・専門家などを交えて、連絡会も兼ねた会議をを開き、発達支援センターに期待する意見や、連携の在り方などを検討されるよう提案いたします。

衛生費については

一見、緑豊かな自然に恵まれているかに見える市原市の自然も、生活環境の変化のなかで山は荒れ、谷津田は耕作放棄地となり、そこに首都圏から産廃や残土が押し寄せるという状況が続いています。
これを根絶することはできませんが、少しでもこの自然環境を良好なものに保ち、また回復していくことは行政の大きな責任であると思います。
水源地の森林の涵養などを進めるとともに、残土産廃問題に対して担当部の毅然とした姿勢を求めます。
農業や商業の活性化は「いうは易く行うは難し」という言葉どおり、行政がいくら立派な計画を作っても、また補助金を出してもなかなかうまくいきません。しかし、農業、商業の活性化は市原市の魅力づくりに欠かせないものです。
当事者とともに考え実施する政策を、さらに進めてください。

教育費については

少人数学級や少人数授業の先行的な施策によって、成果が得られていることを評価します。勉強でおいてきぼりになる子を出さないように、引き続いてきめ細かな対応や、施策の拡充も検討してください。
男女混合名簿の導入は小学校では進みましたが、中学校では3分の1程度にとどまっています。条例に謳ってある内容を再認識し後退することなく、前に進めていただきたいと思います。
学校給食における地産地消の推進については、地産地消条例の目的を実現する意味でも、関係部署が連携し具体的な目標を立て課題をクリアしていく積極的な姿勢を望みます。
以上、申し上げてきましたがこのほか、これまでの審議の過程においていくつかの指摘なり要望なりをさせていただきました。
これらの事項を来年度予算、あるいは実施計画のなかに反映して下さることを期待しまして、市民ネットワークは21年度の一般会計及び企業・特別会計の決算を認定いたします。