意見陳述 予算委員会 案質疑 上符玲子

市民ネットワークを代表して平成23年度一般会計・企業・特別会計予算に対して意見陳述をいたします。

まずは、このたび発生しました東日本大震災は、日を追うごとにその全容がわかってまいりましたが、未曾有の被害の大きさに言葉もありません。
命を無くされた多くの方たちのご冥福を心からお祈りいたします。また被害を受けられた多くの方々に、心からお見舞いを申し上げます。そして救助を待っていらっしゃる方たちに、一刻も早く救援の手が届くことを願うものです。
今はこの大変な状況に対してできる限りの対策を実施するとともに、日本全体が気持ちを一つにして困難を乗り越えることをしていかなければと切に思います。
それでは今までの審議の中で指摘させていただいたことを中心に意見陳述をいたします。
景気が一部持ち直し、市税が前年度より増額されたとはいえ、扶助費は過去最大の198億円と増加しました。いわゆる少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少する社会を迎えているなかでは、内需縮小が今後も続き、扶助費が増え続けるという傾向は避けられません。本市も当然、同様の状態にあることから、基本的には今後も財政は厳しい状況が続くと思われます。
それらの認識を前提としたとき、当然ですが今後も歳入の確保は大変重要です。債権回収対策本部を中心に徴収率の向上を図り、滞納額の減少につなげてください。一方で、臨時財政対策債の発行はできるだけ抑制すべきと考えます。
厳しい財政状況が続く中で佐久間市長は、3つの戦略的視点からということで事業の予算化を図られました。「子育て支援と責任ある教育の推進」「誰もが安心して住める地域環境づくり」「本市の特色を活かした地域経済の活性化」は本市のまちづくりに必要なことと理解いたします。
計画された事業が最大の成果をあげるためには、市民との協働が欠かせません。協働する意味とそのあり方への理解を市民と共有することが大変重要と思います。
また都市交流拠点づくりは、これまで市の総力をかけて進めてきた政策ですが、交流と賑わいの中心核づくりにはほど遠い状態です。「まち育て」という観点から長期的な視野も含めた「仕組みづくり」をしっかり作るべきです。
以下、款別に申し上げます。
議会費については議員年金廃止にともなう公費負担が大変多くなっています。
給付率減額を国に働きかけていくことを求めます。

総務費について

地域ではNPOや市民活動が活発に展開されています。さらに多くの市民がボランティア活動などに関われるよう、情報発信や研修など学びの場の提供が必要です。市民活動センターのいっそうの活用を図ってください。
都市交流拠点づくりとも関係して五井駅東口案内誘導サインの整備、交通結節点整備事業や東西駅前交通広場改修事業などが予定されています。進めるにあたって十分に調査し、当然なことですがこれらの事業がきちんと連携し、少しでも市原市の玄関としてふさわしい駅前づくりに繋がるようにしてください。
交通の便の確保は市民生活にとって重要な課題であり、高齢化が進む中、早急に実現していかなければなりません。コミュ二ティバスだけでなく、新しい方法も加えて地域での運行が実現するよう、市民との協働の力を発揮してください。
地域の活動が活発に行われるためにも町会集会施設は大事な拠点です。現状を把握しながら整備等に対して今後も、できるだけの予算対応をお願いします。
サンプラザ市原は生涯学習センターの設置など利用者拡大に向けて、施設改修も含めて見直しがされます。ハード面だけでなくソフト事業を充実させ拡大につなげてください。

民生費について

経済不況は失業者を増大させ、また高齢化が進むことも要因で、生活困窮者が大変多くなっています。市の生活保護の窓口や社会福祉協議会の窓口にも多くの方が詰めかけています。
住宅手当や資金貸付、そして生活保護の給付は必要な方には当然、対応が図られるべきですが、同時に雇用対策や自立支援が十分に行われる必要があります。国への働きかけや市原市としてケースワーカーなど人材の拡充も含めて自立支援の在り方を、今後十分に検討してください。

障がい者福祉については

国レベルでの障害者自立支援法の見直しもかなり進み、問題であった応益負担がほぼ無くなり応能負担に移行したのはよかったと思います。
本市では自立支援協議会が3つの専門部会を立ち上げ「相談」「就労」「サービス」について当事者、家族、事業者など関係者による議論が行われ、チャレンジ雇用の実施など、具体的な提案となって示されてきていることは評価いたします。
今後も「総合相談センター」の設置や、障がいを持つ方、家族の個別課題に応えていけるような仕組みづくりを進めてください。
地域での高齢化が眼に見えて進む中、介護保険など公的なサービスだけでは安心した暮らしが成り立ちません。市民同士の助け合いなど、いわゆる地域福祉の構築が求められています。
来年度は地区社協化による事務局体制の強化が図られますが、地域での活動資金の仕組みづくりの検討、安心生活創造事業の他地区への展開などを進めてください。
また、地域包括支援センターへの相談件数はその存在が知られるほどに増してきています。今後は委託料の見直しなども検討してください。
仮称・次世代育成支援推進条例づくりが進められています。現在は子育て支援という視点が中心になっていますが、名称も含めて「こどもの人権」を真ん中に据えた条例がつくられるよう求めます。
保育所の待機児童は解消にいたっていません。0から3歳児対策や待機児童が多い地区でのきめ細かな対策をしてください。
発達支援センターは相談室の充実をさらにはかるとともに、専門機関としての体制づくりができるよう人事のあり方も含めて検討してください。
子宮頚がん・小児用肺炎球菌・ヒブワクチン接種について公費助成が始まり接種を受ける方が増えると思われます。しかし接種後に5人もの乳幼児が死亡するなど、安全面で疑わざるを得ません。
安全性の追求、また接種によるリスクや危険性などもきちんと情報を伝えること。子宮頚がんについては健診率を高めるなどの対応を図ってください。

衛生費について

本市は過去、十数年の間に、市内の山間部や谷に多くの産廃の不法投棄や残土処分がされてしまいました。
今回不法投棄対策台帳のデーターベース化が示されていますが、事務の省力化にとどまらず、地歴の公開も含めた仕組みづくりを行ってください。
また、残土処分場対策については当面、現行条例の改正や県条例の適用除外は受けないとのことです。残土処分場の建設が少しでも抑制されること。違反は絶対にさせないという姿勢と、具体的な強化策を行ってください。また自然の回復まで視野に入れた、複数の条例に関わる環境への取り組みをするということですが、プロジェクトを立ち上げるなど、是非、早期にかたちにされることを求めます。

農水費について

TPP 問題など日本の農業施策の強化が求められています。市原市でも年々耕作放棄地が増え、また農業従事者の高齢化が進み担い手も確保できません。
農地の流動化なども積極的に進め、農業が維持できるような対策が求められます。また地産地消事業も消費者と連携した事業展開を積極的に進め、条例の理念が実現できるように取り組んでください。

商工費について

農業と同じく商業の活性化はなかなか大変なことです。今までさまざまな事業が行われていますが、これまでの成果や課題の整理を行うこと。また基本的にはそれぞれの個店の努力になりますが、商店街として連携する力が必要と考えます。また、うまいもの会の活動など新しい動きがあり、今後の展開に期待いたします。

土木費について

今回の地震により改めて耐震対策などの重要性を思い知りました。既存建築物耐震改修の補助制度の需要も高まると思いますので、要望に十分こたえられる準備をしてください。
老朽化した公園について「都市公園長寿命化計画」に基づいて整備を進めるとあります。市民参加のワークショップ方式での整備と聞いていますが、地元住民の方が積極的に関わる公園の整備を、優先的に行うように要望いたします。

消防費について

臨海部にこれだけの石油コンビナートを有する本市にとって、それは財産ではありますが、また大きなリスクを抱えていることを目の前で実感いたしました。防災対策、緊急時の災害対策について検討をお願いします。

教育費について

学力の向上のためにも今後もできるだけ少人数授業や、少人数学級の拡充に向けて努力してください。
次に、嘱託教員が学級担任になるということから、1 年で交代になってしまい、子どもたちにとっても好ましくない状況が起きています。採用の関係があると思いますが、県に働きかけるなど早期に改善を図ってください。
いわゆる「指導に苦慮する学校や学級」という状況が起きていると聞いています。家庭における問題が大きいとは思いますが、子どもたちを受け止め、心からの指導をお願いします。また、来年度は学校運営アドバイザーも設置されるとのことで、現場の先生方への適切な支援も高まるものと期待します。
校舎の耐震対策はやはり今回の地震でその必要性を痛感したわけですが、前倒しをはかり早期完了を図ってください。
公民館全体で指定管理者制度が始まりますが、社会教育の実施は担保されるのか、また余計な負担が運営委員会にかからないかなど、気になる課題が多くあります。行政として適切な支援や指導を行ってください。
以上細かく申し上げてきましたが、全ての事業において成果を上げるためにはP・D・Cといわれる過程をきちんと行うとともに、常に市民側に立った視線を持つこと、十分考えを持ち進めることが大事と思います。
冒頭に申し上げましたが今回の東日本大震災は、経済状況は言うまでもなく今後の私たちの生活に、さまざまな影響をおよぼしてくるでしょう。
23年度予算は示されましたが今後は状況に応じて柔軟な対応が求められると思います。市民生活を第一にした予算運営と、市原市としても被害を受けた自治体に対しての、具体的な支援をかたちにしていただきたいことを申し添えて、市民ネットワークは平成23年度一般会計・企業・特別会計予算を認定いたします。