25年度2月定例県議会意見書(案)

集団的自衛権行使に関する憲法解釈の見直しに反対する意見書(案)

安倍首相は、選挙公約に盛り込まれた「集団的自衛権行使の憲法解釈の見直し」を、2月の訪米時にオバマ大統領との議論の俎上にのせる意向を示している。
内容としては、第一次安倍政権時に設置された有識者懇談会がまとめた解釈見直しの4事例(1)公海上で攻撃された米軍艦船の防護(2)米国を狙った弾道ミサイルの迎撃(3)国連平和維持活動(PKO)に参加中に攻撃された他国軍の救援(4)戦闘地域での他国軍への後方支援をベースに、新たに「遠距離の公海上にいる米艦船が攻撃を受けた場合」も加えて、集団的自衛権行使の範囲の拡大が目論まれている。
1996年の「日米安全保障共同宣言」以来2005年の「米軍再編中間報告」を経て、「日米同盟」の強化が謳われ、実際この間に米軍と自衛隊の共同演習が繰り返され、自衛隊の装備も飛躍的に強化されてきた。この日米同盟の強化の障害と指摘されてきたのが憲法第9条の存在と集団的自衛権行使の禁止であり、安倍首相は「日米同盟の強化」「わが国の安全保障上にプラス」を理由に、憲法解釈の見直しを主張しているところである。
しかしながら、国連憲章第51条に規定されている本来の「自衛権」と冷戦構造終結後の米軍事戦略上のそれは大きく乖離しており、アフガニスタンやイラク侵略に明らかなように、アメリカの先制攻撃の理由付けとなっている。安易に集団的自衛権の行使を認めるならば、わが国の安全保障の問題を超えて、自衛隊を米軍に追随して武力行使を行う戦力へと改変するものとなる。こうした自衛隊の戦力強化が、東北アジアの安全保障と外交のバランスを大きくゆがめることが懸念されるのである。
集団的自衛権行使の解釈見直しは、これまで繰り返されてきた9条解釈改憲の水準を一気に上げ、明文解釈への道を開くものとなりかねない。旧態依然とした安全保障観による安易かつ拙速な解釈見直しではなく、わが国の安全保障のあり方と日米同盟そのものを根本から見直し、わが国と東北アジア圏の真の協調と安全保障の道筋を見極めることを強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年 月  日

千葉県議会議長

内閣総理大臣  あ て


生活保護支給基準引き下げの取りやめを求める意見書(案)

政府は1月29日、生活保護費のうちの「生活扶助」の基準額を本年8月より6.5%引き下げることを閣議決定した。この結果、とりわけ都市部の子どものいる家庭などを中心に最大10%の減額が行われることになる。さらに「期末一時扶助」の見直しや「医療扶助」の減額方針も決まっており、2004年以来の基準額の大幅引き下げとなる。
今回の基準額引き下げの主たる理由として、1月18日厚労省発表の「社会保障審議会生活保護基準部会」報告書にある「低所得者の生活費より生活扶助が高い逆転現象」が挙げられている。基準引き下げ理由の比較対象が生活保護制度の「漏給層」であることは、あらかじめ「引き下げありき」の結論を引き出すためのものと断じざるを得ない。
さらに、生活保護支給基準の引き下げは、受給者の収入減、生活困窮者の制度利用への道を狭めることのみではなく、国民生活全般への多大な影響が懸念される。
その1つは、2007年改定の最低賃金法に生活保護との整合性が明記されたため、最低賃金の引き下げへの道を開くことになる。
2つ目は、生活保護基準額を参考とする就学援助制度への影響であり、就学援助を受けることの出来ない世帯が増加する。
3つ目は、生活保護基準額を参考とする住民税非課税限度額への影響であり、非課税世帯から外されれば、連動して保育料、医療費、介護費の負担の増加となる。
そもそも、新自由主義的構造改革によって、国民の生活の根幹を脆弱化させ、格差と貧困の拡大を招いてきたことへの反省と対処も行わず、一方的に弱者へのしわ寄せを強化することは、日本国憲法で保障された生存権に関わるナショナル・ミニマムの放棄に他ならない。
国においては、国民生活の冷静な分析と、慎重な議論・検討を行い、生活保護基準の引き下げを取りやめるよう強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千葉県議会議長

内閣総理大臣  あ て


福島原発事故原因の徹底究明と全原発施設の停止を求める意見書(案)

昨年の政権交代により誕生した安倍政権は、選挙公約に「3年以内の全原発再稼働判断」を盛り込み、政権発足後は「『2030年代に原発ゼロ』政策の見直し」「新規建設、輸出促進」「核燃サイクルの維持」の方向を打ち出している。
しかしながら、現時点でも福島原発大事故の徹底的な原因究明はなされておらず、被災者の救済はもちろん、将来にわたる健康被害の究明もなされていない。このような状態での再稼働・新規建設は、再度「安全神話」に基づく無謀なエネルギー政策への道をたどることになり、被災者に対する国としての倫理的責任を放棄するものである。さらに、高レベル廃棄物最終処分はもとより、各原発に保管されている大量の使用済み核燃料の処理も全く見通しが立っていない中での核燃サイクルの継続は、技術的にも全く意味のない愚行に他ならない。
安倍首相は再稼働判断について、「原子力規制委員会」の指針・基準を第一義にすると繰り返しており、現在同委員会の各検討チームは本年7月までの新指針・基準のとりまとめを行っている。しかしながら、福島原発大事故の原因究明を徹底し、それを完全に反映させた指針・基準の策定がこの短期間で行えるはずがない。規制委員会のホームページに公開されているように、規制委員会各チームの専門家の3人に1人が原発業者からの資金提供を受けており、5名の「委員」中に原子炉本体の専門家がいないため、「利益相反」による「再稼働ありき」の杜撰な基準作成が懸念される。
政府においては、大飯3・4号機も停止させた上で、福島原発大事故の原因究明を徹底的に行い、全原発施設の完全停止を行うよう強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年  月  日

千葉県議会議長

内閣総理大臣  あ て


原発事故子ども・被災者支援法による支援策の早期実施を求める意見書(案)

昨年6月与野党全会派一致で成立した「原発事故子ども・被災者支援法」は、成立から7カ月以上が経過する現在に至るも、政府による基本方針が策定されず、被災者への根本的な支援が全く行われていない状態である。2011年3月11日の東京電力福島第1原発の大事故から2年が経とうとしている現在、被曝による健康障害、とりわけ子ども、若い世代への影響を考えれば一刻も早い対処が必要であることは、チェルノブイリ被害の現状を見ても明らかなことである。政府においては、本法案の理念に忠実に実効性のある基本方針の策定と予算立てを行い、早急に被災者の支援に着手することを求め、以下要望する。

1.支援対象地域としては、福島県全域はもとより、追加被曝線量が1mSv以上となる地域全てを指定することを即刻行うこと。さらに、最新の医学的・科学的知見も援用し、何よりも予防原則の観点から追加被曝線量を引き下げることを目指すこと。
2.指定地域並びに個別支援の対象者の健康診断と医療の支援を、生涯にわたって
行うこと。
3.今後避難を望む被災者のために、終了された借り上げ住宅受け入れに代わる継続的な住宅支援の施策を実施すること。
4.避難者、非避難者を問わず、被災者・被災家庭の生活の質の向上につとめること。
5.当事者である被災者及び被災者支援に従事する人びとの意見を施策に最大限反映させる仕組みを整えること。
7.以上全ての施策は、徒に被災者の自己責任に帰せられることのないよう、あくまでも国の責任において行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年 2月  日

千葉県議会議長

内閣総理大臣  あ て