平成26年度 第1回市原市議会定例会 3月5日(水)

個別質問 小沢みか  3月5日(水)

1. 個々に尊重しあえる社会の形成について

日本の男女平等の歴史

「男女雇用機会均等法」が制定されたのは今から29年前の1985年。その後、1999年の「男女共同参画社会基本法」、2000年には、基本法を受けて閣議決定された「男女共同参画基本計画」、翌2001年には「DV禁止法」が制定されました。
このように、制度の流れだけを見れば「日本の男女共同参画は、もう十分だ」という声も聞こえてきそうですが、果たして実態はどうなのでしょうか。

世界ジェンダー格差指数

ダボス会議の主催団体である世界経済フォーラム(WEF)が毎年公表している世界ジェンダー格差指数(GGGI)では、日本の順位は昨年ついに過去最低の135か国中105位に沈んでしまいました。
因みにフィリピンが5位に食い込み、中国は69位、インドネシアは95位など、アジア勢と比べても日本は最低ランクというのは、やはりショッキングです。諸外国からは、「日本が最も手を付けていない資源は、女性の能力」と指摘される始末です。

安倍政権の女性の活用戦略

ここにきて政府は、女性の活用は「成長戦略の中核」だとして、働く女性を支援する姿勢を鮮明に打ち出しています。
その背景には、急速に進む少子高齢化による労働力の低下に対する懸念や、国際競争に打ち勝つため、女性のアイデアや視点を生かした新たな成長への期待があります。
男女共同参画政策を女性側の権利や人道性の観点から進めようとする考え方はもはや過去のものです。経済の合理性の観点からも、男性側の自己実現のためにも、地域の活性化のためにも必要な政策であるという事をまず冒頭確認したいと思います。

1)男女共同参画に関する施策について

市の男女共同参画政策の流れ

さて市原市では、平成16年に「市原市男女共同参画社会づくり条例」が制定され、条例に基づいて、男女がともに家庭生活や仕事、地域活動等に参画できるよう、子育て支援や就労環境づくりなどの諸施策を進めるため、計画期間H19年度からH27年度までの「いちはら男女共同参画社会づくりプラン」が策定されました。

女性に関する市の取り組みは

女性に直接関連する主な事業は、情報誌プリズムの発行、年平均2、3回の啓発セミナーや講演会、市民企画講座。夫婦関係、嫁姑問題、離婚などに関する女性のための相談。DV等家庭相談や緊急一時保護に対する支援。県内でも先進的な取り組みである、全中学校対象のデートDV予防セミナー。以上のように理解しています。

 ここで伺います。「市原市男女共同参画社会づくり条例」の制定より10年が経過し、「いちはら男女共同参画社会づくりプラン」の計画期間をあと2年残した現時点において、これまでの取り組みに対する成果(アウトプット)とその効果(アウトカム)について、当局のご見解をお聞かせください。

企画部長
男女共同参画に関する施策に対する成果と効果について、お答えいたします。
市は、平成19年に策定した「いちはら男女共同参画社会づくりプラン」により、男女が社会の対等なパートナーとして、それぞれが持つ個性や能力を、社会のあらゆる場で発揮できる「男女共同参画社会の実現」を目指しております。
このプランについては、プランに掲げました144の計画事業のすべてがこれまでに実施されております。
具体的には、先程ご指摘のありました女性フォーラムから始まった男女共同参画推進フォーラムなどの講演会の開催、情報誌「プリズム」これは31回発行しております。さらには、ポジティブアクションセミナー、あるいはワーク・ライフ・バランスセミナーなどの開催など意識啓発を図る事業に加え、専門の女性相談員による相談事業も実施するなど、市民、事業者と協働して男女共同参画の推進に取り組んでまいりました。 成果といたしましては、これらの事業に市民の参加をいただき、市民団体が結成され、市民自ら意識啓発をしようという動きが生まれたことがあります。
効果といたしましては、法制度の整備を背景に、これらの事業の展開とあいまって、育児休業制度等を活用しやすいと感じる人の割合といった挑戦指標が向上するなど、仕事と家庭生活の調和を図る面において、一定の効果がみられていると考えております。
しかしながら、男女平等意識や男女の固定的な役割分担意識の改善、あるいは政策決定過程等への女性の参画などは、直近の市民意識調査によると、まだまだ進んでいないものと認識しております。
このようなことから、プランに基づく各事業について、プランの見直しも視野に入れて、十分な検証及び点検を行なってまいりたいと考えております。

予算額から見る自治体の本気度

因みに私は、市の本気度は該当事業費の予算額にも表れるのではないかという推測のもと、市原市の男女共同参画関連事業の当初予算額の合計を調べました。
DV対応関連事業、男女共同参画審議会委員や相談員の報酬、広報活動費などを含め、H25年度総額は552万1千円、一般会計歳出総額に占める割合は0.006%でありました。
これをどう評価するかは難しいところですが、ある地方議員向けセミナーで38市のデータを比較したところ、市原市は少ない方から12番目であった。多いところでは0.1%という市もあった。
全く同じ土俵での比較ではないかもしれないが、少なくとも予算ベースでの市原市の本気度は、それほど高くないという感想を素直に抱いた。

労働環境の改善に対する市の取り組みは

ところで、いちはら男女共同参画社会づくりプランを読むと、「男女共同参画はすそ野が広い、様々な分野への切り込みが必要だ」と改めて感じます。
男女が共に能力を発揮できる環境整備として、保育環境の充実はもちろん、家事・育児・介護など家内労働に関する男性への学習機会の充実もその一つです。

 また、経済活動においても、事業者に対する雇用機会や職場環境の改善に向けた啓発、女性起業家等に対する融資、家族経営協定など農山村の女性の地位向上や能力開発なども、プランの中に位置付けられています。
このような市内のあらゆる経済活動に対する働きかけについては、どう評価しているか。ご答弁ください。

経済部長
男女共同参画に関する施策のうち、雇用分野における施策について、お答えいたします。
市では、職場において女性が能力を発揮できるよう、積極的改善措置「ポジティブ・アクション」を掲げ、女性の再就職支援、職場環境の改善、雇用機会と待遇の平等促進などに取り組んでおります。
具体的な施策といたしましては、ワークプラザ市原内にマザーズコーナーを設置しているほか、女性向けの「再就職支援セミナー」の開催、各種の啓発事業などを実施しております。
この結果、プランに掲げる挑戦指標である「職場において、男女の地位は平等になっていると感じている人の割合」は、基準年度である平成18年度の17.3%から、最新の調査では5.3ポイント上昇して22.6%となっております。
今後も、女性にとって安定した雇用環境と就労環境を確保するため、引き続き、これらの事業に取り組んでまいります。次に農業分野における施策について、お答えいたします。
市では、国が定めた「農山漁村男女共同参画推進指針」に基づき、千葉県が策定した「農山漁村男女共同参画基本方針」と整合を図り、農家の女性の経済的地位の向上を目指すための施策を推進してまいりました。
具体的な方策といたしましては、県が主催する女性優良農業者の事例発表会等への参加を促すほか、認定農業者を対象に家族経営協定の締結を推進してまいりました。
その結果として、プランに掲げる挑戦指標である「女性のグループ・個人による起業数」は、基準年度である平成18年度から3経営体増加し、18経営体、また、「家族経営協定締結数」は、平成17年度から35協定増加し、47協定となり、一定の成果が出ているものと考えております。
今後も、プランに掲げる指標の目標値の達成に向け、更に施策を推進してまいります。

この分野は、まだまだ「特に男女で区別はしない」という意識が根強いように感じますが、それではなかなか進まない。どの施策にせよ、今のお答えからは、当局側の男女共同参画に対する本気度が今一つ伝わってこないというのが正直な思いです。

他市の取り組み

例えば千葉市では、男性の育児休暇制度を促進する中小企業やその社員に対する奨励金制度を新設します。その他、プロポーザルによる契約の審査項目に男女共同参画の実践を加えている千代田区、また、福岡県福津市では、事業者登録の際に男女共同参画の推進状況の届け出を必要とする旨を条例で義務付けています。入札価格以外に、環境や障害者への配慮といった社会への貢献度が審査の対象と成り得るならば、その1項目として男女共同参画の視点が入ることに、何ら違和感はありません。
市原市も、もう一歩踏み込んだ取り組みをぜひ期待したいと思います。

2)庁内及び学校現場における男女共同参画を推進する取り組みについて

2つの視点

次に視点を変えて、男女共同参画社会の実現に向けた取り組みの中でも、「先ず隗より始めよ」ならぬ「官より始めよ」ということで、庁内の職員に対する取り組みについて2つの視点から伺います。
1つは、男女ともに自分の能力を生かした働きやすい職場作りやワークライフバランス(仕事と生活の調和)について。2つ目は、女性職員への積極的なキャリア形成の支援や管理職への登用の推進についてです。

特定事業主行動計画について

まず、1点目に関してだが、市では、次世代育成支援対策推進法に基づいた「特定事業主行動計画」を策定し、現在第2期計画が進行中です。
ワークライフバランスを計画の中心に掲げ、例えば男女ともに育児休業等を取得しやすい環境の整備として、「男性職員の育児休業等の取得要件の緩和」「復帰前の研修」「メンター制度(先輩職員によるサポート)の導入」「短期の介護休暇制度の導入」など制度面の整備促進や、育児や介護に関し互いに協力し合う職場風土の醸成、固定的な男女の役割分担意識の是正に努めるとしています。

 ここで伺います。これら制度の効果、職場内の意識の醸成がどれだけ図られたかなど、来年度を計画の最終年度とする現段階において、これまでの取り組みに対する評価をご答弁ください。

総務部長
市原市特定事業主行動計画についてお答えいたします。
本計画は、次世代育成支援対策推進法に基づき、事業主として本市職員を対象とした次世代育成対策の達成目標、あるいは実施内容を定めるものであります。
現行の第2期計画につきましては、第1期で中心とした子育て支援の取り組みに加えて、ワークライフバランスの観点を計画の柱とし、職員が仕事と子育てや介護を両立できるようにするために、各種制度の拡充、意識啓発、職場環境の整備などに取り組んでいる所であります。 具体的には、男性職員の育児参加を促進するための特別休暇の新設や、育児休業の取得要件の緩和など制度の充実を図るとともに、育児参加をしやすくする職場風土を醸成するために「男性職員のための子育て休暇トリセツ」、取扱説明書ということだそうですが、そのような冊子だとか、「子育て支援マニュアル」を作成し、意識啓発なども行ってまいりました。
そうした結果、子育て休暇の取得実績については、年々増加をしており、また本計画の目標に掲げた仕事と生活のバランスに対する満足度についての、今年度のアンケートにおいて8割以上というふうに満足度が上がっているなど、一定の成果が見られるものとなっております。
しかしながら、育児休業取得者の円滑な職場復帰支援などの取り組みには、まだ研究の余地が残されているものと考えております。
今後につきましては、職員アンケート等を通じてニーズを把握し、引き続き取り組みの推進を図ってまいりたいと考えております。

制度の紹介と啓発を兼ねたパンフレット、その名も「男性職員のための子育て休暇トリセツ」など、男性職員に対するアプローチはなかなか工夫されていると感じました。
その一方で、このような若い世代への働きかけも大事ですが、上司と現場の間で女性の活躍を阻んでいるいわゆる「粘土層」と表現される中間管理職が問題になっているように、制度の対象者以外の職員への啓発がより重要であると感じるところです。

管理職への登用 遅れている国の実態

次に、2点目の女性職員へのキャリア形成の支援や管理職への登用の推進について伺う。行政の施策や方針を決定する場に女性ならではの感性や視点が入ることは、市政に様々な立場の市民のニーズをより的確に反映させる上で非常に大きな意味を持つことは、改めて言うまでもありません。
H22年度に閣議決定された第3次男女共同参画基本計画では、「2020年までにあらゆる分野で管理職に占める女性の割合を30%にする」との目標が再確認された。
しかし、内閣府の男女共同参画白書によれば、地方公務員採用試験における合格者に占める女性の割合は,市区採用で平成22年度は44.9%であるにもかかわらず、管理職に占める割合になると9.8%。30%のはるか手前で足踏みをしているのが現状です。

そこで、市のこれまでの取り組みに対する評価を伺いたいと思います。また、今後の取り組みに関して、いわゆるポジティブアクション(積極的改善措置)の運用についてのご見解も合わせてお聞かせください。

総務部長
女性職員の管理職登用についてお答えいたします。
男女共同参画社会の構築に向け、女性が様々な政策形成や方針決定の場に参画することが重要であるものと認識しております。
このことから、「いちはら男女共同参画社会づくりプラン」では、市の課長職以上の管理職に占める女性の割合を平成18年が0.8%ということでありましたので、平成27年までには5%に引き上げる、ということを目標とした上で、市職員の男女共同参画の推進を図っているところであります。
平成25年4月1日時点における管理職に占める女性職員の割合は、4%となり、目標達成に向け一定の進展がなされているものと認識をしております。 一方、管理職に登用する上では、職責を担うためのキャリア形成が重要であります。
このため、性別に関係なく職員が様々な職務を経験し、必要な知識や技能を習得することができるような人事異動や配置を行うとともに、能力開発と意識改革を目的としたマネジメント研修やスキルアップ研修等のキャリア形成への支援も行ってまいります。

次に、ポジティブアクションについてお答えいたします。
ポジティブアクションは、固定的な男女の役割分担意識や過去の経緯から、男女差が生じている場合、このような差を解消しようと、個々の企業などが行う自主的かつ積極的な取組をいいます。
その手法は、ポスト職に就く女性等の人数や比率を割り当てるクオータ制や、一定の目標と達成までの期間の目安を示してその実現に努力するゴール・アンド・タイムテーブル方式、また、研修機会の充実、仕事と生活の調和など女性の参画の拡大を図るための基盤整備の推進など多様な方法があります。
先ほどお答えいたしました、本市における取組も、これらポジティブアクションの趣旨や手法などの考え方に沿ったものと考えております。
今後も引き続き、こうした取り組みを行い、男女共同参画社会の推進のための庁内体制づくりに努めてまいりたいと考えております。

事前にいただいた資料によると、部長級は0%・次長級は4%でずっと推移していますが、その下の課長級は今年度4.7%、課長補佐級は6.1%、係長・施設長級が18.8%で、いずれも5年前に比べて僅かずつですが上昇傾向にあります。まずはこの層への取り組みがポイントではないかと思います。

教育職員への取り組み

次に、学校現場での取り組みについても伺います。市原市の全女性教員が占める割合は小学校64%、中学校45%であるにもかかわらず、管理職(校長・副校長・教頭)となると小中合わせ132名中15名。割合にして11%で、国のH22年度平均値16%よりも後れを取っています。

学校現場における女性管理職の登用についてのお考えと、現状や今後の取り組みについてのご見解をお聞かせください。

学校教育部長
女性管理職の登用について学校現場の現状をお答えします。
学校に女性の管理職がいることは、子ども達へのキャリア教育の上でも大きな意義があると捉えております。
管理職登用の直接の権限は県教育委員会にありますが、市教育委員会といたしましては、管理職選考合格に向け、小中学校長会とも連携しながら人材育成に取り組んでおります。
具体的には、小中学校長会及び教頭会と連携し、市内100名以上の女性教職員に対し、キャリアアップ学習会を行っており、今後も、女性職員を学校運営に関わるポストへ積極的に起用するよう、小中学校長会へ働きかけてまいります。

女性管理職が少ない理由

職員にしても教員にしても、女性管理職の登用が進まない理由として,「女性が希望しない」、「女性に昇進意欲がない」などがしばしば指摘されます。
しかし、独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によれば,なぜ昇進を望まないのかという質問に対し、女性は「仕事と家庭の両立が困難になる」や「周りに同性の管理職がいない」という理由が多かったそうです。男性側にはこんな理由は存在しません。
やはり原因は女性の内にあるのではなく、女性を取り巻く環境によるところが大きいと私は思います。
ポジティブアクションなどによって身近にある程度までロールモデルが増えれば、女性側の意識も自ずと変わり、周りの見方も変わり、いい循環が生まれます。
今、目の前の席には女性は三橋副市長おひとりしか座っていらっしゃらないのですが、内閣府男女共同参画局の今年度のキャッチフレーズは、「紅1点じゃ、足りない」ということで、近い将来、この中に女性幹部のお姿が複数見られることを大いに期待しています。

3)男女共同参画の視点に立った予算について

ジェンダー平等に配慮した予算とは

これまではいわば女性関連に特化した施策についての質問でしたが、ここで言う予算とは、女性のための予算確保の話ではなく、市全体の予算に係る配慮についての質問です。

 例えば、これまで女性の無償労働で担ってきた保育や介護などの分野への予算配分は、男女共同参画政策を推進する政策であると言えます。
その他、財政支援は受益者が男性と女性のどちらかに偏っていないか。災害対策や公共事業予算は、わかりやすい例では女性トイレ・授乳室など、女性や乳幼児のニーズにどれだけ配慮して配分されているか、など、市のありとあらゆる施策について、予算が男女共同参画を推進するように配分されているか、逆に後退させていないか、という広い視点でとらえることが、実は一番重要ではないかと考えます。
予算の編成過程においてこのような視点を取り入れることについて、当局のご見解をお聞かせください。

財政部長男女共同参画の視点に立った予算について、お答えいたします。
予算編成につきましては、子どもや高齢者への配慮は勿論のこと、環境や地域間のバランスなどへの考慮も重要と認識しております。
ご指摘の男女共同参画における女性の視点を活かした予算編成につきましては、今後、全庁的に協議してまいりたいと考えております。

 男女共同参画に配慮した予算とは、編成だけにとどまらず、その執行管理や査定、評価、それぞれの過程に関しても同様です。また今後、長期計画策定に向けた調査を進める際には、ぜひ男女別の統計を充実させて、女性が置かれている状況を的確に把握し、計画に反映していただきたいのですが、企画部千脇部長のご見解もぜひお聞かせください。

企画部長
男女共同参画の視点に立った予算についてのうち長期計画について、お答えいたします。
平成27年度をもって「男女共同参画社会づくりプラン」も総合計画に合わせて計画期間を満了いたします。27年度には、このほか、バリアフリー基本構想あるいは地球温暖化対策実行計画など各分野の基本的な構想や計画も見直しが必要となってまいります。
こうしたことから、次期総合計画では、様々な分野でのこういった基本的な計画の点検検証を行い、また進捗状況や課題を抽出するなどの取り組みが必要となってまいります。
ご質問の男女共同参画の視点については、長期計画におけるところの各種施策を貫く視点の一つとして、先程申し上げましたバリアフリーあるいは地球温暖化防止の視点同様、様々な施策を横串に貫く重要な理念、目標であると考えております。
このため、統計データを男女別に把握するという調査というお話もありましたが、総合行政の観点から、さらに国の政策との連動の観点からも、男女共同参画に配慮した政策形成に努めることが肝要というふうに考えております。

市原市男女共同参画社会づくり条例の全文には、「男女が性別にかかわりなく、社会の中でその個性と能力を十分に発揮できることは、将来のわが市の繁栄の礎になると確信する」と力強く謳われています。ぜひその精神に法って取り組んでいただくよう要望します。

2. 教育行政について

1) いじめ防止対策について

いじめ対策の歴史

H25年9月「いじめ防止対策推進法」が施行されました。現在、千葉県議会では条例案が審議されているところです。
本法律の制定のきっかけは、一昨年起きた滋賀県大津市の中学校のいじめ事件です。戦後誕生した教育委員会制度そのものの見直しも議論されることになるなど、この事件は社会に大きな衝撃を与えました。
しかし、いじめ問題は決してこれに始まった事ではありません。さかのぼっては1986年の中野区の中学校で起きたいわゆる「葬式ごっこ」事件が、日本で初めていじめ問題が社会でクローズアップされた事件と言われています。文科省はその前年から初めて実態調査を実施し、いじめの定義を定めました。
しかし、相変わらずいじめによる重大事件は後を絶たず、文科省はH19年にいじめの定義を大きく変えました。つまり、力関係の対等性や継続性、深刻な苦痛のあるなしに関わらず、いじめられたという本人の認識があれば、いじめと認定されることとなりました。

教育長の総括は

「葬式ごっこ」事件より今日まで四半世紀もの間、教育委員会や学校現場においては、いじめ問題に対し決して手をこまねいていたわけではなく、試行錯誤しながら様々な対策をとられてきことと思います。しかし、依然としていじめは減らず、むしろ深刻化している、というのが、教育関係者や保護者、世論の間での一致した見解であると思います。

 そこで白鳥教育長に伺います。教育行政や学校現場といじめ問題とのこれまでの長い闘いを振り返り、どう総括しているのか、文科省のいじめの定義や世論の変化に伴う、現場のいじめ防止対策の変遷も合わせて、お聞かせください。

教育長
いじめ防止対策について、お答えいたします。
私たちは、これまで、「いじめは絶対に許されない行為」という意識や「相手を思いやる心」の大切さを、子どもたちに懸命に訴え、教え説いてきましたが、いじめの問題に係る痛ましい事件の報道が絶えないことに、とても心が痛みます。
これまでのいじめ問題を振り返りますと、例えば、インターネットや携帯電話等に係るメールや掲示板における誹謗・中傷など、いじめる側の姿が直接見えず、相手に精神的苦痛を与えるといった陰湿ないじめも横行するなど、社会の変化に伴い、いじめの態様や質も変化し、私たちは、その対応に苦慮しながらも努力をしてまいりました。
いじめの発生は、人間関係の希薄さから来る相手を思いやる心の自己抑制力の不足など、心のゆがみに起因するものと捉えております。
いじめの根絶は、学校においても社会全体においても、永遠の課題であります。 学校が子どもたちへの心の教育を進めるとともに、家庭や地域そして関係機関との連携を一層深め、一丸となって根気よく取り組むことが大切であると考えます。
本市では、これまで、いじめの問題に対して、「いじめ対応マニュアル」を作成し、いじめの定義の見直しに先立ち、軽微なものとされていたケースにも積極的に対応し、「見逃さない、見過ごさない、見落とさない」をスローガンに掲げ、早期発見・早期対応そして早期解決に努めるとともに、「思いやりの心を育む情操教育」の充実を図ってまいりました。
今後は、昨年9月に施行された「いじめ防止対策推進法」に基づき、本市の基本方針および各学校ごとの基本方針を策定するとともに、いじめの未然防止につながる取組の一層の充実を図り、「いじめを絶対に許さない、いじめのない学校づくり」をさらに推進したいと考えております。

いじめ対策の難しさ

私は一言で表せば、「いじめ対策に王道はない」ということに尽きると思います。
「弱い者いじめ」という言葉があったが、ドラえもんのジャイアンのように強者が力で弱者に向かう単純構造から変化して、現在は複雑化・潜在化に加え、目の前で起こっても認識されないという透明化も起きており、その舞台も学校内から地域、インターネットと果てしなく広がっています。文科省・教育委員会・学校現場がどんな対策を取ろうとも、また、どんな専門家が助言をしようとも、結局は対症療法であって、いじめ問題が社会問題を映す鏡である以上、根本的な解決には至らないのではと、私などはある種の空しさも感じているところです。

教育委員長の言葉から

そんな折に、今年第1回目の教育委員会定例会で、山崎教育委員長から「いじめは、以前は『教育現場ではあってはならないもの』であった。しかし決してそうではない。『いじめは表に出して地域で共有するもの』である」という大変意義深いご発言がありました。
まず、いじめは現に起こっているという認識、そしていじめを学校だけではなく、地域全体の問題として包括的に対応するという意識を大人が持つことで、今後の市原市のいじめ対策も大きく変わるのではないかと感じています。

いじめ防止対策推進法(いじめの認識・厳罰化)について

ところで、冒頭述べた「いじめ防止対策推進法」は、教育委員会と各学校に対し、「いじめ問題対策連絡協議会」の設置と、「いじめ防止基本方針」の策定を求めており、市原市もその事業に着手するところである。
そこで、その基本となる「いじめ防止対策推進法」にからめて、何点か伺います。

 いじめ対策法を読むと、子どもを「いじめをした児童へは指導」「いじめを受けた児童には支援」という二項対立が浮かび上がります。また、15条では道徳教育の強化や規範意識の養成を義務づけ、25条では校長や教員による懲戒権の行使、26条では教育委員会による出席停止措置など、厳罰化を規定し、警察の介入を強化する内容にもなっています。
しかし、国立教育政策研究所の追跡調査では、全体の8割を超える子どもが3 年間のうち何らかの「被害体験」を、同じく全体の8 割以上の子どもが「加害体験」をもつという結果が示すように、いじめのスタイルも、特定の個人が長期間いじめられるパターンから、不特定の個人が順番に短期間いじめられるパターンへと変化していると言われています。加害者や被害者は常に入れ替わり、単純ではありません。従って、一方的な「指導」ではなく、双方とも「支援」という視点も大切なのでは、と思います。
また、いじめは、道徳教育や規範意識によって解決できるほど単純なのか、厳罰化なども
諸刃のつるぎとなる懸念もある。これらの点について、当局のご見解を伺いたいと思います。

学校教育部長
お答えいたします。
いじめ防止対策推進法は、重篤ないじめのケースについて、加害者に対し厳罰をもって対処することは、いじめへの抑止力となると考えますが、同時に、「いじめの加害者を作らない」いじめを未然に防止するための対策を、行政がしっかりと講じることの重要性を説いた法であると解釈しております。
いじめへの対応として、どんなささいな予兆も見逃さず対処するという早期発見・早期対応の姿勢は大切でありますが、ご指摘のとおり、いじめの行為の多くは目に見えにくく、被害者も加害者も短期間に大きく入れ替わることも事実でございます。
教育委員会といたしましては、児童生徒が安心して、自己存在感や充実感を感じられる、そのような居場所づくりや集団づくりを目指した、いじめの未然防止の手立てを含めた本市のいじめの防止の基本方針を策定し、いじめ防止対策に最善を尽くしてまいりたいと考えております。

いじめ事件がおきた大津市の中学校は、皮肉なことに国の「道徳教育推進指定校」であったそうです。同市の第三者委員会の調査報告書は「道徳教育の限界」を指摘しています。
いじめ防止対策を進める大前提に、加害者・被害者の立場を超えて子ども一人ひとりが人として大切にされなければなりません。いじめの背後にある問題やいじめを生み出す構造について十分考察して進めていただくよう要望します。

いじめ防止対策推進法(重大事態発生時の対応)について

いじめ防止対策推進法にからめて、次は防止策ではなく、重大事態時の非常態勢について確認します。
いじめ対策法では、重大事態発生時には学校等が組織を設けて調査を行うこと、調査結果を市長に報告すること、市長の判断により付属機関を設置して再調査ができることを定めています。
このことについて先般の第1回教育委員会定例会では「市としては、万が一の場合には速やかに対応する」としか触れられませんでしたが、この部分をもう少し具体的にお聞かせください。

学校教育部長
重大事態発生時の対応について、お答えいたします。
いじめ防止対策推進法では、いじめの重大事態とは、学校に在籍する児童生徒の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いが認められるとき及び相当な期間を欠席することを余儀なくされている疑いが認められるときと示されております。
法の施行を受けて、重大事態が発生したときには、学校では、あらためてアンケートや聞き取りを実施して事実を究明し、善後策を講じ、学校と教育委員会とが連携して最大限の対応をしてまいります。
市長の附属機関による再調査の必要性がないように、しっかりと対応してまいりますが、万が一市長への報告が必要となるような事態が発生した場合は、附属機関を設置するための条例制定手続きを速やかに進めてまいりたいと考えております。

 ここの部分が大津市の事件でも焦点になった。ぜひ誠意ある取り組みをお願いしたいと思います。

スクールソーシャルワーカーの活用について

ところで、いじめ防止対策につながる市の新規事業としては、ハイパーQUアンケートの実施と「心のサポーター」(スクールカウンセラーアシスタント)2名の小学校への配置が予定されている。これらをどう活用し、どう評価し、活かすかという事については、今後注目していきたいと思います。
一方、私は今後ぜひスクールソーシャルワーカーの活用も視野に入れていただきたいと思います。
スクールカウンセラーはあくまでもこども本人と1対1で向き合って心に寄り添うのがその役目であるが、スクールソーシャルワーカーはそれに加えて、子供を取り巻く環境全体に着目して、家庭や地域に出向きながら支援を行えるそうです、まさに現代の複雑化したいじめ問題に沿った対応が期待される人材です。東日本大震災をきっかけに、改めてその役割が見直されているそうです。
現在は市の要請に応じてその都度南房総教育事務所から派遣される体制になっていますが、今年度の要請は0件いうことで、非常にもったいないと思います。学校現場での認知度が低いという事や、派遣型という活用のしにくさがその原因かと推察していますが、そこをあえて活用することで、さらに使いやすい制度になっていくものだと思います。
スクールカウンセラーやスクールカウンセラーアシスタントの活用も徐々に軌道に乗ってきたところではあると思いますが、教員の負担の軽減に直接つながり、教育と福祉をつなぐ役割を果たすスクールソーシャルワーカーの活用もぜひ進めていただくよう、これは要望にとどめます。

2)土曜日の教育活動について

学校教育法施行規則の改正

文部科学省は平成24年11月、学校の土曜授業の実施要件を大幅に緩和して、市町村教育委員会の判断で実施できるよう学校教育法施行規則を改正しました。H14年から始まった完全学校週5日制からの大きな方向転換といえます。さらに、土曜日の特性を生かし、社会人や地域住民を外部講師として派遣する取り組みも促す方針です。
また、文科省は、教育課程外についても、新年度政府予算案で必要経費を確保し、自治体の取り組みを後押しします。
これら土曜日の教育活動の推進は、学校、家庭、地域の連携のもと、学校教育や地域における様々な学習、文化やスポーツ、体験活動等を充実させることが重要であるとの観点に立つものであります。

市原市の土曜日の教育活動の現状と今後は

H14年の完全学校週5日制の導入に伴って、これまで全国各地の自治体や住民組織、NPOなどが、子どもたちが充実した土曜日を過ごせるように、独自に様々な事業や遊びの場を整備してきました。

 それでは市原市の現状はどうなのか。また今回の省令改正や文科省の土曜日の教育活動推進プランを受け、どのように検討されているのか、お聞かせください。

学校教育部長
土曜日の教育活動について、お答えいたします。
平成14年度に、地域や社会が受け皿となって、子ども達に豊かな体験をさせるため、完全週5日制がスタートいたしました。
これに伴い、市原市では授業時間確保のため、平成18年度から2学期制を取り入れ、昨年度、校長会や教頭会、また教職員の代表等からなる市原市小中学校二学期制評価委員会を設けまして、一定の評価を得たところでございます。
さらに各学校では、放課後や長期休業中及び高校入試前等の補習などを行い、子ども達への学習支援に努力しております。
このような現状から、学校におけます年間を通しての土曜授業の導入については、現在のところ予定しておりません。

確かに、土曜日の教育活動を、教員による学校教育が担うとなると、ただでさえ余裕のない教員の時間がさらに失われ、かえって子どもたちにとってマイナスの影響を与える恐れがあります。
しかし、だからと言って「できない」から出発するのではなく、市原市の教育現場が現に何らかの課題を抱えていて、それが新たな教育活動の枠組みを導入することで解消に向かう可能性があるのであれば、ぜひ工夫して前向きに取り組んでいただきたいと思います。

貧困で塾に行けない子供たちへ学びの機会を 豊後高田市や市原市の取り組み

そこで私は一つの在り方として、主に経済的な理由や様々な事情で民間の塾に通えない子どもたちを対象に、地域の人材を活用した学問の場を提供することを提案したい。
イメージとしては、 先進事例で大変有名な大分県・豊後高田市の取り組みです。「21世紀塾」事業の寺子屋講座は、市が土曜日に運営する塾で、講師は元教員、現役教員、主婦、老人クラブのメンバーなどの市民ボランティアが務めています。
「家庭の経済状況から教育格差があってはならない」と完全学校週5日制が始まった翌年よりスタートし、当時県の調査で下から2番目であった学力が、現在はトップであるとのこと。私は、このシンプルに学習困難児に学問を教えるという取り組みに、素直に魅力を感じました。

新たな教育活動の枠組みとして、地域の人材を活用して、主に経済的な理由や様々な事情で民間の塾に通えない子どもたちに対し学問の場を提供することについて、当局のご見解を伺いたいと思います。

生涯学習部長
学びの場の提供について、お答えいたします。
教育委員会では、塾に通っていない子ども達に学びの場を提供し、学力向上の一助とすることを目的に、姉崎、矢田、八幡の各集会所において、学習支援事業として近隣の中学生を対象とした学習教室を開催しております。
また、青少年会館においても、夏休み期間中に小学校4年生から中学生までを対象にした学習教室を実施しております。
さらに、昨年10月に開講した「いちはら市民大学」の「子育て支援コース」では、子どもへの読み聞かせ、小数と分数の四則計算、漢字の指導法等をカリキュラムに加え、その修了生には「いちはら寺子屋師範」の資格を付与し、市民大学内で開設を予定している「いちはら寺子屋」や公民館などの学習支援事業で講師として活躍していただきたいと考えております。
今後も、生涯学習の立場で、退職校長会などの地域の人材を活用した子ども達への教育支援事業を検討してまいりたいと考えております。
【参考】※教室は無料
○集会所施設(姉崎・矢田・八幡)での事業
対象 姉崎中 南総中 八幡中
年に6回、試験前に実施
平成24年度 143人 (姉崎65人 矢田50人 八幡28人)
学校の先生が講師
○青少年会館での事業
対象 小学校4年生~中学生
定員 15名
夏休み期間に4回
指定管理者である退職校長会の方が講師

貧困層の子供たちの現状

昨年6月「子どもの貧困対策推進法」が成立し、「子どもの将来が、生まれ育った環境によって左右されることのない社会」を実現するよう、国と地方自治体が協力して対策を実施する責任があることが明確にされました。
大阪府の調査では、生活保護世帯の世帯主の約25%が受給世帯で育っていたそうです。
現在、日本の子供の6人に1人は相対的貧困状態にあると言われている。親が夜間の仕事や病気などで子供に関心が向かず、生活が乱れてしまう子供も多いという。そして、市原市内の小中学校で今年度就学援助を受けている子供は約12.9%です。
いわゆる貧困スパイラルを断ち切ることは、教育の大きな使命の一つです。
白鳥教育長は、かつての姉崎高校でのマルチベーシック、そして現在の「日本の言の葉 音読・朗読集」など、常に学問の基礎の基礎に徹底的にこだわり、一人一人が大切にされる学校づくりに取り組んでこられました。
今後の取り組みに大いに期待している。

3)障害者スポーツの推進について

スポーツ基本法とスポーツ基本計画

H23年、スポーツ振興法が50年ぶりに全面改正され、スポーツ基本法が制定された。基本法に基づいて H24年3月に策定された「スポーツ基本計画」では、国や地方公共団体に対して、障害者のニーズを把握し、地域のスポーツ施設での受け入れを進め、障害者を含む全ての地域住民が楽しく安全にスポーツ活動を行えるよう努めることを定めています。
ちょうどソチオリンピックの閉会から11日後の明後日、パラリンピックが開催されるが、政府は6年後の東京五輪を見据え、文科省の関連部局と厚労省の障害者スポーツ部局を統合した「スポーツ庁」を新設する方針を固めています。

市原市の取り組みと部局の連携

市原市では、第3次障害者基本計画にもとづき、障害者団体との協働による「障害者スポーツ大会」の開催の他に、障害者団体が地域で行うスポーツ活動への支援、施設の利用料減免などの取り組みが、保健福祉部を中心に行われています。
私は常々、障害者の施策は福祉部局のみではなく、関連部局も主体となって密度の濃い連携を取りながら進めていただきたいと願っています。
そんな思いで、今回障害者スポーツに関する具体的な提言を2点させていただきたいと思います。

障害者スポーツ指導員の活用を

まず1点目は、障害者スポーツ指導員の活用です。
市内には、公益財団法人日本障害者スポーツ協会公認の障害者スポーツ指導員の資格を有する方が48名います、うち22名の方が任意団体を組織して、市内あるいは隣接エリアで意欲的に活動を行っています。
例えば、市原市身体障害者スポーツ大会の審判や運営、市原バリアスポーツ教室の指導や運営、市外で行われる障害者スポーツ大会への市原市選手団の引率、市内各地で行われる障害者や高齢者のためのスポーツレクレーションやボッチャ体験の会の開催など、強い思いを持ちながら、ボランティアで様々な障害者スポーツの推進と啓発活動をされています。私は、この貴重な人材やスキルをぜひうまく活かしていただきたいと思っています。

市内には、10地区計90名のスポーツ推進委員の方々が各地区でスポーツ振興のための活動を担われています。
そこで、それぞれの地区のスポーツ推進委員に1人でも障害者スポーツ指導員の資格を持つ方を配置していただきたいのですが、いかがでしょうか。これは、各地域にバリアフリースポーツの芽が育って、障害者・健常者双方に広がるための非常に有効な足がかりになると考えますが、ご答弁をお願いします。

生涯学習部長
障がい者スポーツ指導員の資格を持つスポーツ推進委員の配置について、お答えいたします。
スポーツ推進委員は、市原市社会体育振興会からの推薦に基づき、市が委嘱した90名の方々で、市内の各スポーツ・レクリエーション行事の運営等にご協力を頂いております。
障がい者スポーツ指導員の資格を持ったスポーツ推進委員の配置につきましては、障がい者スポーツ指導員が障がいの種類や程度に応じた指導方法等に極めて高い専門性が必要であり、現時点での配置は難しいものと考えております。
しかしながら、障がい者スポーツの普及・促進は障がい者の方々の体力向上や生きがいづくりにつながることから、今後は障がい者スポーツ指導員の配置について、関係スポーツ団体や関係部署と協議する中で、検討してまいります。

スポーツ推進委員の皆さんは、市内のあらゆるスポーツイベントに関わってらっしゃいます。例えば市民体育祭。私も競技に参加させていただきましたが、高齢者も参加できるメニューが豊富で、工夫次第で十分障害者も楽しめるのではないかと感じました。障害者スポーツ指導員が関わることで、そんな可能性も現実味を帯びてくるのではないでしょうか。
障害者にとってのスポーツとは、単なる余暇活動ではありません。家に閉じこもりがちな障害者の意識を外に向けさせ、生きがいを持って社会参加するための有効な手段です。
健常者と同様に、あるいは健常者とともに、障害があっても地域で気軽にスポーツに楽しめる環境整備を、ぜひ各部局連携しながら進めていただきたいと思います。

アンプティサッカーの普及を

2点目の提案は、教育活動へのアンプティサッカーの活用です。
アンプティサッカーとは、病気や怪我などで足や腕を切断した選手が、クラッチという杖を使ってプレーするサッカーです。日本で協会が設立されてまだ4年目ですが、今年度初めて選手団が市内四か所の小中学校を訪問して、子どもたちと一緒にゲームを楽しみました。
選手の皆さんが子供たちの前で義足を外し、障害を背負った時からアンプティサッカーに出会うまでの心の変化、「出来ないではなくやらないだけ」「最後まで諦めない」などのメッセージを伝えたとも伺っています。何十時間もの授業よりこの触れ合いのひと時がどんなにか子供たちの心の糧になったかという事は容易に想像できます。

そこでぜひ、今後も継続して子供たちへの教育活動にアンプティサッカーを広めていただきたいのですが、ご見解をお聞かせください。

生涯学習部長
アンプティサッカー等を通じた、子どもたちと障がい者との触れ合いについてお答えいたします。
子どもたちと障がい者が触れ合う活動としては、これまで特別支援学校や障がい者自立支援施設との交流などを行ってきましたが、今年度は4校の小中学校でアンプティサッカー選手との交流を実施いたしました。
子どもたちが障がい者と一緒に活動することは、困難に負けない強い気持ちを学ぶとともに、いじめや差別をしないという人権意識を身に付けさせるなど、心の教育として大変有効であると考えております。
体験や交流を通して人権の大切さを学ぶ貴重な機会として、今後、各学校に紹介していきたいと考えております

日本では産声を上げたばかりの競技のため、まだ活動の場は限られているとのことでした。市原市はサッカー施設も充実していることから、これを機会に市原市がアンプティサッカー競技のメッカとなることも、大いに期待しています。

障害者スポーツの二つの意義と、東京五輪への思い

「障害者がスポーツに親しむ」という権利に対する社会的な認知や理解は未だに浅く、その支援体制や受け皿はまだまだ少ないのが現状です。しかし私は、障害者スポーツには、社会的に2つの大きな意義があると思っています。
1つは、障害者にとっての意義。心と体のリハビリの手段として非常に有効であり、QOLの向上につながるという事。2つ目は、健常者にとっての意義。エンパワーメント(生きる力)の喚起と、共生社会への強烈なアプローチにつながるという事です。
6年後の東京五輪の開会式には、オリンピック・パラリンピック各選手が一堂に会し、一緒に行進します。第1回のアテネ大会から118年後に、バリアフリー精神に法った真のスポーツの姿を日本が初めて世界に向けて発信する、そんな場面を頭に思い描きながら、これで質問を終了します。