平成27年度 第1回 市原市議会定例会

代表質問 小沢みか

初めに、平成27年度予算案に関連して、次世代への負担軽減についてお伺いいたします。昨日、山口前議員の質問にトリクルダウンという言葉がございました。 富めるものが富めば貧しいものにも自然に富が滴り落ちるという経済理論で、昨年、流行語大賞にもノミネートされました。しかし、ことし1月に来日したフラ ンスの経済学者トマ・ピケティ教授が、200年分の世界の税務データを分析して、歴史的な事実としてトリクルダウンはない、格差は拡大していくと、アベノ ミクスに警鐘を鳴らし大きな話題になりました。確かに、資本の移動が自由な現在では、富裕層に集められた富は海外の富裕層に滴り落ちるばかりです。市原市 の平成27年度予算案の歳入を見ると、自主財源の82.3%を占める市税は、過去25年間で最も低い値となりました。特に市民税の187億円は、平成20年のリーマンショックの影響をもろに受けた平成22年の180億円に匹敵する数値で、大変厳しい状況にございます。不透明な社会情勢に加えて、政府の動き もままならない。しかも、放たれる税制改革は自治体間の均衡を図る方向に働くために、市原市にはかえって不利に働くというジレンマを抱えながらの予算編成に、当局の苦心が読み取れます。そんな状況にありながらも、主な財政指標の見込みは、昨年に比べ改善されている項目も多く、その点は大変評価しております。ただ、ここで少し気になるのが将来負担比率68.3%です。平成26年度との比較では、確かに地方債現在高が減ることによって3%改善はしています が、総務省の財政状況資料集の中の市町村財政比較分析表によりますと、市原市は類似団体平均値よりも常に大きく上回っており、しかも、平成20年からその 差が開いていく傾向にあります。ちなみに、平成24年は類似団体42%、市原市79.5%です。そこで、お伺いいたします。

将来負担比率における類似団体 平均値との差は何を意味しているのでしょうか。この点をどう捉えていらっしゃるのか、お聞かせください。これを初回の質問といたします。
(答弁) 財政部長 
  次世代への負担の軽減についてお答えいたします。  将来負担比率について。将来負担比率とは、標準的な状態で収入が見込まれる一般財源、いわゆる標準財政規模に対する、その自治体が将来に支出しなければ ならない実質的な負債である将来債務の割合を示す指標であります。  平成24年度決算での本市の指標は、議員から御指摘のとおり、類似団体平均に比べ37.5ポイント高い状況にございます。一方、将来債務そのものを比較 しますと、その多くを占める地方債残高は住民1人当たりでは、本市の19万6,000円に対し類似団体の平均は32万2,000円であり、本市は少ない状 況にあります。同様に、債務負担行為残高についても同じような状況でございます。こうした中で、本市の指標が高い理由でありますが、指標の算定上、分子と なる債務残高から基金残高や将来普通交付税で補填され額が控除される仕組みとなっております。本市は、普通交付税で補填される地方債が他市に比較して低く なっており、これが大きな要因と考えております。本市の指標は年々改善が図られてきておりますが、さらなる改善に向けては、将来負担額の縮減はもちろんの こと、充当可能財源のさらなる確保、さらには交付税措置のある地方債の活用に配慮してまいりたいと考えております。
(質問)
将来負担比率の分子のマイナス項目である特定財源見込み額や基準財政需要額算定見込み額は、いわば国の政策頼みでいかようにもなる、当てにならない数値で す。一方、総務省刊行の地方財政白書に、将来にわたる実質的な財政負担の推移として示されている実質的将来負担比率という指標があります。これは、分子が 地方債残高+債務負担行為額-積立金残高、分母が標準財政規模で、将来負担比率に比べ、より自治体の借金が身の丈に合ったものかを示す数値であるとされて います。一般的に50%から100%程度が望ましいとされておりますが、平成27年度の数値を当てはめますと、市原市は168%と高い数値を示しておりま す。この実質的将来負担比率を構成する数値で、市原市が類似団体と比較して特に目立っているのは、基金の少なさです。財政調整基金も、近年目減りはしてお りますが、市原市はそれ以外の特定目的基金の額が極端に少ないのです。平成24年度の類似団体比較カードによれば、人口1人当たりの積立金現在高は、類似 団体約7万円、市原市は約3万5,000円と2分の1。さらに、その他特定目的基金に絞りますと、類似団体約4万円に対し市原市は約1万円で、類似団体の 4分の1という少なさです。この基金の少なさが実質的将来負担比率の数値の高さに、少なからず反映されているのではないでしょうか。これは市原市に限った ことではありませんが、これまで地方債は、世代間の税負担の公平性を確保するという理由で、当たり前のように発行されてきました。しかし、人口減少時代に そのセオリーが通用するのでしょうか。今も、自治体の財政は厳しいかもしれませんが、これまでのような市債偏重主義では、1人当たりの負担が大きい次世代 に対しかえって不公平にならないでしょうか。市原市も、そろそろ市債と基金のバランス、財政確保のベストミックスを時代に合わせて考え直す時期に来ている のではないでしょうか。例えば、公共施設整備基金に関しては、現庁舎の建てかえを初め公共施設の更新など、将来必ず必要とされる事業が見込まれます。防災 庁舎も南部保健福祉センターも、完成した時点から老朽化が始まるのです。基金、特に特定目的基金の確保のあり方について、改めて御見解をお聞かせください。
(答弁) 財政部長 
基 金についてお答えいたします。 公共施設を整備する場合には、その施設が将来にわたって利用されることから、世代間の負担の公平性を確保する理由で市債を充てることが一般的であり、本市 もその考え方を踏襲しております。その一方で、市債残高が多くなり過ぎますことは、委員御指摘のとおり将来世代への負担が過大となることが懸念されますの で、これについては市債発行の目安として、上限額の設定やプライマリーバランスの黒字維持等に十分配慮していく必要があるものと考えております。また、基 金につきましては、財政調整基金が年々減少していることは確かであります。これは、市税の減少傾向や社会保障関連経費の増大に加え、清掃工場等の老朽化対 策や小中学校を含む公共施設の耐震対策など、先送りできない事業に市債を充当してもなお一般財源が必要となっているからであり、同様の理由から、特定目的 基金についても減少しております。議員御指摘のとおり、市原市の特定目的基金は、他市に比べて少ない現状にあり、また、施設老朽化など後年度の財政需要に 対応するため、一定の貯金は必要であると考えており、今議会に提案いたしました平成26年度補正予算案でも、公共施設整備基金へ約1億5,000万円の積 み立てを行うことといたしました。今後も、一般財源である財政調整基金とのバランスにも配慮しながら、特定目的基金の確保に留意してまいりたいと考えております。
(質問)
  ぜひ、今後は特定目的基金の確保ということに、積極的に 取り組んでいただきたいと思っています。私は、前回の定例議会で寄附文化の醸成について提言しました。自主財源の確保策として、受益者負担の見直しも必要 かもしれませんけれども、市民の負担感や不満が増すというデメリットもあります。その点、寄附はアイデア次第で市民のまちづくりへの参画を促す手段とし て、大変有効であると思います。寄附金も含め、基金の計画的な確保について、ぜひ各部局が共通認識を持って、政策的に取り組まれるよう要望いたします。で は次に、次期総合計画に関連して、人口動態と計画策定のあり方についてお伺いいたします。  市原市の人口動態については、昨日の吉田議員の質問にもありましたが、昨年、転出超過が、八街市に次ぐ県内ワースト2位を記録しました。さらに、女性の 減少数が男性の3.7倍と、明らかに男女差が見られたという点は、特に注目に値すると思います。国立社会保障・人口問題研究所の人口動態調査によれば、進 学、就職、結婚などのライフイベントの中で、人口移動の理由として明らかに女性のほうが比率が高いのは、結婚、離婚による移動です。これはあくまでも私見 ですが、市原市に生まれ育った若い女性が、市内よりも市外に職を求め、そこで結婚相手を見つけ、そちらに移ってしまうというパターンも多いのではないで しょうか。  私は、かつて議会質問で、保育士の労働条件の格差によって周辺自治体に人的資源が流れて、市内の保育の質の低下につながっているのではないかという指摘 をさせていただきました。保育士は女性が多くを占める職業の代表格です。市原市は、若い女性が働きたいと思うまちではないのでしょうか。もう一例、人口動 態に関してのデータを挙げます。千葉大学医学部附属病院地域医療推進連携部の井出博生先生のデータによれば、平成20年から5年間の医師及び看護職員数の 増加率で、千葉県内9圏域の中で増加していない圏域は市原市だけでした。平均で医師13%、看護師は9%、それぞれ増加しているのにもかかわらず、市原圏 域のみ医師は増減ゼロ、看護師はマイナス4%です。これをどうとるかですが、医療資源の確保問題という視点からの分析は今後に譲るといたしまして、私は、 このデータを医師や看護師という働き盛りで国家資格を持っている、いわば比較的自由に職場や定住先を選択できる職種の人口動態を端的にあらわしていると捉 えました。先ほどの男女格差についての過程もあわせますと、市原市は、選べる人に選ばれないまちなのかと考えてしまうのですが、当局はどのように認識され ているのでしょうか。また、今年度は次期総合計画策定に当たって人口動態に関するさまざまなデータを集積されたところですが、現時点においてどう分析され ているのでしょうか、お聞かせください。
(答弁) 企画部長 
人 口動態と計画策定のあり方についてお答えいたします。本市の人口動態の特徴といたしましては、議員御指摘のとおり、20歳から39歳までの年齢層で、特に 女性の転出が多いこと。また、転出先は、千葉市を初め近隣市が多数を占めていることなどがございます。この原因につきましては、交通や生活の利便性などさ まざまな要因が複合的に影響しているものと考えられますが、詳細な原因特定には至っておりません。この原因分析に当たりましては、議員からの御見解もござ いましたとおり、一つ一つ仮説を立て、検証していくことも重要と考えております。一方、人口減少、超高齢社会を重要課題として捉える国では、地方創生を進 めるため、地方自治体に対し、今後、地域ごとのさまざまな人口動態に関するデータを公開するとともに、その分析に資するシステムの提供を行うことで、人口 流出防止策の検討を行うよう求めております。市といたしましては、これらを最大限に活用しながら原因を分析し、効果的な施策を地方創生における地方戦略、 次期総合計画を策定する中で検討してまいります。
(質問)
ぜひよろしくお願いいたします。ここで、改めて確認いたします。次期総合計画は、人口減少に真っ正面から向き合って策定する初の長期計画となろうかと思い ますが、私は、市原市が目指す方向性には、大きく分けて2通りあると思います。一つは、人口減少を食いとめ、少しでも人口推計を上方修正するという考えか ら出発して、政策誘導するのか。あるいは、人口減少社会を受けとめ、その中で地域の質を高め、最善の市民幸福度を追求するのか。どちらの視点に立つのか、 当局の御見解をお聞かせください。
(答弁) 企画部長
国では、人口減少が経済規模の縮小や生活水準の低下を招き、地域経済社会の維持が困難になるとして、これを克服するため、60年後に1億人程度を維持する ことを目標として、まち・ひと・しごと創生、いわゆる地方創生でございますが、国を挙げて取り組むことといたしました。このことは、先ほど御答弁申し上げ ましたが、同様の課題を抱える本市におきましても、取り組むべき方向性と合致するものであり、この政策を積極的に生かしていく必要があるものと考えており ます。
(質問)
人口減少社会自体が問題なのではなくて、私は、大きな変化にどう対応していくかが問題だと思います。コンパクトな人口で、いかに住民の満足度や幸福度を高 めていくかという発想から出発すれば、おのずとこれまでと違う政策の柱が見えてくると思います。執行部におかれましては、これまでの発想から脱却して、新 しい社会にふさわしい計画の策定に当たることを要望いたします。ところで、現在の総合計画は、市民と行政の相互理解と対等な関係を図って、協働でまちづく りに取り組むことを目指して、市民会議を初め多くの市民の参画のもとで策定されました。そこで、お伺いいたします。次期計画策定に当たって、市民参画はど のように図られるのでしょうか。お聞かせください。
(答弁)  企画部長 
  改訂市原市総合計画の策定に当たりましては、市民会議を立ち上げ、地区ごとの課題の洗い出しやその解決策などをワーキング形式で議論し、市民が主体的に行 うまちづくり事業として計画に位置づけたところであります。この取り組みが、その後の協働のまちづくりの推進に大きく寄与したものと考えております。ま た、改訂市原市総合計画に基づく各種個別計画の策定に当たりましても、その多くが市民参画を得て策定してきたところでございます。次期総合計画の策定に当 たりましては、このような状況も踏まえつつ、先進事例も参考とし、本市を取り巻く厳しい環境を市民の皆様と十分に共有しながら、課題解決に取り組んでいけ るよう、望ましい市民参加のあり方について検討してまいりたいと考えております。

(要望)
住民のニーズをつかむための経費は決して無駄ではありませんし、ともに市原市の未来を考える作業が、新たな協働の第一歩につながります。市民参画のあり方をよく検討した上で、ぜひ積極的に取り組まれるよう要望いたします。