平成28年度 第2回市原市議会定例会

代表質問  森山かおる

1.多様な主体との協働の促進について

1)対等な立場について 

右 肩上がりの拡大社会から成熟社会に向かった今、個人のライフスタイルや価値観の変化に伴い、多様化する市民ニーズにきめ細かく対応していく公共サービスが 求められるようになってきております。公共の領域が拡大したことに加え、人口減少や少子高齢化などによる厳しい財政状況のなか、これまで行政だけで担って きた公共サービスを多様な主体との協働により進めていくことが必要になってきました。

市民本位の行政経営を基本理念とした行財政改革大綱で は、4つの改革の柱の一つに「多様な主体との協働の推進」が掲げられています。これは市民、町会、自治会、NPO、企業などによって行われてきた、地域の 環境整備や子育て、福祉、防犯、防災といった分野におけるボランティア活動等をさらに広げ、より多くの主体者を公共サービスの担い手になってもらえるよう 推進していくものですが、自主的な活動を公共サービスの担い手とするには行政と対等な立場であることが大切です。

そこでお伺いします。多様な主体との協働を推進していくにあたり、対等な立場についてどのような認識をされているのか、ご見解をお伺いします

(答弁)  市民生活部長

多様な主体との協働の推進について、お答えいたします。

まず、対等な立場についてでございます。

議員のお話と重なる点が、ございますが、公共サービスは、これまで行政が提供するものとされてまいりましたが、人口減少や少子高齢化などの社会構造の変化、個人の価値観の変化などによる市民ニーズの多様化により、公共サービスの領域が拡大しております。

一方、人的、財政的な制約から、行政が担うことのできる領域は相対的に縮小しており、従来の行政による画一的な公共サービスの提供では、多様化したニーズに対応しきれなくなっております。

市 では、多岐にわたる市民ニーズに的確かつ、きめ細やかに対応していくために、市原市行財政改革大綱におきまして、地域の多様な担い手とともに地域を支えて いく新しい公共の仕組みを構築するものとして、「多様な主体との協働の推進」を改革の一つに掲げたところでございます。

具体的なイメージとしましては、様々な人たちが連携・協力し、それぞれが対等な立場で、互いにできることを主体的に行うことによって、地域の課題を解決していこうとするものでございます。

ここでいう、「対等な立場」とは、お互いの意見や考えが尊重されるということ、そして、責任を持って行動することを意味するものと考えております。

対等な立場を図ることは、意外に難しいと感じています。

例 えば主体者から提案を受けて担ってもらうにしても、必ずしも行政のニーズに合うものとは限りません。少しのズレならば、提案を行政のニーズに合わせようと する意図が無意識に働くこともあると思います。そうならないためにも、主体者の思いや活動を拾い上げて、どのように進めていかれるのかご見解をお伺いしま す。

(答弁)市民生活部長

先程も申し上げましたが、協働の推進にあたっては、自立した市民と行政が、互いの違いを認め、尊重し合う対等な立場に立ち、それぞれが持っているできる限りの知恵や資源を持ち寄り、それぞれが責任と役割を公平に分担して、協力し合うことが必要でございます。

既存の団体などに担い手となっていただく場合におきましても、協働の目標を明確にし、違う組織であることを踏まえ、協働によって期待される効果が最大限になるようなプラン作りが求められます。

市としましては、対応する職員一人ひとりが協働の原則を認識し、併せて、市民や団体等に対し、企画・立案時期の早い段階から説明責任を果たし、情報の共有化のための努力を惜しまないことが欠かせないものと考えております。

このため、市原市職員のための協働ガイドブックの周知徹底、職員への研修の充実を図ってまいります。

また、市民の方々にも、協働への理解の浸透を図るため、市民講座などを実施してまいります。

行 政のニーズを知り、それに合った提案をしてもらうには情報交換の場が必要だと思います。この4月に行われました「ちば里山・バイオマスシンポジウム」で は、里山保全や木質バイオマス活用等の活動を行っている地域住民や事業者、市の職員も交じってそれぞれの立場で、千葉の森林や林業の現状、イノシシなどの 獣害対策、里山保全等について活発な意見が出され、情報交換の場になったことと思います。このような情報交換の場を例えば観光・福祉・青少年に関すること や愛護団体など様々な分野でもつことで、市原の現状やそれぞれの活動状況がわかると思いますので、取り組んでいただければと思います。

2)支援・育成について

「行財政改革大綱」によれば「市民活動や協働の裾野を拡大することを目指して、市民や町会等に対する支援を行なうこと。また持続的かつ自立的に地域活動に取り組む組織となるよう、先進的組織・活動等の紹介や組織の初動時点での支援により育成を進める」とされています。

新たな市民活動をどう生み出し支援していくのか、ご見解をお伺いします。

(答弁)市民生活部長

市 では、これまで、協働の推進を図り、市民活動への参画者の裾野を広げるため、協働を理解するための「協働ガイドブック」の作成、市役所内の各課への協働担 当者の配置、市民活動に関する講座や研修、市民活動を支える資金提供の仕組みとしての市民公益活動支援補助事業などを行ってまいりました。

このような取り組みにより、一つの指標ではありますが、市民公益活動支援補助を受けた36団体中、32団体が継続して活動していただいていることは、一定の成果であると考えております。

一方、これらの事業開始から、約10年が経過し、社会状況も変化していることから、現状を改めて確認し、さらなる裾野の拡大を図るため、支援・育成について充実したところでございます。

具体的には、新たな参加者を掘り起こすとともに、多様な活動主体の育成を図るため、市民公益活動支援補助事業につきまして、本年度より、市民活動団体を新たに設立する際の経費も補助対象に加えたところでございます。

さらに、市民活動に関する講座や研修につきましては、先進的な取り組みを行っている事例を紹介するとともに、平成25年度から開始しました市民大学の卒業生を対象とするなど、企業OBを始め、現役世代も参加できるような体制を構築してまいりたいと考えております。

様々な支援を考えておられることは承知しておりますが、私は担い手を増やすために、まず必要なのは情報共有だと思います。

3)情報共有について

そ れは活動や参画についての情報というよりも、そもそもなぜ協働を推進していく必要があるかということです。これまでの行政改革大綱という名称を改め、行財 政改革大綱とされたのは大変厳しい財政運営を強いられてのことですが、この現状を理解している市民は一体どれほどいるでしょうか。

H22年~H27年度までの「広報いちはら」に掲載された予算や決算の記事を見ると、全て単年度の数字だけが掲載されています。これでは経年推移がわからず財政の厳しさは、なかなか伝わってきません。

昨 年度に開催された「いちはら未来会議」では公共資産マネジメントについての説明後「予測できたはずなのに、そのためにお金を貯めてなかったのか」と、参加 者からの質問がありました。質問者のみならず、この時に財政状況の厳しさを初めて知ったという方が他にも多くいたのではないでしょうか。市民参画でまちづ くりを考える「いちはら未来会議」の狙いは、ネガティブな情報を共有することがベースだったのではないかと思います。

私は財政のセミナーを 受講した時に、「市の広報は知りたいことがわかりやすく載っているか」と問われました。「従来の一方通行のお知らせ型から脱皮して対話型にし、ネガティブ な情報も載せることで市民が行政と共に考えていく起点になる。市民が主体的に地域社会の運営に参画できるよう、地域内相互の、あるいは地域内外をつなぐ活 発な情報流通を実現することが、広報の目的である」と講師の方が話されていました。

しかし現在の「広報いちはら」では厳しさを増している財 政状況について十分な情報が載せられていません。協働を推進していくためには、ネガティブなことも含めた市の現状を市民と共有することが大切です。そのよ うな広報紙にしていただきたいと思うのですが、ご見解をお伺いします。

(答弁)企画部長

協働を進めるには、市民等と市がそれぞれの現状や課題などの情報を共有した上で、相互に補い合い対等な立場で行動することが必要でございます。「広報いちはら」はそのための重要な情報発信ツールであると捉えております。

このため、市がお伝えしたいPR情報のみならず、市民が知ることで、課題解決や協働の推進に寄与する情報につきましても的確に捉え、それらを広報紙を通じて紙面等の制約もございますがタイムリーに、わかりやすく発信するよう努めてまいります。

また、それらの情報をより多くの市民の皆様に読んでいただくことが最も基本となるところでありますので、A4判化を含め、広報紙の形態や配布方法などの検討を進め、戦略的な広報の確立を図ってまいります。

協 働の意味は複数の主体が何らかの目標を共有し、ともに力を合わせて活動することです。つまり、活動する前提として目標の共有があり、目標を共有するために は情報共有が必要です。全ての市民に市の現状がわかる情報があってこそ共有できるもので、それが対等な立場における協働のスタートラインになるのではない でしょうか。

今後、立地適正化計画に基づき公共資産マネジメントを進めるにあたって、充分な説明が必要になります。市民1人ひとりが自分の 住む地域の暮らし良さだけでなく、市原市全体の暮らしを考えていかなければならないことを共通理解してこそ、公共資産マネジメントを進めることができま す。そのためには広報紙のリニューアルと共に、市原に住む全ての方に興味をもって「広報いちはら」を読んでもらえるように取り組んで下さい。

4)町会との連携

安全で安心な暮らしを支えるために、防犯や防災、清掃など幅広い活動に取り組んでいる町会は、まさに行政の現場を担っている組織ともいえます。

し かし、町会構成員の高齢化、役員の担い手不足、業務の多さなど町会には大きな課題を抱えています。しかも町会加入率はH11年の73.8%から年々下がり 続け、現在では59.7%となっています。これまで加入率を上げるために努力されてこられたと思いますが、なかなか成果は上がってこない状況です。この現 状をどう捉えていらっしゃるのか、ご見解をお伺いします。

(答弁)市民生活部長

議員ご指摘のとおり、町会加入率は、年々、低下してきております。

その要因ですが、地域コミュニティの希薄化やライフスタイルの変化、高齢化による町会参加への負担感の増加、町会が行っている活動が町会加入のメリットとして受け取られていないことなどが挙げられます。

なお、町会に加入している世帯数の総数は、ここ5年、大きく変わってはおりませんが、核家族化の進行や単身世帯の増加、世帯分離などにより、分母となる住民基本台帳上の世帯数が増加を続けていることも一つと考えております。

市といたしましても、協働の観点から、町会は、市政の最大のパートナーであり、不可欠な存在であります。

このため、加入促進に向けて、市外からの転入者への町会加入のしおりによる案内、広報紙への町会活動の記事掲載、市原市町会長連合会、宅建協会、市の3者による「町会への加入促進に関する協定」の締結など取り組んでまいりました。

しかしながら、この低下傾向に歯止めがかかっておらず、地域コミュニティが成り立たなくなるなど、市民生活にも支障が生じかねない状況であり、なんとか改善しなければならないものと考えております。

加入率を上げるために地道に努力していくことは勿論大切ですが、確実に下がり続けている現状に即した対応も必要だと思います。

た とえば防災における避難行動要支援者の避難支援に関する制度では、災害時に自力で避難することが困難な高齢者や障がい者等の登録は市にしますが、実際に避 難する際の支援プランの作成は町会に求めています。しかし町会に加入していない人を支援することに疑問も出て、作成は無理だと判断している町会もあり、公 共サービスとしては機能していない状況と言えます。

その昔は隣近所が大きな家族のような付き合いがあり、味噌を借りたり子守りをしたり、災 害時に限らず互いに助け合って生活を送っていました。しかし核家族化や高齢化が進んだ結果、町会を脱退する世帯や加入しない世帯が増えるようになり地域の つながりが薄くなってきた今になって、地域の共助を名目に避難支援プランの作成を求めるのは時代の流れに逆行しています。

私は支援プランを作成するよりも、地域のつながりを強化していくことが先決だと思います。そのような町会の本来の活動を活発にしていくための支援について、ご見解をお伺いします。

(答弁)市民生活部長

町会活動への支援について、お答えいたします。

町会は、加入率の低下をはじめ、少子高齢化などに伴う地域社会の弱体が大きな課題となっている中、先程も申し上げましたが、協働の要として、市政の最大のパートナーであることから、市といたしましても、様々な形での支援が必要であると考えております。

この度、市内全町会が加入します「市原市町会長連合会」におきましては、今、町会が抱える加入率の低下、コミュニティの希薄化などの諸課題を自らのものとして捉え、自らが解決していくために、会議体制を見直し、継続的に議論するテーマ毎の部会を新たに設置いたしました。

市といたしましては、この取り組みを高く評価させていただき、会議への出席、議論に加わることなど全庁あげての支援を確認させていただきました。

今後とも町会と市が協働して、より良い地域づくりを目指してまいります。

町 会の原点はボランティアですので、住民が必要だと思ったことやできる範囲のことをやるというようにしないと続きません。回覧を回すことさえ負担になってい るという声も伺っています。町会長の声を受け止める場を持っていただき、それぞれの特性にあった活動を支援した上で、協働を考えていただくようお願いしま す。

5)市民活動の拠点について

市民活動の拠点として市民活動センターがあります。社会福祉協議会が運営しており、187にも上るボランティアの登録があり紹介して市民につなげようとしていること はわかるのですが、それはボランティアセンターとしての機能であり、市民活動センターとしての機能については曖昧で今ひとつ市民には見えにくい状況です。

行 財政改革大綱では、市民活動センター事業の見直しが新規事業にあげられており、市民活動センターが果たすべき機能について整理、見直しを図ることになって います。整理や見直しを図るには何かしらの課題点があったのだと思います。これまでの事業の展開を振り返って、何を課題と捉えていらっしゃるのかお聞かせ 下さい。

(答弁)市民生活部長

市民活動の拠点について、お答えいたします。

市 民活動センターにつきましては、NPO法人等の市民活動の中間支援を行う機能とボランティア団体への支援を行う機能の2つをあわせ持ったものとして位置づ け、平成17年11月に開設し、会議室などの活動の場の提供、ボランティアの相談・仲介、市民活動に関する各種講座の実施などを行ってまいりました。

課 題についてでございますが、まず、一点目といたしまして、活動への参加者が、高齢者中心であり、固定化も見られるなど、人材育成面で世代間の広がりが不足 したこと、二点目といたしましては、市原市社会福祉協議会による運営ということもあり、福祉的なボランティア活動への支援が主となってしまっていることな どが挙げられます。

インターネットで市のホームページから市民活動センターを検索すると、所在地や 開館日時、施設の利用予約が載っているだけです。役割だとか何のための施設なのかが載せられていない、それが一番の課題だと思います。つまり、市民活動セ ンターが果たすべき機能を明確にしなければならないということです。

今までのように団体に登録してもらって市民につなげていくだけでなく、市民と行政、行政と企業などのパイプ役になってコーディネートを行い、参加者を増やし市民団体を育成し地域の課題解決につなげるといった中間支援という機能が必要ではないかと思います。

特 定非営利団体促進法(NPO法 H10年)が成立してから特定非営利活動法人(NPO)が増え、全国的に中間支援組織の設置が広がっています。例えば市民 活動やNPO活動が活発な横浜では、中間支援機能を担う組織が幾つも発足し、まちづくりや福祉などそれぞれの得意分野を横につなぐコーディネートやネット ワーク化がなされ、幅広い地域活動を支援しています。

指定管理者制度も視野に入れて中間支援のノウハウをもつ団体に委託してはどうかと思うのですが、ご見解をお伺いします。

(答弁)市民生活部長

中間支援について、お答えいたします。

市民活動や協働の推進を支える中間支援組織につきましては、多くの市町村で設置されておりますが、その設置・運営方法は、それぞれの地域の状況などにより異なっております。

設置・運営主体といたしましては、公設公営、公設民営、民設民営の3つがあり、公設民営の中には、財政的援助、業務委託、指定管理の3つの形態がございます。

また、運営方式といたしましては、市民活動中間支援とボランティア支援が一体となったもの、及び、双方が棲み分けられ、独立しているものの2つがございます。

本市におきましては、公設民営で、対象となる団体や事業が重なるという点から、一体型としてこれまでのボランティアセンターの実施実績等も踏まえ、市原市社会福祉協議会を運営主体とし、財政的援助による実施をしてまいりました。

今回の見直しにあたりましては、先ほど申し上げました課題を踏まえ、改めて、市民活動中間支援とボランティア支援のあり方を含め、事業主体である市原市社会福祉協議会を始め、利用団体、利用者などから御意見をいただいて、検討してまいりたいと考えております。

NPO は組織ですので継続的な活動ができるのが、ボランティアとの一番の違いです。協働を促進していくためには、中間支援組織の設置が大きなカギを握っていると 言えます。市民力が最大限に発揮されるように、支援や育成に力を入れた市民活動センターにしていただくようお願いします。

2.主権者教育について

(仮 称)市原市教育大綱の素案にも取り上げられておりますが、市民ネットは以前からシティズンシップ教育の必要性について議会で取り上げてまいりました。民主 的社会を支えうる市民となりうるための基本的な教育(シティズンシップ教育)の一つとして「主権者教育について」質問させていただきます。

公 職選挙法の改正により選挙年齢が18才に引き下げられ、学校における主権者教育が盛んに取りざたされるようになりました。昨今の新聞記事では学校で模擬選 挙や模擬投票を行う記事が主権者教育として頻繁に掲載されていますが、私はいささか疑問に感じています。投票のしくみを知り選挙を身近に感じられる手法と しては有効であっても、日々の暮らしが政治に直結していることをまず感じなければ、18才になった記念行事としての投票になりかねません。

2013 年に内閣府が行った日本をはじめとする7か国(韓国、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン)の13~29才の若者を対象とした意識調査に よれば、「社会現象が変えられるかもしれない」と答えた人の割合が、日本は一番低く30.2%。「自分の将来について明るい希望をもっている」と答えた人 の割合も、日本が61.1%で最も低く、他国は全て80%を越えています。その一方で「自国のために役立つようなことをしたい」と答えた割合は、日本が一 番高いのです。すなわち、自分の国のために何か役立ちたいとは思っているが、何をすれば良いのかわからないし、社会が変えられるか自信がもてずポジティブ な将来像がもてないでいるのです。

これは市原市のために何か役立ちたいとは思っているが、何をすれば良いのかわからないし、ポジティブな将来像がもてないでいるということにもなります。この思いを活かすことが、主権者教育に求められていると思います。

そこで、まず学校における主権者教育の意義について、前田教育長の考えをお聞かせ下さい。

(答弁)教育長

学校における、主権者教育の意義について、お答えいたします。

主権者教育は、単に政治のしくみについて、必要な知識を習得させることのみならず、主権者として、社会の中で自立し、他者と協働しながら、地域社会の一員として、主体的に、社会を生き抜く力を、身に付けさせることを、目的と捉えております。

その基盤づくりとして、各小・中学校の全教育活動を通しまして、社会を構成する一員としての意識を醸成し、物事を多面的にとらえ、自分なりの考えをしっかりもち、表現できるよう、子ども達を育んでまいりたいと考えております。

日本以外の6か国は主権者教育に取り組み、政治について学び社会との関わりを考える力が身についていますが、日本では政治は社会科の勉強であり、日々の暮らしや自分の将来を重ね合わせて考えるまでには至っていません。

選挙権がなくても国民・市民としての権利はもっていますので、年齢や発達段階に応じて、社会との関わりについて学べるよう取り組んでいただきたいと思います。

文 部科学省の「主権者教育の推進に関する検討チーム」の最終まとめが、ちょうど1週間前に公表されました。ここでは主権者教育の目的を「単に政治のしくみに ついて必要な知識を習得させるにとどまらず、主権者として社会の中で自立し、他者と連携・協働しながら、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員 の一人として、主体的に担うことができる力を身に付けさせるもの」としています。

その背景には課題を客観的・多面的に考え、自分なりの考えを作っていく力を育むために、根拠を持って考えを主張し説得する力を身に付けていくことがあげられおり、これを私なりに考えると対話力を身に付けることではないかと思いました。

対話力にはまず相手の話を聞く、聞いた話を考える、その考えについて相手に話す、さらに話したことを振り返るという要素があります。

い くら根拠をもって考えを主張しても価値観の押し売りにしかならず、相手に理解してもらってこそ説得につながります。そのためには、まず相手の話に耳を傾け 聞くことが始まりとなり、聞いた話を客観的・多面的に考え、その考えについて相手に話すことで自分なりの考えを作り、自分にはなかった考えに互いが気付く ことで理解が生まれ、個々の考えがより広がります。

このような対話の積み重ねによって、互いの考えを認め多様な価値観をもてることにもなり、自己肯定感や社会で生き抜く力にもつながるものと思います。

教育における対話力の育成について、どのように取り組んでいかれるのかご見解をお伺いします。

(答弁)学校教育部長

主権者としての資質、能力を児童生徒に身に付けさせるためには、学校での集団生活において、人間関係を形成する力の一つである、コミュニケーション能力を育むことが必要であります。

具体的には話し合い活動を大切にし、体験的・探究的な学習を推進するとともに、ディベートやパネルディスカッション等に取り組み、児童生徒が、主体的に他者と関わり合うことのできる力を育んでまいりたいと、そういうふうに思います。

私 は対話力の到達点は互いを理解することだと思っています。何も言わず黙って人の意見に賛同することは流れに身を任すだけで、そこからは何も生まれません。 互いに思うことを十分に言い、合意点を探ることで協調性を学び、互いを尊重した理解が生まれます。主権者教育の目的にある「他者との連携や協働」も、「社 会で生き抜く力も地域の課題解決を担っていく」にも、他者の立場を理解することがベースになると思います。

主権者教育を推進するための取り組みとして「深い学び」「対話的な学び」「主体的な学び」のアクティブラーニングの視点に立った学び全体の改善が、今後より一層求められていますので、その一つとして対話力の育成にも取り組んで下さるようお願いします。

次にH26年に開催された「いちはらこども議会」についてお聞きします。

こ の「こども議会」では、市内の中学生が学校設備や大気汚染対策、防災に関すること、税金の使い方や空き家問題に至るまで多岐にわたる質問がされ、私も大変 感心させられました。大人でさえ遠い存在だと思われている議会を知ることは、多感な中学生にとって大変貴重な経験になったことと思いますし、何よりも主体 的な学びが培われたと思います。非常に評判も良く、アクティブラーニングという視点からも継続的な開催を望みますがご見解をお伺いします。

(答弁)学校教育部長

「子ども議会」は主権者教育の視点からも、貴重な経験の場であると考えます。

現在、中学校では、授業での模擬投票活動など、様々な場面をとおし、生徒の主体的な社会参画に向けた意識の醸成を図っております。

また、昨年度から、今年度にかけ「いちはら未来ワークショップ」及び「いちはら未来会議」にのべ57名の中学生が参加をし、活発な意見交換がなされ、社会の一員としての自覚を高める場とすることができました。

「子ども議会」の開催については、日程調整や準備等の課題もありますことから、周年行事等の節目での開催なども含め、様々な取組と合わせて、主権者教育の総合的な推進を図ってまいります。

先に質問しました協働を考えることも主権者教育です。市原市のために役立ちたいと思う気持ちを行動に移し、市原市を変えていく市民力につながるように取り組んでいただきたいと思います。

最 後に申し上げたいのですが、選挙権があっても行使できない人がいることを忘れないでいただきたい。重い障害ゆえに自分の意思を明確に伝えられない方や、い ろんな事情で投票所に行けない方がいます。たとえ少数ではあっても、弱い立場におかれた人の思いを尊重できる教育であってほしいと願っています。