平成29年度第1回 市原市議会定例会  反対討論 森山かおる

平成29年度 第1回 市原市議会定例会
反対討論  森山かおる

議案第4号「市原市附属機関設置条例の一部を改正する条例の制定について」の中の、「市原市庁舎強靭化対策検討委員会の設置」について、会派を代表して反対の立場から討論を行います。

本議案は、本市における喫緊の課題への対応方針等を検討するにあたり、本庁舎施設の強靭化対策等の実施に係る検討に関して、調査審議し、必要な助言等を行うため、市長事務部局の付属機関として、市原市庁舎強靭化対策検討委員会を設置するものであり、具体的には本庁舎について中長期的な視点から、減築改修や建替え等の強靭化対策を実施するための検討を行うものとされています。

<喫緊(きっきん)の課題の捉え方>

ここでは喫緊の課題として、庁舎のコンクリート躯体の中性化の進行と設備機器の耐用限界がきていることをあげておられます。

しかし庁舎と同等の時期に建設された施設の劣化調査をせずに、本庁舎だけを調査診断して喫緊の課題とするのは根拠が薄い。

強靭化対策に係る取り組み方針にあるスケジュールを見ると、減築改修の場合は防災庁舎竣工後、本庁舎に残る部署は低層階の改修が終わる2021年10月に移転することになっています。これは引っ越しの二度手間を防ぐために先に改修してから移転ということですが、早急に改修の対応が必要というのであれば、防災庁舎は何のために建設しているのでしょうか。

また設備機器の耐用限界の時期は最初から容易に推測できることであって、これが即ち減築改修や建替えに結びつく喫緊の課題とはいえません。

<検討の進め方について>

また、検討委員会では本庁舎について中長期的な視点から、減築改修や建替え等の強靭化対策を実施するための検討に関して、調査審議し、必要な助言等を行うとされています。

この「減築改修や建替え等」の「等」の意味については、減築改修・建替え以外の案も含まれると事前の説明では伺っていました。しかし、検討委員会での審議を進めるための検討資料「庁舎強靭化対策に係る取組方針」には、「強靭化対策の検討に向けた2つの方向性(減築改修または建替え)」と記載され「等」がないことから、検討委員会では減築改修または建替えありきの検討が進められることになります。

今議会での質問に対しても、庁舎強靭化対策の具体的な進め方として「減築改修案または建替え案による方向性を本年12月末までに決定し、その後庁舎に求められる面積や機能等を具体的に検討するといった段階的に方針を決定する」と答弁されており、減築改修・建替え以外の案については検討に入れていません。

また、方向性を先に決めてから、後に面積や機能等を検討するという進め方は、公共資産マネジメントの考え方に逆行するものです。

<公共資産マネジメントとして取り組む>

本庁舎は公共施設の一つとして、公共資産マネジメント推進計画に位置づけられていることから、今後の庁舎の方向性はこれに基づいて決定しなければなりません。

先日の総括質疑の答弁では「庁舎強靭化対策はコストを縮減しつつ将来世代に安心安全な資産を引き継ぐことを基本方針としており、公共資産マネジメントの考え方と一致する」と言われましたが、一つの施設だけを単独で取り上げるのであればマネジメントとはいえません。

公共資産マネジメントは、将来を見据えたサービスの見直し、施設の長寿命化や再編などによる公共資産の質と量、コストの適正化を図るものであり、個々の施設の機能や規模を将来のニーズに合わせて考え市内全体の施設を総合的にマネジメントするものです。これを推し進めるにあたっては、今後策定される都市マスタープランや立地適正化計画等に基づくまちづくりの方向性にあわせて配置や量を検討する必要があるとしており、これを受けてH29年度には施設の圏域ごとにデータマップを活用するなどして再配置パターンを検討し、先行モデルケースに係るワークショップや市民フォーラムの開催などを経て、公共施設再配置基本方針を策定することになっています。

つまり本庁舎の減築改修や建替えの方向性を決めるためには、人口減少や少子高齢化に伴って公共施設の一つとして庁舎をどうしていくのか、例えば機能を集中させず支所の機能を強化するとか、施設の再編などを総合的に勘案して判断する必要があり、市民と共にそのあり方から考えなければなりません。

従って他の公共施設と同様に、都市マスタープランや立地適正化計画等が反映された公共施設再配置基本方針に基づいて、検討するのが筋です。

検討委員会での決定の手順はこれに逆行することになります。

<財源について>

そもそも緊急対策として防災庁舎を建設し、本庁舎のあるべき姿については時間をかけて検討していくために、軸耐力補強工事を行ったはずです。

間髪入れずに減築改修や建替えを前提とした検討を進めることは、二重投資につながるものです。

しかも減築改修案では、本庁舎に残る部署は低層階の改修が終わる2021年10月まで高層階に取り残されたままになります。これでは減災対応としての防災庁舎の建設を急いだという理由が成り立ちません。

また、試算では減築改修や建替えに要する費用は50億~89億円となっています。すでに防災庁舎建設に係る市債は50億7,600万円。基金も貯めずに再び巨額な借金をするからには、人口減少における将来の負担も十分考え慎重に検討すべきです。

しかし検討期間はたった8カ月間で、委員会の開催は予算額から推測すると4回。これで本庁舎の今後を決定することは、あまりにも拙速ではないでしょうか。

本市の喫緊の課題は人口減少・少子高齢化に対応したまちづくりであり、それに見合った庁舎の「あり方」から十分な時間をかけて検討すべきものですが、市原市 庁舎強靭化対策 検討委員会の設置は、公共施設再配置基本方針の策定を待たずに本庁舎だけを優先し、そのあり方からではなく減築改修または建替えから審議されることから、

議案第4号「市原市附属機関設置条例の一部を改正する条例の制定について」には賛成できないものとして、反対の討論といたします。