平成29年度 第4回市原市議会定例会 代表質問:小沢みか

代表質問  小沢みか

1.水道事業について
経営基盤の強化について
類似団体との比較について

今年3月、10年を計画期間とする市原市水道事業経営計画が策定されました。
本市水道事業は、県水道区域と比較しても地理的条件や人口密度等不利な状況にあることから厳しい経営を余儀なくされているとされてきましたが、経営戦略を練るにあたっては、現状や課題についてより客観的に把握することが重要です。

ちょうど昨日二田口議員から「類似団体比較による見える化を」というご提言もありましたが、今回私は、水道事業について条件格差を極力排した類似団体比較による分析を試みました。

総務省の水道事業経営指標では、3つの条件に基づき全国の末端給水事業1,273ヶ所を分類しています。その条件とは、給水人口規模、何を水源としているか、給水区域面積1ha 当たりの年間有収水量です。この条件に基づいて各事業体が80のカテゴリーに分類されており、市原市と同区分・同条件の団体は全国に14、県内では鴨川市が該当しています。

その中から、主な指標について、市原市と類似団体の平均値との比較をお示しします。お手元の配布資料をご参考ください。

*施設の効率性と収益性について
有収率】(配水量の内、末端で料金が発生した水量)類似団体79.2% 市原市72.0%と類似団体と比較してもなお低い値です。
固定資産使用効率】(有形固定資産額に対する年間総配水量)類似団体平均3.7㎥/万円 市原市2.3㎥/万円 【営業収支比率】(営業費用が営業収益によってどの程度賄われているか)類似団体78.78% 市原市43.0%
他会計等繰入】類似団体1億700万円 市原市14億4100万円。これについては、さらに詳しく14団体を並べたグラフも用意しました。市原市が如何に飛びぬけているかがお分かりだと思います。

* 労働生産性について 例えば【職員一人当たりの給水人口】類似団体2426人に対し 市原市1379人。
*企業債の負担について 【給水収益に対する企業債の利息の割合】類似団体13.42% 市原市42.2%
*供給単価と給水原価 【給水原価】類似団体平均262円 市原市542円と類似団体の2倍も高い水を作り続けている。一方、真ん中のグラフのように水道料金は安く抑えているため、【料金回収率】(給水に係る費用がどの程度給水収益で賄えているか)では 類似団体79.0% 市原市36.4%。

《水道事業の総括》
以上、市原市がこれまで不利としてきた条件を極力排除した客観的な数値を以て比較したつもりです。
そこで小出市長に伺います。これらデータを踏まえ、改めてこれまで40年以上にわたる本市の水道事業の経営状況について、ご見解をお聞かせください。

答弁(市長)
市営水道事業は、昭和50年に創設し、計画給水人口を「10万人」と見込み、水道施設の拡張を図って参りました。

しかしながら、社会経済情勢の変化により、少子高齢化による人口減少時代を迎え、給水人口も減少傾向にあります。
また、市内の水道事業は、臨海部の人口密度の高い地域を県営水道が、それ以外の広域で人口密度の低い地域を市営水道が担うという特殊性があり、このことが他市にはない、大変厳しい経営状況を招く要因となっております。
加えて、水道料金を、市民負担の公平性を確保するため、県営水道と同一の料金体系としていることから、給水原価に見合う料金収入を見込むことは困難であります。

このように、市営水道事業を取り巻く環境は、大変厳しいものとなっておりますが、市民生活にかかせないライフラインでありますことから、将来にわたる水道水の安定供給に向け、変革と創造のもと、更なるコスト縮減や経営改善に向け、取り組んで参ります。

水道事業経営の在り方については、市長が議員の頃に質問を重ねてきました。忸怩たる思いでおられることと思います。ご答弁では、そういった思いは聞かれませんでしたが・・・。
私は決して現場の職員の皆さんが仕事をしていないと言いたい訳ではありません。問題の要因を過去の経緯や環境のせいにした時点で、思考が停止してしまいます。そんなことはもう終わりにして、この環境で自分たちに何ができるかをもっと考えてほしいと思っています。そのために類似団体の数字をお示ししました。

*給水原価と一般会計繰入の多さについて
では具体的に、類似団体との差が特に際立つ給水原価と繰り入れについて伺います。

給水原価は類似団体平均と比較してもなお2倍。水道料金を県水道レベル(H27年度201.01円/㎥)に抑えるために、一般会計から多額の繰り入れを行っています。他会計繰り入れの14億円を人口28万人で割ると、一人年間5000円の負担。因みにH29年度予算の小中学校費総額(13.8億)よりも高額となります。
今後は自治体財政の厳しさに伴い、いわゆる受益者負担の原則や独立採算制の確立がより厳しく求められます。市政全体を考えた時に、見た目の水道料金の抑制のために貴重な一般財源を投じることが本当に市民の求めるところなのか。水道料金の抑制の代償として、間接的に他の行政サービスが抑制されているという構造にあることを、私たちも含めもっと認識する必要があります。
なぜこのような状況が常態化しているのか、改めて市水道区域以外の住民も納得する説明をお聞かせください。

答弁(水道部長)
はじめに、給水原価についてでございますが、当該指標は、有収水量1㎥に対し、経常経費がどれほどかを表すものでございます。給水原価が高い原因ですが、本市の水道事業では、将来的な水不足に備えて、高滝ダムの表流水を水源とする施設整備を行いましたことから、これらの事業にかかる減価償却費、支払利息が増大し、給水原価を押し上げる要因となっております。

また、給水区域の大半が人口密度の低い地区でありますので、施設整備に多額の経費を要する割に、有収水量は少ないため、給水原価が高い状況になっております。

次に、一般会計からの繰入金が多額となる理由でございますが、繰入金のうち、約6割は国が示す基準に基づき市が負担すべきとされる経費であり、2割弱は高滝ダム維持管理経費や拡張事業により抱える企業債利息相当額など、本市水道事業の特殊性から生ずる財政負担分を繰入金に頼っているものであります。
また、2割強の繰入金につきましては、水道事業への経営健全化の補助金として、受け入れております。

このように、国の基準に基づく繰出金が過半を占めておりますが、これは本市水道事業が新井浄水場などの施設整備を行ったことにより、減価償却費や企業債元利償還金額が多いためであり、これにより繰入金が多額となっているものであります。

市原市の不利な条件を並べ立てても何の解決にもなりません。

要するに、当初の見通しの甘さ・失策のツケがのちの世代に回っているということだと思います。当局には今からでもこの検証を踏まえて、将来の市民から「何てことをしてくれたんだ」と後ろ指を指されないよう、的確な将来予測のもとで地道にかつダイナミックに改革に着手されるよう切望します。

*広域化について、県の方針は

そこで従来言われている広域化についてですが、県は水道を取り巻く環境の変化に対応するために「広域事業体として水源の確保や用水供給事業の水平統合を目指す」との方針のもと、リーディングケースとして九十九里地域・南房総地域の用水供給事業体との統合を進めています。
さらに、市町村については「基礎自治体として末端給水事業を担うことを基本」として、県水道が給水している市(市原市も)に対しては「末端給水事業が住民生活に密接なサービスであることに鑑み、事業区分の明確化を市と十分に対話を行いながら検討する」としています。

つまり、現在市内の県水道区域も含めた区域において、用水供給事業は県、末端給水事業は市が受け持つというのが、県のスタンスです。

そこで伺います。本市はこれまで県水道との一元化を求めてきましたが、実際に県とどのように折衝を行ってきたのか。またこの県の方針を受け、どのような見解を持っているのか、お聞かせください。

答弁(企画部長)
本市では、市営水道の厳しい経営状況を踏まえ、県に対し、県営水道との一元化を要望するとともに、県内水道の統合・広域化に向けた早期の取組の実施や、定期的な情報交換の場が設けられるよう要望してまいりました。
県では、県内水道の課題解決に向けた検討を行い、平成22年3月に「県内水道の統合・広域化の当面の考え方」を示すとともに、リーディングケースとして九十九里地域・南房総地域の水道用水供給事業体と県営水道との統合に取り組むこととしたところであります。

また、その後、平成27年9月には「県内水道の統合・広域化の進め方(取組方針)」をまとめ、統合・広域化については、県内水道用水供給事業体の水平統合を目指すこととし、まずは、九十九里地域・南房総地域の水道用水供給事業体と県営水道との統合をリーディングケースとして進めていくことなどが改めて示され、現在は、実務担当者による検討を進めていると伺っております。
本市としましては、リーディングケースにおける取組動向を注視するとともに、県営水道との統合・広域化に向け、具体的な協議の場が設けられるよう、今後とも、県に対しまして、機会を捉えて働きかけてまいります。

待ちの姿勢?いつまでも県の出方を待っていてはらちが明きません。もっと現実的に前に1歩でも踏み出す手立てを考えていただきたい。

いずれにしても、話し合いの前提として、せめて類似団体平均レベルに到達するための経営改善努力が相手から厳しく求められるのは想像に難くありません。

*水道事業経営のビジョンについて
厚労省の新水道ビジョンでは、長期人口減少社会を踏まえ、広域化や官民連携の推進、国民皆水道の旗おろしといった、新たな水道事業経営の方向性を打ち出しています。

広域化にも企業団化や管理の一体化、施設の共同化など、様々な相手との様々な手法があります。また、性能発注方式の包括的民間委託など新たな民間活用の動きもあります。もちろん、施設・設備の統廃合や用水供給事業者からの受水などのダウンサイジングや設備性能の合理化(スペックダウン)という方法もあります。このような多様な手法を組み合わせて戦略的に取り組む団体も増えつつあります。

そこで伺いますが、本市は将来の需要減少に対応するための事業経営の在り方について、どのような方針を持っておられるのかお聞かせください。

答弁(水道部長)
今後、施設の老朽化に伴う更新費用の増大や、人口減少に伴う料金収入の減少など、水道事業を取り巻く経営環境は、これまで以上に厳しさを増すことが想定されます。

こうした中、公営企業としての事業継続性を担保していくためには、自らの経営について的確な現状把握を行った上で、中長期的な視野に基づく計画的な経営に取り組み、徹底した効率化、経営健全化を行っていくことが欠かせないものと認識しております。このような思いのもと、「次世代につなぐ水道水の安定供給」を基本理念としまして、需要減少の中にあっても、水道事業としての役割を果たす必要がありますことから、なお一層の経営改善に努め、水道施設の統廃合など、改善効果の高い取組を進めてまいります。
今後は県のみならず、近隣事業体との話し合いも必要ではないでしょうか。関係団体が参加する検討体制の構築をぜひ呼びかけていただきたい。加えて、水道事業の合理化や広域化等の施策について市民の理解を求めるためにも、常日頃の事業経営の透明性の確保と住民対話にも十分意を用いていただくよう要望します。

(2)有収率の改ざん問題について(11月6日発表)
このところ、神戸製鋼所、三菱マテリアル、東レといった大企業でも相次いでデータ改ざんの不正が発覚しています。製品の安全性に問題がなければいいという話ではありません。信頼を裏切る行為は民間企業にとって命とりですが、ましてや公営企業にとってはそれ以上で、地方公務員法第33条の信用失墜行為に該当する重大事態です。

*有収率が低い原因と対策について
改ざんの理由については今後の調査を待ちたいと思いますが、ここでお聞きしたいのは、冒頭の資料でもお示ししたように、そもそもなぜ本市の有収率が類似団体と比較してもなお低いのかという点です。

一般的にはまず漏水が挙げられるが、では市原市が他団体より施設の状態が良くないとすれば、それは一体なぜなのか。また、これまで漏水防止対策はどのように行われていたのか。さらに、それが適切であったのかについてのご見解も合わせてお聞かせください。

答弁(水道部長)
はじめに市営水道は、旧町村ごとに12の簡易水道事業を設けて水道水を供給していましたが、市原郡が合併し市原市となった後、昭和50年の創設認可を経て、簡易水道事業を統合し、その施設を引き継いで事業を行ってまいりました。

事業開始以来60年以上が経過し、地下水系施設の中には耐用年数が経過しているものも多く存在しており、主に水道管の老朽化が漏水の原因のひとつであると考えております。

次に漏水対策についてですが、漏水は年間300件程度あり、家庭に引き込む給水管からが大半を占め、その他の水道本管からも数十件程度発生しております。

漏水の量としましては、老朽化した水道本管で発生することがほとんどであることから、計画に基づく更新や漏水多発地区に重点を置いた更新を実施していることに加え、漏水多発地区において、毎年漏水調査を実施し、早期の発見にも努めております。
これらの対策により、少しずつではありますが、年間の漏水件数が減少しており、一定の効果があったものと考えております。

今後も老朽管の更新を計画的に進めるとともに、効果的な漏水対策を進めるために、市営水道区域全体にわたる広域的な漏水調査を実施することを検討してまいります。

漏水調査は何年から開始されたのか、お聞かせください。

答弁(水道部長)
正しい年数は持っていないのですが、漏水調査につきましては、平成20度から実施しております。以上です。

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漏水の他に原因を探るとすれば「商業的損失水」つまり盗水、メーターの未設置や故障などが考えられるが、これらの可能性と対策についてご見解をお聞かせください。

答弁(水道部長)
はじめに盗水などの可能性につきましては、無いとは言えませんが、現時点でそれを発見する有効な方法がないため、実態の把握が難しい状況にあります。

次にメーターの未設置については、給水申請を受け、検査を実施後、メーターを取り付けて給水しておりますことから、無いものと考えております。
最後にメーターの故障でありますが、家庭に取り付けてある水道メーターは、計量法に基づき適正に交換しており、その発生件数は年間数件でございます。

故障により使用水量が正しく量れなかった場合は、水量を推測し、算定していることから、有収率への影響は少ないと考えております。
このようなことから、盗水、メーターの未設置や故障などの可能性は、有収率の低い原因の一つではあるものの、現時点でその占める割合は少ないものと考えております。

私達は、組織ぐるみの改ざんという信用失墜行為とは別に、有収率が著しく低いという非効率な状態・構造的な欠陥が40年以上も放置されてきたということに対しても断罪せざるを得ません。

庁内委員会での調査について

今回の事態を受けて、市は庁内調査委員会を設置し、来年2月をめどに調査結果を公表するとしていますが、なぜ3ヶ月もかかるのでしょうか。神戸製鋼はデータ改ざんが一般に明らかになってから1か月で報告書を発表しています。
直接の経済的損失や利害関係がないからという甘い考えがどこかにあるのではないか。信用失墜に対する危機感が薄いと言わざるを得ません。

原因究明と再発防止策について、ぜひ可及的速やかに明らかにしていただくよう要望します。

また、組織ぐるみという事態の悪質さから、庁内調査では透明性に疑念が残ります。第3者を調査委員に加える若しくは外部調査機関を設けるなどの手だてはお考えでしょうか。以上2点にについて、ご答弁ください。

答弁(総務部長)
水道事業調査委員会は、有収率等の改ざん問題について、原因及び経過を調査するため、副市長をトップに、上下水道部以外の部長級職員6名を委員とするとともに、コンプライアンスや職員の懲戒処分にも関係することから、総務部職員を事務局として組織いたしました。
調査期間につきましては、対象者が職員とOBあわせて100名以上となることや、本市水道事業は表流水と地下水が混在する複雑な配水経路となっていることなどから、改ざんの経緯や配水量の検証などの原因究明には、ある程度の時間を要するものと考えております。
また、委員に第三者を加えてはとのことですが、水道事業の事務に権限を有しない副市長をトップとして組織することで、中立的に調査が可能であるとともに、行政に携わる職員が調査を行うことにより、迅速に調査できるものと考えております。
さらに、弁護士資格を有する任期付き職員を事務局メンバーに加え、外部的な視点で調査を行っております。
今後、慎重かつ速やかに調査を進め、来年2月上旬に調査結果を報告させていただきたいと考えております。

有収率は、水道施設の整備計画や財政計画など水道事業計画の立案のもととなる重要な指標である。市の財政に影響がないなどは決してあり得ない。

執行部に置かれては、行政全体の信頼を取り戻せるかどうかは今後の対応如何だということを肝に銘じて、真摯に取り組んでいただくよう要望する。

2.児童・生徒の学力の向上について
*全国学力・学習状況調査の結果を踏まえた取り組みについて
全国学力・学習状況調査の結果について

全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストの開始から10年が経過しましたが、市原市の状況は年々深刻になってきています。
例えば小6算数Aは、全国平均を100とするとH26年度から98%、95%、94%、93%と下がる一方です。またH26年度の小6とH29年度の中3と同じ子どもで比較しても、98%から3年後には87%と、明らかに成績が落ちています。
点数に一喜一憂してはならないことは重々承知していますが、総合計画で小学校算数Aを94%から100%にするという目標を掲げている以上、もっと危機感を持って抜本的な対策を講じなければならないのではと、市民誰もが感じるところでしょう。

そこでまず伺います。H28年度から現場で展開されている学力向上策として、市内小学校10校に1名ずつ基礎学力定着特別講師の配置を行っていますが、この効果について検証結果をお聞かせください。

答弁(学校教育部長)
本市では、平成29年度より、小学校でのつまずきを解消するため、3年生から5年生の算数の授業に基礎学力定着特別講師を配置し、基礎学力の定着に取り組んでおります。
基礎学力定着特別講師を配置した10校では、1学級10人から15人程度の少人数による指導や複数教員によるきめ細かな指導の他、放課後や長期休業中の補習授業や家庭学習用のプリント作成など、より充実した学習支援を行っております。

その結果、配置校では、本年度、新6年生に実施した全国学力・学習状況調査の算数知識問題の点数が昨年度と比較し、10校中6校が上昇しており、平均点では1.4上昇となっております。
中には、昨年度と比較し平均点で8.7上昇した学校もありました。
また、全国学力・学習状況調査の意識調査項目の「算数の勉強は好きですか」という質問では、昨年度と比較し、配置校以外の平均が0.1%の上昇に対し、配置校の平均では7.9%上昇するなど、学習意欲の向上も見られております。
さらに基礎学力定着特別講師は、教育経験豊富な方を講師として採用していることから、講師の指導を目の当たりにすることで、若年層教員の授業力を高めることができるという報告もあり、教師力の向上にも繋がっていると認識しております。

このようなことから、基礎学力定着特別講師事業は一定の成果をあげており、今後も継続・拡充を図ってまいりたいと考えております。

エビデンスに基づく教育行政を
私は今年の第2回定例会で健康医療施策について取り上げた際に、行政の使命が最少の経費で最大の効果を挙げることにある以上、エビデンス活用の視点が重要ではないかということを申し上げました。これは正に教育の分野にも当てはまると思います。

基礎学力定着特別講師の配置については今のところ現場で確かな効果が示されているとのことであるから、ぜひ更なる重点化を図っていただきたいと思います。

また、当局におかれては、個人的な経験や曖昧な主観に頼った施策ではなく、客観的なデータに基づく教育施策の実践によって、子どもたちの「確かな学び」を教育行政の責任として保証していただくようお願い申し上げます。

(2)家庭の教育格差について
学力低下の根本の原因は地域や家庭の格差
私はちょうど2年前の本会議でもこのテーマをやはり学力向上という切り口で取り上げさせていただきました。市原市の子どもたちの学力低下の原因の根本は、教育現場よりもむしろ地域や家庭環境にあるのではないかという趣旨ですが、これは10月の教育委員会定例会においても同様に指摘されたところであります。

家庭の環境に格差がある中で従来のように全ての子どもに同じように教育を行えば、かえって格差は拡大していくという矛盾が生じる。例えば当局の取り組みとして「家庭で復習する時間を推奨する」「TVやスマホなどに費やす時間を減らすよう啓発する」などがありますが、これも何の解決にもならない。これら働きかけが響かないまたは届かない家庭に対して、どうアプローチするのかという視点がもっと必要です。

学習支援における部局間連携は

そこで伺います。現在市では、保健福祉部において生活保護世帯や生活困窮世帯の中学生を対象に市内4会場で拠点集合型の学習支援事業を行っていますが、対象の生徒についての情報の共有など、教育委員会側との連携はどこまで進んでいるのか、お聞かせください。

答弁(保健福祉部長)
市では、生活困窮者自立支援事業の一環として、子どもの社会的自立を促し、貧困の連鎖を防止することを目的として、生活保護世帯および就学援助を受けている準要保護世帯の中学生を対象に、学習支援事業を実施しております。

 本事業における教育委員会との連携についてでございますが、事前に教育委員会に準要保護世帯に関する照会を行ったうえで、各中学校を通じて、対象となる世帯に対して事業の案内を行い、参加者を募集しております。
 また、教育委員会等の関係課とは年2回程度、連絡会を開き、学習支援事業の実施状況の報告等を行っておりますが、現在のところ、個々の生徒の学習状況等の具体的な情報の共有を図るまでには至っておりません。

先月、星野保健福祉部長にも同行いただいて、教育民生常任委員会の視察で富山市の学習支援について調査をした。学習支援員などが生活保護世帯などに赴く全国でも先進的な訪問型学習支援事業ですが、学校からの働きかけが届かない家庭や拠点にも通えない子どもへ手を差し伸べるには非常に有効だと感じた。
また同時に、このような訪問型、市原市のような拠点集合型どちらの支援にしても、やはり教育現場とのチームプレーが非常に重要であると痛感した次第である。

関係部局による学力向上PTの設置を
市原市も今後は、経済的・文化的に不利な環境に置かれた子ども、あるいは同様の地域に位置する学校の「学力の向上」という観点から、教育・子ども・福祉の関係各部署が一丸となって共通課題として取り組むことが必要ではないか。

教育委員会では今回の全国学力テストの結果を受けて、現場教師も交えたプロジェクトチームが立ち上げられると伺っている。同様に、子ども未来部や保健福祉部も加わるプロジェクトチーム等の組織をぜひ立ち上げていただきたいのだが、ご見解をお聞かせ願う。

答弁(学校教育部長)
教育委員会といたしましては、現在、策定中の市原市学校教育振興計画の基本目標の一つに「未来へ飛躍する力の基礎となる確かな学力の養成」を掲げ、未来を担う子どもたちの確かな学びを推進してまいります。

「確かな学力」を養成するためには、学校教育と家庭教育が両輪となり、さらには市民力を最大限に活用した中で、子どもたちを支援していくことが重要であると考えております。

このため教育委員会では、学校教育における学力向上や家庭教育力の向上には、市長部局との連携が重要となりますので、今後、関係部局と協議してまいります。
総合教育会議が設置されたことで、今後教育行政における市長部局との連携も進めやすくなるものと期待しています。

訪問型の教育支援と言えば、県の資料によると、昨年度市原市はスクールソーシャルワーカーによる対応児童生徒数が、2番目の松戸市23名を引き離して42名とダントツに多いことから、有効に活用されていると大変評価しているところです。スクールソーシャルワーカーとの連携も含め、ぜひ部局横断的に課題に取り組まれるよう要望します。

(3)読書環境の整備について

省略