平成30年第4回 市原市議会定例会

平成30年第4回 市原市議会定例会
代表質問 森山かおる

1.残土及び再生土の埋立てについて
11月6日の午後、大桶の市道54号線で太陽光パネルを設置するための再生土埋め立て現場で土砂崩れが発生しました。市道に流れ出た土砂は長さ61m、幅47m、高さ5m、約2万立米にも及びました。崩落を防ぐために設置した鉄の矢板を越えてあふれ出た土砂は、電柱をなぎ倒しガードレールもへし曲がるような惨状でした。これだけの災害において人的被害がなかったことは不幸中の幸いではありましたが、市民が巻き込まれる可能性は十分ありました。現在道路は通行止めになり解除の目途も立たない状況で、生活道路としての機能を失ったばかりか、市が観光で力を入れているゴルフ客にも影響が及んでいます。

林地開発の許可権者は県といえども、現場は市原市内です。市ではこの現場の危険性について、どのように把握されていたのでしょうか。

答弁 (経済部長)
当該事業地は、9月30日の台風24号による大雨の際に土砂の一部が市道に流出したため、緊急対応として土砂を撤去するとともに、許可権者である千葉県に事業者への指導をお願いしました。

その後においても、事業者が防災施設を造らないまま再生土の搬入を行っていたことから、再度、千葉県から注意を行うとともに指導書を交付し、土砂流出防止対策や調節池の早期完成を指示しており、市としても、そうした状況について、県と情報を共有していたところでございます。

答弁 (環境部長)
大桶地先の林地開発現場で埋め立てに使用されていた再生土につきましては、職員や監視委託業者による定期パトロールにより、再生土と称して産業廃棄物又は土砂等を埋立てしていない状況について確認しており、その状況を随時県へ報告もしておりました。

この市道54号線を度々利用していた市民やゴルフ客からは、積み上げられた土砂を見る度にいつか崩落が起きるのではないかと思っていた、との声を伺っています。一般人でも危険性を感じていた状況です。許可権者が県であったとしても、市民の安心・安全を守る立場として市の責任も問われるのではないでしょうか。

そこで伺いますが、市内にある再生土の埋立て地のうち、今回の崩落現場のように道路際から積み上げられた所は何か所ぐらいあるのか。またその危険性についてどのようにお考えでしょうか。

答弁 (環境部長)
今回の崩落を受け、再生土による埋立て中の現場につきまして、県が実施した緊急点検の中では、道路に隣接した埋立て地は1ヶ所確認されております。

現在県では、緊急点検を実施した県内の埋立て地について、点検内容に基づき、その安全性を判断していると伺っております。
なお、目視による点検では、直ちに崩落するような危険性のある場所ではないということを確認しております。

県はH28年9月に「再生土等の埋め立て等にかかる行政指導指針」の運用を開始したものの、指導指針は任意の行政指導であるため指導には限界がありました。

急勾配の埋め立てや排水施設の不設置などによる盛土の崩落・流出、埋め立て区域から流出する水による周辺の農作物等への悪影響、廃棄物や残土の混入などの問題が後を絶たないことから、再生土の不適切な埋め立てを防止するために県は再生土等の適正な埋め立て等の確保に関する条例を制定し、来年4月から施行されることになりました。

この条例の制定にあたって県は市町村から意見を募り、市原市も意見書を提出されています。

そこで市は届出制ではなく、より厳しい許可制にしてほしいと求めています。その理由は崩落等の災害や周辺環境への影響を防ぐ考えは、建設発生土(残土)による埋め立てに対する考えと同様であるから、と。しかし県条例では届出制となりました。

また、市は「再生土等による埋め立てについては廃棄物該当性の判断が伴うため、事業面積に関わらず県条例の対象としてほしい」と求めています。しかし県条例では500平方メートル以上を対象としました。

そこでお伺いします。

県条例が許可制でなく届出制となり、しかも500平方メートル未満は届出さえ必要がありません。このような結果について、どのようにお考えでしょうか。

答弁 (環境部長)
県が制定しました再生土条例では、埋立ての開始前に、崩落等の防止措置や、環境影響の防止措置などを含む計画書等の届出を義務付けております。

これにより、事前に埋立ての内容を厳しく確認し、埋立ての開始前において、事業者に対して必要な指導を行うなど適切に対処することとなっております。

さらに立入検査や報告徴収、措置命令などの行政処分や罰則等が規定されておりますことから、これまでの行政指導指針に比べ、実効性が強化されているものと考えております。

また、届出の対象面積が、これまでの行政指導指針の3,000㎡以上から、500㎡以上に適用範囲が拡大されたことから、強化が図られたと考えております。

この他にも市は意見書で、土地所有者の責務を明確にするため同意書の添付を義務付け措置命令を行えるようにすること(県残土条例と同等)、地域住民の理解を得るよう住民説明会の手続きを定めること(県残土条例では義務ではない)、立ち入り検査権限を市町村に併任(県残土条例以上)することなどを求めましたが、残念ながら県条例にはこれらも反映されませんでした。

これらの反映されなかった意見については、今後どのように対応されるのでしょうか。

答弁 (環境部長)
1点目の「土地所有者の責務」につきましては、再生土の埋立てにおきましては、有用な資材である再生土により埋立てが行われ、埋立てを行う者に対し規制するというものであります。

このことが疑わしい場合には、廃棄物処理法または残土条例により、行為者に対し規制するとのことでございます。

2点目の「住民説明会の手続き」につきましては、県では、事業者に対し、行政指導により住民に説明を行うよう指導していくとのことでありました。

3点目の「立入検査権限」につきましては、現在、県から県再生土条例施行規則素案が示されておりますので、各自治体からの意見があれば、検討していきたいとのことでありました。

このようなことから、本市からの要望事項にも、真摯に対応していただいたものと、判断しているところでございます。

今後も、引き続き、県と意見交換等を行ってまいりたいと考えております。

小出市長は2年前の本会議で、建設発生土は我が国の経済活動により必ず発生するものであるから、発生から処分までを市域、県域を越えて一元的に把握する仕組みが必要。国、県へ広域的な視点から仕組みの構築について働きかけていくと答弁されています。

また、総合計画においても、残土や再生土等による埋め立てに対する不安事項を解消するために、広域的な視点で取り組む必要がある、としています。確かに広域的な視点も必要ではありますが、その答えをただ待っているわけにはいきません。

国、県への働きかけを継続しつつ、市としても人命の保障、環境破壊の防止の観点から、対策を講じるべきと思いますが、市長の考えをお聞かせ願います。

 

答弁 (市長)
残土や再生土等の埋め立てによる災害への対策について、お答えいたします。

大桶地先の林地開発現場における再生土の崩落については、幸いにも人命に関わる被害は無かったものの、現在も主要道路である市道54号線・うぐいすラインの一部が通行止めとなっており、市民生活に多大な支障を及ぼしておりますことに、誠に遺憾であります。

私はこの重大な事故に際し、発生の翌日には、副知事にお会いし、崩落の原因究明、再発防止対策、道路の通行再開に向けた安全性の確保について、強く要請をいたしました。

この要請を受け、千葉県は知事の強い指示のもと、県内の再生土埋立て現場の緊急点検を行うとともに、林地開発を所管する農林水産部内に、本件に関する対策本部会議を立ち上げました。

本市も、市内の再生土埋立て現場の緊急点検へ同行し、安全性の確認をしたところです。

また、道路復旧計画に関する会議へ参加し、原因究明と道路の復旧計画に取り組んでおります。

再生土につきましては、発生から処分までを市域、県域をこえて、一元的に把握する仕組みを構築することが必要であるとの考えから、私は、千葉県環境衛生促進協議会の会長として、再生土等の埋立て等の法制化による規制の検討について、直接、国に赴き、継続して要望しております。

もとより、残土・再生土による埋立てについては、不適正な処理はさせない、という強い思いを持って事業者に条例等の遵守を指導、徹底させることが、市民の残土・再生土に対する不安の払しょくにつながるものと考えております。

先の千葉県議会で成立した「千葉県再生土の埋立て等の適正化に関する条例」につきましても、その運用に当たり、適正な埋立てが行われるよう千葉県に働きかけてまいります。

また、県との連携による強固な監視・指導体制を築くことにより、関係法令の厳格な運用を図り、市民の安心・安全な生活環境の確保に不断に取り組んでまいります。

言うまでもありませんが、県下(37)では自分達のまちは自分達で守ろうと21もの自治体が、県残土条例の適用除外を受け独自条例をもち、そのうち半数以上の自治体が残土条例の中に残土と同様に再生土も規制の対象にしています。また、再生土を残土条例の対象にしていない自治体でも、独自条例で再生土を規制しようとする動きもあります。このような状況下で、残土や再生土が最も多く持ち込まれている市原市が、いつまで県に任せるおつもりなのでしょうか。

これまで県残土条例の適用除外を受けることについて、住民同意を設けることは住民や地域コミュニティへの新たなストレス要因になる、県の監視パトロール体制が外れる、違反が発生した場合原則自治体の対応になり県はこれまでのように指導しない等のデメリットをあげられておられましたが、厳格な基準を定めた自治体では、残土も再生土も埋立て申請が激減し、職員の負担も軽減しています。

今回の崩落事故で、埋め立て事業は人命に関わる事故につながる可能性を示唆しています。そのことを重く受け止め、市民生活に最も近い市が許可権者となって、市民の安心・安全を最優先しなければならないと考えます。

従って、県残土条例の適用除外を受け、再生土の埋立てについても盛り込んだ条例改正を早急に行う必要があると考えますが、ご見解を伺います。

答弁 (環境部長)
残土・再生土による埋立てにつきましては、県と連携した強固な監視・指導体制により、埋立て等の事業者が関係法令等を遵守し、土砂等の崩落等の発生を未然に防止しながら、適正に処理させることが、市民生活の安全に資するものと考えております。

このため、埋立て行為に対しましては、不適正な埋立てに対して厳正な指導ができる体制を構築することが重要であり、本市の持つ現場力と、豊富な知見や現職警察官らを配置する県との連携により、今後も市民生活の安全に向け、不適正な埋立て等の早期発見、早期指導に不断に取り組んでまいります。

2.市原市障がい福祉計画について

ここ数年、特別支援学校に通学する生徒の保護者から、悲痛な声を聞いています。

卒業後の進路に向けて生活介護の事業所を探していますが、事業所の受け入れは年々厳しくなり、卒業を目前にした2月になるまで通える事業所が決まらないという状況にもなっています。医療的ケアがあるため看護師がいる事業所に行ってみたが、うちでは受け入れられないと言われたり、職員が辞めてしまったため通所日数を減らしてほしいと言われ、途方に暮れた保護者もいました。

これまで卒業後の進路として、市原市内だけでなく他市の事業所にも受け入れてもらい通所していますが、事業所が満杯になりつつあり、卒業後の行き場がないという深刻な不安が今年度の卒業生だけでなく下級生の保護者にも広がっています。

そこでお聞きします。

第5期市原市障がい福祉計画では、それまでの実績値や無作為抽出による福祉アンケートの結果などを勘案して、今年度から3年間のサービス見込み量を算定されています。

例えばH31年度の生活介護サービス見込み量は一月あたり585人となっていますが、それに見合った受け皿(提供量)について、どのように把握されているのか、伺います。

 

答弁 (保健福祉部長)
ご質問の本市の第5期障がい福祉計画における障害福祉サービスの見込量につきましては、国の基本指針に即して、過去の実績等を勘案し算定しており、これらの見込量は、障がい者の生活を地域全体で支えるサービス提供体制を構築するための基礎としております。

受け皿となりますサービス提供事業者の把握につきましては、事業指定が県への申請により行われておりますことから、市では毎月、県から指定の状況について情報を受けながら、市内の事業者数やその種別について確認をしております。

一方、需要につきましては、県において、毎年4月1日時点での障害福祉サービスの利用待機者を調査しており、これを受け、市では、相談支援事業者への調査や当事者との相談支援の中で把握した情報をもとに、不足するサービスの実態把握に努めております。

見込み量に見合った受け皿の確保は最低限のこと。例えば生活介護におけるこれまでの実績値は見込み量を上回っています。第5期計画においてもH30年度の見込み量は581人、H31年度は4人増の585人となっていますが、重症心身障がいの施設に伺ったところ、市原市在住の卒業生4名を受け入れる予定と聞いています。他の障がい種も加えるとH31年度も見込み量を上回ると推測できることから、実態に即した受け皿の確保が必要ではないでしょうか。

そこで、お聞きします。

第5期市原市障がい福祉計画では見込み量の確保方策として、日中活動系サービスにつては、身近な地域で必要なサービスを利用できるよう、サービス需要の把握と充実に努める。相談支援事業等を通じて、利用者のニーズに応じた適切なサービス提供体制の構築について検討していく、とされていますが、需要に見合った受け皿の確保について、どのように対応されるのか、伺います。

答弁 (保健福祉部長)
今後の障害福祉サービスの需要につきましては、高齢化による障がいの重症化等の傾向を踏まえた上で、サービスの増加を見込んでおりますが、障がい者の心身状態の変化などにより、計画の見込量と差異が生じることも考えられます。

本計画では、できるだけ住み慣れた地域で障がいのある方の生活基盤が確保できるよう、現にサービスを提供している事業者が受け入れる時の課題等を共有し、障がいの特性に対応するための体制が構築できるように、事業者間の連携の促進を図ることを目指しております。

また、サービス提供事業者が県に対し、新規に事業所の指定申請をする際に調整を必要とする場合がございますが、本市の取組の方向性や障害福祉サービスの需要などを事業者と共有し、開設に向けた情報提供を行うことで、サービス提供体制の確保に努めております。

特別支援学校には自家用車で送迎しているケースもあり保護者にとって負担になっています。そのため学校を卒業したらできるだけ近くの施設に通わせたいと思っています。つまり卒業後は地域に戻って生活していくことになれば、そこにどれだけの受け皿があるのかを把握して、量の確保がされなければなりません。

しかし現状では、保護者が学校の進路指導担当者に相談しながら、個別に幾つもの施設を回って進路先を確保しており、受け入れ先はあるのかと常に不安を抱えています。

そこで、サービスの需要と受け皿をマッチングさせていくために、特別支援学校の進路指導担当者と相談支援の拠点である基幹相談支援センターとの連携が必要だと考えますが、見解を伺います。

答弁 (保健福祉部長)
特別支援学校の生徒の進路相談につきましては、 進路担当の先生が中心となって、本人、保護者等の希望と、その障がいの特性を考慮しながら、対応をしていただいております。

特に就労を希望される場合につきましては、専  門機関である障害者就業・生活支援センターが、まずは本人や保護者等からのご相談を受けております。

障害者就業・生活支援センターでの対応が困難な場合は、基幹相談支援センター、障害者・生活支援センター、計画相談事業所が連携して、障害福祉サービスの利用も含めまして、その方にあった処遇について、協議・検討をしているところです。

さらに、困難事例に対して、柔軟な対応を図れるよう、基幹相談支援センターを補完する市障がい者支援協議会の就労支援部会において、特別支援学校の進路担当の先生にメンバーとして参加していただき、情報交換を行うとともに、農業と福祉の連携や就労促進ミニフォーラム、他市への視察等について一緒に活動をしていただいております。

市といたしましては、これまでの関係を生かしながら、事前の進路に関する有効な情報提供や、ご指摘のような卒業後の進路等でお困りの方に対して、どのような方策が適切であるのかなど、十分協議するとともに、より一層の連携を図ってまいります。

先ほど、退職した職員の補充が出来ず、定員に空きがあっても受け入れられない施設があったことに触れましたが、このような介護職員の人材不足や介護離れは全国的にも問題になっています。

市内の事業所にお聞きしても、最も悩んでいるのが介護職員とナースの確保でした。

「福祉の就職フェアでブースを構えていても訪れる人は少なく閑散としている。介護職はキツイというイメージがあり、不況になった時にしか人材が集まらない」と嘆いておられました。

せめて職員の介護離れを防ごうと、職員のモチベーションを上げるために痰の吸引研修などスキルアップの研修費用を施設が負担して人材確保に取り組んでいる所もあります。

介護職の人材確保については、国全体の課題として厚労省が報酬単価の改善策などを打ち立ててはいますが、市民生活に直結する市も積極的に動かなければ困るのは市民。

第5期市原市障がい福祉計画においてサービス見込み量を算定しても、その受け皿が整備されなければ計画は推進できません。

アンケート調査では、平日の日中の過ごし方について「主に自宅にいる」との回答した割合が36.7%となっており、日中活動系サービス利用者は増加していくと分析されています。

今後も増えると予想されるニーズに対応していくために、必要不可欠な人材確保について、どのような策をお考えか、伺います。

 

答弁 (保健福祉部長)
障害福祉サービスや介護保険サービスを行う施設においては、近年、職員の確保及び定着が厳しい状況にあり、サービス提供の根幹である福祉人材の養成及び確保について、経営者や公的機関のみならず、国民の参加も得ながら推進する、国民的な課題として位置づけ、それぞれが処遇改善に取り組むことが重要とされております。

このため、まずは、社会福祉法に基づき基本指針を定め、経営者、関係団体等並びに国及び地方公共団体がそれぞれの役割を果たしながら、質の高い人材の確保につなげる取組及び関係機関による横断的な取組を推し進めることとしております。

この指針においては、ご紹介のありましたとおり、国は、人材の確保のための制度設計や報酬等の設定を企画立案し、都道府県は、従事者の需給状況の把握や研修体制の整備などの取組を進めていく役割を担うものとして、資格取得に係る修学資金貸付等による就業促進、潜在的な有資格者等への職業紹介、労働環境・処遇の改善などの各種施策を講じております。

一方、市町村は、都道府県の取組と連携を図りながら、ボランティア活動の振興や従事者に対する研修等の取組を進めていくことを役割としております。

本市では、地域の資源を生かした人材の確保に取り組むため、関係機関と連携を図りながら、相談支援専門員のスキルアップ研修を定期的に開催しているほか、社会福祉士等の資格取得を目指す実習生を積極的に受け入れることにより、福祉サービスの重要性について啓発するとともに、現場実習の機会を提供しているところです。

今後も、国の基本指針の趣旨を踏まえ、引き続き国県と連携を図る取組を進めていくこととあわせ、多様化する福祉のニーズを的確に捉え、意欲ある多様な人材を福祉の分野につなげる取組についても研究してまいりたいと考えます。