いちはら市民ネットワーク
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  平成23年 9月定例県議会

 
 
意見書に対する山本友子の閉会日討論
 
発議案34号「八ッ場ダム建設事業の早期完成を求める意見書」に反対し、発議案35号「八ッ場ダム事業の検証作業の抜本的なやり直しを求める意見書」に賛成します。

国交省・関東地方整備局が、9月13日、「関係地方公共団体による検討の場」で、「ダム建設継続が、利水、治水、両面において最も適した対策」であるとする検討結果を発表しました。
34号は、その結果を受けて以下の要望を国に行うものです。
すなわち「国の最大の仕事は国民の生命財産を守る事」「千葉県にとっても、八ッ場ダムは治水・利水の両面において県民の安心・安全に不可欠」「国は直ちにダム本体工事に着手し、基本計画通りに平成27年までに八ッ場ダムを完成させる」「総事業費はさらなるコスト縮減を図り、基本計画以内にする事」という趣旨です。
森田知事もまた、9月に「ダムを一日も早く完成させてほしい」と1都5県の知事と共に、国に要望しておられます。

しかし、果たして、八ッ場ダムは、国民の生命財産を守るでしょうか?
8月の豪雨により、ダム予定地近くで、大規模な土砂災害が発生しました。住民が移転する先の打越代替地では、防災ダムで抑えきれなかった土砂が、ガードレールをなぎ倒し、土石流となって川原湯温泉駅前に到達しました。これまでも、同地区は地滑りの危険があると言われ、地滑り対策の費用が増額されてきました。しかし先の豪雨によって、新たに同地域は、土砂の流出、法面の崩落という課題に、直面させられることになってしまいました。これでは、とても、住民の生命を守るどころではありません。
移転する駅予定地は、地盤が不安定で基礎さえ打てず苦慮しております。

こうした現地の状況に目をつむり、千葉県独自に検証さえもせず、国に追随するのは、わが県民に対しても、八ッ場周辺住民に対しても、無責任と言わざるを得ません。
河川の洪水対策としても、ダム建設と河川改修と、どちらが有効か、優先すべきか、の議論は真剣になされておりません。わが会派の代表質問で、ダム建設予定地の危険な現場の写真をお見せしても「国の責任において安全が確保されているものと考えています。」という答弁があるのみです。

利水においてもしかりです。千葉県の水の需要は近年減り、将来的にも横ばいと予測されるにも関わらず、「平成32年が水需要のピークで、ダムが必要」と、根拠もなく県当局は繰り返すのみです。
また「工期の延長、事業費の増額」については、国は、「今回算定した経費は、基本計画の変更に直結しない」と、裏付けもなく繰り返すのみです。しかも、国は「移転地区の対策とダム本体の工事は同時に行うから、工期の遅れはない」と主張しています。駅や道路が移設できないのに、どうしてダム本体工事を同時に進められるのか、理解できません。

その理解不能な国の言い分を千葉県はおとなしく受けたまわっているだけ。県当局の答弁は、相変わらず「県費の増額はない」「なぜなら国がそう言っているから」と、思考停止の答弁を繰り返すのみでした。
「ダム中止」となったらどうするか、という質問に対しても、「現時点で、仮定に基づいた議論は、していない」との答弁です。万一のリスクを考えて対策をとることは、県の役割なのではないでしょうか?
考えたくない「想定外」の事は考えない、というスタンスは、福島原発事故で放射能汚染漏れを想定しなかった東電と国を想起させます。

現在、京都大学の今本名誉教授や新潟大学の大熊名誉教授ら、河川工学や地質環境学などの研究者ら40名を超えるメンバーが呼びかけ人となって科学的・客観的な検証を再度行う国に対して求めています。県民の真の健康と安全を守るためにも再検証が必要です。
よって、発議案35号、国に八ッ場ダム建設の是非の再検証を求める意見書案に賛成します。
34号に賛同された皆様も、再考していただけますよう、強く要望します。

次に、21号「発送電分離と送電の国有化を求める意見書」、および22号「再生可能エネルギー買取法の実効性を確保することを求める意見書」に賛成の立場から討論します。
先の福島原発事故により、原子力発電の拡充に依存してきた我が国の電力政策がいかにリスクの大きなものであったかが、広く国民の周知するところとなりました。
わが会派は「脱原発」をかねてより主張してきました。そのためには、自然エネルギーを含む再生可能エネルギーへのシフトが、緊急課題だと認識いたします。その一環として、電力の自由化を促進するためにも、発送電の分離を基本に据え、送電は公平に行うために国有化しなければならないことは、これまでも多くの識者が指摘してきました。

現在は、千葉県庁をはじめとして、各自治体も電力自由化の波に乗り、PPS(特定規模電気事業者)との契約により、大幅に電気料金を引き下げることを始めました。しかし、送電線が大手電気事業者に独占されている現状では、送電使用量が独占事業によって勝手に設定されるため、自由化が進まないことが、これまでも問題となってきました。
送電を国有化し安定的に電気を供給することは、電力の完全自由化を促し、電気料金の低減にもつながります。千葉県からも、発送電分離を強く要望していただきたく強く求めます。

また、国会では、通称/再生可能エネルギー特別措置法が、8月26日参議院で全会一致で採択されました。そのこと自体は喜ばしい事であり、今後の再生エネルギーの浸透に大いに期待するところです。
しかし、新法は、自然エネルギーの買い取りを義務づけてはいるのですが、例外規定があり「電気の円滑な供給支障が生ずるおそれがあるときは、買取を拒否できる」ことになっています。これまでも、「電力の供給が不安定のなるおそれ」があるとして、大手電力会社は受け入れを拒否してきました。「おそれ」が拡大解釈されると、買取は実質制限されてしまいます。  
また、電気料金への転嫁額(賦課金)の上限設定が予定されています。
買取価格を引き上げなければ採算が取れない、ということで、新規参入に、二の足を踏んでいる事業者が多い、と報道されてもいます。

これではせっかくの電力の自由化にブレーキがかかります。もとより私たちは電力料金が抑制されることを求めています。
そこで、国に対して、①電力全体に占める再生可能エネルギー利用の導入目標を具体的に数値化して促進を促すこと、②むやみに賦課金設定等を行い、新規参入事業者の足を引っ張らないこと、③買取義務や優先接続義務に関して、むやみと例外規定を乱用しないことなどの条件整備を求めています。
再生可能エネルギーへシフトするために、発送電分離を促す21号とともに、採択くださいますようよろしくお願いいたします。 以上で討論を終わります。
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