市民ネット・社民・無所属の山本です。平成23年度千葉県決算に反対の立場で討論します。
本県平成23年度決算は、県税、地方交付税の減額や社会保障費の増大等で、投資的経費は10%を切りました。加えて震災の影響で、本県の経済も大きなダメージを受けました。最終的には公共施設整備基金の廃止等でかろうじて黒字を確保しましたが、職員の大量退職は、今後も少なくても10年間は続くことが予測され、県財政は、油断はできない状況が続きます。こうした財政状況の中、一定の努力は認めますが、国のいいなりの財政支出等も多々見受けられ、7日間にわたる決算審査の過程で、何点か納得できない政策的経費について以下指摘します。
まず、職員の就労形態および雇用の課題です。
平成18年からの「定員適正化計画」で、5年間で1500人の職員を削減し、さらに今後3年間で820人の人員削減を目指しています。現在、再任用職員715人を除くと、正規職員は6739名。一方で非正規職員は1100人前後。
正規職員の数が減っていますので、相対的に非職員の職員に占める割合が高くなり、12%となります。さらに非常勤職員のうち、女性の占める割合は、なんと日々雇用では70%、嘱託職員では68%となります。まだまだ女性の職場環境が厳しいことを思い知らされます。
教育では、平成23年度の定員内補充講師は1402人。小学校に限ってみても、初めから臨時採用職員数 730人を当てにして年度当初からスタートしています。正規教員は、5年間で198人減り、定数内欠員補充講師の人数は、5年で約2倍になりました。
教師の暮らしに安心が有り、ゆとりがあって初めて子どもの心にゆったりと向き合うことができます。いじめの問題の解決の糸口の一つが、こうした教師の働き方にもあるのではないでしょうか?法定定数いっぱいに、正規教諭の確保を図るべきです。
同様のことが、私学の幼稚園や保育所でも言えます。私学は、経営の上からも、比較的給料の安い若年労働者に頼らざるを得ない状況が有り、平均年齢が33歳という事態です。
若者の正規雇用、就労支援をめざす職場であるジョブカフェちばでも同様で、優れた支援員の方々の身分が非正規であることに驚きます。
また、女性サポートセンターでも24時間の電話相談を含めて、14名の嘱託相談員がその対応に追われています。しかしその処遇が、5年で契約が切れる嘱託では、積み上げてきたキャリアが活かせないのは、県にとってもマイナスです。
県民の暮らしを支える最前線で戦っている現場職員の処遇改善をこそ、図るべきです。机上の定員適正化計画で、教育現場や、福祉の現場で定員を減らし、その分、非正規雇用職員で補うことを続けていくと、必ず人の心が荒廃し、しっぺ返しが来ます。
新たな官製ワーキングプアを生みださないためにも、県庁から、同一価値労働同一賃金をめざすべきであり、将来にわたって働き続けられる安心と、暮らしの成り立つ賃金の保障をすべきです。定員適正化計画は、さらに正規職員数を減らし、非正規雇用職員を増やそうとしているとしか思えません。
次に女性施策についての要望です。
審議会・委員会では、女性委員がゼロもしくは1名等の審議会がいまだ散見されます。特に行政改革推進委員会、政策評価委員会、入札監視委員会、防災会議などについては、社会構成員たる男女双方からの多角的な視点の議論が必要であり、女性比率を高めるべきです。DV相談事業では、一時入所施設から出たあとのフォローの充実を求めます。また、県警当局に対しては、DV・ストーカー事案等に機敏に対応するためにも、政策決定できるポジションに女性を登用するよう強く求めます。
また、朝鮮学校に対する補助金は平成22年度にはあった562万円が、平成23年度も今年もありません。いかに政治的に課題があるとしても、今日本に住んで、育っている子どもの学ぶ権利を、国も、県もしっかり保証して欲しい。少なくても千葉県に住み、そこで育つ子どもの学び権利を千葉県が責任を持つことが、大人の度量だと考えますがいかがでしょうか。
農林業については、耕作放棄地は約1万ha。さらに有害獣の被害が追い討ちをかけています。森林保全、林業振興は遅々として進まず、森林の荒廃はますます進んでいます。
木材チップを利用するバイオマス事業は、そのほとんどが失敗し、この上、さらにTPPに参加することになれば、千葉県農林業も壊滅的な打撃を受けることになります。壊滅的な打撃を受けるという試算を一方で示しながら、国に対しては、何ら声を上げない農政担当に、本気で千葉県農業を振興させようという強い意思が感じられず、決算に賛成できません。有機農業を含め、都市近郊農業のあり方を真に農業者の立場に立って模索すべきです。
健康福祉部に関しては、福島原発事故以降、ホットスポットと言われる地域での、子ども、若者を対象に、健康調査をすべきと、ずっと主張してきましたが、今だ取り組みがなされていません。「いたずらに不安を煽るべきでない」と言われますが、放射能による健康被害は、甲状腺がんばかりではなく、様々な病気として現れます。そのことは、チェルノブイリ事故後の追跡調査からも明らかで、事故後、4~5年後から顕著になると言われています。だからこそ、今始めなければならないのです。しかし、担当者は、ここでも、「国の方針を待つ」と繰り返すのみです。
また、子宮頸がんワクチンに対する予算、決算は、むしろ検診こそ有効であり、ワクチンそのものの効果は不明な部分が多いにもかかわらず国の方針に従い多額の予算をつけ、僅かな予算で済むはずの放射能汚染事故に備えるヨウソ剤の備蓄は全く検討もされていません。国のいいなりで、県の独自姿勢が見えないことに、強く抗議します。
工業用水、水道事業ともに、企業、市民ともに、節水努力が浸透し、水需要は減り続けています。生活スタイルも変化し、核家族化、一人暮らし世帯の激増、高齢世帯の増加なども諸要件となり、水需要は、今後さらに減少することは明らかです。この夏の渇水期にも水は不足しませんでした。また、過去60年間、利根川上流部を原因とする大洪水にも見まわれていません。放射能対策同様、国のいいなりになるのでなく、県自らダムの必要性を検証すべきです。
無駄な公共事業の象徴ともなった八ッ場ダム事業から、撤退し、今後の県負担金は、老朽化してきた施設の維持補修等に回すべきです。
その他、細部にわたって様々な指摘をしてきましたが、賛成できない以上の理由により、市民ネット・社民・無所属会派は、平成23年度決算を非認定とします。 |