いちはら市民ネットワーク
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市議会レポート【個別質問】うわぶ玲子

1.総合計画について

この度、改訂市原市総合計画(案)が示されました。この計画の特徴としていくつか挙げられますが、大きなことは「挑戦指標」が掲げられていることです。第6章の市民まちづくり事業をのぞく全ての政策項目に対して、2015年にどれだけ成果を挙げるかということを、数値で表しているわけですが、わかりやすさということで、大いに評価いたします。
そこでお聞きしますが、2015年の挑戦値の数値は何を基準に算出したものでしょうか。お聞かせください。内容を見ていきますと「このくらいの数値が妥当かしら」と思うものから「相当がんばっている」「もっと上をめざして」など、私見ですが、いろいろ感じるところがあります。
また、挑戦指標を掲げた大きな目的は、「市民の視点から見た成果重視の、市政運営を目指す」とあります。確かに全ての事業は市民サービスです。サービスの受けてである市民がどう評価するのか、ということが重要というのは、あたりまえなのですが、これまではなかなかそういう仕組みは作られてきませんでした。
今回のように数値化し外部に示すことで、情報が公開され、市民の誰もが施策の進み具合についても、議論することができるわけです。
この市民からの評価は具体的にどのような方法で行っていくのでしょうか。お聞かせください。
また、市民からの評価を適切に受けるためには、何といっても情報公開が絶対的な条件です。行政と市民が対等な情報を持つことが、本物の「協働」を作り出す近道でもあります。行政と市民が対等な情報を持つということについて、どうお考えですか、またそのためには現在の何を変えることが必要でしょうか、ご見解をお聞かせください。
また、どんなに立派な計画でも、実行がされなくては何の価値もありません。この総合計画の実施力を高める鍵は何にありとお考えですか。お聞かせください。
次の特徴として、市民提案の市民まちづくり事業が入っているということです。市民が自分たちの暮らす地域社会の課題について、自ら考え議論しまとめ上げたものを提案するということは、画期的なことです。「市民参画」の実践であり、市民と行政との「協働」を進める上での、大きな実験の場でもあると考えます。
市民、行政双方にとっても大変なご苦労があると思いますが、是非成功させたいものです。そこでお聞きしますが、この事業の実行と達成についてはどこがどのように責任を持っていくのでしょうか。お聞かせください。
市民の提案型事業は「プラン」「実行」「チェック」の段階での「市民参画」は当然かかせないものです。計画書には「この提案事業の行動が円滑に実践されるよう、積極的な支援を行っていきます。」とあります。
プランの次は「実行」がほんとうに大きな鍵であり、課題でもあります。行政としての対応はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。

2.市民活動の育成と行政の役割について

時代の要請のなかで国も地方も社会の仕組みとして、市民・民間と行政との協働が、必要不可欠なものとして語られるようになりました。市民力、地域力はまちづくりを進めていく上で、最大の力であり、この力をどう育成し、市民と行政の対等な関係、パートナーシップを築いていくかが、まちづくりと行政運営を進める上で、最大のポイントといえるでしょう。
本市でも市長の所信表明を始めとして、今回示された「改訂総合計画」や各種の計画には「市民参画」や「協働」への取り組みが中心を成していることがわかります。
しかしながら日本社会においては「お上」という言葉が存在してきたように、「市民」という権利や自覚が欧米社会に比べて希薄でした。また行政側も市民を信頼しないという関係が続いてきました。
社会の体質的なこともあり、行政と市民との「対等」な関係を築くことは、言葉ほど簡単ではなく、どこの自治体においても、思考錯誤を繰り返し、苦労を重ねながら進めているのが実態といえるでしょう。
本市でも市民活動やNPO支援の担当部署ができ、対応が始まっていますが、まだまだ不十分です。
しかし、17年度予算で仮称・市民活動支援センター事業費、「ともに築く地域社会」提案実施事業費などが新しく増えたことは、具体的取組に向かって進み始めたということで、期待したいと思います。
現在、市民活動についてのルール作りなどが進められているようですが、まずは、これらの会議についてお聞きします。昨年3月には「市民活動推進協議会」が設置されています。また今年の1月には「市原市協働によるまちづくりルール策定会議」が設置されそれぞれ会議が開かれていますが、それぞれの目的・役割はどのように違うのか、お聞かせください。二つの会議はメンバーも重なっていることもあり、連携が必要と考えられますが今後の方向についてお聞かせください。
市民活動のルールづくりや育成については、いくつかの自治体の取り組み事例をみましても、一定の時間をかけ、市民の自立性や自主性を基本にしながら方針やルールを策定する・・・その課程そのものが市民、行政にとって「パートナーシップ」についての学びの場になっているということを聞いております。
ワーキンググループなどの取り組みも含めできるだけ多くの市民がこのルールづくりに関わる仕組みが必要と考えます。先般、視察した松戸市などでは、パートナーシップ検討委員会に公募委員60名、2年間にわたりさまざまな議論と調製を繰り返し、提言書をまとめたとお聞きしました。それでも市民の一部の参加しか得られていないし、実際、活動も知られていないと担当者の方がおっしゃっていらっしゃいました。
市原市においても「パートナーシップ」への取り組みは、政策の大きな柱になっています。17年度にあがっている「市民活動支援センター」事業も含めて、パートナーシップを進める主な政策は何なのか、また今後の進め方についての見通しを、お聞かせください。
また、本市では「市民会議」の取り組みがパートナーシップの実践として、大きな特徴であると考えます。今後、市民会議の実践をどのように生かしていくのか、お考えをお聞かせください。

3.基幹型在宅介護支援センターと高齢者福祉について

今回、組織・機構の一部見直しのなかで、高齢者福祉施策の充実を図るため、基幹型在宅介護支援センター機能を加えるということがあります。以前からその必要性を申し上げてきましたが、ようやく組織的に位置づけられるということで、行政の役割を果たす意味で、評価します。
そこでお聞きしますが、この基幹型在宅介護支援センターの現在求められている具体的な役割は何でしょうか。お考えをお聞かせください。
実施計画案では、在宅介護支援センターシステム構築事業が提案されています。地域型、基幹型間のネットワーク化、情報交換の迅速化とありますがこれによる成果は何を期待するのでしょうか。
これまでは在宅介護支援センターが当初の目的からはずれて、一事業者の情報提供に偏り、利用者にとって必ずしもよい役割を果たしては来なかったと思います。今回の事業が本来的な行政の役割をも、一歩進めるものとして期待しますが、この事業実施にあたって、人員配置を含めて、どのような機能強化がされるのでしょうか。お聞かせください。
本市においても17年度の「地域福祉計画」の策定に向けて、市民主体の会議が設置され、議論が始まりました。これから各地域単位の会議が持たれていくものと思います。地域における福祉の課題を、できるだけ地域の力を発揮することで解決していこうということですが、将来的には高齢者福祉だけでなく、地域における横断的な福祉の拠点として、この「在宅介護支援センター」を考えていくことも、必要ではないでしょうか、お考えがありましたらお聞かせください。
今後、ますます高齢化は進みます。「高齢化率何パーセント」という数字だけでは「そうか、大変だなー」ぐらいの感覚ですが、実際、地域をまわってみますと、「高齢化社会」が目前にあることを実感させられます。高齢者同居の家庭が増えていることはもちろん、高齢者のみの家庭、独居の家庭もほんとうに多く、個々、それぞれに多くの悩み、問題を抱えていらっしゃいます。
もちろん、ほとんどの高齢者の方が健康にも恵まれ、それなりに自立した生活を過ごしていらっしゃるわけですが、「年をとっても、誰もが安心して地域で暮らすことができる」ということを普遍的な目標としたときには、取り組まなければならない多くの課題があるわけです。現在、800名近い待機者を抱える特養施設の建設問題、グループホームの充実を含めた、在宅福祉制度の充実など、「安心して暮らせる福祉社会の実現」までは、ほんとうに長い道のりがかかります。
今回提案されている実施計画では、3ヵ年の取り組み方向が示され、「外出支援サービス事業」「「介護相談員派遣事業」など具体的な事業がいくつか提案されました。懸案だった課題への取り組みが示されたことは評価します。
また総合計画に示された2015年の「将来の姿」をみますと、更に具体的なイメージがわいてきます。ぜひ、質の高い事業が実施されるよう、施策の展開をはかっていただきたいと思います。
このように高齢化社会に備えることは財源の確保やマンパワーの確保も含めて、容易ならざることと思いますが、10年後市原市の高齢者福祉のレベルは、ランクとしてどこまで引き上げられるのでしょうか、お聞かせください。

4.次世代育成支援行動計画について

少子高齢化は社会全体の課題ですが、市原市においても当然同じ流れのなかで、平成15年度の出生率は1.25と毎年下がり続けています。また、市民からのアンケートによりますと、子育てが楽しいと感じながらも、保育や教育内容に満足している人の率は3割以下になっています。
市原市の子育て支援に対する、市民の満足度はまだまだ低く、各分野に対して要望が高いのがわかります。
このたび、市原市次世代育成支援行動計画の素案が示され、パブリックコメントの募集中とうかがっております。この行動計画を中心にいくつか質問させていただきます。
まずは「基本的な考え方」の部分ですが、「ともに育てよう 元気な いちはらっこ」ということで、保護者とともに地域社会全体でともにそだてよう、という視点はその必要性も含めて賛成です。
ひとつ大きく気になるところは、支援の対象である「子ども」自身の視点、そして権利の立場から書かれた部分が、見当たらないということです。子どもは保護の対象ではありますが、一方で当然ながらひとりの人間として、別個の人格を持った存在でもあります。
「児童の権利に関する条約」いわゆる「子どもの権利条約」が日本でも平成6年に批准されました。また、増え続ける児童虐待の防止対策のため、平成12年には「児童虐待の防止に関する法律」が施行され、その後更なる改正が行われています。しかし社会環境の大きな変化のなかで、子どもの人権をめぐる問題は、複雑化、深刻化しており、更なる対策が必要とされています。このような問題の背景には、大人が子どもを未熟な存在として支配的な意識を持ったり、保護や教育の対象としてのみ見ることによって、子どもの主体性や、社会性の欠如を招いていることもひとつの要因であると考えられています。
「子ども」を一人称でとらえ、「子どもの権利・社会参画」を出発点にした施策展開が必要と考えますが、ご見解をお聞かせください。
次にこの「素案」には、「市原市の子育て支援に関する現状」ということで、アンケート調査結果と課題の整理がされ、とてもわかりやすく読ませていただきました。市原市の子育てにおける課題がほぼ、網羅されているとも思います。
この課題が実際の「施策と事業」のなかでどれだけ解決、達成されるのでしょうか。現段階では数値化されていませんが、今後どのように示されるのかお聞かせください。
次に、市民による検討会の必要は前から申し上げてきましたが、この素案作りにあたっては残念ながら「市民参画」があまりはかられなかったと認識しております。
確かにアンケート調査結果が生かされてはいますが、公募委員などを入れた会議をもち、議論をすべきだったと思います。パブリックコメントを出すについても長文にわたる資料を読みこなし、意見を述べるということじたいが、子育て中のお母さんたちにとっては、大変なことです。
広く市民の声を聞き、またこのような計画が作られるというのを知ってもらうという目的からも、パブリックコメントが集まった時点で、例えば「タウンミーティング」のような形の、意見交換会を開いてはいかがでしょうか。もちろん託児つきの会場にしてです。お考えをお聞かせください。

5.出前講座「おでかけ君」について

市民とのパートナーシップということでは、まずは市のやっていること、取り組んでいることを出来る限り市民に知ってもらい、そしてまた、積極的に市民とのコミュニケーションの場を持つことだと考えます。
 その意味で出前講座「おでかけ君」はとても有効な施策です。出前講座方式の取り組みは全国的に展開されており、本市では平成10年に取り組みが始まったということで、比較的早い時期の導入だったと思います。今、市民との「協働」や「パートナーシップ」がこれだけ重要視されるなかで、あらためて「おでかけ君」の意義を考えてみました。
 そのひとつとして、行政の仕組みや、取り組みの現状について市民に知ってもらう「啓発・広報」の意義があります。
また、市民の反応や意見を仕事にフィードバックすることで、「行政運営を深化させる」ことができ、より質の高い行政運営につながります。
行政改革の大きな柱である「職員の意識改革」に向けた具体的且つ効果的な方策であると思います。
この制度が導入されるころは「市民参加」の意義は言われてはおりましたが、市民との「協働」や「パートナーシップ」という言葉や意義は、語られませんでした。市民にもそれなりに浸透もしているこの制度を、もう一度見直し、リニューアルすることでより効果的な仕組みにしてはいかがでしょうか。
そこでお聞きしますが、これまでの取り組み状況をみますと、全体的にバラつきが多く、全く実施していない部や課もありますが、それについてはどのような把握をしていらっしゃいますか、その原因はなぜなのか、お聞かせください。
「市民に仕事を知ってもらう」という視点に立てば、各課で最低一つは「おでかけ君」の項目を掲げるべきと思いますが、今後の取り組み方について、お考えをお聞かせください。

6.未給水区域への対応について

本市の水道事業は50年余りの歴史がありますが、社会経済情勢などさまざまな変化のなかで、水道事業が進められ、今日に至っていることがうかがえます。
現在の給水戸数は1万6千戸あまり、一日平均給水量は17,518立方メートル、年間給水量は約640万立方メートル、また給水面積は市全体の3分の2にわたっています。
市民の命を支える重要な役割をもっていますが、またいくつかの課題を抱えてもいます。石綿配水管の布設替えや、未給水地域の解消など費用はかかりますが、粛々と進めていかなければならないことでしょう。
そこでお聞きしますが、このたび示された総合計画および実施計画に、未給水区域の解消として、具体的な箇所があげられていますが、これによって3ヵ年、また2015年までに未給水区域の何割が解消されるのでしょうか。
 またこれまでも度々問題になりました、瀬又4団地についてですが、専用水道組合の施設が老朽化しており、かねてから、市営水道への強い加入要望が、住民の方から寄せられておりました。関連の工事が進められているとは聞いていますが、これまでに給水開始年度がなかなか示されませんでした。
 今回の総合計画にはどのように反映され、給水開始年度はいつ頃に想定しているのでしょうか。お答えください。
 また、市営水道の何割かに地下水が利用されています。最近は新井浄水場の能力アップや、地下水井戸の老朽化もあってか、表流水への転換が進んでいるようにも思えるのですが、今後の方向についてお聞かせください。
地下水は薬品の添加もほとんどなく、地下水を使い続けることで、周囲の自然環境を保全しなければならないし、結果として環境保全につながるという、大きな意味を含んでいると考えます。

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