全国各地で、イジメによる自殺者が、後を絶ちません。11月17日には伊吹文部科学大臣が、小学校・中学校・高校生の子どもたちと大人に向けて緊急アピールを出しています。
「子どもは、社会を映す鏡」と言われていますが、まさに行き詰った希望の見えにくい大人社会の反映だと感じます。
又、幼い頃から塾や習い事で、時間の余裕が無く、目いっぱい遊んだ事の無い子ども達のストレスの重さを、「子どもの権利条約」の観点から国連・子ども権利委員会は指摘し、日本に対し、学校での系統的なカリキュラムによる人権教育および教師への研修プログラムの必要性と、競争によるストレスおよび学校嫌いの防止など、踏み込んだ提言を行っています。イジメはどこでも起こり得る問題です。現実の大人社会でもいたるところにいじめの構図はあります。もとより、いじめられる子どもの心身の痛みを理解し、除く取り組みはしなければなりません。しかし、一方、いじめる側の子どもの心もまた病んでいることを認識し、対応しなければなりません。それなのに、国ではイジメ対策として、いじめに加担した教師への懲罰やいじめた子の出席停止などの、即物的な対策が取られようとしています。果たして、それでいじめ問題が解決するのでしょうか。なぜ、子どもたちはイジメをするのか、その原因を探り、根本から取り組む事が必要ではないでしょうか。往々にしていじめる方は力が強く、周辺にいる子どもは、自分がいじめられる側になることを恐れ、見て見ぬふりをするか、つられてイジメに加担してしまう問題もあります。
以前、議会でも取り上げましたCAPプログラム(child assault prevention・子どもが暴力から自分を守るための教育プログラム)を取り入れ、役割劇(ロールプレイ)を通して
イジメを静観する傍観者から行動する傍観者に変え、自分の大切さを知り、人の権利も大切にする子ども達を育くみ、イジメを減らしている学校もあります。
子どもが、本来持っている力を引き出し、自分で考え行動できるようにすること、自分に自信を持ち、将来に希望を抱き、毎日の学校や家庭や地域での暮らしを楽しむ力をつけることが大切ではないでしょうか。しかしながら現状は、子どもたちから学ぶ楽しさや生きる喜びを奪い、学力中心の教育のあり方が、できる子とできない子を二分化しています。経済格差が、そのまま教育を受ける機会の格差につながり、就職難などの問題に結びついて、将来の経済格差につながる教育のあり方、社会のあり方を根本から問い直す必要があります。
さて、このような中、政府は戦後教育の荒廃は教育基本法の不備だったから引き起こされたかのように言いはやし、教育基本法を変えようとしています。この基本法は、日本国憲法が制定された翌年に作られ、教育の目的を、戦前の教育勅語による臣民教化から、一人ひとりの人間性の開花をめざす、主権者国民の自己形成へと転換していくものへと変えました教育基本法前文には、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに普遍的にして、しかも個性豊かな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない」と高らかに謳いあげています。
教育基本法を変えたいと思う政治家は、子どものモラル低下、子どもの犯罪率の増加をあげますが、戦争直後の50年前に比べて少年犯罪発生率は五分の一以下になっているのです。確かに親殺し、子殺しなどの惨い事件は跡を絶ちませんが、それは教育基本法のせいではありません。私には日本国憲法を変えようとする人たちの狙いが、次には日本国憲法を変え、戦争ができる国にしようとしているとしか思えません。
そこで、4点お尋ねいたします。
1点目、教育委員会はいじめ対策月間として、10月30日から1ヶ月間・夜8時まで電話相談を受け付ける対応をしたことは評価するものです。通常の数倍の相談を受けたと聞いています。そのほかに、いじめの問題にどのように取り組んでおられるのでしょうか?又、教育基本法を変えれば、現場のイジメや非行などが解決するとお考えでしょうか?
2点目、改正案では、政府が教育振興基本計画を策定し、それに沿って、地方公共団体も計画を策定することになっていますが、それは、自治体の自治権、裁量権の侵害にあたるのではないでしょうか?
3点目、「学力向上と競争意識の涵養」のため、来年春から、小学校6年生と中学校3年生対象に全国一斉学力テストが実施されようとしています。過去に、一斉学力テストは学校間競争を激化させ、色々な弊害が生じ1966年に廃止されました。
敢えて今再開し、行う意味をどのように考えておられるのか、お聞かせ下さい。
4点目、政府はイジメ対策に緊急性が高いと判断し、補正予算を組むことになりました。市原市では既に、全部の中学校にスクールカウンセラーやアシスタントを配置しています。しかしながら、昨年に比べて時間数が減らされています。今回又、見直されると思いますが、カウンセラーや現場の先生方が忙しくしていると子ども達は、相談しにくいものです。もっと余裕のある対応ができるように、人手を増やす事も検討しなければなりません。現場教師は部活指導にも多くの時間を割かれています。ゆったりと子どもの相談にも乗れるような、負担軽減の工夫についてお聞かせ下さい。