辰巳団地は京葉臨海工業地帯の企業団地として、昭和35年から41年にかけて県住宅供給公社の前身である千葉県辰巳団地建設協会が開発。まちの骨格はすでに完成しており、以来、都市計画上の図面では大きな変動はありません。
しかし、企業団地として栄え、オイルショック以降衰退し、そしてまた住宅団地として再生しつつある・・・そんな40年余りの流れは、人口の推移をたどっても、くっきり浮かび上がってきます。
昭和39年に辰巳団地が誕生、人口は9年後の48年に17,662人でピークを迎え、その後、徐々に減って、平成13年の12,394人で底をつき、その後はゆるやかにしかし確実に増えてきています。平成19年は12,714人。この6年で、約300人の人口増になっています。
老朽化し、空き室の多くなった社宅が次から次へと取り壊され、戸建てが立ち、街の風景は大きく変貌しつつあります。今までは幾分腰掛け的であった社宅住まいから、子育てするまちとして、あるいは終の住処として辰巳台を選んだ方々の活気にあふれたまちになっています。
その一方で社宅団地が壊されていくことの弊害がでてきています。公園や、緑が少なくなった、街灯が少なくなった、社宅の自治会や子ども会がなくなった、新しい住宅地には町会や防災の組織が未組織のところが多い、・・・などの住民の声が聞かれます。ちなみに辰巳台地区町会加入率は6月1日現在で64.6パーセントで、市の平均とほぼ同じですが、町会未組織区域は地図で見ると、新しく戸建ができた地域と重なっています。今後、社宅取り壊しが進むにつれ、さらに未組織区域は増えていくことが予測されます。
そんな辰巳台のもうひとつの顔、それは「辰巳ふれあいセンター」を拠点とした福祉を中心にすえてのまちづくりが市内でもっとも盛んなところであるということです。辰巳台地区では顔の見えるまちづくりとして地域ぐるみ福祉ネットワークを立ち上げて、19年目を迎えています。
先日訪問し、話をうかがったところ、利用者は1日平均77人、2006年度は年間14,410人が利用され、年間のべ1,000人以上のボランティアが関わっておられるとのことでした。子育ての会、高齢者の生きがい活動、会食・配食サービス、なかでも平成17年11月に始めた有償サービスのたすけあい「辰巳猫の手」は、辰巳地区を中心とした会員が100人を超え、市内でも先駆けのこころみとして注目されています。
そんなまちの成り立ち、まちの声を背景に、3点ほどお尋ねします。
- 社宅を取り壊しては新しい住宅が次々できつつありますが、町全体を俯瞰した計画が不在です。地域核として位置づけられている辰巳台のまちづくりについて、市は今後、どう展開していこうと考えていますか?
今まちづくりは、各地で、住民との「協働」を合言葉にすすめられています。住民が主体となってまちづくりをすすめるために、市は新都市計画マスタープラン策定に先立って、各地で意見交換会を開いています。確かに住民自らが積極的にまちづくりに参加することは、大切です。しかし、新しい住宅地は町内会が未組織であったり、町内会ができるまでに時間を要したりして、「今後5年、10年を予測したまちの課題」について住民が主体となって取り組む体制がまだできていないというのが現状のように思います。未組織な地域にも働きかけて、計画的で潤いのある辰巳台のまちづくりについて、早急に住民と協議する必要があるのではないでしょうか?今後の計画をお聞かせください。
たとえば、公園について述べますと、「都市計画による公園はすでに作ってあるので、新たに作る必要はない」との行政の回答があるのですが、社宅がほとんど取り壊されようとしている現在、社宅内の公園や緑地が急速に減っております。現在の公園占有率はどのくらいでしょうか?それは、ちはら台、国分寺台などと比べて充分な公園占有面積となっているのでしょうか?お聞かせください。
- 東部保健福祉センターについてお尋ねします。
現在、菊間にある東部保健福祉センターは福祉部門のみの整備であり、保健部門については、菊間保健福祉センターの「補完施設」として、辰巳台に作る計画になっているとのことです。19年度までの実施計画には「東部保健福祉センターの整備」が明記されています。
「補完施設」に地域福祉がさかんな辰巳台の地域的特性をぜひ加味してほしいと思いますが、いかがでしょうか?拠点あっての地域福祉です。「補完施設」の内容と、いつからとりかかる予定であるのか、お聞かせください。
また、この「補完施設」の内容については、辰巳台の住民が協議会等を組織して、その活用のしくみづくりに携わるのも一案ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
- 京成電鉄ちはら線予定地についてお尋ねします。辰巳台東3丁目日本板硝子社宅と西2丁目のあたらしくできた住宅地の間に、京成電鉄所有のほぼ1ヘクタールの谷津田があります。この土地については、このままにしておくとごみの不法投棄現場となるのではなどの懸念等より、ほかの用途を考えたほうがよいという住民の方、また、ちはら台線誘致に夢を託す方などの間で、意見がわかれています。
いずれにしても辰巳台のほぼ中心にあたるこの場所が今後どうなるのか、付近の住民にとっては関心の深いところです。まずは、お互いの考えを率直に述べ合う機会をつくることが、今必要なのではないでしょうか。そのまちの課題や問題を同じテーブルで住民が語り合うところから住民のまちづくりへの参加が始まるのではないでしょうか。この土地に関しての市の見解をお聞かせください。