図書館で、『ハッピー・ワーキングマザーBOOK』という本を見つけました。2006年発行で、明るく働き続けることを目指すワーキングマザーおよびその予備軍のための、インターネットサイト「ムギ畑」が編集です。「4000人に聞きました」と表紙にありますが、なるほど働くお母さんとその予備軍の声が満載されています。
制度が整っていない。制度があっても実態がない。実態があっても周囲の理解が不足している・・・。雇用均等法施行から21年、働くお母さんは増えてきましたが、まだ日本の労働環境はそんなところをうろうろしています。そして「仕事も、子育ても」この当たり前の暮らしを実現するために、いまだ多くの女性たちが、へとへとになりながらも、あきらめずに日々格闘しているさまが、ありありとうかがわれます。
この本の中で特に印象的だったのは次のくだりです。「自分の体験や、身近な人たちの話を見聞きしていつも感じるのは『ワーキングマザーの子育ては体力的にきつく、専業主婦の子育ては精神的にきつい』ということです。どちらにしても世間で思われているほど楽ではありません。専業主婦とワーキングマザー、どちらが絶対的にいいということはありません。どちらにも一長一短はあります。ただ、自分の子どもを本当に可愛いと思いつつも、子どもと一緒に密室に閉じ込められることに恐怖を感じている女性がこれだけたくさんいるという事実は社会全体で重く受け止めるべきではないでしょうか。」というくだりです。
また、次のような興味深いデータがあります。平成15年の「厚生労働白書」によると、1歳以上の子どものいる夫婦について、妻の就業歴と平均出生児数との関係を、結婚持続期間10〜14年の妻で比べた場合、全国平均では、再就職型2・17人、正規継続型2・16人、専業主婦型2・11人で、専業主婦よりも働いているほうが子どもの数が多い。また、再就職型、専業主婦型はいずれも1997年の前回調査より減少していますが、正規継続型の場合は逆に子ども数が増加している。つまり細々とでも仕事をやめずにつないでいくほうが子どもは持ちやすくなっています。これには育児休業取得割合の増加などが影響していると思われます。
この2ヶ月ほど白幡小学校の学童保育設置署名のお手伝いをさせていただく中で、働くお母さんにたくさん出会いました。私自身いま16歳の息子が生まれるときに周囲の条件が整わずに続けたいと思っていた仕事を断念しました。専業主婦も10年経験しています。専業主婦として幼い子どもと密室で向き合う精神的なきつさもよくわかります。同時代に子育てをしている者として、すこしでもお母さんたちのお手伝いができないものかと、模索しております。
子育て支援については、まず、認可外保育所の助成についてお伺いします。平成14年から認可外保育所の届出制が導入され、16年から届出したところには県が立ち入り調査をしています。平成17年度から県の立ち入り調査で一定基準を達した施設に対し、適格証明書が出されています。市原市では届出をしている認可外保育所が15箇所、そのうち適格証明書をもらっているのは8箇所です。
認可外保育について東京都の認証保育所や、横浜市の横浜保育室のように調理室もそなえた準認可的な施設から、かつて死亡事故が起こった「ちびっこ園」のような危うい施設までさまざまです。子どもの安全はもとより、保育者の人数、保育内容、食事内容など質の確保を進めていくのはいうまでもないことです。
一方「低年齢児を少人数のクラスで見てくれるので、大規模な保育園よりも安心感があった」などの親の声も聞かれ、施設面は恵まれなくても、小規模なだけに小回りが利き、保護者や子どもの一人ひとりの事情に合わせてくれるきめ細やかさが見られるところもあります。
公的な保育所不足が続く中、基準を設けて、認可外の保育所に助成をしている自治体が増えてきています。10月に教育民生委員会の視察で仙台へまいりました。仙台市ではA型、B型に分け、県の基準よりさらに厳しく独自の基準を設け、それをクリアした認可外保育所に対し、助成しています。平成14年に11箇所、5千万円で始めた助成が18年度は52箇所、7億2千万円となっています。千葉県においては市川市、船橋市、習志野市、柏市、浦安市、四街道市、そして大網白里町が認可外保育所関連対策として、それぞれの市町村独自の事業を行い、保護者または施設に助成しています。
認可外の場合、保育料に世帯所得による軽減がなく、特に長時間預けると高額になります。今市内で認可保育所にかよう子どもは最高5万8千3百円の保護者負担です。認可外保育所では 8万円の負担をされる方もおられます。子どもが複数になるとその負担はさらに増えます。
良質な認可外保育所に対して、助成をしてほしいと思います。助成をきっかけに、認可外保育所全体の質も向上していくのではないでしょうか?
市原市は現実施計画に載っています。これからの計画について具体的にお聞かせください。
次に病後児保育についてお尋ねします。「市原子育て応援団」という市内で子育て真っ最中のお母さんたちが運営しているホームページ上で、「働くママの一番の悩み」として挙げられているのが病気になったとき。子どもが病気になったからといって気兼ねなく休める環境に日本の職場はなっていないのが現状です。今光風台と姉崎で2箇所実施されています。
現在の利用状況はいかがでしょうか?設置場所等含めた今後の増設の計画についてお聞かせください。
学童保育についてお尋ねします。委託先は、次年度4月で3年経過のため見直しとのことで、広報いちはら11月1日号に学童保育委託先の事前調査会実施の案内が掲載されていました。現在は公設民営で、21箇所を2箇所に委託しています。
今後学童保育設置を増やす予定とのことですが、委託先の方針について具体的にお聞かせください。
また、「放課後子どもプラン」は、文部科学省の推進する「放課後子ども教室推進事業」と厚生労働省の推進する学童保育を、市町村で一体的、あるいは連携して進める総合的な放課後児童対策として昨年5月に政府が創設。2つの事業がそれぞれに出していた、実施要綱、補助金交付要綱、申請窓口を一元的にし、教育委員会主導で、原則として学校施設内で実施するとの方針になっています。これについては2つの事業は目的も内容も実施状況も大きく異なっている、それぞれを拡充しての「連携」はありえても、同じ場所で、同じ職員が2つの事業を行う一体化はありえないなど、学童保育関係者ばかりでなく、全国の自治体の担当者からも抗議や悲鳴の声があがっており、「放課後子どもプラン」は進んでいないのが現状です。
近年の学童保育要求の広がりの中で、学童保育の量的・質的な拡充をはかるのではなく、すべての子どもたちを対象にした遊び場的事業を実施して、学童保育を廃止する動きがあります。川崎市や、品川区の両自治体はともに学童保育を有していると説明していますが、施策上も実態としても学童保育はなくなっています。また、世田谷区、江戸川区、豊島区などは施策上は学童保育を実施している形になっていますが、留守家庭児童のための専用室も専任指導員もなく、子どもたちの毎日の継続した生活を保障するものではありません。川崎市では学童保育があったときと比べて、親が働いている子どもの利用は半減し、多くの「留守宅家庭」が新たに生まれている、その一方で市からの助成金が一切無く、月額2万円を超える保育料を払って13箇所になった民間の学童保育に入所する家庭が増えてきています。
ますます増える共働き・ひとり親家庭の「わが子に安全で安心して生活できる施設を」という願いに応えるためには、「全ての子どもたちを対象にした遊び場提供事業」ではなく、学童保育の量的・質的な拡充こそが求められます。もとより地域に子どもの居場所を増やすことに対しては賛成なのですが、「放課後子どもプラン」について安易な実施は、現場に混乱を招くばかりでなく、子どもの安全性に疑念を感じざるを得ません。
市の学童保育の拡充と「放課後子どもプラン」との兼ね合いと、今後の方針について見解をお聞かせください。
地域の子育て支援事業についてお伺いします。厚労省は2007年度から地域の子育て支援拠点の整備を進めるとして、子育て支援センターのような「センター型」、つどいの広場のような「ひろば型」、そして「児童館型」を、子育て支援拠点事業として再編し、拡充を進めています。
市内の子育て支援の拠点を11月の半ばに次々と訪問いたしました。
サンプラザのちびっこふれあいひろば、児童館、子育て支援センターともに、以前訪れたときに比べると利用者がかなり増えてきていることに驚かされました。
子育て支援センターは、現在はちはら台保育園、五井保育所、杏保育園の計3箇所です。現実施計画では椎津保育所にも設置予定となっています。子育て支援センターは全国で83%が保育所で実施されています。市内3箇所とも保育所ないし、民間の保育園内での実施です。
利用者の多さを目の当たりにすると、このような子育て支援の拠点が必要とされていることをひしひしと感じます。また、一方で、けして広いといえない園庭で、保育所の子どもと、支援センター利用の親子がひしめき合っている様子もうかがわれ、有料で保育されている本来の保育所の子どもたちの保育環境が確保されているのか、懸念せざるをえません。
子育て支援センターの増設と現状についてのご見解をお聞かせください。
また、これからの地域子育て支援拠点事業の方針と展開についてお聞かせください。
辰巳台ふれあいセンター内で実施されている「子育てサロン“SUKU・SUKU”」についてお尋ねします。週4回、一日5時間開かれており18年度の利用者は5556人、19年度は6月以降は月に600人程度が利用されるなど、子育て支援の拠点として地域の親子連れに頼りにされている場です。ボランティアスタッフ41人がシフトを組んで、長時間の子育て支援を実現させています。現在「子育てサロン“SUKU・SUKU”」の活動そのものには助成を受けておりません。先日お訪ねしたところ、手作りの温かさにあふれ、訪れたお母さんたちが和やかな表情をしていたのが印象的でした。
これだけの規模の子育て支援をボランティアで実現させているところは市内ではほかにはありません。去る11月2日、このふれあいセンターを地域福祉の拠点として活動を展開している社会福祉協議会の辰巳台支部が、優良地区社協として全国社会福祉協議会会長賞を受賞しました。地域と連携しながらの福祉教育推進事業が高く評価されてのことで、支部単位での受賞は初めてとのことです。「子育てサロン“SUKU・SUKU”」の存在がこの表彰に大きく貢献していることはいうまでもありません。
ひとえにふれあいセンターの使用を平成17年に許可してもらったためと関係者はつねづね感謝しているのですが、実はこのふれあいセンターが21年の3月で耐用年数の関係で使用できなくなるのではないか、とのことで、「子育てサロン“SUKU・SUKU”」の存続が危ぶまれています。
また、11月26日に議案説明が行われたなかで、20年から22年にかけての次の実施計画について報告がありました。現実施計画にのっている「東部地区の保健センターの整備」が、報告書に見当たらなかったことが、たいへん気になっております。
子育て支援の場としても利活用されている辰巳台の地域福祉の拠点は、今後どうなっていくのでしょうか?お考えをお聞かせください。
(子育て支援について・再質問)
子育て支援については、辰巳台の地域福祉の観点からお尋ねします。
先ほどのご答弁では東部保健福祉センターでの対応を考えておられるということでしたが、21年の3月で耐用年数が切れるとのことです。
ふれあいセンターの利用者は現在週4日で、月に1000人以上にのぼっています。そのうち600人が「子育てサロン“SUKU・SUKU”」の利用者です。
五井の市民活動センターの一ヶ月あたりの利用者が500人であることから見ても、その利用状況が想像できると思います。
こ市内の地域福祉のモデルとなりますし、そのマンパワーたるやすごいものです。
これが、なくなってしまうことは「協働」をかかげる市にとっても大きな損失ではないでしょうか?
「立派な場所でなくてもよい。使いやすい場があれば・・・」というのが、ふれあいセンターのスタッフの言葉ですし、現在のふれあいセンターを2年前に市が提供してくださったことに大いに感謝しつつ活動を展開しておられます。
しかしながら、21年の3月というとあと1年ちょっとしかありません。
いちど中断してしまえば再び立ち上げるのはかなりなエネルギーを要することは、容易に想像できます。
ぜひ具体的に中断しない形で場を確保していきたい、市も一緒に真剣に考えていただけたらと思います。お考えをお聞かせください。
(答弁)
- 認可外保育所は、具体的検討を進めている。
- 病後児保育は19年上半期は月平均40人の利用者がある。さらに一箇所の増設予定。市民ニーズを見極めつつ、検討していく。
- 学童保育運営に関しては来年度以降の委託先の選定方法について、見直しすることして委託する方法について検討している。具体的には受託希望団体を公募し、企画提案方式による選定を予定している。市内をいくつかの地区に分割して委託する方法について検討している。学童保育は今後も計画的に拡充していく。
- 放課後子ども教室は子どもの居場所づくりの観点から教育委員会と連携し、検討していく。
- 子育て支援センターは今後とも計画的な拡充を進める。
- 子育て支援センター、つどいのひろば、児童館は計画的、効果的整備を進める。
- 辰巳台の地域福祉の拠点については東部保険福祉センターの整備をすることにより、確保していく。ふれあいセンター耐用年数についても調査をしていく。