日本の介護保険制度は導入時の混乱を乗り越え、また複雑で細部にわたる制度をうまく使いこなし、高齢化社会に向けての「介護の社会化」と言う目的を一定程度実現できてきたことは、評価される制度です。
この介護保険制度が第3期を迎え、昨年、予防型介護重視システムへの転換と言う大きな見直しがありました。この見直しの背景には増え続ける介護費用を抑制し10年後、20年後を見据えた持続可能な制度作りへの転換と言うことがあります。
見直しの影響が今、介護現場にさまざまな形となって現れてきております。
中重度者への支援強化の政策の影で、軽度の人のサービスが低下し、本人、家族に負担が増しています。
また、訪問介護等を行う事業者も現在の介護報酬では資金が生み出せず,ヘルパー不足にもつながり、経営困難を招いています。
確かに「先を見据えた持続可能な制度」という考え方は必要ですが、そのためには現場にたった政策、国の社会保障制度のありかた、介護保険料をいくらにするのかなどの選択も含めて、今後考えていかなければなりません。
いずれにしても現場である各市町村の、介護にたいする政策や取り組みによって、受けられるサービスに差が出てくるのは事実です。そのことを前提にしながらいくつか質問させていただきます。
- 介護認定にあたって要介護の人が要支援に下がるなどが問題になっていますが、本市の現状はどうですか、また、軽度の人のサービス低下に対する苦情はどの程度寄せられていますか、お聞かせください。
- 高齢者福祉施設の建設については6月議会でも質問いたしましたが、許認可権が市にある、地域密着型高齢者福祉施設(小型特養、グループホーム等)の建設が進んでいないということですが、現状と進んでいないとしたらその理由、また今後の見通しについてお聞かせください。
- 高齢者施設の総量規制が行われ、計画されている施設建設が100%行われたとしても、このままでは増え続ける高齢者が路頭に迷うと言う事態が発生しかねません。
人間にとって最後まで「住まい」というのは大事です。その住まいに介護サービスが提供されるような「特定施設」の仕組みを積極的に活用すべきと考えます。
国交省の制度に「高齢者専用賃貸住宅」がありますが、これにケアをつけた「適合高齢者専用賃貸住宅」の建設が全国各地で進んでいます。本市でも積極的に導入をすすめるべきではないでしょうか。ご見解をお聞かせください。
(答弁)部長
平成19年10月末時点では要支援2が40,4%、要介護1が59,6%となっている。苦情や相談は月平均43件。
小規模の特別養護老人ホームは市原東圏域で1ヵ所のみ。20年4月に開設予定。しかし五井西・五井東の2圏域は公募は下が応募者がいなく整備できないでいる。認知症グループホームも三和、ちはら台及び国分寺台圏域で募集したが選定事業者の辞退等で整備できていない。
理由は用地の確保が困難なことや地域住民の理解が得られない、施設が小規模で採算が合わないなどです。
このことから小規模の特養については更に複数の圏域で事業者の募集を行う。「適合高齢者専用賃貸住宅」の誘致は次期介護保険事業計画の中で検討していく。