1979年、国連で女子差別撤廃条約が採択され、日本は85年にそれを批准し、2000年に男女共同参画基本法が制定されました。
本市では2004年に「市原市男女共同参画社会づくり条例」を制定、一年前の3月に「いちはら男女共同参画社会づくりプラン」が策定されました。
私自身、数年前「女性のためのカウンセリング講座」に2年ほど通ったりなど、女性たちの抱えるさまざまな問題に関心があり、本市の条例制定の際には、月一回の草の根の勉強会に参加するなどして、条例制定過程を見守ってまいりました。なお、条例制定後の現在も、その会は続いております。
市条例制定より4年。ふりかえってみますと、条例制定の前後は男女共同参画推進に対する意識が盛り上がりましたが、制定後は見えづらくなった・・・と感じております。庁内組織も2001年に男女共同参画室ができたと喜んでおりましたら、条例制定を前にその名称はなくなり、「人権国際交流課」の中に埋もれてしまったことも男女共同参画が見えにくくなった一因に思います。
2月8日の新聞にDV防止に対する逆風が吹いており、「DV防止に関する講演会を開催することに抗議を受けて、つくばみらい市は中止、長岡市では予定通り開いた」という記事がありました。男女共同参画やDV問題に深い関心を寄せる多くの皆さんが、危機意識を持って見守り、あるいは抗議の声を上げています。が、市原市では、市民の関心がまだ薄いというのが現状のようです。
さて、昨年3月プランが策定され、すでに一年が経過しています。この一年、どのような取り組みがなされたのか、お聞かせください。
まさに男女共同参画の市民意識を育てることを目標のひとつとすべきと思います。
このような理念を根付かせるためには行政が推進の役割を担う必要があると思われますが、今後の具体的方針について、お聞かせください。
また、同プランはいささか総花的に感じられるのですが、どこに最大の力点を置いているのでしょうか?
市条例のポイントのひとつは「男女平等教育」が明記されたことでした。
教育分野においてこれまで推進してきたことと、今後の取り組みについて具体的にお聞かせください。
次に庁内体制づくりについてお伺いします。
2008年から団塊世代が続々と退職年齢を迎えています。市役所においても、3月、4月は、まさに人事異動の季節です。退職、配置換えもあります。もとより、それぞれの役職にふさわしい職員が男女を問わず、適材適所に配置されるべきです。今、女性職員の数は約3割です。しかし2006年の管理職に占める女性の割合は0.8%、2015年には5%と目標値がプランに示されていますが、数の上で3割を占める女性職員をもっと広く様々な場面で登用すべきと考えますが、
女性の管理職登用に対する、今後の市の方針をお聞かせください。
とりわけ、政策立案できる立場に積極的に女性を登用することで、女性職員を育てていく必要があると思いますが、現状と見解をお聞かせください。
意欲のある女性職員でも、子育て中の何年かは第一線で働くことは難しいと思います。しかしながら、市民生活に密着した市町村の仕事において、子育ての経験は貴重といえます。
子どもがある程度手を離れたときに、政策決定に有効な研修や学習会などで、子育て期間のハンディを取り戻せる機会を設けること、すなわちポジティブ・アクションの促進が必要と思いますが、いかがでしょうか?
最後にDVの防止と支援についてお尋ねします。
相談件数は16年82件、17年72件、18年127件と増えています。平成18年に「市原市配偶者暴力被害者緊急避難支援要綱」が策定されています。
緊急避難の際の対応についてお聞かせください。
その後の生活再建など女性の自立に向けた支援についてどのように対応しておられるのか、また、今後の課題について具体的にお聞かせください。
民間の相談機関との連携についてお聞かせください。
昨年は担当課が「デートDV」の講座を開いたとのことで、評価します。しかし、参加者が少なかったようですし、また肝心な若者の参加がなかったようです。
「若い人たちは一見、男女平等のようで、実はDVに対する認識が不足している」と相談支援に実際に当たっている方から聞きました。
市内の高校等で実施すれば、大変効果的と思いますが、いかがでしょうか?
(答弁)
男女共同参画社会づくりプランについて
- プランに掲げた施策としては男女共同参画推進フォーラムやDV防止セミナー、女性のチャレンジ支援事業や事業者に対するポジティブアクションセミナーを実施している。
- 外部委員で組織する審議会や男女共同参画研究員会議など、実効性のあるプランの推進に向け協議している。
- 市民意識を高めるために各種講演会やイベントを通じて市民意識啓発と市民団体育成に努めていく。
- プランの最大の力点としては意識啓発に重点的に取り組むとともに、再就職やキャリアアップを目指す女性のチャレンジ支援や事業者の積極的改善措置の促進に取り組むなど、施策メニューを多様に展開していく。
男女平等教育について
- 技術家庭科における共同学習や性差を超えた職業観の育成をはかるキャリア教育がある。教育委員会として男女平等の教育を一層推進していく。
庁内体制づくりについて
- 課長職以上にしめる挑戦指標5%を確実に達成することが重要と認識している。
- 男性職員と同様のジョブローテーションを通じ、さまざまな職務経験による能力の開発を図るとともに、その適正を見極めながら、女性職員の登用を図っている。
- 今年度も職域の拡大を図りつつ、課長職登用のステップとして、女性職員の監督職への登用を積極的に実施した。
- 研修機会を提供については市町村職員中央研修所や千葉県自治研修センター等への派遣研修を通じ、能力開発や意識改革を推進し、早期の女性リーダー育成に努めている。
DVについて
- 緊急避難の際の対応は千葉県女性サポートセンターと連携をはかり、今年度は3件の一時保護をした。
- 自立支援については母子生活支援施設入所や市営住宅への入居案内、生活保護費受給など、関係機関と連携し、対応している。今後の課題は経済的自立に向けた就業支援。
- デートDVは教職員に対し、県市で実施するセミナー情報を提供する。
(再質問)
男女共同参画については、私は目に見える形で意識を変えていくことが必要と思います。意識改革の方法はいくつかありますが、たとえば今前に座られている執行部の方々の中に女性がいて、議員の質問にご答弁くださるのは私の大きな希望ですが、市民にとっても目に見える意識改革として大いにアピールすると思います。
力を秘めている女性職員はたくさんおられます。しかしながら、もちろんいきなりの管理職登用はご本人にとっても大きな負担となることが予想されます。男性職員にとっては管理職「モデル」となる先輩がたくさんいるのに比べ、女性は0.8%と少ないのです。
一歩一歩、日常の仕事のなかで積み上げていくことが不可欠です。ぜひ女性職員を「育てていく」ための効果的方法を考えていただきたいのです。
ほかの自治体の成功事例を参考にしたり、また、実際の職員の声をたとえばアンケートや職員同士のワークショップなどの形で掬い上げるなどして、「育てていく」ための効果的方法をぜひ探っていって、実践していっていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
このあたりについてもう一歩踏み込んだご答弁をお願いいたします。
(再答弁)
- 今後もポジティブアクションを念頭に管理職登用を図っていく。