(1)障害者自立支援協議会および第2期障がい福祉計画について
障害者自立支援法の施行により障害者を取り巻く環境が大きく変化をしております。この法律は応益負担の導入などいくつかの問題を抱えてはいますが、一方、障がい種別によらないサービスの一元化、施設から地域生活への移行、就労支援の強化など「地域の中で、その人らしく、いきいきと暮らせるまち」というノーマライゼーションの社会づくりの理念の上でも、実現させるべき課題を多く提起しております。
市原市においても19年に5カ年計画の「改訂・障がい者基本計画」そしてその中に含まれる3ヵ年の第1期障がい福祉計画が策定されました。
この計画書の中には今後の計画の推進体制が盛り込まれましたが「地域自立支援協議会・障がい者基本計画推進会議」が重要な役割を担っています。
「自立支援協議会」は昨年発足しましたが、本格的な会議は今年度から始まり7月、8月の会議を傍聴させていただきましたが、テーマ、議論とも内容の濃い会議になっています。
自立支援協議会とは障がい者の方たちが、今よりも暮らしやすくなるためにはどんなことが必要なのか。そのために解決しなければならない問題をさまざまな分野から話し合い、解決していく機関というように考えます。またこの会議で第二期障がい福祉計画のサービス内容も決まっていくわけです。
8月の会議でサービス支援・就労支援・相談支援の3つの専門部会の立ち上げが決まりました。また、更に開かれた柔軟な組織として(仮称)ネットワーク・ミーティングも提案されました。そこで質問ですが、
- とにかく会議を形骸化させないことが大事と思います。メンバーは多忙な方達も多く含まれており、短期間の中で内容のある討議が求められると思いますが、どのようなことに配慮して進めていくのかお聞かせください。
- 当事者や家族の意見を具体化するためにも専門的なアドバイスをする人材が会議の中でも必要(特に就労)と思います。現在のメンバーに加えて確保することが必要と思いますがご見解をお聞かせください。
- 東松山市では障がい者に対する福祉サービスをただ手厚くするだけでは「地域で安心して暮らす」ための解決は難しいということで、「障がいのある人の問題は、みんなの問題」として、自立支援協議会の構成メンバーも学校・自治会など幅広く参加しています。
専門性は確保しながら、できるだけ広い範囲で共有していくことも大事と考えますが、それについてのお考えをお聞かせください。
- 次に、今回、第1期障がい福祉計画の実績報告もされたわけですが、実績として特に達成できていないものは何か、その理由と第二期障がい福祉計画にどのように活かしていくのか今後の見通しについてもお聞かせください。
(答弁)
部会開催前に代表者に集まってもらって事前協議を行うなどして効率的な運営に努めていく。協議会の委員は保健・医療・福祉や就労支援など専門的な関係機関から専任している。また、必要に応じてアドバイザーから意見を聞く。7月にアンケート調査を実施し、広く意見を聞くとともに、柔軟に議論ができる場の体制作りを進めていく。
(2)地域福祉計画の推進について
少子高齢化や核家族化の進行、地域のつながりの希薄化、法改正、そして福祉の経費増に対するさまざまな意見など福祉をとりまく社会環境の変化のなかで、お互い様で支えあう「地域福祉」の構築がほんとうに重要となっていることを痛感いたします。
本市においても18年3月に地域福祉計画が策定され、社会福祉協議会を事務局として小域福祉ネットワークづくりを中心に取り組みが進められています。
小域福祉ネットワークの立ち上げや活動への取り組みも10ヶ所あまりになったと伺っております。地域の特性や課題を考えながら、まずできることから始めようと取り組みを開始されている地域が多いのですが、大事なことは住民の自主性に基づいている活動ということでしょう。
そして「住民参加・住民主体」による地域福祉を進めるための基盤強化・環境整備を進めることが今、強く、行政に求められていると考えます。
そこで必要になってくるのは@「活動拠点・場所」A「人材・コミュ二ティソーシャルワーカー」B「資金」の確保ではないでしょうか。
これらについては今までも何回か質問に取り上げてきましたが、地域での活動を身近に見るにつけ、強く感じております。
もちろん、これら全てを行政が整えて提供するべきということではないのですが、確保の手段も含めて考えていくことが必要ではないでしょうか。
- まずはこの3つの要素について現状認識も含めてどのようにお考えでしょうか。また環境整備という面では具体的な検討がなされたのか、お聞かせください。
- 「地域福祉計画推進」という項目は、今年初めて予算化されたと思いますが、170万円にとどまっています。基盤強化・環境整備ということからも、拡充するべきではないでしょうか。お考えをお聞かせください。
(答弁)
厚生労働省から公表された「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」にも市町村の役割として公的福祉サービスの提供と地域福祉活動の基盤整備が掲げられていることから、「拠点」「人材」「資金」の重要性は認識している。
予算措置については当面、今年度の予算の活用状況を見ていきたい。
(3)保育所待機児童の解消について
子どもに関連した事件がおきるたび、子どもの「育ち」をめぐっていろいろ議論が取りざたされます。往々にして言われることは家庭のしつけや教育がどうなっているのか、やっぱり母親が家庭で見るべきなど、「家庭や母親」が全ての解決策であるかのような議論に戻ってしまうことは、残念なことです。
夫も妻も共に仕事も子育ても分担する「ワークライフ・バランス」が確立した社会づくりこそ、子どもの「育ち」にとっても、また子どものみならず親たちにとっても成長、発達できる目指すべき社会といえるのではないでしょうか。しかしながら現実はなかなかそうはいかず、むしろ逆行さえしているような今日の社会です。けれども核家族化の進行や女性も仕事を持つことがあたりまえという状況は確実に進んでいます。
前置きが長くなりましたが、そのようなことから「子育て支援」の政策として「保育所」の完備は絶対的に必要なものです。しかし「保育」を必要とする児童数に対して対応が間に合わず、常に待機児童が存在するという事態が続いています。
本市においても待機児童の解消策に努力はされてきましたが、年度末には常に200数十名という数になってしまう状況が続いてきました。
今回、五井周辺地域、市津ちはら台周辺地域の2ヶ所で民間保育所の建設ということで保育所運営者の募集がありました。
定員は各150名以上で、入所児童の4割以上は3歳児未満とするとあります。
そこで質問ですが
- 現在の事業者の応募状況はどうなのか、またこの2保育所が出来ることで待機児童はどの程度減るのでしょうか。待機児童の9割近くが0,1,2歳児ですが、この対策はどうなのでしょうか。お聞かせください。
- また待機児童の受け皿として認可外保育所があります。地域にあってそれぞれ特色を出しながら、子育ての助っ人としても保護者の方から頼りにされながら頑張っていらっしゃいます。この認可外保育所への補助が計画に盛られながら実施が見送られてきました。一刻もはやく実施すべきですが、その時期も含めてお考えをお聞かせください。
- その他待機児童解消策として進めるものがありましたら、お聞かせください。
(答弁)
8月11日に説明会を実施し14の事業者に資料を配布し、9月22日が提出期限である。2つの民間保育所が開設されれば概ね待機児童は吸収できる見込みだが、一部で発生も想定。今回の公募では入所児童の4割を3歳児未満にした。認可外保育所への補助は早期構築に向けて取り組む。その他、保育ママの拡充や企業内託児施設の整備促進に取り組む。
(4)発達支援センターについて
子ども達の療育の場として発達支援センターが発足して3年が経ちました。
子どもの発達に問題があるといわれてもどこに相談したらよいのか、途方にくれて涙を流していたお母さん達の声をいくつも聞きました。
マザーズホームに加えて、言葉の教室、療育相談室を設置し「発達支援センター」として療育の場ができたことは、大げさでなく佐久間市政のヒット政策として大いに評価させていただきます。
乳幼児健診などで発達に心配があるといわれたお子さんをともなって、保護者の方が療育相談室を訪れるケースが多いのですが、いただいた資料を見ますと、療育相談室設置の成果が顕著に現われているのがよくわかります。
資料の年齢別相談件数によれば、2歳児の相談が相談室が始まった平成17年には4件だったのが19年には36件と大幅に伸び、逆に5歳児の相談件数は35件から11件と減っています。療育はとにかく早期発見・早期療育・早期介入が大事といわれていますが、2歳児の相談が多くなったということは検診での発見後、直ぐに相談室を訪れ早期に療育につながる道筋が出来たということでしょう。
また、その他の成果として保健センターからの紹介に加えて、幼稚園・保育所からの紹介も大幅に伸びています。これは発達支援センターから訪問療育が行われ始めたことや、情報の共有など連携ができてきたということでしょう。
その他の特徴として自閉症傾向で相談されるお子さんの数と割合が大変多くなっています。特別支援教育の開始の影響もあるのかもしれませんが、対応を図りながらさまざまな課題にあたっていかなければということです。
以上、発達支援センター設置の成果について述べてきたのですが、言い換えるならば求められる「療育」の基本というか土台づくりができ、今後は内容を更に充実させていくという段階に来たと思うのです。
「療育とは、医療、訓練、教育の統合であり、教育、心理、社会福祉、保育など多くの専門職の有機的連携のもとに、あらたな体系を創造していく努力の継続が必要である」と専門家が述べられています。
私もこれまでのマザーズホームの状況や「発達支援センター」設立までの経過に多少かかわりを持ってきたことから、その重要性を実感しております。
人材の確保、療育の場など社会資源の確保と充実、保護者も含めて子育て全般への援助、成人期までの一貫した見通しをもった療育の確保などなど、今後の課題は多くあります。
また市原市の「発達支援センター」が「療育」のあるべき方向に歩み出せたのも「療育相談室」に優秀な人材を得ることができたことです。
これまでの成果を活かしながら更に「療育の場」として充実させていくには、何が必要なのか、現場からの声をきっちり受け止め最大の努力をしていただきたいと思いますが、「発達支援センター」の現状をどのように捉え、今後、どのような方向性、そして充実を図っていこうとしているのか。具体的なお考えをお聞かせください。
(答弁)
相談者に対して今、必要な支援と、関係機関への紹介や連絡調整を行っていく。また必要な支援につなげていくためのコーディネート機能の強化を知ることで、療育の拠点施設としての役割を果たしていきたい。