(1)施設について
2009年春からの介護保険法の改正にあわせて、市原市は現在第5次高齢者保健福祉計画を策定中です。
まず施設についてうかがいます。
特別養護老人ホームの待機者が800人を超えています。
地域密着型の施設として小規模特養の建設が平成20年度までに3箇所計画されていますが、現在は1箇所のみ。採算性やマンパワー等の問題で手をあげる事業者がいないのが主な原因です。佐倉市でも5箇所の計画のうち実現は1箇所と聞いています。
待機者の解消についての方針をお聞かせください。
小規模特養について、また既存の大型特養の増床について、老人保健施設についてのお考えをお聞かせください。
(答弁)
平成18年度介護保険制度改正から、国の方針に伴い小規模特養の整備を推進してきたが、採算性の問題等から整備が進まない。次期高齢者保健福祉計画策定の中で小規模特養、大型特養あわせての整備推進を検討している。老人保健施設は8月1日の待機者が118人。適正なベッド数の整備を進める必要がある。
(2)地域包括支援センターについて
次に地域包括支援センターについて伺います。
現在市内に3箇所で、20年度までの市の計画では11圏域に6箇所を計画しています。
先日鶴舞と辰巳台の地域包括支援センターを訪ね、現状と課題について伺いました。
主任ケアマネジャー、社会福祉士、保健師、看護師といった専門スタッフが、高齢者の介護・医療・福祉に関する相談から、具体的サービスの調整にいたるまでのワンストップサービスをしています。
スタッフの確保と委託料についてですが、鶴舞のトータスはオープンから一年。手探りでやってこられたということです。現在は常勤4人にパート等あわせて9人体制。提出書類などの事務作業が多く、相談も一件一件に時間を要し、アップアップ状態とのことです。
市からの委託料は約2000万円。現在、年300件の介護保険の予防プランを作成していますが、高齢者がさらに増えていったとき、スタッフの数がとても足りません。
委託料も含めて市としては今後、どう考えているのでしょうか?
(答弁)
包括支援センターの委託料は3職種の人件費であり、他の市町村と同等の額である。委託料とは別に、ケアマネジメント料4000円が介護保険から給付されることになっている。件数増加により人員不足が生じた場合は、居宅介護支援事業者への業務委託で対応をはかってほしい。
高齢者虐待や権利擁護相談の対応については、多重債務などあらゆる相談や困難事例が持ち込まれ、解決に苦慮するものが多く、連携し、一緒に動くなど市の支援体制強化が望まれています。市の支援体制強化についてお聞かせください。
市内の高齢者虐待のこの一年の相談件数は何件ですか?対応について事例をあげつつ、あわせてお聞かせください。
(答弁)
高齢者虐待の相談件数は平成19年10月から20年9月まで53件だった。虐待の対応は対象者の大半が認知症で事実確認が困難なうえ、過程では虐待行為と認識していないなど、対応に苦慮している。通報に対しては民生委員・在宅介護支援センター等との連携を図って対応している。短期間では解決に至らない例が多く、1件あたりに多大な労力と時間を費やしている。
市直営の地域包括支援センターの役割と位置づけ、委託の地域包括支援センターの地域での役割と位置づけについてお聞かせください。在宅介護支援センター、居宅介護支援センターとの関係についてもあわせてお聞かせください。
市直営の地域包括支援センター含めセンター同士の情報の共有、話し合いの場が必要ですが、これについてどうしていくのでしょうか。あわせてお聞かせください。
(答弁)
地域包括支援センターは高齢者が住みなれた地域で尊厳ある生活を継続できるよう「地域包括ケア」体制を構築する中核機関として位置づけられている。役割については総合相談支援、権利擁護、高齢者の虐待防止・早期発見、ケアマネジャーの支援を各所管の地域で行う。加えて直営は統括の役割がある。在宅介護支援センターは相談窓口として地域と包括支援センターをつなぐ役割をお願いしている。
各包括支援センターの情報共有と協議の場については連絡会議等の開催を進めていく。
地区割りについてはのちほど時間があればお尋ねします。
(3)人材の確保について最後に人材の確保についてお伺いします。
今回、市内福祉の現場をたずねて、話をうかがってきましたが、共通する一番の課題はマンパワー不足です。
仕事がきつく、多岐にわたるのだが、報酬が少ない。若い人が、福祉の大学や専門学校を出ても、福祉の仕事に就かない。そもそも福祉系の学校に学生が集まらなくなっている・・・5年、10年後は人材不足がさらに深刻になり、かりに箱物があっても、なかで働く人がいないということになりかねません。
国は年明けに介護報酬の改定を示すということですが、人材確保を国まかせにするのでなく、市原市内における介護の人材確保のための就学資金貸し付け制度のようなものを設けるなど、市も戦略的にとりくんでいくことが、今なにより必要ではないのでしょうか?
たとえば看護師については市は人材確保のための就学資金貸し付け制度を設置しています。実際にこの制度を利用し、看護師として働いている方に先日話をお聞きしました。今30〜40代の女性が再就職としての看護師資格を目指す方が多い、この制度がたいへんにありがたいということです。
人材育成には時間がかかります。5年10年後を見越したとりくみを今やらないと、たいへんなことになるのではと感じました。
介護の人材確保についての市のお考えを聞かせてください。
(答弁)
介護労働者の不足は全国的な問題となっており、その主な原因は低賃金等の処遇面である。現在、国が介護報酬引き上げ等実施について検討中なので、その動向を注視していく。就学資金貸付制度については、人材確保に直接影響を与える制度となりうるか、他市状況等、調査していく。
介護保険法がはじまって8年。介護保険法ではカバーできない部分があります。たとえば人材の確保などの長期的な政策、権利擁護などのつまり、従来の措置にあたる老人福祉法の部分です。市の施策として、長期的ビジョンを次期高齢者保健福祉計画にどう位置づけていくのでしょうか?お聞かせください。
(答弁)
「誰もが障害にわたってその人らしく生きがいを持って暮らせる、共に支えあう福祉社会の実現」という計画の基本理念に沿って対応していく。