いちはら市民ネットワーク
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市議会レポート【予算委員会反対討論】岡村由美子

市民ネットワークを代表して平成21年度市原市一般会計および特別・企業会計予算に関する意見の陳述を行います。
100年に一度の世界的な経済危機に本市の臨海企業は大打撃を受け、今年に入って休業や減産があいついでいます。このような企業の早い対応はこれまでの不況では見られなかったことで、今回の不況の深刻さをものがたっています。この不況は、生活不安、とりわけ、雇用不安に発展しており、来年度以降はさらに厳しい事態が予測されます。先行き不透明な、かつ刻々と事態が悪化するなかでの予算編成は大変なものであったと思います。

平成21年度の本市一般会計の予算規模は、約828億円で4年連続の積極型予算編成であり、税収が減った赤字分の補填財源としては、おもに臨時財政対策債などの市債と財政調整基金をあてるというものです。
普通建設事業費は、総額135億円と平成14年度以降、最高額となっています。中学校建設事業や小中学校耐震対策事業などやらなければならない大きな事業もたくさんありますが、財政状況が厳しいこの時期に借金を増やして投資的経費を増やすことに疑問を感じます。
とくに大きなお金の動く事業については、この際、緊急性の高くない事業を洗い出し、凍結や見直しを検討することで、財政規模を圧縮できるのではいかと思います。今回の経済危機は、誰も予期しえなかった事態であります。
先行きが不安定な中、生活への不安が市民の中にひろがっています。
先の見えないこの1、2年は、将来に対する種まきの時期と考え、市長がとくに力を入れておられる子育て支援、そして高齢者、障がい者、教育、地域福祉、交通政策、雇用対策、協働、今後急増する生活困窮者への施策(生保、住宅政策)など、きめ細かく、身近な生活支援を基本とする政策に思い切って財源を配分し力をいれるべきではないかと私は思います。
以下、その観点から款別に審査した結果を述べさせていただきます。詳細につきましては、款別の日程の中でお話させていただきましたので省略させていただきます。本日は、特に申しあげたいことのみについてお話させていただきます。
  • 歳入については本市の財政は臨海企業に大きく依存しているにも関わらず、法人市民税は平成20年度の決算見込み額から5億円程度の減しか見込んでいません。当初予算額を満たす税収の確保ができるのか疑問です。また、財源不足の対応として臨時財政対策債を大幅に増額していますが、不交付団体である本市には後年度の補填はありません。今後の歳入の動向が極めて不透明な中での市債の増額、とくに臨時財政対策債の増額には、納得しかねます。

  • 総務費では付属機関等の会議を市民に開かれたものとするために、ホームページでの開催通知や議事録の公開、傍聴者への資料配布等、更なる情報公開が必要です。未だ不十分な情報公開を、もっと市民目線に立って、開かれた市政の実現をめざし工夫していただくことを求めます。
    人材登用については不況の折は人材確保のチャンスといわれます。社会人経験枠を設けたり、新人枠をひろげるなど、人材の確保に力をいれてほしい。また、団塊世代が大勢退職される中で、技術の継承、若い職員を育てることが大切です。
    また、介護保険や障がい者関連法など、福祉関係部署は、今日、制度の激変に翻弄されることの多い部署となっています。市民ニーズに即して、必要な部署には、人員を増やしていただきたい、と強く要望します。
    「協働」の理念と実践は市民とのあいだに確実に育っています。まずは役所の中で「協働」のイメージを共有化し、互いにもてる力、役割を分担しながら、市民との信頼関係をさらに深めるよう求めます。

    都市交流拠点整備事業関連については、アリオ市原の来春オープンが事実上困難との新聞報道がなされる中、実態にあったまちづくりの話し合いが、今まさに必要と考えます。開発を決めた当時の社会状況と比べても、現在はあまりに急激な変化が起こっており、不景気の規模も期間も想像以上に深刻なことが予想されます。私たちはこの事業に対し、一貫して反対の立場をとってきましたが、これ以上、後世への負担が大きくならないような対処が、今まさに必要と考えます。総合公園の整備については、もういちどゼロから、お金のかからない方向で図面の見直しをすべきです。今一度、市民意見を聞いてみることも必要ではないでしょうか?市民ネットは公園計画の見直しを求めます。

    コミュニティバスについては、市原型コミュニティバスとして他市からの視察も多いと聞いています。また協働の成功事例としても高く評価します。しかし、南総西のコミュニティバスでは5割の運行経費を地域住民が確保することがたいへんです。実力がつくまで、市が6割の補助をすることは検討すべきではないでしょうか?また地域の方々の安心のためにも、事業が継続するよう、今後も温かく支援していくことを強く要望します。
    庁内における知的・精神障がい者の就労については、総務部人事課に関わる事柄でありますので、総務部と障がい福祉課が連携して、早急に実現してほしいと、これも強く要望します。

  • 民生費では地域福祉は今後の福祉施策の要となります。拠点のモデル2箇所と 小域福祉ネットワークの20箇所に予算付けされたことを評価します。地域福祉を本気で進めるならば市役所の正職員による専従スタッフとしての地域福祉員を配置することが必要です。要望させていただきます。
    障がい者施策については、障がい児デイサービスを行っている小さな事業所の存続への支援や、小規模作業所の新制度移行に対して更なる支援を求めます。グループホーム利用促進事業については、予算増と地域生活体験事業創設を評価します。地域の受け皿づくりをさらにすすめて下さい。
    障がい児にとって幼児期の支援が大切であり、発達支援センターの役割はますます大きくなります。お母さんへの支援含めて相談体制強化をさらにはかっていただきたく強く要望いたします。
    高齢者施策に関しては、地域包括支援センターは、予防ケアプランや権利擁護の相談が増えていることもあり、今後は委託料を増やすことを強く要望します。
    こども関連施策については母子福祉費のうち、母子自立支援員による相談が多い実態があります。相談員を増やしていただきたい。また、ひとり親家庭日常生活支援事業は前向きに検討してください。
    待機児童解消に向けて、民間保育施設の整備をさらに進めることを求めます。一時保育の充実も緊急課題です。一方、認可外保育施設利用者補助金制度は、高く評価します。
    学童保育は8小学校への増設を評価します。
    生活保護世帯は今後増加する傾向が続くと思われます。職員増も検討すべきと考えます。

  • 労働費のうち、雇用対策については臨海企業、中小企業の雇用状況の把握につとめ、今後さらに悪化した場合、市単独の雇用支援策をはかるべきです。
    また雇用不安がこれだけ叫ばれる中、職員体制が2人から1人になったことに納得できません。

  • 商工費のうち、中小企業サポート事業は100社以上に直接足を運んでいることを評価します。商工会議所とも連携し、横のつながりを充実していただきたい。

  • 土木費のうち、都市再生機構施行の潤井戸特定土地区画整理事業において計画されている潤井戸一号近隣公園整備事業は、いくら都市再生機構が整備するとはいえ、近隣住民にとって果たして必要な公園なのかどうか、疑問が残ります。また潤井戸特定土地区画整理事業については、施行者である都市再生機構はニュータウン事業から手をひく計画をすでに示しており、大規模な見直しを図るとしています。市としては都市再生機構としっかり話し合って、市の不利益とならないようにしていただきたいと強く要望します。また周辺住民への十分な説明を望みます。

  • 教育費のうち、学校間の序列化につながる全国一斉学力テストについては反対とします。
    加茂小中一貫校は地元の方とじっくり話し合った上で、基本計画や設計に地元意見を反映していただくよう要望します。
    特別支援教育は今後必要を見極め、相談体制の強化を強く求めます。個別指導計画ができ、生涯にわたっての一貫したサポートに向けて、大きく足を踏み出したことを評価します。
以上、評価すべき予算も多々ありましたが、要望事項にとどめましたいくつかの点を含め、一般会計に計上されている都市交流拠点整備事業関連と、教育費における全国一斉学力テスト関連予算に反対します。また、議案第27号後期高齢者医療事業特別会計については、当初より市民ネットは、後期高齢者をことさらに分けて医療保険制度をつくろうとする制度そのものに反対しております。今回も制度が変わっていない以上認めることはできません。
市民ネットとしては一般会計、特別・企業会計を一括採決するのでなく、議案ごとに分割採決を要望してきましたが、今回もその提案は受け入れていただけませんでした。よって市民ネットワークは平成21年度市原市一般会計および特別・企業会計予算に一括して反対といたします。
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