(1)第5次市原市高齢者保健福祉計画について
高齢社会の到来が現実的なものとなってきました。元気であり続けることが一番ですが、いざ介護や支援が必要になったとき、必要なサポートを受けることができるための、福祉サービスや地域ケア体制の充実が急がれます。
介護保険事業計画を包含して高齢者保健福祉計画が策定されていますが、第4次の計画では予防重視型システムへの転換や地域包括支援センターの創設など大きな見直しがありました。
今回はそのあとの最初の計画見直しということになり、平成21年度から23年度までの3ヵ年を期間とした計画になっています。
まずは今回の計画の特徴をあげるとしたらどのような内容なのかお聞かせください。
また2009年4月から実施の介護保険制度見直しについては具体的にはどのように計画に反映されているのでしょうか、お聞かせください。
(答弁)
計画の特徴としては@特別養護老人ホーム・グループホームなどの施設・居住系サービスの整備促進 A地域包括支援センターの活用による医療と介護の連携 B認知症への取り組みがあげられる。
制度見直しの反映としては国の臨時特例交付金により保険料のアップをしないで、23年度まで段階的な措置を講じた。
これまで受けていたサービスが受けられないなどの事例はないのか、実際に現場の声として上がってきていないのか。(例えば同居家族がいるために家事援助などの生活援助サービスの打ち切りなどサービスの給付抑制)
また、前回は「介護予防」と言う分野が取り入れられたが、3年間の取り組みでどのような成果があり、それについてどのように評価するのか。
(答弁)
介護予防事業については、まだまだ十分に浸透していない。
積極的なPRが必要であり戸別に訪問することも考えている。
(2)特養施設の待機者について
核家族化が進み高齢者の一人暮らしや高齢者のみの家庭が増えています。介護が必要になったとき、やはり安心して暮らすことができるということからも本人、家族を含めて「施設入居」志向が高まっているといわれています。
市原市でもその傾向は同様と思われますが、入居希望者数に対して供給数がまったく追いつかないというか、計画数そのものも低くとどまっていますので、特養の待機者は常に800人を超えている状況です。
まずはこの状況をどのようにお考えなのか、前回の計画ではどうだったのか、そのことも踏まえて今回はどのような計画と対策を考えているのかお聞かせください。
(答弁)
施設整備を推進する必要性を十分認識している。前計画では小規模特養護が1施設の整備にとどまった。
今計画では小規模特養、大規模の新設、既存の増設を進めていく。
平成21年度の利用者580人、23年度680人ということでこの数字では100人の増ということになるが、内容について詳しくお聞かせください。また、前年度に出てきた地域密着型の29人以下のいわゆる小型特養は1ヶ所しかできなかったわけだが今回はどうなのか。
経営面での採算が合わないために事業者の参入がないとも聞いている。
施設のあり方としたら理想的に思えるのだが市原市での今後の建設計画はどうなのか。
(答弁)
大規模では100人の新設、既存特養の増設60床で待機者の一部解消に努める。
(3)地域包括支援センターの現状の課題と今後の役割について
2005年の介護保険法改正で(2006年4月実施)市町村に対して、新しく介護予防と同時に地域全体で高齢者の自立を支える「地域支援事業」の実施が義務付けられました。
これらの分野を具体的に地域で実施していくのが「地域包括支援センター」というわけです。
改正による問題点はいろいろありますが、介護保険制度導入以降、ともすると「福祉事業者」や「ケアマネ」まかせになりがちだった高齢者への「地域ケア」について、市町村が責任を持って進めていかなければならないということを、改めてはっきりさせたのは評価されます。
ということで「地域ケア」の拠点である「地域包括支援センター」の役割は重要です。
本市では市役所内の直営が1ヶ所、民間委託が2ヶ所と20年度中に6ヵ所設置の目標数に対してまだ3ヶ所です。現在3ヶ所を公募中ということですが、設置の見通しをお聞かせください。
また、現状の課題と今後、期待される具体的な役割についてお聞かせください。
(答弁)
委託包括の見通しは7月1日から募集をする。よい感触を得ている。
現状の課題は要支援者が増加していて、ケアプランの作成に追われ地域包括支援センターとしての機能を十分果たせない。
役割としては地域の社会資源を有効活用し、ネットワーク化を推進し、高齢者の生活を総合的に支えていくことが求められている。
地域包括支援センターの受け手がなかなかいない・・・これはまずは委託費が安い(1センター 2000万円)。不足については(指定介護予防支援事業所として)介護予防プランづくりで稼ぐようにということのようですが、これも単価が4000円と安い。結果的に介護予防プラン作りにのみ追われてしまう。
ひとつには委託費の問題はどうなのか、上げることはできないのか。
(答弁)
担当区域により高齢者人口や面積が異なることから、設置状況を踏まえるとともに、他市の状況も参考にしながら、委託料積算方法について検討していく。
地域包括支援センターは何をすべきかということでは、地域に生活する何らかの支援を必要とする高齢者等の総合的な相談・支援であり、認知症や虐待などの困難ケースの支援であり、福祉・医療・経済・人間関係さらに生きがいなどその人の生活を包括的に支えるための相談・調整・支援である。
結果として、それらが介護の予防につながるといわれています。
言葉で言うのは簡単ですが、現場は本当に大変です。
特に困難ケースの相談・支援となると、さまざまな機関との連携や問題をクリアしていかなければならないわけです。
委託者である行政は、地域の要援護者の情報を把握し、情報提供することが必要と思うが、現状はどの程度の状況把握、情報提供ができているのか。
(答弁)
地域包括支援センターで支援が必要な高齢者の情報を、積極的に掘り起こすというところまで進んでいないのが現状。
高齢者の実態把握は不可欠なので地域のネットワークの活用とか、住民からの情報などの基礎資料に配慮していく。
「地域ケア体制の確立」ということで行政や直営の地域包括支援センターは何をなすべきかということになるのですが、短期的な目の前の課題で何をすべきか。
中期あるいは長期的なビジョンを描いて今から積み重ねていくことが必要と思います。
(答弁)
地域包括ケアの体制作りについては継続的な見守りを行っていくうえでも情報の提示は必要。
民生委員の把握している要援護者の数と住基で出した数は差があるので、埋められるような仕組みづくりが必要である。
直営包括の役割は国分寺圏域の業務と委託包括に助言・指導を行って行く基幹的な役割を担う。連絡協議会の開催など。
地域包括支援センターが計画通り全部できたとして、11の日常生活圏域に6ヶ所、しかも1箇所は直営で全域をカバーできるのかということについてはどうか。
(日常生活圏域の地図を示すこと)・・・(現状は在宅介護支援センターが8ヶ所、地域包括が3ヶ所)
(答弁)
6ヶ所でまず、この計画を着実にやっていきたい。
在宅介護支援センターだけでなく福祉関係の事業者とは連携をとっていく。
参考にしたらどうか。
《埼玉県所沢市の場合》
地域ケア会議・・・平成12年7月にスタート。介護予防、生活支援の観点から要介護となるおそれのある高齢者等を対象に効果的な予防やサービスの総合調整を行い、地域で生活する高齢者に安心と信頼を持って生活してもらうことを目的としている。市内14地区それぞれに地域包括支援センターがある。
それまでの在宅介護支市援センターが地域包括支援センターになった。
すぐには何もかもはできないが、地域の情報をきちんと把握し、データーベース化する。つまり現場をきちんと把握し、現場のニーズに即したサービスを組み立てていくこと。
地域で支えあうネットワーク作り(民生委員・町内会・地域ボランティア・保健師・行政職員)を地域包括支援センターが束ねることなど。
(4)外出支援サービス、ふれあい給食サービス等の在宅介護サービスの充実について
できるだけ住み慣れた地域で暮らし続けたいというのが多くの人の願うところです。
そのためには地域の助け合いや在宅福祉サービスの充実が更に必要です。
通院等、日常的な外出への支援は高齢者にとって最も必要とされています。
これまでも計画にあげられながら実施に至っていません。
交通マスタープランの課題のひとつにもなっていますが、取り組み方針をお聞かせください。
(答弁)
福祉有償運送や送迎ボランティアカー、福祉タクシーなどの既存移送サービスの動向を見据えながら、どのようなサービスが効果的か検証していく。
また、ふれあい給食サービスも高齢者の健康を支える重要な事業です。平成15年度に開始、利用者167人から20年度は325人と増えています。現状への評価と今後の取り組みについてお聞かせください。
(答弁)
開始から5年を経過し利用者が年々増加している。一定の成果をあげている。
福祉タクシーの利用について現在は寝たきりの人のみということで、大半の方は受けられません。(20年度見込み130人・半額助成で上限額1200円)
しかし実際には多くの交通手段を持たない高齢者の方がいらっしゃって、不自由をしているのが現状です。
また、福祉や医療を受ける場所への送迎はもちろんですが、買い物やちょっとした外出にも公共交通並みの料金で利用できる仕組みがほんとうに求められています。
これらのサービスが引きこもりの防止に繋がり結果として介護予防につながっていくことになります。
これらの課題を行政としてどこまでどのようにしていくのか、いつまでに答えを出して実施していくのか、なかなか見えてこないわけですがお考えをお聞かせください。
(答弁)
交通マスタープランで方向性が示されるのを待って進めたい。
ふれあい給食サービスは平成18年度から介護保険制度の地域支援事業として実施されています。すなわち介護保険会計から費用が出されているわけです。(1923万1000円)
高齢者の健康を守るうえで食生活は大事な要素です。現在の対象者を日中独居の方にも広げるということについてはどのようにお考えでしょうか。
(一般会計の中から出すことも含めて)
(答弁)
日中独居の方は家族がいることから、まずは家族による見守り・支援が最優先である。
全体を通じての意見・・・・介護保険制度は介護の社会化をもたらし、家族にかかる負担を減らすことはできましたが、高齢社会が進むなか、老老介護の問題、サービスの後退など地域の現場ではさまざまな問題を抱えています。
医療や地域福祉との連携、地域の助け合いなど、現場である市が頑張っていくことが今こそ求められているわけです。
是非、そのことを念頭において頑張っていただきたい。