(1)アウトソーシング・外部化の検証について
@ 国において「行政改革会議の最終報告」が1997年に示され、「21世紀型行政システム」として、いわゆる「官から民へ」「国から地方へ」という原則が示されました。
自治体においても企業的経営の導入や、アウトソーシング(外部化)の推進が進められ、また「三位一体改革」という形で福祉や教育など社会保障的なものが財源手当てが十分でないまま、国から自治体に責任が移ってきています。
国も「小さな政府」をかかげ、一方、自治体においてもコスト削減を大命題にしての行政経営が求められているわけです。
本市においても例外でなく「簡素で効果的・効率的な行政経営の徹底・無駄のない小さな市役所の実現」という目標が掲げられ、行革が進められています。
しかし、このままの行革路線を進めていくことがほんとうに市民の幸せにつながるのだろうかということも、いま考えてみる必要があると思うのです。
市原市では指定管理者制度の導入や、保育所や学童保育の民営化、水道、下水道業務の民間委託などが実施されてきました。
これらは「お役所仕事」の言葉に象徴される、市民の役所に対する不満や批判と、また自治体の財政難からのコスト削減と重なって、一定の成果や評価を得てきたことは事実です。
しかし本来行政に求められる公的責任や公共性などを考えた時、住民サービスの低下を招いていないかなど、今のあり方を検証すべきときに来ているのではないでしょうか。
特に教育、保育、福祉といった部門はその必要性を感じます。アウトソーシングの現状の評価、また検証の必要性についての見解をお聞かせください。
(答弁)
この間、行政改革の一環として、行政の責任の確保、住民サービスの維持向上に留意しながら、民間委託を推進してきた。結果や成果に対する最終的な責任は市にあるので、アウトカムとして評価や検証が必要であると考えている。
A 具体的な問題として、学童保育は民間委託がされています。数的に開設が進んだのは評価できますが、今回NPO法人への委託料に対して住民監査請求があり監査の結果が出されました。
監査委員の意見を引用させていただきますと「それまでの保護者会による運営を詳細に検証することなく、また、適切な問題解決を図ることなく外部の団体に委託したことが、今回の問題につながった。」としています。民営化するにしても行政のやるべきことはあるわけです。これは学童保育に限ったことではありません。
また、指定管理者制度については、ほとんどの公共施設についてこの制度を導入しているわけですが、応募の事業者が増えず結局、以前の管理者である外郭団体等が中心であるという現実はなぜなのか・・・・「経費削減」にウエイトが行き過ぎてはいないか・・・民間委託も指定管理者制度もコスト追及という影で、その中の労働を担う人たちの労働条件や環境にしわ寄せが言っているわけです。
アウトソーシングを進めるなかで出てくる一連の問題点を整理し、その是非も含めて検証すべきではないでしょうか。お考えをお聞かせください。
(答弁)
市民サービスの向上に役立つか、かつ、コスト削減ができるか、その両面が必要だが過渡期にあると考えている。
課題としては受託者の労働の場も含めて考えていかなければならない。
(2)非正規職員の増加について
@ 行政改革の定員適正化計画に基づいて職員の削減が行われています。正規職員が減った分、嘱託職員や日々雇用の職員数は毎年増加しています。
ちなみに平成19年度の正規職員数は2119人、嘱託職員は649人です。日々雇用については延べ人数とのことで実数ではないのですが、3011人と大きい割合を占めています。
非正規職員はどのような仕事についているのか、職種によっては非正規雇用が必要なところもありますが、しかし本来正規職員によって担われてきた職種や、正規職員と同等の仕事も、非正規職員に変わってきているのではなど、いろいろ考えられますが、表面的にはなかなかわからないのが実情です。
本市においても特に教育や保育の分野で非正規雇用が多いわけです。現状はどうなのか、非正規職員の配置についての考え方、問題と思われる点についてお聞かせください。
(答弁)
非正規職員の数は17年と比較すると50名程度増加している。嘱託職員は専門的な知識や資格を要する業務や技能労務的業務に従事、日々雇用職員は一時的な事務量の増加への対応や職員の補助的業務で6月を越えない期間で任用。
質し、この任用に関しては、専門的な資格を要する業務(保育士など)について、同一の方を長期間、繰り返し任用しなければならないことが問題点である。
A 嘱託職員の多い職種は保育所の時間外対応保育補助員、教育委員会の学校給食調理員、少人数学級や少人数授業の補助教員。また日々雇用職員は保育所の待機児童対策として未満児受け入れのため増員された保育士、幼稚園や小中学校の教諭は療養休暇での欠員補充など・・・調理員など特殊な職種もあるが正職員とほぼ同じ仕事内容の部署が多いという実態があります。
非正規職員は地方公務員法第3条に基づいて採用されているので問題ない・・・ということになるのですが、実態は正規職員との格差が大変大きいわけです。保育士さんなど現場で働く方からも何とかして欲しいという声を聞いています。
これら現場の声は届いているのか、実態をどのように把握し状況をどのように判断しているのかお聞かせください。3月議会で私は「待機児童の解消」ということで「未満児受け入れ増」のため保育士の増員を主張しました。
しかし増員されたのは日々雇用の保育士さんということで、思わぬ落とし穴というか他の問題を抱えたわけです。
(答弁)
給食調理員、学校の用務員、学校の補助の先生などが嘱託職である。嘱託職の場合、期間が短時間で長期間雇用しても、賃金絵はなくて、報酬という支払いになっている。それぞれの職種がそれなりの経過と歴史を踏まえて組み立てている。絶えず点検はしているが今のところは現制度を維持する方向。
保育所の日々雇用は年度途中における未満児への対応のほか、正職員の産前産後休暇、育児休業への対応として雇用している。
あくまで雇用期間が限られた中での対応なので、正職員でなく日々雇用職員で対応している。
B フルで働いても年収150万円以下といわれる「官製ワーキングプア」は社会的な問題にもなっています。東京都の荒川区では法の制約を受けながらも、能力等に応じて報酬額を変えるなどの新たな非常勤職員制度での待遇改善を図ったということです。
本市においても実態調査と待遇改善の見直しを進めるべきと考えますがご見解をお聞かせください。
(答弁)
今年も4月1日で改善を図ったものが幾つかある。
賃金や休憩時間など職場からの要望について配慮している。