3.地域防災と避難体制について
(1) 災害時要援護者支援について
災害時要援護者、つまり、高齢者、障害者、難病患者、乳幼児や妊婦、外国人といった、災害時に1人での避難が難しい方々への災害時支援について伺う。
(質問)
@避難支援プラン全体計画について
6月の定例議会の他会派のご質問に対し、当局から、災害時要援護者の避難支援プランの全体計画を今年度12月ぐらいまでに策定できるよう準備を進めている というご答弁があった。
避難支援プラン全体計画とは、要援護者についての情報の収集や共有の仕方、また、避難誘導や避難場所といった、支援体制の在り方などを定めたものだが、
現在までの全体計画の策定の進捗状況は。
また、該当する要援護者のリスト作成はどのように行われるのか。
(答弁)総務部 防災課
まず、この計画を進めるうえでは、要援護者が自らの個人情報を地域へ提供しても構わないという同意が必要である。
9月下旬までの予定で、関係する協力団体に説明している。
この中で意見を集め、関係部との調整・検討を図り、12月までに取りまとめていく。
リストの作成方法だが、個人情報の保護を考慮し、2つの方法を考えている。
1点は、個人情報保護審査会で了承を得、民生委員へ個人情報を提供できる高齢者等の場合は民生委員が個別訪問をして支援が必要か確認し、かつ地域へ開示することに同意を得た場合にリストに登録する。
2点は、民生委員などへ個人情報の提供ができない場合は、窓口や各種通知等の発行時に支援の必要性を確認し、かつその結果を地域へ開示することに対し同意を得た場合にリストに登録する。
(要望)
高齢者なら高齢者、障害者、あるいは外国人といったそれぞれの特性に適した方式で、きめ細かく慎重に作成していただきたい。
また、それぞれの地域で、どこにどんな困難を抱えた方が住んでいらっしゃるのか、ということを把握することは、災害時ばかりではなく、地域での日常の見守りという共助の観点からも非常に有効。
リストは個人情報ではあるが、平常時にも最大限活用できるようなシステムづくりをぜひお願いしたい。
A福祉避難所について
(質問)
災害時要援護者は、一般の避難所の生活になじみにくく孤立しがちで、当事者やその家族の疲労やストレス・持病の悪化は深刻な問題である。
福祉避難所とは、要援護者のために特別の配慮がなされた避難所のことで、市町村が指定するよう国からガイドラインも示されているが、
市としての取り組み状況は。
(答弁)
地域防災計画では、指定避難所である小中学校の施設エリアの中で一部の空間を要援護者のための避難スペースとして使用し対応することとしている。
福祉避難所については、今後は指定要件等を検討しながら「防災対策会議」の中で、要援護者の避難生活における安全性や施設整備の在り方などについても検討していく。
(質問)
一次的な避難所ではなく、ある程度長期の避難生活でも周りに気兼ねなく過ごせて、介護支援や医療支援もしやすいような二次的な福祉避難所の整備にも取り組んで頂きたい。
6月の定例議会では、市民ネットの岡村議員の質問に対し、現在福祉施設との協定に向けて協議を進めているという答弁があった。
そこで提案だが、
特別支援学校も福祉避難所として位置づけて頂きたい。
(答弁)
今後研究を進めていく中で検討していく。
(要望)
障害児やその家族にとって、通いなれた特別支援学校が福祉避難所になれば、非常に安心である。ぜひ、お願いしたい。
また、特別支援学校に関しては、県の管轄であるためか防災関連に限らず他の様々な市内情報からもつい取り残されがちになっている。
しかし、通学している児童生徒はほとんどが市原市民。情報漏れ等のないよう連携を密にして頂きたい。
(2) 保育所・学校・学童保育などで過ごす子どもの避難について
(質問)
3月11日の地震発生時はちょうど午後三時前で、多くの子供たちが在園・在校中であった。
当時の子どもたちの避難誘導状況と、保護者への引き渡し状況、また、今後の課題は。
(答弁)子育て支援部 保育課
※ 保育所と放課後児童クラブについて
日常の防災訓練に基づき、地震発生直後は室内の安全な場所に避難し、揺れが収まったのち園庭または校庭に避難させ、安全確認後、室内に戻った。
一部では室内が安全との判断から屋外に避難せず室内にとどまった。
引き渡し状況は、おおむね通常の開所時間内に保護者へ引き渡すことができた。
しかし、交通機関の混乱等により、一部の保護者については最終時間で保育所が午前0時30分、放課後児童クラブが午後9時となった。
課題については、震災発生直後、電話回線の不通により連絡がつかなかったことや、保護者が迎えに来られない場合の保護者以外の方への引き渡し方法が挙げられる。
(答弁)学校教育部 指導課
※ 学校について
自校で作成している避難計画に則り避難誘導が行われ、無事避難できた。
引き渡しに関しては、学校の実情に応じて「職員による引率」、「学校待機」などの処置がとられ、すべての子供を当日中に家庭に帰すことができた。
課題は「想定以上に通信機能が使用できなかった」「引き渡しの実施基準が明確でなかった」ことが挙げられる。
これらの教訓を生かすべく、「大地震発生時の対応マニュアル」を作成し、「避難訓練の複数回の実施」、「引き渡し基準の策定」など学校安全計画の見直しを指示している。
(要望)
小中学校は、防災計画において指定避難場所に位置づけられており、親が帰宅困難となって児童生徒が宿泊する場合も想定して、備蓄の促進にも取り組んで頂けるよう要望する。
学童保育の子ども達については、地震発生時、学校によっては一緒に体育館などへ避難するよう配慮してくれたところもあったようだが、逆に全く気にも留められず、学童の狭い部屋の中で不安な思いをして過ごしたところもあり、対応にはたいへん差があったようである。
下校したとはいえ同じ校舎内で過ごしているのであるから、非常時には互いに連携し合えるよう、もっと血の通った配慮をお願いしたい。
4.子どもの給食(学校・保育所)と放射能汚染について
時間の関係でかつあいしました。
5.残土条例を含む残土問題について
(質問)前回の定例議会で、現行の条例から、周辺住民の承諾を得るという事業者側にとってより厳しい内容を上乗せした条例に改正するよう求めた。
それに対し、「現行条例を厳粛に運用していき、『自然環境マップ作成事業』の結果を待って自然の回復に取り組む」とのご答弁だったが、いったん削り取られた緑と環境サイクルは、いかに現在ある条例を駆使してもそう簡単に回復するとは思えない。
そして今現在、東国吉地区にも事業許可申請がなされており、市民ネットにも相談が寄せられているが、周辺住民の必死の反対運動の前に条例の壁が立ちはだかり、すでに土俵際に来ている。
さらにこの3月から数え、市原市内で処分場計画の許可あるいは変更許可が下りている例は、すでに4件に上っている。
失った自然の回復よりも、まずは今現在ある豊かな自然とそこに暮らす人々の生活を待ったなしで守っていただきたいが、お考えを問う。
(答弁)
本市では、平成22、23年度で実施している「自然環境マップ作成事業」で、「現在ある豊かな自然」を把握した上で、「自然回復とは何か」や必要に応じた関連条例の検討を行い、市民の皆様の生活環境を守ってまいりたいと考えている。
自然の回復については、様々な事象を検討する必要があるので、ある程度時間を要する
と考えている。
(質問)
昨年10月、木更津市において、「周辺住民の8割の同意を必要とする内容を盛り込むという県条例に上乗せした条例が施行された。
さらに、今年9月は勝浦市、10月には富津市でも同様に条例が改正され、君津市や袖ケ浦市も今年度中の施行を目指してる。
近隣自治体の取り組みの一方で、市原市だけが同様の条例の改正を行う予定がない。
千葉県内において、現在県許可の稼働中の残土処分場は54件、そのうちの17件・約3割強が市原市に存在している。
近隣自治体の条例改正に伴って、規制のゆるい条例しか持たない市原市が、今後ますます事業者のターゲットになるのではないかと、たいへん危惧している。
現行条例では、住民の直接の行動や反対運動により、許可を妨げることができない。
せめて、事業許可のハードルを高くするためにも
周辺住民の同意を得るという要件を市の条例に加えることは、やはり必要なのではないか。
(答弁)
私的財産権を侵害する恐れがあることから取り入れることは難しいと考えている。
千葉県条例も周辺住民の同意は要件とされていない。今後も千葉県と同様のスタンスで残土の規制を図っていきたい。
(質問)
周辺住民の同意を得なければならないとすることが事業者の私権の侵害に当たるならば、すでにそのような条例改正を行っている
木更津市については、どうお考えか。
(答弁)
条例を制定するに際しては、特に権利の制限にかかる部分で、慎重に検討を重ねなければならない。
市としては、私的財産権を侵害する恐れがあるため、あくまで千葉県と同様のスタンスを維持し、相互協力関係が構築されている現状制度により残土の適切な規制を図っていく。
なお、検討に際しては「自然回復」の視点から新たな制度や残土規制の概念も検討したいと考えている。
(質問)
新たな制度、新たな残土規制の概念とは、いったいどのようなものか。
(答弁)
現段階においては、「自然環境マップ作成事業」の終了を待たなければはっきりしたものが見えないが、「自然の回復」という新たな概念を取り入れたものを検討したい。
現在は、まだ具体的なものはないが、たとえば不法投棄防止対策で行っている住民監視制度、また、「自然の回復」という概念に沿った「埋立後の土地利用計画の推進」など、市民の皆様にご理解いただけるような制度の方向を示していきたい。
(要望)
新条例が、住民監視制度や埋め立て後の利用推進制度など、新しい概念をもりこんだものになるというご答弁を頂いた。
事業者の「事業を行う自由」は確かに尊重すべきであるが、一方で、そこに暮らす人々の「生存権・安心して健康に暮らす権利」もまた同様に守られなくてはならない。
既存の残土処分場に放射能汚染土壌が闇のルートで持ち込まれるのではないか、という不安の声が、市民の間から上がっている。
自然環境マップの作成完了は今年度末ごろと伺ったが、市原方式の残土条例が、周辺住民を置き去りにせず、かつ他の自治体の条例よりも実効性に優れたものになるのかどうか、ここ一、二年が正念場だと思われる。
着実に取り組んで頂きたい。
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