1. 発達障がい児支援について
(1) 発達支援センターについて
1.相談体制について
(質問1)本市における発達障がい児への取り組みは、市原市発達支援センターが、H17年に療育相談室、マザーズホーム、ことばの教室の三つの部門を設置し、訓練や療育、家族への助言など、さまざまな支援を行っている。
H22年12月議会での市民ネットの質問に対し、電話での相談の申し込みから初回面談まで1か月待ちのケースもあるとのご答弁があった。
H22年度の新規の外来療育相談は160人と、三年前の123人より約3割増加しているが、
現在、相談体制はどのように敷かれ、初回面談までの待機日数の改善はどの程度図られているのか、お聞かせ願う。
(答弁)
専属の相談員として嘱託の嘱託相談員を1名雇用し、他に児童の状態に合わせて言語聴覚士や理学療法士、看護師など少なくとも2名が同席している。
さらに、粗大・微細な運動等に関して専門的な知見が必要な場合は、作業療法士が関わるとともに、療育相談員による発達検査なども行いながら対応を図っている。
このように専門職の連携を強化させたことにより、今年度は受付日から2〜3週間で初回相談をじっしすることができている。
(質問2)申し込みからほぼ2週間以内で初回面談に入れているということで、評価する。
それでは次に、
初回面談以降の取り組みについて伺う。
家族が必要なときに何度でも相談できるよう十分な体制がとられているのか、家族が子どもの障がいを受容できるよう、カウンセリングの機能はしっかりと果たされているのか、以上の点をお聞かせ願う。
(答弁)
ことばのみの問題であれば「ことばの教室」での個別指導を行い、未歩行などの身体面の不安のある児童に対しては個別の機能訓練を実施している。
これら以外の発達の遅れが気になる児童については、個別やグループでの相談を組み、発達を促すためのフォローを繰り返し行っている。
いずれの場合も、保護者と面談する時間を十分に設けている。
(質問3)
それでは、学齢に達したお子さんに対する取り組みは、如何か。
学校に上がっても切れ目なく相談に応じることができているのか。お聞かせ願う。
(答弁)
まず、学校に対しては申し送りをしている。その後は、保護者からの連絡を受け、学校への訪問などを行っている。
また、必要に応じて教育センターなどの関係機関と連携している。
親が子供をまるごと受容し、子育てに前向きに取り組むことがきる家庭環境は、幼い子どもにとって、いかなる専門的な療育よりも効果的である。
従って、家族に対する相談支援は、継続的なカウンセリング機能が十分に果たされたものでなければならない。体制の充実と同時に、カウンセリングスキルのレベルアップには力を入れて取り組んで頂くよう要望する。
そして、幼児期から継続して受けられた相談支援が、学校に上がったとたんに途絶えてしまうという、いわゆる縦割りの体制は、保護者や子供に対し非常に大きな不安を与える。
教育センターとの連携はもちろんのこと、切れ目のない支援をぜひお願いする。
2.相談後のフォローについて
(質問1)H22年度の新規相談者160名が、今年度どのように移行しているのか伺ったところ、マザーズホームや言葉の教室での療育47名、幼稚園・保育所・学校へ39名、相談継続31名、その他(転出、連絡なしなど)43名ということであった。
初回面談に来られたケースのうち、約半数強の子供がマザーズホームあるいは保育所などで何らかの支援を継続して受けているといえるが、私が危惧するのは、それ以外のお子さんへのフォローである。
例えばこの相談継続31人に対してはどのような体制がとられているのか、お聞かせ願う。
(答弁)
グループでの相談や個別相談に振り分け、月1回の頻度で対応している。
(質問2)
月に一度では、日々成長していく時期の子供を育てる保護者の不安や焦りは解消されないのではないか。その点についてはいかがか。
(答弁)
幼稚園・保育園に通園している児童が主なため、月に1回としている。
身辺処理が未自立な場合は、児童デイサービスの利用を案内している。
今後は幼稚園・保育園などへの巡回指導なども踏まえながら、適切な支援がはかられるよう検討する。
(質問3)では次に、連絡が途絶えたその他のケースについて伺う。
何か心配があったらまた相談して・・・という「待ち」の姿勢ではなく、例えば、
定期的に様子を尋ねたり、保護者対象の講演会を開いたり、遊びを取り入れたイベントなどを開催し参加を呼びかけるなど、相談後もセンターに気軽に足を運んでもらえるような取り組みについては、如何か。
(答弁)
保護者からの申し出で途絶える場合もあるが、可能な場合はまずは電話で状況の確認をしている。
講演やイベントについては、発達障害に関する講演や、サンハートとの連携により定期的に実施している母子の交流の場の案内など、必要な支援を行っていきたい。
加えて、気軽に相談ができる環境として、今後はサンハートの児童館への専門職の巡回も検討していきたい。
不登校を経験したご本人や、引きこもりのお子さんを抱えて悩んでいらっしゃるご家族の方のお話を伺うと、「成績は悪くはなかったが、小さい頃は落ち着きがなく、こだわりが強かった」とか、「たまたま書店で発達障害に関する本を読んだら、あまりに自分の子どもの特徴と同じで愕然とした」とおっしゃる方が実に多いことに驚かされる。
また、今まで障がい児を育てるたくさんのお母さんたちと接してきて、親の不安な気持ちは障がいの程度の重い軽いには全く関係ないということを実感している。
従って、私が今回質問してきた、障がいの比較的軽い、いわゆるグレーゾーンの子どもたちに対する支援、ここを今後はていねいに見ていく必要がある。
発達支援センターが、市原市に住む発達障がい児やその家族にとって、強力なサポーターとなるよう、期待している。
(2) 保健センターによる要支援児早期発見の取り組みについて
(質問)乳幼児の発達の遅れは、知識や経験を持ったものでなければなかなか気づきにくいものである。特に保護者にとって初めての子育てであればなおさら、わが子の発達の遅れを個人差と受け止めてしまいがちである。
従って、現在保健センターにて行われている一歳半健診や3歳児健診は、発達障がい児の早期スクリーニングとして大変有効な保健サービスであると位置づけられる。
そこで、
一歳半健診や3歳児健診について伺う。
健診の際の保健指導によって、心配のある子どもはどのようにフォローされているのか、具体的にお聞かせ願う。
(答弁)
1歳6か月健診は、平成22年度は対象者2,230人中、2,115人が受診された。うち、要経過観察は667人。このうち81人は心理士による幼児心理相談、40人が幼児教室を利用している。
なお、幼児心理相談や教室終了後に、保健師による継続支援となった幼児が58人、発達支援センターへの照会が19人となっている。
次に、3歳児健診については、平成22年度は対象者2,354人中2,190人受診した。
経過観察は438人であった。
このうち、47人はことばの相談、32人が事後教室(きらきら・いちご教室)、29人が心理相談を利用している。
そのご、発達支援センター紹介が59人、保健師による継続支援が20人、幼稚園・保育所への入所が11人、医療機関への紹介が1人であった。
また、心理相談や教室を利用しない幼児については、全て保健師が家庭訪問や電話などで状況を確認し、継続支援をしている。
子どもの発達が気がかりでも、発達支援センターに相談となると二の足を踏むのが親の自然な心理である。一方、保健センターはそれほど抵抗感なく相談できる機関である。
従って、今後もスクリーニングの精度をさらに高め、発達支援センターと連携を取りながら、しっかりと保護者をフォローして頂きたい。
(3) いちはら相談支援ファイル「スクラム」について
(質問)これについては、先ほど他会派から質問があったが、私からも加えて質問する。
実際に手にした保護者の話を聞くと、「スクラム」の意義をまだよく理解していない方が多い。
特に、ある程度成長したお子さんの場合、生まれた時からの様子を思い出しながら細かく記入するのはなかなか骨が折れる作業だということもあって、せっかく手に入れても、よほど几帳面な保護者でなければ記入しないという話も聞いている。
また、発達支援センターでの配布状況を伺うと、保護者が子どもの障がいを受容していかどうかを見極めてから渡しているとのことであった。しかし、それではなかなか広がっていかないのではないか。
このファイルの記入項目は、幸い障がい児に特化したものではなく、健常児の保護者でも育児記録として気軽に記入できる内容となっている。
従って、
例えば一つのアイディアとして、先ほど質問にも出した1歳半健診の際に保護者全員に配布し、その場で記入の説明会を開いてはどうか。
一歳半の時点では記入箇所も少なくて済むうえ、このころの保護者は子どもの発達に一番敏感な時期なので、スクラムの記入率は格段にアップすると思われる。
当局のお考えをお聞かせ願う。
(答弁)
一歳半で配布することにより、「スクラム」の活用がかなり活性化することは間違いない。
提案の全員配布や説明については、今後市原市特別支援教育等連携協議会でさらに研究を進めていきたい。
成長するにつれ、心配のないお子さんの場合は自然と必要がなくなるだけであって、全員に配布することは何も問題はなく、むしろ保護者の子育て意識の向上にも大変有効だと考える。
その後の3歳児健診や就学前健診など、受診率の高い健診時には持参するよう促し、実際に健診の資料としても積極的に活用することで、スクラムの認知度や利用度がさらに高まるのではないか。
さらに、保育、教育、医療、福祉、雇用など、子どもを取り巻くあらゆる関係機関に対しても、例えば「面談の際にはスクラムを持参して下さい」と呼びかけるよう、周知徹底することを要望する。
2. 自転車交通に関する取り組みについて
(1) 自転車対歩行者の交通事故防止対策について
(質問1)私の元には、朝の通学時間帯に不意に飛び出してきた高校生の自転車にぶつかって転び、脳内出血を起こして入院されたり、転んで痛めた膝が一年経っても治らないなど、主にお年寄りからの複数の被害の訴えが届いている。被害がないまでも、自転車交通マナーの悪さに、怖くて道を歩くことができないとおっしゃる方は多くいらっしゃる。
私も朝の通学時間帯に確認したが、狭い道路一杯に広がっての併走、二人乗り、ヘッドフォンをしながらなど、特に高校生のマナーの悪さが際立っていた。
そこで、現在市では市内の自転車関連の交通事故に対し、どのような認識をもっておられるのか、また、自転車走行の危険防止のために、例えば安全教室など、どのような取り組みをされているのか、状況をお聞かせ願う。
(答弁)
市内の平成21年度の自転車事故は299件、平成22年は304件。うち死者数は平成21年が1名、平成22年が3名。若干増えている。
東日本大震災以降、手軽で便利で、環境にもやさしいと見直された自転車はこれからも利用者が多くなると想定される。
市としては、平成21年7月の道路交通法の改正内容・交通ルール・マナーの周知の啓発・広報を充実させる必要があると認識している。
交通安全教室では、保育所・幼稚園・小学校・高齢者を対象に実施している。
今年度11月末現在、286回17,261人が受講した。
交通安全指導は、幼稚園保護者を対象に3回154人、市内全小学校の2年から6年生のうち学校で指定された学年の小学生に対し50回、3067人に実施した。
(質問2)これまで自転車の安全教室は、どちらかと言えば対クルマなど被害者側の視点での啓発が重視されてきた。
しかし、第十次市原市交通安全計画に掲げられている、「道路交通における今後の方向性」の三つの視点のうちの一つ、「歩行者・自転車の事故防止対策」で述べられているように
、「自転車は歩行者に対しては加害者である」という観点をしっかりと踏まえて対策を講じる必要がある。その点についてのお考えを改めて問う。
(答弁)
最近、全国的に自転車が第一当事者となる交通事故が多くなってきたと捉えている。
幼児から段階的な交通教育を関係機関と協力して取り組んでいく。
(質問3)H17年第10回大都市交通センサスの統計によると、姉ヶ崎駅への利用交通手段としての徒歩と自転車の割合は57.2%、同様にちはら台駅54.2%、八幡宿駅44.7%にものぼっている。さらに、鎌取駅・誉田駅への利用ニーズも高いと聞いている。
従って、特に
朝の通勤通学の時間帯の駅周辺道路は、自転車による対歩行者事故の危険性が高いと思われる。
この時間帯の駅周辺道路での指導啓発は、どの程度なされているのか、ご答弁願う。
(答弁)
駅周辺の啓発は、広報車によって実施している。
朝の通勤・通学時間帯での啓発については、現在自転車マナーアップキャンペーンとして放置自転車対策をしているが、そのなかで検討していきたい。
一番効果的な時間と場所での指導啓発 それほど頻回に行わずとも効果は高いと思われる。ぜひとりくんで頂きたい。
(2) TSマーク制度の普及啓発について
(質問)
TSマークとは、自転車安全整備士が点検整備をし、安全な自転車と認めた場合に自転車に貼るステッカーで、一年間の障害保険と賠償責任保険が付随している。
この制度については、H21年6月の定例議会において他会派から質問が出ており、
今後普及啓発に努めるとのご答弁であったが、その後の進捗状況は如何か。
(答弁)
年4回の交通安全運動にあわせて、市の広報誌やHPを活用して普及に努めている。
引き続き普及に努める。
なかなか普及が進まないようであるが、市原市の高齢化率はH23年度で21.5%、5年後には26.7%になると予想されており、特に高齢者対自転車の事故はますます増加すると懸念される。
保険の加入によって、自転車走行の責任意識と同時に安全走行への自覚も増すものと思われる。ぜひ普及が進むように工夫をして頂きたい。
(3) 自転車交通に関する道路施策について
(質問1)
H20年度に実施した市原市交通マスタープラン市民アンケート調査によると、JR各駅に比較的近い、市原・五井・姉崎の臨海地区や辰巳台・ちはら台地区の住民が、通勤・通学のために徒歩あるいは自転車を利用している割合は、全体の27.9%。買い物のための利用に至っては38.9%と、高い値を示している。
さらに、「交通環境を整えるうえで優先すべき事項は?」との質問に対して、「自転車や歩行者の空間を整備し、鉄道への乗り換え環境の充実を図ってほしい」という要望が全体の16%。これは「鉄道やバスの交通を充実させ、自動車に過度に頼らないまちづくりを目指してほしい」という25%の要望に次ぐ、高い値となっている。
しかし、自転車専用レーン等の路線数は、交通マスタープランの挑戦目標に挙げられてはいるものの、H20年度の基準値にすら数値が挙がっておらず、これからの調査にゆだねるといった状況である。
アンケート調査の結果でも明らかな市民のニーズに対し、自転車交通に関するインフラ整備は非常に遅れているといえるが、自転車も歩行者も安心して快適に通行できるように配慮された道路の整備状況は、どのようになっているのかお聞かせ願う。
(答弁)
本市では、公安委員会との連携により、平成19年度にあんしん歩行エリア事業として、白金通りの吹き上げ通りから五井消防署間において、車道の停車帯を活用して自転車通行レーンを設けた自転車歩行者道を整備した。
このほか、都市計画道路などの主要道路については、幅員が3メートル以上となる広幅員の歩道整備を進めてきた。
(質問2)
警察庁交通企画課は10月25日、警察庁交通局長名で「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」という通達を全国都道府県警に出した。
この通達は、自転車は車道、歩行者は歩道という明確な区分けのもと、双方の安全を確保するために、今一度、自転車は「車両」であるということを徹底させるということを基本においている。
従って、現在国内全歩道の4割を占めている自転車通行が可能な歩道を、今後は極力減らし、その代わりに自転車専用道路や自転車専用レーンの整備事業の実施を推進することとしている。場合によっては車線を減らすことも視野に入れるなど、クルマよりも自転車の通行環境を優先する姿勢が鮮明に打ち出された通達内容となっている。
この通達により、今後市原市の道路整備事業がどのような影響を受けるのか、見解を伺う。
(答弁)
今後国土交通省や千葉県から具体的な方向性が示されるものと思われる。
動向を注視しながら対応していく。
(質問3)市原市都市計画マスタープランでは、中心市街地や駅周辺などにあらゆる都市機能を集約し、各拠点同士を公共交通ネットワークで有機的に連携するコンパクトシティへの転換を進める上で、徒歩や自転車の利便性を向上することを掲げている。
各拠点においては、近所への買い物や用事を済ませるためのいわゆるママチャリや幼児同乗自転車、そして子どもも安心して走れるような、小回りの利いた比較的低速の自転車走行環境が整備されたまちづくりが求められる。
また一方、改訂市原市環境基本計画では、地球温暖化防止に配慮した、クルマに過度に頼らないまちづくりを掲げている。
これに関しては、例えば通勤・通学、あるいはサイクリングなど、各拠点を結ぶ比較的長距離にわたる自転車走行において、車道を一定以上高速で走ることができるような環境でなければ、クルマから自転車への交通手段の転換を図ることは難しいのではないか。
千葉県はサイクルツーリズムの推進に本腰を入れ始めており、小湊鉄道のサイクルトレインの活用など、中房総のサイクリング観光の充実を目指している。
高速自転車に対するインフラ整備は、南市原などこれから発展していく観光地においても、必要な施策ではないだろうか。
これら自転車交通施策全般に関する、当局の今後の見通しや見解をお聞かせ願う。
(答弁)
「自転車を利用しやすい環境整備」、「自転車を利用できる範囲の拡大」、「自転車を利用する意識の向上」今後これらの取り組みを推進することによって、市民の皆さまが自転車を利用しやすい環境を整えていきたい。
高度成長期からこれまでの我が国のクルマ優先の道路行政も、昨今の時代背景により転換期に差し掛かっていたところだが、東日本大震災による交通網のマヒを教訓に、自転車交通はますます見直されている。
そして自転車は、「皮下脂肪」という究極の循環型エネルギーを燃やして走る車両ということで、環境ばかりか健康にも役立ち、医療費の削減にもつながるという、素晴らしい交通手段である。
今一度、歩行者・自転車・クルマの走行空間のバランスを検討し、今後の市原市の道路施策に反映するよう要望する。