いちはら市民ネットワーク
 いちはら市民ネットワークは政治をする市民団体です

【平成24年度 第3回市原市議会定例会】 【個別質問】 小沢 みか

1. 誇りと愛着が持てるまちづくりについて


(1)「中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス」などのイベントを通したまちづくりについて

○北部の歴史文化遺跡はアートミックスにどう関わるのか
  平成26年3月から開催される「中房総国際芸術祭いちはらアートミックス」は上総牛久駅周辺から養老渓谷駅周辺までの市原市南部を中心に展開されることとなっています。南部の素朴な自然・里山の風景は市の貴重な魅力であり財産であることは周知のとおりです。

 しかしまた同時に、市原市は古代より政治・経済・文化の中心地として、東国において特に繁栄を極めていた地であったことを数多くの埋蔵文化財が物語っていることは、言うまでもありません。つい先日も古代道らしい溝が発見されたとの報道が新聞を賑わせたところです。
 そこでお伺いします。いちはらアートミックスでは、「あるものを活かす」ということが重要なコンセプトとして掲げられていますが、これら歴史文化遺産はまさに市原市に今ある貴重な財産です。この活用について、当局の見解をお聞かせください。

(答弁 経済部観光振興課)
 いちはらアートミックスでは、レトロ感ある小湊鉄道や南市原に広がる里山の風景など、都市部には無い魅力を、アートを活用しながら、しっかりと発信し、首都圏で行われる魅力的な里山芸術祭として、まずは、その地位を確立していくことが、重要であると考えております。
 このことから、今回のプロジェクトでは、昭和初期に活用されていた、小湊鉄道里見駅からの砂利採取線跡地などの産業遺産や、素堀りのトンネルなどの活用を検討しているところであります。
 市内の都市部にある歴史・文化遺産等の活用につきましては、今後、アートミックスを継続していく中で、新たな活用や事業連携について、検討してまいりたいと考えております。


 すぐにあれもこれもという訳にもいかないだろうから、継続していく中で徐々に取り入れていくということは理解するが、例えば芸術祭の会場を回る観光バスなどの巡回ルートに市原の文化遺産めぐりも取り入れるなど、第1回目からでも極力可能な方法を検討していただきたいと思います。

○上総いちはら国府祭りについて
 さて今度は上総いちはら国府まつりについて伺います。
 これまで30回にわたって開催されてきた市民まつりをスケールアップさせて昨年第1回目が開催され、五井駅東地区は2日日間で約8万人の観客で賑わいました。
 このお祭りもまた、市政施行50周年を意識し、装いも新たにスタートを切ったものであります。そのコンセプトは、一つは賑わいの創出であり、さらにもう一つ大事な要素として、市原市の歴史文化を発信することで市への誇りと愛着を醸成することであり、これはそのネーミングにもよく表されているところであります。

 確かに賑わいの創出という点では、よさこいやヒップホップなど、若者文化を積極的に取り入れたプログラムが功を奏し、第1回目にふさわしい活気あるお祭りを演出できたと評価しています。
 しかし、一方では、なにか上滑りというか、市原市の歴史文化の持つ深さや重さといったものが表現しきれなかったのではないかと感じました。もちろん、これもまた今後回を重ねるなかで徐々に取り組まれることとは思いますが、今年2回目の開催にあたり、この点について改善点があればお答えください。

(答弁 経済部観光振興課)  
 国府祭りでは、歴史や文化に根ざした、ふるさと市原の魅力を市内外に発信し、多くの方に訪れていただくことで、賑わいを創出して行くことを目的の一つとしております。
 そこで、昨年の国府祭りでは、およそ千年前に綴られました、当時の女流文学の代表作であります「更級日記」をモチーフとした、開会式やオープニングパレードを実施いたしました。
 これは、上総の国の国府があった市原市が、古代、政治・文化の中心地であったことや、 「更級日記」の書き出しが市原市であることなどを、市民の皆様に知っていただくことで、誇りや郷土愛を育んでいただく、一助となればと考えたものでございます。

 今年の国府祭りでは、更級パレードに加えまして、平安末期(西暦1,180年)、相模の国、石橋山の戦いに敗れた源頼朝が、安房の国に落ち延び、その後、再挙兵し上総の国を通り、関東平定に至ったという伝記を、新たな歴史パレードの一つとして構成してまいります。
 先程、いちはらアートミックスにおける歴史文化の活用を、ご答弁させていただきましたが、この国府祭りも、市民の皆様との協働のもと、回を重ねるごとに歴史パレードを充実させまして、本市の歴史・文化を発信できるよう取り組んでまいります。


○両イベントについて
 私は、市政50周年を迎える市原市において、北部で開催される上総いちはら国府まつりと、南部で繰り広げられる芸術祭を、ぜひ歴史文化というキーワードで強くつなげていただきたいと思います。

 今議会でも観光にふるさと納税の活用というお話が出た。市原に誇りと愛着を持ちたいと願うのは、市民だけではありません。市原で育ち、今は市外に離れて住んでいる大勢の方々にも誇りと愛着を感じてもらえるようなイベントにするためには、なじみの薄い新しいアート以上に文化遺産の活用が効果的ではないでしょうか。
 ぜひとも歴史文化の要素をミックスさせることで両イベントに深みを持たせ、次の50年、100年後の市原へつないでいただきたいと思います。 


(2)歴史文化遺産のまちづくりへの活用について

○自分の歴史講座体験から
 実は私が今回この「誇りと愛着が持てるまちづくりについて」という質問を取り上げるに至ったのは、現在、国分尼寺跡展示館において7回シリーズで開催されている「ふるさと歴史講座」に参加したことがきっかけでした。

 市内で発見された無数の出土品や遺跡の持つ価値、そして、上総国府にまつわる歴史的意義など、今回初めて系統的に学ぶことができました。国分尼寺の回廊もこのとき初めて見学させていただきましたが、当時の建築資材や工法に忠実に従い、非常にこだわって作られた見事なものでありました。
 私は、恥ずかしながらこの時やっと、上総いちはら国府まつりという名前に込められた本当の意味を理解しました。これほど価値のある財産が市原に存在していたこと、そしてそのことを今まで知らなかったことに、非常にショックを受けました。

○国分尼寺の整備
 しかし、残念ながら尼寺の跡は住宅地に紛れ、案内板も乏しく、駐車場の整備もされておらず、何より回廊の塗料は剥げ落ち、壁には地震によるヒビが痛々しく刻まれていました。
同様の扱いは他の埋蔵文化財にも言えることです。

○育っていない学芸員 
 また、昭和55年から57年ごろが人数のピークであった学芸員も、平成9年を最後に採用がありません。これでは今後10年・20年経ったときに市原市の歴史を伝える若い世代の学芸員を育てることができません。

○文化遺産を重要視しないのはなぜ?
 このように、市原は上総の国の中心地であったと言葉でいくら聞かされても、行政がそれを大切に扱っているという実態が感じられない以上、市民の心には届かない。私は、これはとてももったいないことであるし、市民のみならず国民にとっての損失であると感じています。
 この件に関してはこれまで幾度となく議会で取り上げられてきたことでありますが、私からも改めて市の見解を伺います。

(答弁 生涯学習部ふるさと文化課)
 はじめに、歴史文化遺産の保存につきましては、現状を失うことなく、未来に引き継いでいくため、その種類に応じた適切な方法による保存に努めているところでございます。
 次に、歴史文化遺産をアピールするための具体的な方策としましては、市のホームページや広報紙を利用し、PRに努めるとともに、市民参加型イベントの「ふるさと歴史講座」・「夏休み子ども体験講座」などを開催しております。

 今後も、歴史文化遺産の適切な保存や、市民への周知などを図ることにより、郷土への誇りと愛着が持てるまちづくりに寄与してまいります。
 なお、学芸員の採用につきましては、関係部署と協議のうえ、業務の継続性が図れるよう検討してまいります。

 埋蔵文化財調査センターでは地道に着実に調査研究・整理が進められ、史跡めぐりや歴史講座などの啓発事業も積極的に行われており、その点は評価しています。
 計画的に少しずつ整備するのであろうが、一番目の質問で触れたように、市制施行50周年で観光に力を入れていこうというタイミングになってもこのようなペースでは、この件に関して市は後ろ向きと言わざるを得ません。これから大勢訪れるであろう観光客が市原市の史跡を見た時にいったいどんな印象を抱くか、よく考えていただきたいと思います。

○定年退職者の郷土意識・学習意欲の芽生え
 私が参加した歴史講座では、会場内は年配の男性で溢れかえっていました。臨海部企業で活躍し、定年を迎えた後もなお知的好奇心が旺盛な方が、近年市原市に増加しています。今後このようなニーズはますます高まることと思われます。

○歴史のにおいを感じられる街に
 子育てや家庭が毎日の関心事である主婦や、仕事に追われる働き盛りの人々、または若者など、多くの市民は郷土の歴史文化に特別関心を寄せているわけではありません。肝心なのはこのような市民へ如何にアピールするかです。そのためにはもっと文化遺産が日常的に市民の目に触れるように整備する必要があるのではないでしょうか。
 つまり、わざわざ出向かなくても、まちを歩く、車で通る、駅に降り立つ、そんな日常生活で折に触れるまちの風景に、歴史文化のにおいが感じられるかどうか、そのことを意識した整備が図られるか、ということだと思います。

○市原市を離れても、郷土の拠り所に
 
昨年策定された観光振興ビジョンにおいても、戦略2の「地域資源の磨き上げ」で文化財の活用が掲げられています。歴史文化遺産は得ようとして得られるものではないが、市原市は幸運なことにそれがあるのだから、ぜひこれから本腰を入れて取り組んでいただくよう要望します。

2. 行政評価について

○行政評価システムとは
 行政評価システムとは、個々の行政活動について予算や人員を投入した結果に対する効果や成果を客観的な視点で評価・検証し、行政サービスの改善に反映する仕組みのことであり、行財政改革の中でも重要な役割を果たすものです。
 1995年に三重県が「事務事業評価システム」を開始したのを皮切りに、導入団体数は着実に増加しています。総務省の調査によると、H22年10月現在、都道府県・市区町村の54,4%が行政評価システムを取り入れています。

その広がりの背景には、
・財政事情の悪化によって、行財政運営の効率化が迫られていること 
・地方分権の推進によって、主体的な政策形成が必要とされていること 
・行政に対する住民の監視意識の高まりによって、説明責任の遂行がより求められていること
など、社会状況の大きな変化があります。

 市原市では、改定市原市総合計画において、「行財政改革の推進」は7つの政策課題のうちの一つに掲げられており、現在第5次となる新行政改革大綱に沿って取り組まれているところですが、そのなかで行政評価システムはどのように取り入れられているのか、これから伺います。

○市原市の「政策」「施策」
 改定市原市総合計画では、ご存じのように「安らぎと活力」「ともに輝く元気なふるさといちはら」という基本政策が定められ、その下に「ともに支えあうまち」「ともに育むまち」などの5つの政策が示されています。そして、例えば、「ともに支えあうまち」という政策に対しては、「ふれあいに満ちた福祉社会の実現」「安心できる医療体制と健康づくり」などの施策がぶら下がっていて、合わせて24の施策が定められています。

○市原市での政策・施策評価は?
 では、これら政策・施策に対する行政評価について、市原市ではどのように取り組まれているのか、お答えください。

(答弁 企画部企画調整課)
 まず、改訂市原市総合計画では、各種施策の達成状況や市民満足度を評価するため、挑戦指標を設定し、毎年一定の時期に、市民アンケート等を実施し、その目標の達成度の把握に努めているところでございます。
そして、市民満足度の向上や挑戦指標の達成に向けて、実施計画事業で具現化を図っております。

 個々の実施計画事業の進行管理については、それぞれの事業についての管理調書により、事業の進捗率や予算化率などを、検証しているところです。
また、各実施計画の中間年に、改訂市原市総合計画の達成状況を検証するため、外部評価を行っております。

 この外部評価につきましては、まず、各部局とともに、施策体系ごとの内部評価を行い、その後、学識経験者や各種団体代表者、公募により選定された市民などで構成する市原市総合計画審議会に付議し、専門的かつ市民の広範囲な視点から、客観的な評価を受けているところであります。
この諮問・答申を受けまして、改訂市原市総合計画の評価と捉え、次年度以降の計画策定等に、反映しているところでございます。

○第3次実施計画への評価の反映は
 では、そのように第2次実施計画に対し行われた評価をどのように第3次実施計画に反映させたのか、お答えください。

(答弁 総務部総務課)
 前回の外部評価では、改訂市原市総合計画で設定しております挑戦指標について、約7割が目標を上回っている「到達レベル」、残りの約3割については「目標に到達していない」、あるいは「下降傾向にある」との結果でございました。
その評価結果を、まちづくりの基本的方向別に見ますと、「ともに支えあうまち」や「ともに成長するまち」の分野で、「やや遅れている」という判断をいただいたところでございます。

 そこで、第三次実施計画においては、改訂市原市総合計画の具現化に向けまして、継続する施策はより良いものへと充実させるとともに、遅れの見られる分野につきましては、手厚く事業を盛り込み、事業費を重点的に配分することとしたところであります。

○まだ不十分な市の評価システム
 総合計画に対する評価に「市原市総合計画審議会」という外部評価を取り入れたことに関しては一定の評価をします。
 例えば、「安心して子育てできる環境整備」という施策の達成度を測るために、合計特殊出生率や子育てボランティアの数などの挑戦指標を掲げているが、審議会が『「待機児童の数」も指標に追加してほしい』という答申を出したところ、第3次実施計画の中にきちんと反映されていました。

 しかし、市原市のやり方は、審議会に諮問する前の段階で、まず企画部で調書のフォーマットを書いて、それを各部局の担当者にばらまき、下から上がってきたものを集計し取りまとめ、そしてそれをもとにして評価される側の行政が自ら評価指標を定め、自ら目標値を設定しています。このような上意下達のやり方は、行政評価としてはまだまだ不十分と言わざるを得ません。

 一口に行政評価といっても、各自治体が置かれた状況によって取り組み方は様々で統一的な仕組みがあるわけではありませんが、状況に合わせて崩してよい部分と絶対に崩してはいけない部分があります。そのうち最も崩してはいけない部分が、住民志向に100%徹し、最大限の客観性を保つ、ということです。
 公開の場で市民や第3者を交えて決められた指標に対する評価と、評価される側が自ら決めた指標に対する評価とでは、結果に対する市民の信頼感・納得感はまったく違うのではないでしょうか。

○第4次実施計画に向けての評価は?
 ところで第3次実施計画は来年度までの計画です。前回の例でいえば、今現在はちょうど次の実施計画に向けた評価を始める時期であると思いますが、それに当たり何か改善点はお考えですか。

(答弁 総務部総務課)
 今年度は、現実施計画の中間年でありますので、これまでと同様、外部評価を行う予定でございます。
 具体的には、現在までに、庁内各部局において、挑戦指標とともに、施策体系ごとの達成状況を、まとめたところでございます。この後、これらを検証しながら、内部評価を行ってまいります。

 その後、市原市総合計画審議会に対して、諮問し、客観的・専門的見地からの、さまざまなご意見を踏まえた答申をいただくこととなります。
 また、今回の外部評価につきましても、審議過程の中で、いろんなご意見が出ますから、そのご意見等を十分尊重しながら、今後の計画策定に反映してまいりたいと考えております。

 例えば審議を公開の場で行うなど、透明性を高めるための工夫を今からでも検討してください。

○事務事業評価については?
 次に、事務事業に対する評価について伺います。
事務事業とは政策・施策を実現するための手段であるが、例えば、「自然環境マップ作成事業」や「健康・医療相談ダイヤル24事業」など、市原市には合わせて約500から600の事務事業があります。
 個々の事務事業に対する行政評価は、どのように取り組まれているのか、お聞かせください。

(答弁 総務部行政改革推進室)
 事務事業とは、「具体的な方策や対策を具現化するための個々の行政手段としての事務及び事業であり、行政活動の基礎的な単位となるもの」であると考えております。
 そして、事務事業の実施にあたりましては、行政改革を進めていくうえでも、限りある資源を最大限に活用し、最少の経費で最大の効果をあげていくことが肝要であります。

 このため、事務事業の評価におきまして、その目的や効果、実績なども踏まえながら、そもそも行政によって実施すべき事業であるか、あるいは、事業を行う手段が妥当であるか、外部に委託化できないか、コスト削減が可能であるか、などの視点により、自己点検・自己評価を行っております。

○事業仕分けとは
 市原市では、第5次の新行革大綱において、「事務事業の徹底した見直し」のなかで新たな手法として事業仕分けを取り上げ、「必要に応じて外部評価の実施を検討する」としています。

 事務事業評価の客観性・透明性をより高めるための有力な手法が事業仕分けです。
 事業仕分けは、民主党が国政レベルで行ったことで全国的に知られるようになりました。2011年度末までに、91の自治体で142回行われています。
 納税者である地域住民が見ている前で、一つ一つの予算事業について、「そもそもこの事業は必要か」「目的に合致しているか」「市がやるべきか、国・県がやるべきか、民間にゆだねるべきか」「事業内容やコスト管理は適正か」などを、他の自治体の職員、大学やシンクタンクの研究者、地元住民などが仕分け人となって議論し、それを聞いた市民判定人が判断を下す、という手法が代表的なものです。
 そこで改めて、現在どこまで取り組まれているのか、状況をお聞かせください。

(答弁 総務部行政改革推進室)
 事務事業におきましては、より徹底した見直しを進めていくことが必要であると考え、現在行っている自己点検・自己改善に加え、外部評価を実施することを検討しております。
 議員のご質問にもありました「事業仕分け」につきましても、外部からの視点で評価する手法の一つであると認識しております。
 そのような手法も含め、外部評価の対象事業や評価方法等について検討してまいりたいと考えております。

○事業仕分けに参加して
 私は7月に東京で行われた模擬事業仕分けに市民判定人として参加する機会を持ちました。また、8月5日に四街道市で行われた事業仕分けも傍聴しました。
 四街道市では、例えば、産業まつり事業の仕分けでは、「直接の受益者は誰か、それは全市民のうちの何%か」「担当の職員は何人か、そこから計算される人件費はいくらか」「産業まつりの従事者一人あたりにかけたコストはいくらか」「来場者一人あたりにかかったコストはいくらか」「他自治体の類似事業の状況はどうか」など事業の中身が定量的に把握できるような項目が書かれた事業評価シートが作成され、そのシートをもとに完全に公開された中で徹底的に議論が行われていました。

○事業仕分けの課題
 もちろん、ただのパフォーマンスに過ぎないとか、実際に仕分けても大した予算の削減にはなりません、外部の人間に何がわかる、公の事業はコストでは推し量れない、などの四街道市の住民や職員、議員の声も、参加した中で実際に聞こえてきました。
 仕分けの対象となる事業をどんな方法でピックアップするのか、仕分け人や評価人はどのように選定するのか、仕分けられた結果をいかに次の予算や計画に反映させるのか、そしてこれに議会がどう関与していくのか、など課題も少なくない。

○事業仕分けの効果
 しかしそれでも、方式を模索しながらでも、私は事業仕分けを行う価値はあると感じました。
理由の第1に、公開の場で議論することで、行政職員の意識改革が格段に進むこと。第2に、住民側の行政に対する信頼性が高まること。そして第3に、仕分けに参加した住民自身が、受益者であると同時に納税者でもあるとの意識が高まり、「あれもこれも」の要望型ではなく、行政サービスの必要度と財政との兼ね合いを、自分の問題として考えるきっかけになること。これは、住民がまちづくりの担い手となる新しい協働の形であるともいえます。

 住民は財産の一部を納税することでいわば信託者となり、その結果行政は受託者としての説明責任が生ずる。その説明責任の果たし方の一つが、行政評価である。
 事業仕分けのような客観性を最大限取り入れた行政評価システムをぜひ積極的に構築していただくよう強く要望します。 

○市庁舎建て替え問題と市民参画の実践
 最期に関連して一つ付け加えたい。
 昨日小出議員が質問されていた住民の政治参加をルールづける自治基本条例の制定に関しては、市民ネットもかねてから要望してきました。
 市原市はかつて総合計画の見直し等で市民会議を発足させ、市民参画を実践してきました。地域では「小域福祉ネットワーク」や「まちづくり協議会」など市民活動もかなり活発である。行政評価システムもその延長線上にあるものである。
  しかし、本議会でも何度か取り上げられている市役所本庁舎耐震対策については、市民との議論抜きに具体的な4つの案が示された。これまでの市民参画の歩みと逆行するような形で計画が進み、結果的に市民の信頼を失うことが無いよう、当局には誠実に取扱っていただくよう重ねて要望します。

3. 学童保育について

○障害児への対応が改善されたことへの評価
 まず質問に先立って、評価したい点を述べたいと思います。
平成23年の9月議会において、市民ネット岡村議員が発達障害児の受け入れ体制について質問しました。発達障害を持つ児童に関する情報を、現場が事前に把握できる仕組みが整っていません。そのため、新年度に十分な体制がとれず、様々な問題が発生しているという内容でした。

 当時は、入所前に保護者が提出する利用承認申請書の障害に関する記載項目は、身体障害者手帳あるいは療育手帳を持っているかいないかどちらかに丸を付ける、というだけのものでした。しかし、現実には発達障害を持つ低学年の児童の多くは手帳を所有しないため、情報が漏れてしまっていました。
 しかし先日確認したところ、今年度から書類の記載項目が見直され、特別支援学級に在籍または通級しているかいないか、補助員の配置を受けているかいないか、またさらに、児童の状態について教育委員会に対し照会をしてもよいかどうか、という項目が追加されていました。

 そのおかげで、情報の漏れが無くなり、その情報をもとに保護者との事前面談も可能になり、新年度を迎える前に受け入れ体制を整えられるようになったと、現場の指導員からも喜びの声を伺っています。
 指導員はもちろん、保護者の安心感は以前とは比べ物にならないであろうし、そして何より発達障害のある児童や周りの児童にとっても、放課後の居場所がより良い環境になったことは確かです。適切な改善を迅速に図られた当局の対応は、大いに評価するところです。

 書式一つでも、現場の感覚を取り入れて見直すだけで、ここまで大きく市民の満足度が変わります。このような例は、他にもたくさんあるのではないでしょうか。ぜひ全庁的に再考いただきたいと付け加えるものです。

○学校側と学童保育側との情報共有・連携体制について
 この問題は学童保育側と学校側との情報共有・連携体制の問題でもあると思います。
例えば、
・子どもが少し具合が悪そうだから迎えが来るまで保健室を借りたい 
・雨の日は体育館を借りたい 
・迎えに来た保護者用に駐車場を使いたい  などのハード面、それから
・台風などによる登校日や下校時間の急な変更 
・伝染病が流行りだした 
・最近どうもA君に元気がない など、さまざまな情報交換などのソフト面、
 いずれも学校と学童双方の連携が取れていないために、児童にとって不利益を被るケースが生じていることがままあるようである。このような状況について、まずは子育て支援部の見解をお聞かせください。

(答弁 子育て支援部保育課)
 学童保育に係わります教育委員会との連携でございますが、まずハード面といたしましては、学童保育室の開設にあたりまして、余裕教室を活用する場合や単独施設として整備する場合の敷地の使用等について協議を重ねておるところでございます。
 また、学童保育室以外の施設につきましては、長期休業期間中の体育館、また、送迎用などの駐車場につきまして学校ごとに協議の上、利用しているところでございます。
 その他の学校施設につきましては、学童保育を利用する児童の利便性を考慮し、教育委員会と連携を取りながら工夫してまいりたいと考えております。

 次にソフト面でございますが、先ほど議員からもおっしゃっていただきましたが、障害のある児童に関します情報につきましては、今年度から、保護者の同意を得まして、教育委員会から情報提供を受けるよう運営方法を改善したところであります。
 以前よりも、指導員の的確な配置が図れるといった効果もあったものと認識しております。
 従いまして、児童の学校での健康状態など、全般的な問題を把握することについては、放課後の保育の質の向上が期待できるということがある程度わかってまいりましたものですから、個人情報というような課題もまだあるわけですが、教育委員会などと協議してまいりたいと考えています。

 ハード面にしろ、ソフト面にしろ、教員と指導員の日ごろのコミュニケーションが円滑に行われているところは連携もうまくとれているようですが、年度ごとの職員の移動のたびにまたその関係が崩れてしまうなど、連携が個人の人間性・関係性に委ねられており、現状はとても不安定です。
 そこで、今度は教育委員会にお尋ねする。教育委員会は学童保育に対してどのような認識をお持ちなのか、連携に関するご見解と合わせてお聞かせください。

(答弁 学校教育部学校教育課)
 始めに、学童保育に対する教育委員会の認識について、お答えいたします。
学童保育は、保護者が安心して働ける環境を提供するために、放課後や夏休みなどに児童をお預かりし、集団生活や共同の遊びを通して児童の健全育成を図るものであると認識しております。
子どもの健やかな成長を図る学校教育と、目的は同様であり、両者がきめ細かな連携を図ることは、子どもを適切に見守る上で、大切なことであるものと捉えております。

 次に、相互の連携についてお答えいたします。
保育施設以外の学校施設の臨時的な使用のうち、長期休業期間中の体育館や駐車場の使用については、学校運営等に支障のないことを確認のうえ使用を認めるなど、連携を図っております。

 また、保健室や図書室などにつきましては、施設管理や警備上の課題があることから、基本的には学校運営上の使用のみにとどめているのが現状でございます。
今後の更なる施設使用範囲の拡大につきましては、このような課題等を踏まえながら、子育て支援部と協議してまいります。
 また、ソフト面での連携については、保育上必要な子どもの健康状態や行動特性、友人関係などの情報を共有することは、子どもの成長を見守る上で大切であり、それらの情報交換の場を設定することは必要であると考えております。
 しかしながら、情報交換には個人情報を取り扱うことから、その実施については関係部局と慎重に協議してまいりたいと考えております。

責任者レベルの懇談の場の体制づくりを
 確かに、ハード面ではセキュリティーの問題など課題が多いのかもしれませんが、ソフト面はいくらでも改善できるのではないでしょうか。
 学校の教師も多忙な毎日を送っていることは承知しています。教育という守備範囲に意識を集中しなければならないのは無理ないことと思いますが、「同じひとりの子ども」に対する情報が教育と保育という壁で分断された今の状態が、子どもにとっていいはずがありません。
 そこで提案ですが、例えば年度初めなどに学校と委託団体の代表と行政、この3者間の懇談の場を定期的に設けるというような体制をとることはできないのでしょうか。

(答弁 子育て支援部保育課)
 現在、学童運営団体と学校との情報交換につきましては、学校行事や下校時間などの日常的な連絡について、ほぼ支障無く進められているものと認識しております。
ご提案のありました3者協議の場につきましては、大きな視点、また継続性といった点からも、学童保育と学校との連携の円滑化に資するものと思います。
 このため、今後どのような体制で協議を行うことが良いのか、教育委員会と検討を進めてまいりたいと考えております。

 何か問題があってから初めて話し合うのではなく、普段からパイプをつないでおくことが必要です。年に1、2回でも懇談の場が保障されれば、教師と指導員レベルの普段の連携もスムーズになり、ハード面の問題も互いの歩み寄りの中で解決の糸口が見つかるかもしれません。ぜひ実現させていただきたいと思います。

○教師と指導員の情報共有について
 それからもう1点提案したいことがあります。
児童個人に関する教師と指導員の間の情報共有に関しては、個人情報保護という壁があることで思うように進まない場合があるようです。
 その点に関しては、冒頭に述べた障害児に関する情報のように、書面で事前に保護者の承諾を得れば済むのではないでしょうか。如何でしょうか。

(答弁 子育て支援部保育課)
 先ほども申し上げましたけれども、児童の学校生活での様子などの情報を、学童保育に活用することは、きめ細やかな保育の実施に資するものであるという風に考えております。
 先ほど来、個人情報という言葉がありますけれども、こういったことを前提に、現在も同意を戴いているという点も考慮しながら、この点をいろんな部分で保護者の方々に投げかけさせて頂いて、また、教育委員会とも協議のうえ、進めてまいりたいと考えております。

 今年度4月1日に施行された「いちはらっこすくすく条例」第4条第2項でも、「保護者・学校・地域住民および事業者との連携が図られるよう総合調整する」として市の役割が明確に定められている。いじめや虐待の防止・発見の観点からも、当局には、保育・教育を担う専門家同士の連携の場をしっかり確保していただくことを要望します。

○利用児童数の増加
 市原市の学童保育への申請者数は、平成18年度時点で761人。以来毎年増え続け、平成23年のデータでは申請者数は1459人と5年前の約2倍にまで膨れ上がっています。
 国の試算でも、児童に対する放課後児童クラブの利用率は現時点で83万人でありますが、5年後には129万人にまで増加するとされています。
 共働き世帯やひとり親家庭の増加などで、安全で安心して過ごすことのできる放課後の生活の場を求める保護者の願いはますます高まっています。

 ある保険会社が行った子どものいる若い共働き世帯への住まい選びに関するアンケートでは、「保育所や学童保育などの保育施設が整備されているところ」が住み替え先として真っ先に重視されているという考察がなされていました。
 学童保育は、保護者の仕事と子育ての両立支援をも担っている、今やそういう時代であります。

○子ども・子育て支援法成立
 学童保育は、児童福祉法上は「児童福祉事業」であり「児童福祉施設」ではないため、これまで最低基準や財政措置が法的に決められておらず、施設の広さや設備、指導員の配置基準など市は県のガイドラインを参酌しているのが現状です。
 そんな中、8月に国会で可決成立したばかりの「子ども・子育て新システム」によって、子育て施策は今後大きく変わろうとしています。
 市の実施責任が強まることも予想される中、学童保育が量・質ともに着実に拡充され、子どもたちの放課後の継続した安心・安全な生活の場がしっかりと保障されるよう要望するものです。

4. 学校における防災対策について



(1)市原市小中学校一斉防災訓練について

○6.11について
昨年3月11日の東日本大震災を受け、今年度6月11日に市内小中学校において一斉防災訓練が行われました。振り替休日であった2校を除く計66校、約2万2千人の生徒児童が一斉に避難訓練を実施するという初の試みでした。
 震災は市域で一斉に起きるものだということは当たり前といえばそうなのですが、訓練当日は防災行政無線が使用され、現実に即した訓練に一歩近づけたことは評価します。
しかしひとつ気付いた点について質問します。

○保護者との連絡体制
 昨年の東日本大震災を教訓に浮かび上がった園や学校における最も大きな課題が、保護者への連絡体制や引き渡し方法であったと伺っています。
 では、今回の一斉防災訓練では、その点を踏まえた訓練方法の改善は図られたのか、お答えください。

(答弁 学校教育部指導課)
 6月11日に実施した一斉防災訓練におきまして、市内68校中41の小中学校が一斉メールによる送信テストを実施いたしました。
 また、ホームページを利用した送信テストを実施した学校もあります。
 メール送信テストの内容ですが、ある学校では、情報担当者が発信いたしまして、その文面は、津波警報発令が解除されたことを想定し、児童の引き渡し訓練をこれから行いますというものであります。

 このような災害時のメール送信は、通信網の混乱時に大変有効であるととらえ、今後、登録する家庭の割合を高めるとともに、本システムがまだ整備されていない学校へ、その導入をはたらきかけてまいりたいと考えております。

 電話、一斉メールの配信、学校HPの活用など、保護者への緊急連絡の手段は各々の学校で異なると思いますが、それぞれ決められた連絡方法が実際どの程度機能するのか把握しておくことは必要だと思います。
 ぜひ今後も工夫して取り入れていただきたいと思います。

○臨海部の爆発火災事故の想定について
 また、今回は13校で津波を想定した避難訓練が実施され、明神小学校は姉崎神社へ避難し、その他12校は校舎の上階に避難したと伺っています。
 しかし、海部に近い学校では、津波以上にコンビナートの爆発火災事故に巻き込まれる可能性が高い。
 臨海部で起こる事故は様々で、気象条件によっても大きく左右され状況判断は難しいが、今後地域防災計画が見直され、臨海部の事故に対する想定もされる中で、学校側もその点を意識した訓練を取り入れていただきたいと思います。


(2)防災拠点としての学校の役割について

○避難所としての計画・シミュレーションは
 防災拠点としての学校の役割について質問します。
 東日本大震災を受けて教育委員会から「大地震発生時の対応マニュアル」が示され、それをもとに各学校では防災計画が見直されました。

 対応マニュアルを読むと、児童生徒の安全確保・救出・介護を何よりもまず優先させた中身であることは当然ですが、学校の持つもう一つの機能としての、地域の避難所でもあるという視点が後回しになっているという印象が強く感じられました。
 そこで質問ですが、各学校では、避難所開設および市の担当者に引き継ぐまでの避難所運営の計画は整備されているのか。また、シミュレーションはされているのか。お答えください。

(答弁 学校教育部指導課)
 市内小中学校では、教育委員会が提示いたしました「大地震発生時の対応マニュアル」をもとに、学校が避難場所となった場合を想定した学校防災計画を整備しております。
それによりますと、避難場所の開設にあたっては、近くに住んでいる職員や事前に依頼してある地域の方が鍵を開け、速やかに避難者を受け入れられ体制となっております。

 また、避難場所の開設にあたりましては、校長が避難場所の責任者となり、職員を総務班、物資班、救護班など必要な班に割り当て、適正に避難者を受け入れられるよう、校内体制の整備を図ることとなっております。
 今後は、各学校が、災害対策本部との連絡も含めた、実際の災害を想定した実践訓練を繰り返し実施することで、速やかに避難場所を開設できるよう働きかけてまいりたいと考えております。

 大災害が起きたら、真っ先に地域の人々が大勢学校に駆け込んでくるでしょう。その中には、近所に住むお年寄りや乳幼児、障害者がいるかもしれない。学校のことを全く知らない市外の帰宅困難者もいるかもしれない。
 学校の教職員は嫌がおうにも避難所開設の実務を担わなければならない。いざというときのためにも、避難所開設のシミュレーションや訓練は必要なのではないでしょうか。
 そして、教師が何もかも背負わないよう、また、学校が閉まっている時間の対応のためにも、学校・地域・市の連携体制をしっかり作っておく必要があると思います。

○市や地域と一体となった防災訓練を
 9月1日・2日に行われた市の総合防災訓練では、県の「命の大切さを考える防災教育公開事業」の実施指定校である白金小学校、そのほか有秋南小学校でも地域住民と児童が一緒に訓練を行ったということで、これはとても良い取り組みだと思います。
 しかし、現在市原市で行われている主な防災訓練は、先ほど質問させていただいた学校防災訓練、そして9月の総合防災訓練と、基本的に学校と市が別々に行っています。

 しかし、実際に避難所を開設するのは施設管理者である学校長であり、避難所担当部局の職員が到着するまで、教職員もしくは地域住民が避難所運営をしなければなりません。それぞれの避難所運営計画のすり合わせの必要性も出てきます。
 そこで、提案なのですが、幼稚園や保育所、学校の子どもたちと地域の人々が一堂に会しての避難訓練、避難所開設訓練、避難所運営訓練、さらに市の担当部局も加わっての一体的な連携訓練を行えば、理にかなった有意義な防災訓練になると思うのですが、当局の見解をお聞かせください。

(答弁 総務部防災課)
 災害はいつ発生するか分からないため、避難所となっている小中学校の先生や生徒の皆さんに加えて、一般の住民の方々と連携したような形で訓練ができれば、より実践的なものになると認識しております。
したがいまして、そのような観点から、本年度の総合防災訓練におきましては、中央会場となる八幡東中学校や、避難所訓練を行った白金小学校におきましては、趣旨を学校に説明をし、ご協力を得られたため、生徒と先生にご参加をいただいたところであります。

 また、地区会場におきましても、一部の学校におきまして、学校や生徒、その家族、地区住民が参加した訓練を実施したところであります。
 総合防災訓練につきましては、市民の皆様が参加しやすいという観点から、例年、日曜日に開催しておりますことから、学校の一斉防災訓練との統合にあたっては、休日に参加いただく学校、生徒の皆さんの協力が得られるかが課題と考えられます。
 しかしながら、より多くの住民、学校関係者、生徒の皆さんにご参加いただき、訓練を体験し、連携していくことが重要でありますので、来年度以降につきましても、庁内関係部と連携し、総合防災訓練への学校関係者や生徒の参加を要請してまいりたいと考えております。

教育委員会のご見解もお伺いします。

(答弁 学校教育部指導課)
 9月1日に行われました、白金小学校で行われた訓練ですけども、これは児童が地域住民と一緒に一時避難場所から学校へ避難する訓練でありました。
 このように、地域と一体となった防災訓練は、子どもたちの在宅時の避難、周りの人たちの安否への気遣い、地域の人たちと顔見知りになることで生まれる安心感などのかかわりから、大変意義あるものと認識しております。
 教育委員会といたしましては、今後、各地域や町会で実施される避難訓練に子どもたちが積極的に参加するよう各学校を指導してまいりたいと考えております。

○調布市の取り組み
 調布市では、今年度から毎年4月の第4土曜日を「調布市防災の日」と定め、教育委員会が中心となって全小中学校一斉に大規模な防災訓練を行った。
 当日は学校公開日とし、午前中は「命に関する授業」の参観、保護者や地域住民向けの公開講座のあと、各学校で作成された「震災時対応シミュレーション」を検証するための避難訓練・引き渡し訓練・避難所開設訓練を行っている。さらに午後は消防職員による救命講習、地域住民と協力しての炊き出し、仮設トイレの設営、中学生は飲料水の配布などの避難所運営にも携わるなど、各学校独自の工夫で様々な取り組みが行われた。

 私は、訓練の中身もさることながら、年に一度、保護者や市の職員、町会や自主防災組織、消防団、企業など地域の様々な人たちが学校に集まって、こどもと一緒に防災について考えたり訓練したりすること自体に、大きな意味があると考える。
 もちろん、行うに当たっては様々な不都合が想定されるだろうが、それはむしろ現実的な課題として捉えて、ぜひ検討していただきたい。

○防災教育について
 東日本大震災で大津波に襲われた岩手県釜石市で小中学生の99.8%が助かった「釜石の軌跡」。その裏には、画期的な防災教育があったことはご存じの通りである。
 釜石では、子どもたちを起点に災害文化を地域に定着させるという位置づけで、大人よりもまず子供たちに防災意識を植え付ける教育が行われていたそうである。私はそういう意味でも学校は地域の防災の拠点であると思った。

 防災教育は「生きる」という命の教育でもある。ぜひ日ごろの防災教育も合わせて積極的に取り組んでいただきたいということを最後に申し添えて、これで質問を終わりにする。

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