1. 残土処分場について
○ 残土問題 近々の動き
去る9月27日に、私ども市原市議会が全会一致で採択した県残土条例の強化等に関する意見書が、そして同日市長からは残土処分場の規制に関する要望書が、県に対し提出されました。
また昨日の本会議において、内田・鶴舞両地区町会から提出された「市原市民の環境をまもる基本条例」の運用に関する請願が、全議員の賛成を持って採択されました。
両地区では、これまでもずっと産廃・残土問題に苦しめられてきました。またもや持ち上がった残土処分場計画に対する憤りと、これ以上自分たちの生活と環境を脅かされたくないという切実な願いが、今回大きなうねりとなっています。
両地区に限らず、多くの市原市民が長年にわたり産廃・残土問題に苦しみ、今回に限らず、幾度となく県行政に窮状を訴え善処を申し出てきましたが、残念ながら事態は全く改善されていません。
このような背景を踏まえて、行政は市原の貴重な自然と市民の生活の安心を、どこまで本気で守るお覚悟があるのか、ということを今から問いたいと思います。
○ 残土処分場が環境にもたらす影響について
前回の議会で、秋元部長から、H10年からの許可面積は市内のゴルフ場の4箇所分にも当たるというお話がありました。現在、県許可の稼働中の残土処分場は54件、そのうちの17件・約3割強が市原市に集中しています。
そこで最初に確認します。
前回の議会で残土処分場が引き起こす社会的問題についての二田口議員のご質問に対し、部長は、「残土処分場は廃棄物の混入・ダンプカー通行による交通安全の問題や粉塵の発生、現場の崩落や水質汚濁等の原因になっていた」とご答弁されていました。
私はそれに加えて、生物多様性の宝庫である里山・谷津田が埋められ、消えていくということは、すなわち市の財産を失うということだと考えています。当局では、この点についてどのように認識されているのでしょうか。
(環境部)
従前は、その土地に住む人のくらしと密接に結びついていた、人里近くの山林や谷津田も、生活様式の変化などにより、現在、手入れがされず荒廃した状況が多く見受けられ、この機能回復が課題となっております。
土地の利用については、一義的には所有者の判断によりますが、残土処分場としての利用は、自然生態系をはじめとした環境への負荷が大きい場合も考えられます。
また、一方では残土は、人間の社会経済活動に伴い発生するもので、社会経済活動が続く限り、残土の発生をゼロにすることはできません。
そのようなことから、持続可能な社会の実現に向け、社会経済活動と環境保全の適切なバランスを保つ仕組みの検討が、今後、必要であるものと考えております。
○ 短期、中期、長期と3つのステージ
私は、この問題は短期、中期、長期と3段階の対策が必要であると考えています。
短期的な対策とは、もちろん現在持ち上がっている処分場計画を如何に止めるか。中期的には、7年後のオリンピック開催によってなお一層活発化するでしょう、首都圏から持ち込まれる残土にどう対応するか。そして長期的には、故郷の豊かな自然を子孫に残すための手立てをどう考えるか、である。
まず中期的な観点から質問します。
○ 県に対する意見書と要望書が無視されたことについて
冒頭述べたように、市原市議会からの意見書や市長からの要望書が県に提出されましたが、その後開かれた県議会の常任委員会の席上で、委員長が執行部に対し「その他状況に何か変化はあったか?」と質問した際、担当者は「特に変化はない」と答えたと伺っています。
私はこの事からも、市からの意見や要望を県はほとんど問題にしていないと感じています。そうであれば、市原市にとって非常に残念な事態です。
この点について、当局ではどう捉えているのか。また、今後の対応について、当局のお考えをお聞かせください。
(環境部)
9月27日に、議長、市長から県の環境生活部長に意見書等を手渡しいたしました。県の部長からは意見書等に対しては、真摯に受けとめるということを伺っております。
千葉県残土条例第5条では、土砂等の埋立て等の適正化に関する施策を推進するとともに、市町村が行う施策の総合調整を、県の責務としております。
このことから、本市といたしましては、県に対し、市民のさらなる安心・安全に資する措置を講じるよう、引き続き、機会を捉えながら、要望してまいります。
○ 住民同意を盛り込んだ条例改正について
現在、県内の残土の特定事業場での許可残土量の実に半数以上が市原市に集中しています。私は、7年後に控えるオリンピック開催も視野に入れると、グズグズしてはいられない、県が動かない以上やはり市が前面に出るしかないのではないか、と思います。
以前私は本会議において、周辺住民の同意を得るという内容を盛り込んだ残土条例の改正を求めましたが、その時は「財産権の侵害の恐れ」という理由で、今後も県条例と同様のスタンスを保持するという主旨のご答弁でした。
しかし、ご存知のように一方では、周辺自治体で次々と同要件を盛り込んだ条例改正を行っています。そのことにより、特定の自治体に残土埋め立てが集中する可能性が懸念されると、これは前回の議会で二田口議員のご質問に対し、部長が認められたことです。
それでも、市が条例改正に踏み込まないお考えに変わりはないか。またその理由もお変わりはないのでしょうか。
(環境部)
条例の運用にあたりましては、法令遵守の下に周辺住民、地権者等様々なことを勘案すべきものと考えております。
ご指摘の件につきましては、これまでも答弁してまいりましたとおり、今後も県と同一の基準により、現行条例を厳粛・厳密に運用することによって、「環境の保全及び災害の防止」という条例の目的を達成してまいりたいと考えております。
○ 県外残土の禁止
代替案を検討されたことはあるのでしょうか。
例えば、今年条例を改正した君津市は、住民同意はもちろん、県外残土の搬入を不可としました。これは県内初であり、住民同意以上に画期的な条文です。
東京・神奈川からの残土は船で運ばれますが、船に積みこまれるときと千葉県側の港に一時堆積するとき、それぞれの過程で混ざり合い、搬出元がわからなくなってしまいます。
また、館山の事例ですが、地元の方々が搬出元証明書を全て調査した結果、約80%が事実と異なっていたそうです。
従って、県外残土は身元不明の土であって、「残土は安心」という前提は、全く成り立ちません。
一方、ダンプのみで運ばれてくる県内の残土ならば、少なくとも搬出元はたどることができます。
市原市は、事前にいただいた資料によると、H24年度に市内に搬入された残土約149万?のうち、県内が搬出元である残土の量は約24%。残りの実に76%は県外残土で、東京都と神奈川県から海をわたって運ばれてくるものがほとんどを占めています。
従って、県外残土の搬入を認めないという趣旨の条例改正は有効な方法と思われます。当局のご見解をお聞かせください。
(環境部)
本市及び県の残土条例では、残土の発生場所を明らかにする土砂搬入届の提出とともに、土砂等管理台帳の作成を義務付けております。この土砂搬入届には、当該土砂等が安全基準に適合していることを証するために必要な書類を添付することを原則としております。また、埋立て時においても、地質や水質の報告を義務付けるなど、安全を担保する管理体制を敷き、そして、その適正な履行を確認するため、立入等、監視を行っているところです。
このようなことで、県内外にかかわらず搬入される土砂等につきましては、安全を確認できる制度であると考えております。
「市原市民の環境をまもる基本条例」の下に位置付けられている、改訂市原市環境基本計画のエコ・ミッションの中には、「残土条例の改正」とはっきり書いてあります。少なくとも、条例改正の必要性は認識しているという事です。
事業を全て規制するのは無理であることは、重々理解しています。市原市内でも、必要な建設・開発行為が行われている以上、残土は発生します。だからこそせめて、搬出元をたどれないような中身不明の残土は入れないようにできないものかと思うし、搬出元の虚偽記載の事実があった場合は、即時事業を停止させるなどの措置が必要と思うのですが、如何でしょうか。
これもできないのであれば、それでは、いったいどんな代替案を検討されているのでしょうかか。
(環境部)
袖ヶ浦港などで、一度陸上げされた土砂等はミキシングされているんじゃないかという話もありました。
搬入後につきましては、定期または完了時のサンプリング調査により、安全が確認できているものと考えております。
そういったことから、現行制度を厳粛・厳密に運用して、条例の目的を達成することを目的としていることから、県と一層の連携を図りながら、対応していく考えであります。
○ 条例改正することで県に訴えかける
お答えいただけない理由は、私もある程度承知しています。前回の議会答弁で秋元部長は、「市独自の条例を制定した場合のリスクとして、それ相応の市の負担が発生する、県との関係性が損なわれる、大規模な埋め立てを指導するための指導力の必要性、警察の介入」と述べられていました。
3000平方メートル以上は、本来は県がきちっとすべきこと。これは本当に私もそう思う。しかし、県に動きが見られない以上、市原市が強い決意で適用除外をあえて設けることで、先んじて改正し現に部長がおっしゃったような対応に追われているであろう他市と一致団結して、逆に県にこれまで以上に強力に働きかけることができるのではないでしょうか。この点については、如何かでしょうか。
(環境部)
本市といたしましては、残土埋立て事業に対して、全県が一体となって、県と県内市町村が連携しながら、より安全な対策を講ずることを出来るよう、引き続き県に対し要請していく考えであります。
今後とも、県内市町村の残土埋め立て事業に対する情報収集に努め、今後の連携についても検討してまいります。
他に何か代替案は検討していないのですか。
(環境部)
現状におきましては、残土条例をですね、直ちに改正する考えはありません。
○ 環境マップの活用について
では、環境マップの活用に話を移す。これは今回の請願にも関連することと思うが、環境マップ自体は完成からすでに2年が経とうとしています。しかし、一向に前進する気配がありません。
H23年9月の本会議で私が質問した際、当局からはこんなご答弁がありました。
「自然環境マップ作成事業の成果を生かし、必要な条例改正を検討いたしますと以前から申し上げている。検討に際しては、自然回復の視点から、新たな制度や残土規制の概念も検討したい」
こうもおっしゃっています。「この事業の結果を踏まえて、いわゆる「残土条例」及び「市民の環境を守る基本条例」、「緑の保全及び推進に関する条例」、これを連携させながら自然の回復に取り組む」。
これら一連のご答弁の意味するところは、「環境保護区域の指定」ということなのだろうと解釈していますが、この解釈で間違っていないか確認したいので、改めてご答弁ください。
(環境部)
このマップを作るための調査により、カタクリやトウキョウサンショウウオなど、良好な自然環境の目安となる多くの指標生物が存在する場所などが、分かってまいりました。
また、先進市の事例で、良好な自然環境が残る区域について、所有者の財産権を尊重しながら、希少な野性生物等の保護区を設けるなどの方法もございます。
このような例も参考にしながら、本市の自然環境の実状を踏まえ、これまでの樹林保全地区や野性動植物保護地区の制度等の、対象の範囲や規制について検証し、必要な対応を検討していく考えであります。
保護のやり方や規制の仕方は、いろいろなやり方があると思います。
このような保護地区といったものを指定するやり方もあるでしょうし、あるいは協定を結ぶといったやり方もあるでしょうし、あるいは地域の方々が皆で一緒になって活動していく中で、何らかの形をとっていくという方法もあるかと思います。
そのような意味で、どういったものを保護しなければいけないのか、そういうものを良く踏まえた上で、検討していきたいと、考えております
マップができて2年も経つのだから、もう少し踏み込んだお答えを期待していたのですが。
環境保護区域を設定するということになれば、立地規制ということで、それは地権者の財産権に踏み込むことにもなります。そうした覚悟を持って環境保護区域を設定することができれば、それは他の自治体が真似をしたくなるような市原独自のやり方での規制になります。
非常に期待が持たれますが、とにかく早急に取り組んでいいただくよう要望します。
○ 鶴舞地区の事業計画について
しかしながら、今現在持ち上がっている鶴舞・石川両地区の事業計画、これにはこのやり方では間に合いません。
まず、鶴舞地区の事業計画は、過去に不法投棄された場所の近くであり、その除去も未だされず、住民の皆さんの不審は根強いものがあります。搬入路は狭く、ダンプがひっきりなしに往来すれば、周辺道路や住宅への被害の恐れもあります。
事業者は、平成23年6月に福島県に支店を出し、放射性物質除去協同組合に加入。またアスベスト等も取り扱っている。地元では、当該地に放射能で汚染された土壌が持ち込まれるのではないか、またアスベストが混入した土が入るのではないか、との不安も抱いています。
○ 石川地区の事業計画について
もう一方の石川地区。県道から大蔵屋団地までは、30m。その斜面を調整池の際まで埋め立てる計画であり、現場はこれまでも崖崩れ事故を起こしています。
しかも、過去に当該地の埋め立てを行った業者は、林地開発を適正に完了していません。
また、地元自治会が同事業の堆積土壌についてX線マイクロアナライザーによる原子分析を行った結果、有害金属である鉛、クロム、電池に用いられるマンガンなど、明らかに自然由来ではない不適切な物質が検出されました。
○ 県からの意見照会
これら両地区の懸念や訴えは、もちろん当局側もご存知のことと思います。
今後、両地区とも事業に係る事前審査が進む過程で、県から意見照会が降りる。市としては、住民の意向をしっかり記すなど何らかの手立てを打っていただきたいのだが、如何でしょうか。
(環境部)
色々な不安があるという話をうかがいましたけれども、それについてはですね、業者の方につきましても、話していく必要があるかと思います。
ご質問の地区につきましては、現在も地元の動 向を県に伝えているところでありますけれども、今後、手続きが進んだ場合には、「特定事業許可等事務処理要領」第9条に基づく意見照会が想定されます。
この照会に対しては、庁内関係各課が所掌する 事務内容について、回答することとなります。
市といたしましては、例えば、この回答に併せ、地元の動向を県に文書で伝えるなどの対応も考えております。
市長の姿勢を問う
最後に、市長に伺います。前回の本会議の席で、市長は「市民の皆さんの盾になる。ご安心を頂きたい」と約束されました。残土の搬入を阻止する盾になって頂けるか。
(市長)
質問、答弁のやり取りを聞いておりまして、私たちは生きています。そして、何のために生きているのか、どんな価値観を持って生きているのか、全ての市民が、国民が、やっぱり自分が生かされているってことを知らなければいけない。あんた、そこにいて悪いことしてないかね、してるでしょ、してるでしょっていうような人も、中にはいますけども、そういう人がですね、やっぱり社会をどうもおかしくしているんではないかと。自分さえ良ければ良いっていう価値観をですね、やっぱり私たちの世界から除去しなければ、本当に素晴らしい、幸せな社会ってやってこないんではないかなと、そう思います。お互い様に、やって良いこと、悪いことをですね、やっぱり、しっかり認識して、意識をして、生活をするっていうのがですね、やっぱり私たちの基本でなければいけないんですが、それができてないので、いろんな問題が起こる。犯罪も起こる。そして、自分さえ良ければ良いっていう者がのさばったりですね、そんな世界では幸せではないと私はそう思います。ですから、今、盾になるかならないかって当たり前だと思います。市長としての責任をきちっと果たさせて頂こうと、そのように思っております。
私は、議会での意見採託後ですね、直ちに小出議長と一緒に県に参りました。安全性の再検討や全県下でおいて統一した対応がなされなければ、あっちで良くて、こっちが駄目って、そういうことはないので、そのようなことがないようなことも要望して参りました。
意見書・要望書を受けた際にですね、県環境生活部長からは、「残土処分場計画に係る周辺の方々からのご心配については、真摯に受けとめる。」との発言がございました。
今後とも、県との連携を密にして、市議会の皆様とともに、市民の健康で安全かつ快適な生活環境を守るために頑張ってまいります。
議会の皆さんもですね、ぜひ、このような考え方のもとに、共同して、対応していただきますように、お願いを申し上げておきたいと思います。
2. 行政改革について
(1)定員管理と民間活力の活用について
○ 行政改革の背景
先日、新行政改革大綱(第5次)改訂版の素案が示された。
本市の高齢化率は、現在の約21%、5人に一人から、約30年後のH52年には約37%、2.7人に一人となり、その一方で生産年齢人口は約66%から54%にまで落ち込むという国立社会保障・人口問題研究所による推計も掲載されていた。
この素案に目を通し、改めて市原市も人口減少社会に対応する自治体経営へと大きく転換を図らなければならないということを感じた。
○
非常勤の人数と実態
ところで、大綱に書かれている改革の視点の中の「簡素で効率的な経営」では、職員数の適正化が掲げられています。
これまでの成果としては、大綱が策定された18年前のH7年に2334名であった正規職員数が、今年度は2015名と、13.7%削減されたという事です。
一方、嘱託・臨時職員を合わせた非常勤の職員数を伺ったところ、今年度10月1日時点で937人ということでした。単純に合計した数値を分母とすると、約31%、三分の一が非常勤職員です。
その中でも、非常勤職員の割合が特に高い
家庭児童相談室の相談員を例にとると、正規職のは、例えば、保育課の保育士数は正規職員167名に対し、非常勤は181名。保健センターの保健師数は正規職員50名に対し、非常勤40名。人権国際課は正規職員7名に対し、嘱託の各種相談員が8名など。いずれも市民サービスを最前線で担う部署が、実に多くの非常勤職員、しかも女性によって支えられています。
○ 家庭児童相談員や臨時保育士の例より
員は室長と事務担当の計2名、相談員はすべて嘱託で計4名。電話や面接による相談受理から調査、ケースワーク、家庭訪問、アフターフォローと、多岐にわたる業務をこなされています。しかも、相談内容は年々複雑化しており、日々大変シビアなケースの矢面に立つ相談員の皆さんの悲鳴も聞かれ、重圧は大変なものと推察されます。
また、別の例をあげると、障害児保育にあたる臨時保育士について、以前も議会で質問させていただきました。臨時職員の任用は最長1年間という法の縛りの中で、専門性が高く、なり手が少ない業務を、同じ人が再契約を繰り返しながら10年以上も懸命に勤めているケースでした。臨時的任用を定めている地方公務員法第22条の本旨は、「最長1年間だけの仕事に臨時職員を充てる」というものです。法の趣旨と実態に大きな乖離が生じていることに、私は非常に違和感を覚えました。
○ 非常勤職員のポジティブな活用
今後、正規職員が確実に減少していく一方で、ますます多様化・高度化する行政ニーズに応えるために、私は現在すでに3分の1を占める非常勤職員をどうポジティブに活用していくか、ということが大きなカギを握っていると思っています。
先ほど上げた例のように、行政サービスの重要な担い手であるにも関わらず、疲弊していてその意欲や能力が十分生かされていないとするならば、実にもったいないこと。
当局として、その点をどう捉えているか伺います。また、非常勤職員の個々のスキルや意欲を最大限生かせるような職場環境について、今後の方針をお聞かせください。
(総務部)
効率的な行政運営を実現するためには、民間でできる業務については、民営化や民間委託等の方策を進めております。そして、行政が担うべき業務につきましても、その期間や内容によっては、常勤職員ではなく、非常勤職員を配置することが、最も効果的である場合がございます。
非常勤職員は、常勤ではない、すなわち短時間勤務に従事する職員であり、繁忙期や一時的に職員が欠けたときに、常勤職員の補助的な業務等に就く臨時職員と、専門的な知見や技能等を必要とする業務等に就く嘱託職員があります。
非常勤職員については、常勤職員が人事異動により様々な経験を積み重ねながら、キャリアアップを図るのに対し、特定の専門的知識、技能を短時間勤務の中で発揮していただくことを期待しており、市の規則上、1年以内の雇用期間を限り、任用しているところであります。もとより、非常勤職員の存在は、市の業務遂行上、欠くことのできないものでありまして、その職場環境の充実に意を用いていかなければならないものと考えております。
例えば、手厚い研修制度、能力評価を行っている先進事例もある。非常勤・再任用も含め、職員全体のモチベーションの向上が行政サービスの向上にもつながる。ぜひ取り組んで頂きたい。
○ 民間企業の場合から
また、一言付け加えると、公以上に人員削減をシビアに進めている民間企業では、正社員は完全に管理する側となり、派遣・契約社員・パート・短時間正社員・在宅ワーカーなど、様々な雇用形態が入り乱れた結果、指示系統や責任の所在が曖昧になるなどといった問題が起こっています。また正社員も、十分な研修期間もなくいきなり経験年数の高い職員並みの働きを期待されるなど、かえってストレスや負担が増えてしまったという話も聞きます。
行政サービスにおいては、市民が不利益を被ることがないよう、定員管理に関しては慎重に検証しながら進めていただきたいと思います。
○ 指定管理者制度の導入の背景
続いて、民間活力の導入、特指定管理者制度について伺います。
指定管理者制度は、H16年度の三和保健福祉センターへの導入に始まり、10年後の現在は47施設と急速に広がりました。もともと、H15年の地方自治法の改正により、それまで公共あるいは公共的な団体に限られていた公の施設の管理を平成18年の9月までに同制度に移行することとされたことによるもので、要するに、自治体は3年の間に、施設の廃止か、直営か、指定管理者制度への移行かの選択を迫られたわけです。
○ 官から民への評価
いわば、国の強力な旗振りのもとで急速に進められた制度と言えますが、そのことによる歪がどこかで起きているのではないか、という点は気になるところです。指定管理者制度の本格的な導入から8年目となる現在、公共施設の管理運営の官から民への移行をどう評価しているか。これまでに見えてきた課題も合わせて、お聞かせください。
(総務部)
指定管理者制度は、多様化する市民のニーズに、より効果的・効率的に対応するため、公の施設の管理に民間ノウハウを活用することにより、サービスの向上を図る、経費の削減を図ることを目的としております。
現状での評価でありますが、サービスの向上がなによりも必要なことでございまして、平成23年度から始めたモニタリングの一環として、一部の施設において利用者のアンケートを実施したところであります。これによりますと、満足しているという利用者の数が過半数を超え増加傾向にありますことから、各指定管理者は、それぞれノウハウを発揮しており、その効果は一定程度、現れてきているものと認識しております。
しかしながら、さらなるサービス向上に向けて、指定管理者の持つノウハウをより一層、発揮させる余地はないのかといった観点からの検証が必要なものと考えております。
また、経費の削減につきましては、平成18年度の本格導入の際、その前年度と比較して、7割を超える施設で経費削減がなされており、その効果が現れているところであります。
今後の課題としましては、利用者サービスのさらなる向上を図るため、管理運営に関する評価方法、利用料金制度の導入、指定管理者に付与するインセンティブ等について、引き続き検討を進めるとともに、民間ノウハウをさらに発揮できる環境整備を進めることを考えております。
指定管理者制度は、「民間の能力やノウハウの活用によって、住民サービスの向上と管理経費、この二つの目標を果たす」ということがそもそもの狙いです。確かに、管理運営コストの節減の方は、人件費の削減・つまり公務員の引き上げによって図られたようだが、市民の目に見えるようなサービスの向上が図られているかというと、疑問符がつくところです。
ただ、民間企業であるならば、利益がインセンティブとなって、その利益を少しでも多くするためにサービス向上とコスト削減のスキルが積み上げられていくのですが、利用料金制を取らない施設が、利益を出してはいけない、でも住民サービスは向上させなさい、という難問をクリアできないのは、無理もないと思われます。
○ 公民館やコミュニティーセンターの例
例えば公民館やコミュニティーセンター。
そもそも、コスト削減とサービス向上という、通常相反するものを両方達成するための絶対条件が経営・運営ノウハウだが、両施設の場合、それらノウハウを持たない地域住民が管理運営を担っています。
実際に私がいくつかの公民館の運営委員の方に伺ったところ、「管理委託料の積算根拠がわからない。施設間格差があるのではないか」「頑張って働いている日々職員さんに最低賃金ギリギリの給料しかあげられず、申し訳ない」「消費税が上がったら管理委託料はどうなるのか」などの不安や不満の声、また、「この制度は、地域住民や職員の自己犠牲に立った住民サービスだ」「行政は経費削減の自助努力もせず、安易に指定管理者制度に走った」「社会教育施設である公民館を指定管理する意味はあったのか」「次回の指定はもう受けたくない」などといったたいへん厳しい声が次々と吐き出されました。
私が一番危惧するのは、これらの声の中身云々ではありません。運営委員の皆さんは、もともと地域活動の中心を担い、行政との橋渡し役も果たしてこられた地域のキーマンです。一番問題なのは、こういう方々が行政に対して不安や不満を募らせている、そんな状態を指定管理者制度が作り出している、ということにあると思います。地域の方々が手弁当で頑張って、少なくとも以前と同様のサービスを維持し続けているならば、「じゃ今まで公務員は何やってたの?」「やっぱり公務員の給料は高すぎるよね」という結論になり、いわゆる公務員バッシングの火種にもなりかねない。
このままでは、行政が進めるところの地域住民との協働そのものにも、大きな影を落とすことになるのではないでしょうか。
○ 指定管理者制度のあり方を考える
その他市原市では、団体運営や会計処理に問題があったケースが取りざたされるなど、特に地域密着型施設の管理運営の丸ごと委託に、早くもほころびが生じてきていると感じています。
3年後には、公民館やコミュニティーセンターを始め、多くの指定施設が再指定の時期を迎えます。また、今回示された新行革大綱改訂案では、中央図書館や上総国分尼寺跡展示館なども視野に入っています。また新たな広がりを見せようとしているこの時期、今一度この制度について検証が必要ではないでしょうか。
公共施設は、娯楽性が高い施設、教育性が高い施設、地域性が高い施設と、様々な特性がある。各々に対し、指定管理者制度が適しているもの、馴染まないもの、馴染まなければ制度を導入しないのか、制度の運用を工夫するのか。これまでの状況を調査・整理し、全体的な基本方針を示していただきたいと思います。
特に公民館やコミュニティーセンターといった地域密着型の施設を中心に、当局の見解を伺います。
(総務部)
公の施設について、指定管理者制度は、本市においては、三和保健福祉センターに最初に導入してから、以後、その数を増やしてきたところであります。
制度導入前においては、住民の利用に供する施設である公の施設の管理運営は、行政主体が直接に行うか、又は、公共的団体が行うかのいずれかに限られておりました。これは、公の施設の利用にあたって、公平・公正な取り扱いがなされなければならないという要請から、行政主体が利用の許可制という方法を用いることにより、その制度的な担保を図るという趣旨であります。
しかし、公の施設の中には、民間事業者と同様のサービスを提供するという性格を有するものが数多くあり、このような場合には、必ずしも公共団体のみに管理権を限定する必要がないとし、民間事業者の管理を認めるものとして、指定管理者制度が創出されたものであります。
この場合、公正な利用権の確保は、指定管理者制度の導入を条例で定めることとし、さらに指定について議決を要するとする制度によって図ろうとするものであります。
指定管理者は、「施設の設置の目的を効果的に達成するため必要がある」時に取り入れることができることとなっております。従って、それぞれ性質の異なる施設ごとに、個々に指定管理者としての適性を評価する必要があるものと考えます。
ご指摘の公民館やコミュニティセンターといった地域密着型施設については、その所在する地域ごとに、地域の特性に合わせた自主的な運営が確保されることが必要であり、他の施設とは異なった対応が必要であることから、現在のような仕組みを取り入れております。
もとより、各公民館等が適性に管理されているかどうかについては、先に述べた見地から常に検証が必要となりますので、この点については、今後も留意してまいりたいと思います。
多くの自治体で、指定管理者制度基本方針なるものを策定しています。そうった判断基準を示すことも、あるいは必要なのかと考えます。
「なぜこの施設に指定管理者制度なのか」「これまで公が担ってきた意味は何だったのか」「本当に利用者や住民のニーズに応えてきたか」、改めて問い直していただきたいと思います。
○ アウトソーシングの今後の方向性
自治体財政の悪化、地方分権に伴う事務量の増加、市民ニーズの多様化、市民のまちづくりへの参加意識の高まりなど、昨今の時代の要請によって、「官から民へ」というアウトソーシングの流れは加速度を増しています。
冒頭の非常勤職員も広い意味でのアウトソーシングであるし、私はこの流れを突き詰めていくと、公共の領域とはどこまでなのか、公務員とは何なのか、という思いに至ります。
行政のアウトソーシングは単にコスト削減・サービス向上だけで進められるものではなく、行政組織がどこまで担うのか、公のお金でどこまでやるか、公権力をどこまで許すか、という点を総じて整理しておく必要があるのではないでしょうか。
市原市が今後目指す公務員像と組織のあり方、業務委託や指定管理者制度などの公務の民営化の方向性、そこにどう市民との協働を絡めていくか、ということを含め、市原市行政のアウトソーシング戦略をお聞かせください。
(総務部)
アウトソーシングとは、外部委託化とほぼ同義であり、行政においては、行政運営の一部を行政組織以外の外部組織に行わせることによって、行政の効率化、スリム化を図ろうとするものであります。市の行政改革大綱においても、民間活力の活用という形で推進しようとするものです。
ご質問のアウトソーシングについての戦略という場合には、この行政改革の方向性を踏まえて、議論すべき問題であると考えます。
戦後、行政組織は、福祉国家の理念の下、様々な福祉サービスを提供するという目的から、高度成長期と相まって、拡大を続けてまいりました。しかし、行政組織の肥大化は継続できるものではなく、限られた財源をいかに有効に用いるかという観点から、行政組織のスリム化、効率化を目指したものであります。国鉄民営化に象徴される三公社五現業の解体をはじめ、民間にできることは民間に委ねるという方向性は、行政の効率化のための一つの方策であります。
このことは、事務事業の効率化についても、民間事業者の専門性、効率性に委ねられるものについては、アウトソーシング化を進めていくということに通じていくものであります。
従って、今後、少子高齢化が急激に進行し、公共団体における財源も限られてくるという状況の中で、官民の役割分担という観点から、行政運営におけるアウトソーシング化の必要性は、ますます重要なものになると考えております。
この場合に必要な観点は、行政主体が行うべき事務と民間が担いうる事務との振り分けであります。今後、目指す公務員像も、行政主体として行わなければならない事務について、必要な能力を備えるべきだという視点から考えるべき問題であり、今後、議論を深めていかなければならない課題であると考えております。
行政のアウトソーシングは、行財政改革のほかに、住民参加、もっと言えば住民自治という大事な側面も有しているので、今後その領域が広がることについて、大筋では異論のないところです。
しかし、コスト削減論だけが先行して枠組みもないまま闇雲に進めると、正規職員の専門性の低下などが懸念され、コントロールが手薄になる分、リスク管理・情報管理などのちょっとしたほころびが市民生活に大きな影響を及ぼすということにもなりかねません。そういった対策もしっかりとった上で進めていただきたい。
(2) 公共施設の在り方の検討について
○ 千葉日報の記事
先日、新聞に「自治体の公共施設、1万2千棟の解体検討」という記事が載っていました。総務省によると、人口減少や老朽化を受け、自治体が解体を検討している公営住宅や学校などの施設が全国に1万2251棟あり、全てを撤去するのに必要な費用は4039億円。住民にとって大きな負担になりますが、維持しても管理費がかさみ続けるため、今後は各地で施設存続の議論が展開されるという内容でした。
○ 行革大綱に掲げたことについて
おりしも、新行政改革大綱改訂版の素案に、集中的に推進する取り組みとして「公共施設の在り方の検討」が新たに加えられました。
私は今年第1回の定例議会でも、「公共施設の中長期的な維持管理と更新について」ということでこの課題について取り上げました。この時、総合計画の目標年度まであと残り3年であり、次期長期計画へ位置づけるためには今が公共施設マネジメントに着手するタイミングではないかと提言させていただきましたが、今回 いよいよ本格的に取り組みを始められるということで、今後の展開に非常に期待しているところであります。
そこで今回は、このミッションのスタートにあたり、自分なりに確認したいポイントのみ伺います。
○ 聖域を設けない
まず、これは今回の定例議会でも千脇部長がすでに述べられたことではありますが、再度確認します。この取り組みが想定する公共施設の範囲は、ハコモノ、土地、プラント、道路、橋梁、河川、上下水道などの土木インフラを含めた、広い意味でのインフラのことですか。
(企画部)
「(仮称)市原市新行政改革大綱(第5次)改訂版」の素案におきまして、「集中的に推進する取組」として掲げられました「公共施設の在り方の検討」につきましては、今後の市原市の将来に向けて、避けてとおれない重大な課題と認識しております。
ご質問の公共施設については、いわゆる「ハコモノ」と言われる公共建築物はもちろんでありますが、市民生活に直結する道路などの生活インフラ、ゴミ処理施設などのプラント設備なども含まれるものと考えております。
私は以前の議会では、敢えてハコモノに絞って質問させていただいきました。
というのも、この問題を突き詰めれば、長寿命化だけではなく総量縮減という難しい課題と向き合わなければなりません。ハコモノでさえ非常に困難と思われるこれらのテーマに、土木インフラも含むとなれば気が遠くなりそうですが、まずは聖域なしという方針で臨まれると、ここが大事な点かと思ったので、あえて この質問をさせていただいきました。
大変なプロジェクトと思いますが、ぜひ継続して取り組んでいただきたいと思います。
○ 体制・組織の構築について
また、言うまでもなく公共施設は庁内各部署共通の課題であると同時に、所管部署の枠を超えた総合調整が必要であるため、横断的な視点でのプロセス管理が必要です。
その点、先週の代表質問で千脇部長は、現在すでに庁内横断的に実務者レベルで調査研究をしていると述べられていたので、まずは安心しています。
市原市と同規模の自治体・人口10万以上30万未満とすると、すでに約20%の自治体が公共施設更新を担当する部署を設けて総合的に取り組んでいるそうです。自治体によってやり方は様々あるようですが、よく調査して各々の利点を取り入れながら市原市に最適な方法を作り上げていっていただきたい。
この取り組みがいい形で実を結ぶよう、期待しています。
○ 庁内研修会
また、先月の20日には、庁内で幹部向け、或いは職員向け、それぞれに公共施設マネジメントに関する研修会が開かれました。私も、職員向けの研修会でさいたま市職員による講演を聞かせていただきましたが、質疑応答も活発に行われ、庁内に公共施設マネジメントの機運が高まってきているということを肌で感じました。
○ 市民との合意形成がポイント
さいたま市のお話の中で私が最も印象的だったのは、計画の素案が出来上がると同時に、早い段階から、大学の漫画サークルの協力を得て大変分かりやすいパンフレットを作成し、ワークショップ、勉強会、パブリックミーティングやシンポジウムなど、あらゆる機会を頻繁に設けて、市民との情報共有と合意形成を積極的に図られている、という点でした。
公共施設の更新問題は、総論はおそらくほとんどの方が異論のないところであると思いますが、各論、つまり実際に自分の地域の身近な施設が統廃合の計画の遡上に登ると、それは別問題、ということになって、結局一歩も前に進めないという事態に陥ることは容易に想像できるし、事実先進自治体でもこの点に一番苦労しているようです。
それだけに、市民のコンセンサスを得ることについては、市原市もこれを重要方針として位置付け、取り組みの初期の段階から手を打つよう計画に組み込んでいただきたいのですが、当局のご見解をお聞かせください。
(企画部)
将来的に人口が減少し、税収も落ち込むことが予測される中、長期的には、公共施設を適切にマネジメントできるかどうか、これは市の将来を左右するとともに、行政サービスを受ける市民にとっても非常に大きな問題であります。
このことから、今後、本格的な取り組みを推進していくうえで、市民の皆様との合意形成が重要であることはご指摘のとおりであります。
このため合意形成の前提として、公共施設の現状と課題さらに今後予測される状況等を具体的に分かりやすく、様々な手段で情報提供に努め、市民の皆様と問題の共有を図ってまいりたいと考えております。
また、本市の方針や計画などについての合意形成を図る方法については、埼玉県のワークショップのような方法もあるかと思いますが、今後、先進市の取り組みを含め、十分研究してまいりたいと考えております。
○ プラス思考で取り組みを
先の講演会でも紹介されていた事例ですが、例えば学校と公民館を統廃合する場合、行政職員と地域住民と第3者が、幾度となく同じテーブルで意見交換し知恵を出し合あった結果、公民館の機能を学校の中に上手く組み入れることで、逆に子供達と地域の人々との交流の場が生まれるという様々なアイディアと共通理解を得ることができました。
市原市はこれから台帳整備ということで、各論はまだまだ先の話ではありますが、要するに、公共施設の更新問題は決してネガティブなイメージで捉える必要はなく、逆に新しい公共の場、コミュニケーションの場が提供される可能性を秘めた、未来型のまちづくりプロジェクトであるということが言えると思います。
私は、この公共施設マネジメントこそが、市制施行50周年に始めるにふさわしい大きなプロジェクトだと思っています。
先の講演会の講師の方は、「要は行政の本気度を市民に示すこと」と最後に強調されていました。市原市の今後の取り組みにぜひ期待し、応援していきたいと思います。