介護保険制度は社会全体で介護の問題を考え、制度として支えていくという「介護の社会化」を促すものでした。
また市町村が法律に基づいて施設への入所などを決めていた「措置」から、利用者が自分の意思でサービスを選ぶ「契約制度」になりました。その後「契約制度」は障がい者福祉の分野にも広がっています。行政による施しでなく、当事者が自らの権利を主張してサービスを選べるようになったのは画期的なことです。
しかし一方で、本来行政が担うべき市民サービスまで、民間にゆだねているのではないかと思えることもあります。 |
きびしさを増す現実
▼施設整備や在宅介護サービスは年を追うごとに充実はしてきました。しかし制度では解決できないことや、その枠から外れてしまう人が現場では多いことがわかってきました。特にここ数年は、介護どころか、生活そのものを維持することさえ危うい方たちが増えています。直接行政が支援することや、地域の助け合いのネットワーク作りに行政が間接的に支援することが求められています。
子どもを虐待等から守りたい
▼先日、いすみ市にある乳児院と児童養護施設に行って来ました。乳児院は0歳から2歳まで、児童養護施設は3歳から18歳までの子どもたちが暮らす場所です。
以前は親を亡くした子ども達が多かったのですが、今は両親がいても事情で育てられない子、虐待、ネグレクト、育児放棄といった理由で預けられることが多いとのことです。子どもたちは、どんな親であっても、親の愛情を何より強く求めています。
そんな子ども達を暖かく見守り、一人ひとりの子ども達のためのアルバムを丹念に作り続けている職員の方々の暖かい配慮に頭が下がりました。
子どもに責任はありません。子ども達を守っていくのは社会の役割です。
社会の問題・自分の問題として考える
▼高齢者のことも児童虐待の問題も、社会保障の仕組みの中で考えていかなければなりませんが、日本ではまだまだその意識も仕組みも不十分です。行政は現場に沿った政策をしっかり行い、私たちも地域の一市民として、助け合い支えあっていくことがなにより必要だと実感しています。