平成20年度 第1回市原市議会定例会 3月3日(月)

市議会レポート【代表質問】桑田なお子

議席2番、桑田尚子です。
市民ネットワークを代表して質問いたします。
質問に先立ちまして、この3月をもって退職される職員の方々の長年のお働きに感謝いたします。
これからは、健康に留意され、地域の中にあって、今まで培われた経験と知識を生かし、
ご活躍されますよう願っております。

1. 市長の所信表明について

1. 新実施計画について

この度、第2次実施計画「輝☆望いちはら」が策定され、3つの重点施策が示されました。そのことについて伺います。

①「子育て支援と責任ある教育」の推進について

今回「子育て支援部」が新しく「部」として設置されたことに市長の意気込みが感じられ、心強く思っています。
安心して子育てできる環境として子どもを預かる場所や制度の充実が挙げられ、なかでも保育所の整備が急がれます。保育所を作っても潜在的な掘り起しが次々となされ、待機者は一向に解消されません。現在、市内には約200名あまりの待機児童がいます。
この待機児童の解消策については、どのように考えておられるのでしょうか、お聞かせください。

(答弁)
認可保育所の整備が必要で、五井西部地域と市津・ちはら台地域の2箇所に設置していく予定。300人程度の入所を予定しているので、一時的には解消されるのではないかと思う。

又、地域での子育て支援は、市民との協働が大きな力を発揮しています。例を挙げますと、制度ボランティアとしての子育て支援員のしくみです。支援員の方々が、市内11地域で活動しています。この制度は県の母子福祉推進員の制度が終了した3年半前に、そのメンバーに子育て支援員として新たに活動をお願いし、発足しました。これは、国にさきがけた先見性のある取り組みでした。他に、地域の中の子育て支援として、利用者と協力者がいて成り立つファミリーサポートセンター事業も立ち上がっています。
市民が提供できるものは、知恵や労力です。行政の役割は、場所や情報、資金などの提供があるのではないでしょうか。市民との協働のあり方で、今後、行政としてどのように取り組んでいかれるのか、考えをお聞かせください。

(答弁)
とりわけ子育て支援員制度については、県外からの視察や問い合わせが寄せられるなど、地域協働による子育て支援策として、本市の特徴ある取り組みの一つになっている。他にも地域における子育て支援の輪は、年々確実に広がりつつある。こうした地域の取り組みが更に進展するよう、各種情報提供や実施場所確保など、様々な方策で支援を行う。

さて、市長は「子育て4か条」の実践を、様々な機会を捉えて多くの方々に訴えてこられましたが、残念ながらこのスローガンを知っている人が2割、知らない人が圧倒的に多いというアンケート調査結果が出ています。この事実をどう受け止めておられるでしょうか、そして又、どういう方法で知らせていかれるのか、方策をお聞かせください。

(答弁)
機会あるごとに「子育て4か条」を訴えてきたので、これからもっと増えていくのではないか、と思っている。
この4か条について認識していない市民の方々にもっと全庁あげて、学校も含めて、町ぐるみで知らせ、この運動を進めていきたい。

「責任ある教育」では、「学校建設等の教育環境の整備と確かな学力の向上に努める」とありますが、教育において最大の環境は「人」です。もっとも、設備として学校建設や学校規模適正化などの体制整備も必要ですが、確かな学力の向上には、優秀な教員を確保すること、そして、教師が本来の教育活動に専念できる環境を整えることです。
優秀とは単に偏差値が高いことだけを意味するのではなく、人を偏りなく見、人を大切にでき、子どもと共に成長できる人です。

市長は、「優秀な教員の確保」と「教育活動に専念できる環境」をどう実現しようとしておられるのでしょうか、考えをお聞かせください。
又、人やふるさとを思いやる心を育て、子どもが輝く教育を推進するには、何が必要と考えておられるのかお聞かせください。

(答弁)
この二者はコインの裏表と考える。優れた教職員を育てるには研修が大切。学校環境の整備では「中1の35人学級」の導入、「学級補助員」の派遣事業、全小学校への「読書指導員」の配置など、これからもこの問題を重点的に取り組んでいきたい。

②「生活を支える交通環境の整備」について

広い市原の長年の課題は、交通の便です。昨年行われた市民意識調査でも、「暮らしにくい」と感じる約8割の人が「交通の便が悪い」をあげています。
青葉台の青バスに続き、南総地区で、1月15日から「コスモス南総」号が運行をはじめました。市民との協働のコミュニティバスが開通し喜ばしいことですが、予定では平成22年までに、あと6箇所増やす計画になっています。これは、地域住民が主体となってバスを運行する事業ですが、その準備会がなかなか立ち上がらないと聞いています。
2年間で残りの6箇所をどうやって進めていかれるのか、バスという形態にこだわらないのか、市長の考えをお聞かせください。

(答弁)
広域的な視点からの交通手段の確保は、これから先も重要な課題である。
市民と協働してその地域に適した、そして継続していけるような交通システムを検討中。
4月から新たな組織機構として、交通政策課を新設するので、皆さんの力をかして欲しい。

③「地域資源を活かした個性ある観光の振興」について

地域資源には、伝統、歴史、工業、農業、商業、観光、自然、そして有能な人材があるわけですが、市原の自慢できるものとして日本一紅葉が遅い梅ヶ瀬渓谷、養老渓谷や市民の森などの豊かな自然があげられます。
普段見慣れている風景が、実はすばらしい宝だったと、外部から来た人に指摘され気付かされます。春の菜の花に彩られた小湊鉄道沿線や秋の養老渓谷の紅葉の素晴らしさも市外の知人に教えられました。
観光振興にしても、地域の活性化にしても、人が集まってこそできることです。
更なる地域振興を図っていくためには、地域そのものから、元気で魅力的な情報を発信していくことが大切です。幸い、南いちはらでは、昨年ギャラリーマップが出来、数多くの個人ギャラリーが紹介されました。あるギャラリーでは、市内はもちろん市外県外からも多くの方が、見学に訪れるようになっています。
市としては、今後の南いちはらの観光をどのように振興していくお考えなのかお聞かせください。

(答弁)
この春の観光シーズンに向け、小湊鉄道沿線、水と彫刻の丘、市民の森、そして民間ギャラリーなどが実施する個々のイベントをネットワーク化し、新たな観光資源として活用する動きがある。市でもこの高まりを大切にして、本地域で活躍する様々な分野の皆様と連携を深め、魅力ある地域づくりに向けて、地域振興に務めたい。

2. 平成20年度予算について

平成20年度予算は、新実施計画の初年度にあたります。先の実施計画が、今後の方向を大きく示すことに主眼が置かれたものでありましたが、今年度の予算は、その方針の経過が見える実践型予算として組まれているとの説明です。
全国的には厳しい財政運営を担わされる自治体がおおい中にあって、景気回復による企業活動に伴う法人市民税や固定資産税などで昨年より1.3%増えた歳入523億3千万円が計上され、堅実な財政運営がなされています。プライマリーバランス(基礎的財政収支)もプラスで、実質公債費比率が15.1%、指標の経常収支比率86.6で、昨年より2.6ポイント好転して財政状況も健全な予算が組めたことは評価いたします。しかし、個人市民税は減り、一般市民にとっては、豊かさをなかなか実感できないのが実状です。
予算の歳出中身を見ますと、民生費が2.7%アップしていますが、福祉が格段に進んだわけではなく、生活保護などの扶助費であり、格差社会の貧困層が増えていることを意味しています。
市原市では今年度、新規33事業、拡充26事業、継続が183事業になっています。しかしながら、新規といってもすべて市原市独自の積極的な事業と言うわけではなく、国からの方針で予防医学に関する特定健康診査やいろいろな基本計画策定事業となっています。新実施計画に即した新規事業には「地域福祉活動支援事業」「いちはら生き生きキャンパス推進事業」があげられており、中身の充実を期待するものです。
新実施計画推進にあたっては、市民と協働がキーワードになっています。行政の役割、市民の役割、その協働の部分を明確にしなければなりません。いずれにしろ、充分な人の配置と人材の確保が大切です。行財政改革で職員を減らすことになっていますが、一方で、今後益々人材の投与が必要な部署もあると思われます。具体的には、教育現場にあける加配、保育所などへの職員の補充などがあげられます。
このように必要なところには、予算を付けるべきと考えます。
さて、市長はどのような決意で、この予算を組まれたのか、お聞かせください。

(答弁)
輝きに満ちあふれた希望の都市を目指し、この市原をさらに磨きをかけたいという意気込みです。さらに、人づくりとしては、児童福祉から学校教育、生涯教育に至るまで人を育む施策に重点を置いている。

2. 五井駅東口開発について

五井駅東口50haの水田が埋められ工事が始まり、市民の関心が高まっています。
国では、車を使っての郊外型の大型店舗ではない、歩いて移動できるコンパクトシティといわれるまちづくりを推し進めています。いちはら都市計画マスタープランでも集約型都市構造へ転換して、環境負荷の軽減などを掲げています。又、この地区は都市交流拠点として五井駅東口と西口の一体に賑わいを作るとありますが、駅との連続性を考えてもなかなか厳しいものを感じてしまいます。
この開発に対して賛否両論あるわけですが、市長のいわれる50年後、100年後に誇れる整備になるのか、いくつかの疑問点がありますのでお聞かせください。

大型スーパーが出来れば、客の移動が起こり周辺の商店が寂れてしまう危険性があります。相乗効果で五井駅の西口と東口が一体となるような賑わいをつくるには何がポイントなのか、実現させるおさえどころをお聞かせください。

(答弁)
両地区の個性と魅力あるまちづくりを展開し、その相乗効果により都市交流拠点の形成を図ることがポイントだと考える。五井駅周辺の商業、生活サービス、文化、福祉、都心居住等の多様な機能の集積と、整備構想区域の魅力ある拠点形成により、多様な交流と活力あふれた賑わいのあるまちづくりの実現を図ることが必要。そのような視点をもった方々と協働して取り組みたい。

「地区計画」が出来、これから「ガイドライン」を作っていくとのことですが、街開きまで後2年、いつまでに策定されるのかその予定をお聞かせください。

(答弁)
「ガイドライン」は、必ず守るべきルールとしての「地区計画」と合わせ、柔らかなルールとして定めるものであり、現在、市原市五井駅前東土地区画整理組合、イトーヨーカ堂、カインズ、及び行政による4者が協議中。「ガイドライン」を早期に確定する予定。

五井駅東口ロータリーから整備地区までの区間は、計画には含まれていませんが、先の12月議会では全庁的に整理していくとの答弁でした。その後、進展がありましたらお聞かせください。又、人の流れをどのように考え、道路の整備をどう行うのか、お聞かせください。

(答弁)
人の動線上に、様々な建築物、商店なども、この計画が進むに従って更に活力あるものになっていくのではないかと考える。おしゃれな街並みを、市民と協働して、「市民力」、「地域力」、そして「未来力」で実現したい。

3. (仮称)サテライト市原について

「サッカーの街市原」が「ギャンブルの街市原」になるのではないかと危惧するものです。経済産業省は施設設置者に対して、2月6日付けで設置許可書を交付しました。この4月からボートピア市原に競輪の場外券の発売所が併設されます。施設設置者は地元説明会を開催し、地元6町会長へ意見の取りまとめを依頼しましたが、「地元の意見なし」との回答だったそうです。市は地元の意向を尊重して対応することを基本方針としておられますが、果たして地元だけの意向を汲むだけでよいのでしょうか。
先月、このサテライト市原に反対する議員で、周辺地区の学校・幼稚園・保育園、そしてPTA関係者、町会長のところに「申し入れ書」を持って訪問しました。町会長は賛成だと言われましたが、他の人は「文化施設だったら良いのですが・・」と言葉を濁らせておられました。地元住民が全て賛成しているわけではありません。
品格のある市原市として、ギャンブルにたいする態度を明らかにすべきだと思いますが、市長の見解をお聞かせください。

(答弁)
この施設がしっかりとした運営をすれば、わが市の品格を損なうことはないと思う。
これからも、この運営者に対しより良い運営をしていくよう働きかけていく。

又、この度、千葉市と正式な協定を結ぶ前に、新聞発表が行われてしまいました。施行者と行政協定締結に向けて協議を進めておられるそうですが、その内容と進捗状況をお聞かせください。

(答弁)
協議の内容は、青少年の健全育成、交通や周辺環境への影響、来場者駐車場などであり、協議の進捗状況は施行者から想定される事項に対する対応策が示され、現在、庁内関係部署により、協議・検討をすすめている。今後は施行者との協議及び庁内での調整を重ね、対応策や環境整備費についての条件が整い次第、行政協定を締結していきたい。

4. 緑の基本計画について

この計画は、緑の保全と緑化を目的として計画のテーマを「子や孫へ、水と緑の贈り物」として、市全域を計画対象区域にしています。そして、この度その概要が示されました。
市原は自然環境に恵まれていますが、一歩その自然の中に入ると、ごみが捨てられたり、木がなぎ倒され残土の山が現れたり、そのような山が少なくありません。このままでは、いつの間にか森や林が荒らされ、そこに住む動物や植物、昆虫も姿を消してしまうのではないかという危険感を覚えます。それはとりもなおさず、人間の住む環境が侵され、私たちの健康が損なわれることを意味しています。今こそ水や緑に対して目標を掲げ、森林の保全を図っていかなくてはなりません。これも市民の参画を得て、行政の協働で取り組む事業です。
森林だけでなく、身近な緑に対して市民が親しみを感じ、関心をもつような計画でなくては意味がありません。

そこでお尋ねいたします。

この計画は、市町村が独自性や工夫を発揮して、都市における緑全般についての「将来のあるべき姿」を示すものだと伺っています。この計画の策定に対し、どのように取り組みながら「市原らしさ」を作っていかれるのでしょうか、私としては、豊かな自然が危機的な状況にある中で、これらの自然を保全し、再生していくという視点も必要であり、又「市原らしさ」になると思いますが、市長としての考えをお聞かせください。

(答弁)
私は常に50年100年先を見据えたい。子どもや孫たちが幸せに暮らせるまちづくりを市民の皆さんと一緒に考えていきたい。改訂市原市総合計画のグランドデザインでも掲げている「水と緑のやすらぎ軸」を具現化していきたい。自然を保全するだけでなく再生していくという視点も重要だと思う。計画の策定は平成21年3月を目途に市民の皆様の意見を伺いながら完成させたい。

5. 市原の農業について

農業の担い手と農地の確保について伺います。
米作りでだけで生計を立てるには、三十五町歩(35ha)必要といわれています。
そうなると、大型機械を入れて又それに応じた乾燥機や倉庫が必要となり、その返済に苦労します。
今、農家はギブアップ寸前です。特に専業農家としてお米一筋で来られた方々は、自分の代だけでおしまいにしようと考えておられる方が少なくありません。一方、農業を多角的に考え、観光農園にして客を呼び、農産物に付加価値をつけ、例えば自家製の餅米であられを作り揚げ餅にして売る、という農家は安定した収入もあり、後継ぎもしっかりと育っています。そして、そのような農家は家族経営協定を結んでいます。家族経営協定とは、農業に携わる家族全員が、意欲とやりがいを持って対等な立場で経営に参画することを基本理念としています。経営方針や役割分担、家族みんなが働きやすい就業環境などについて、家族間の十分な話し合いに基づき取り決めますので、休日も収入も保証されます。
これからも、事業として成り立つ農業が必要で、地域の特性や立地条件を生かした経営には工夫が必要です。
さて、市原に残していく農地はしっかりと守らなくてはなりません。農業の跡継ぎがいないため、耕作放棄地になっている田や畑が目立つようになり、このままでは荒地になってしまいます。遊休農地の解消に向けてどのように取り組まれているのか、お聞かせください。

(答弁)
市としては、農業に意欲のある地域の担い手に、農地の利用集積を促進する農地流動化推進事業を、平成19年度から、借り手に重きを置き、短期の利用権設定にも助成対象にした。又、地域ぐるみで農地保全を図る「農地・水・環境保全対策」や「中山間地域等直接支払制度」にも取り組んでおり、平成19年度は、11団体により534haの耕地の保全が図られている。これからも、耕作放棄地の解消のため努めていく。
(市原市の耕作放棄地は平成17年の農林業センサスによると、全農地面積の18.4%の1.227ha)

今回のゼロ予算事業の中に「新規就農啓発事業」がありますが、成果が出てほしいものです。又、この1年間の新規就農者は2人だったと聞いていますが、今後どのようにサポートしていかれるのか、具体的なプランをお聞かせください。

(答弁)
農業の基本的な知識を習得できるよう、県農業大学校や市内外の生産農家での研修の世話、新規就農者が機械購入などに利用できる融資制度と、これを支援する市の利子補給制度の新年度からの設置を予定している。引き続き、新規就農者に対し、栽培技術、農地取得、資金確保等の課題に対し、支援を行う。

6. 給食について

現在、学校給食の第一給食調理場が老朽化し、建て替えの時期にきていると聞いています。又同じセンター方式で建て替えるのか、それとも自校式に切り替えていくのか。子どもたちにとってどちらが良いのか。作る人と食べる人の顔が見えるのが基本だと考えますが、見解をお聞かせください。
自校式になると、給食の食べ残しが多いという問題も改善していけるのではないでしょうか。いずれにしても、大きな決断をしなくてはなりませんが、センター方式で行った場合と自校で行った場合にかかる費用はいくらなのか、その試算はできているのでしょうか、お聞かせください。

(答弁)
本市の学校給食は、昭和40年代後半から共同調理場方式に改め、現在に至っている。
今後、新たな給食施設を計画します際には、採算性は勿論のこと、食育の方向性、地元農業との協調性など、どのような姿の給食施設が望ましいのか、十分に検討した上で、取り組んでいく。

ところで、フードマイレージという指標は、もうご存知だと思いますが、
フードマイレージとは、食品の輸送距離と重量を掛け合わせた数字で単位はt・km(トンキロメートル)。二酸化炭素削減の取り組みの一つです。
日本のフードマイレージの総計は9千億t・km。韓国やアメリカの約3倍、イギリスの5倍に相当します。なぜ高い値なのか、その原因は食料自給率の低下です。今回の中国製ギョーザの食中毒の事件から、自給率を高めなくてはならないと多くの人が気付きはじめています。昨年の偽装肉ミートホープ事件は「安ければ安いほどいい」という消費者の姿勢から生じた問題でもありました。さて、足元の学校給食でも安心・安全の地場の食材を使いフードマイレージで考えてはいかがでしょうか、見解をお聞かせください。

(答弁)
一層の地産地消を推進すべく、現在使用している米や大根、椎茸や梨、そして豚肉などの地元産6品目のほか、スポット的にサツマイモやゴボウ、そして小松菜や人参など17の品目を使用している。これからも、関係部署や関係機関と協議して、更に推進を図っていく。

次に給食費の滞納について伺います。
市原市の給食費滞納額が1300万円(平成18年)で、戸別訪問徴収した金額が約360万円(平成17・18年の合計2400万円のうち)でした。
「給食費を払わなければ、食べさせない」とする給食費の事前申し込み制を、栃木県足利市は今年1月から始めました。又、宇都宮市では給食費の未納対策で、昨年4月から未納の場合、保護者に代わって支払う連帯保証人を付けた「学校給食費納入確約書」を保護者に提出させています。
新聞やテレビでは、「支払能力があるのに支払わない」との報道がなされていますが、市原市は給食費の未納者宅を訪問し徴収した結果、マスコミの報道とは異なり、生活の困窮者の未納が大多数だったと聞いています。教育的な配慮が必要なこの問題に対して、市原市はどのように考えておられるのか、見解をお聞かせください。

(答弁)
他市においては、未納防止対策として納入確約書や申込書を提出させるとの報道があるが、これらは滞納防止に有効と考えられる。しかし、現実には朝食も摂れず、昼の給食が必要な子どももいるので、そのような子どもたちに確実に供給することのできるような体制を確保した上で、滞納額の縮減になお一層務めていく。

7. 公民館のあり方について

公民館の減免措置の解除について伺います。
公民館は「社会教育法」に基づき、建てられた施設です。社会教育は青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動で、国及び地方公共団体はその責務を負っています。
今から20年前、公民館の利用促進をはかるため、メンバー10人以上で、月4回利用のサークル活動は使用料が減免になりました。しかしながら、今まで、利用者は公民館を使うのは「無料」だと受けとっていました。今回、コミュニティセンターのカルチャーと同じ料金設定で減免措置の解除が示されました。しかしながら、5月からの減免措置の解除に対して利用者に何の説明もなされず、利用者から「一方的だった」と聞いています。
「社会教育」とはどうあるべきなのか、その役目は終わったのか、これからの公民館のあり方をどう考えておられるのかを市民にわかるように説明する責任があると思いますが、見解をお聞かせください。

(答弁)
約20年前から、登録サークル利用者の使用料を減免してきたが、社会教育関係団体の育成という初期の目的が概ね達成されたこと、更には、生涯学習社会の進展と共に、公民館の利用を希望する市民が多くなってきたことなどから、受益者負担の原則を基本に見直している。現在、各公民館で、登録サークルの皆さんに理解してもらうための説明会を行っている。
公民館における社会教育は、生涯学習の場であり、地域の課題を解決し、地域づくりを担う人づくりの場として、今後も自主事業を展開したい。

又、行政改革項目に「直営施設への指定管理者制度導入」とありますが、公民館はどのように考えておられるのか、見解をお聞かせください。

(答弁)
公民館は教育機関でもあるので、社会教育の専門性を確保しつつ、現在策定中の生涯学習プランの中に、生涯学習拠点のあり方を位置づけた上で、具体的に取り組んでいきたい。

(再質問があります)

8. 介護保険サービスについて

介護の社会化を図るために介護保険ができてから9年目を迎えています。
昨年は、持続可能な介護保険になるように見直しがなされ、「介護予防」「自立支援」という考え方が新たに加わりました。高齢者を医療・保健・介護など幅広い観点で支える目的で「地域包括支援センター」が組織されました。平たく言うと「何でも相談できる場所」です。現在、市役所内に一つ、南部地域に一つできています。厚生労働省は予防やリハビリを推進していくために配置を進めていますが、予算配分も少なく事業者としてメリットがないと聞いています。市原市は、あと4箇所を平成22年までに設置する計画になっています。これからの3年間で整備していかなくてはなりませんが、見通しはいかがでしょうか、見解をお聞かせください。

(答弁)
残る4箇所については、在宅介護支援センターの設置者、社会福祉法人等への委託を想定しており、平成21年度までに、市役所庁舎から遠距離にある地域を優先して、順次設置していく。

又、自宅あるいは自宅に近い環境で暮らしてもらう狙いで、デイサービスやホームヘルパー派遣やお泊りも出来る小規模多機能型居宅介護といわれる「地域密着型サービス」の居宅サービスが創設されましたが、事業として運営が厳しくメリットがないため、市原市でも進んでいません。

そこで伺いますが、
住み慣れた地域での生活を支えるため、地域密着型サービスの施設を整備していかなくてはなりませんが、進めるための方策をどのように考えておられるのか、お聞かせください。

(答弁)
施設整備については、平成20年3月1日現在、市内に3事業所があり、4月には新たに1事業所が開設される予定。「高齢者保健福祉計画」に基づき、国の交付金等を活用しながら、地域密着型特別養護老人ホームとの併設など、複合的な形態での整備を促進することにより、小規模多機能型居宅介護拠点の充実を図っていく。

介護職員の労働環境について伺います。
介護に携わっているのは主に女性や若者ですが、報酬が低く昇給や将来の見通しがつかず、最も離職・転職の多い職種の一つです。ちなみにファミリーレストラン時給1000円ですが、ヘルパーは時給850円です。
経験の蓄積がなければ専門性が育たず、利用者もよい介護を受けることができません。
誇りを持って働ける条件整備が必要です。全国的に、介護職員の生活を守ろうと署名活動も広がりをみせています。
これは市というより国の問題ですが、市原市からも声をあげていただきたいと思いますが、見解をお聞かせください。

(答弁)
国においては、「第4期介護保険事業計画」の策定に向けて、指針を定めるべく審議が行われているので、その内容を見極めていく。

9. 地域福祉について

地域福祉とは、誰もが住みなれた地域で、安心して暮らしていける環境のことをいいます。東松山市では、障害者プランとして「市民福祉プラン東まつやま」を策定しています。このプランでは手帳を持つ障害者だけでなく、ハンディキャップの状態にある全ての人を支援することを基本理念にしています。つまり、すべての人にとって自分の問題としてとらえられる計画になっています。そのため「障害がある、なしで分けない」ことから「統合保育」「統合教育」の推進を謳っています。誰も望んで障害を持つ人はいません。国や時代に関係なく、生まれてくる子どもの2~3%が障害を持っています。又、誰もが事故にあったり、歳を重ねると耳が遠くなったり、足腰が弱くなり杖や車椅子が必要になり、障害と無縁の生活はできません。社会的弱者といわれる高齢者、障害者、子どもにとって住みやすい街は誰にとっても住みやすい街で、それが町としての成熟度を測るバロメーターになっています。

東松山市では、新しく建物を作るより人を配置していく考え方ですが、市原市の福祉に対する考えをお聞かせください。

(答弁)
障害のある人もない人も社会の一員として生活し、活動できる社会をめざす「ノーマライゼーション」と、身体的、精神的、社会的な適応能力の回復だけでなく、障害の有無にかかわらず一人の人間として、自分らしく生きることをめざす「リハビリテーション」の実現で、具体的には、ソフト、ハード両面のバリアフリー化の推進、障害者ひとり一人のニーズに対応した支援、さらに教育、福祉、就業など組織の横断的な連携施策です。

この度、新実施計画に基づき地域福祉班が創設されたことに、この計画を推し進めていくという意気込みを感じました。今回、予算付けがなされていますが、これからどのように取り組みどう充実させていくのか、お聞かせください。

(答弁)
社会福祉協議会と連携しつつ、各小学校区を基本とし、町会長、制度ボランティア、地域福祉に関心をもっている方々と共に、小域福祉ネットワークの構築を進めている最中。
このネットワークのうち、千葉県地域ぐるみ福祉振興基金による、「地域福祉フォーラム設置支援事業」の助成対象になったものが2団体、今年度内には、さらに4団体が対象になる。今後も量的拡大や質的向上に向け、市民との協働を進め福祉施策の推進を図っていく。

障害者自立支援法が平成17年に制定され、障害があっても、健常者と同じように普通に地域で暮らすよう、施設福祉から地域福祉へと変わって来ましたが、社会資源といわれる居住、日中活動を支える場などの整備が進んでいません。又、それまで小規模作業所は登録制で、県と市の補助を受けていたものが、打ち切りになり厳しい運営をしなければならなくなりました。その小規模作業者を支えてきたのは、障害を持つ子の親たちです。親の心配は「親亡き後」です。制度としても地域で暮らしていける仕組みが必要ですが、行政はどのように考えておられるのかお聞かせください。

(答弁)
在宅障害者福祉サービスの充実や各種相談に応じる体制、専門的知識を有する人材の育成、
さらに、地域福祉ネットワークによる、地域で支え合うまちづくりが必要と考える。
今後とも、障害者とその家族をはじめ、社会福祉法人等の関係機関から幅広く意見を聞きながら、地域福祉施策の充実に努めていく。

10. 減災と防災について

減災とは災害を最小限にとどめる方策で、防災は災害を防止することです。
2007年は、能登半島沖地震、中越地震など大きな震災が相次ぎました。
千葉県でも体に感じる地震が何回か起きています。
結論を言いますと、災害に強い地域は自助・共助・公助の連携がうまくいっているところです。
「遠くの専門家より近くの知人」「何より大切なのが、ご近所の底力」です。

市原市の自主防災組織数が平成20年度2月1日現在448団体です。市内の町会の数が520団体ありますので、そのうちの8割以上が防災に関して積極的に取り組んでおられる計算になります。市では活動費の三分の二を補助して、この組織を支え広げようとしています。
さて、このような時、災害弱者といわれる高齢者・障害のある人・乳幼児・外国の人などの避難には援助が要り、そのような方々の情報は地域で共有される必要がありますが、まだ共有されていません。共有化が進まない最大の理由が個人情報保護条例との調整といわれていますが、この条例は本人の同意がある場合や第三者機関が認めた場合には例外的に外部への情報提供を認めています。そうはいっても、一般的には個人情報保護条例があるために災害弱者の共有化ができないと考えられています。市役所では保健・福祉の業務を通して災害弱者の状況を把握していますが、地域からの申し入れがあった場合にはどのような対応をされるのかお聞かせください。

(答弁)
現在、市では、あらゆる機会を通じて、町会長や民生委員などに災害要援護者の把握をお願いしている。今後も、千葉県市原健康福祉センターなど関係行政機関と連携し、災害時要援護者の避難支援について、国から示されたガイドラインを考慮し、地域との共有方法などの検討をしていく。

これから各部署と連携しながらマップを作り上げていくとのことですが、いつごろの完成を考えておられるのでしょうか、見解をお聞かせください。

(答弁)
各小学校区などで、小域福祉ネットワークづくりを進めており、そこでマップに取り組むことを検討している地域もあるが、各地域の事情もあり、現段階では不確定。

次に耐震化について伺います。
国では「建築物の耐震化」を社会全体の緊急課題として耐震改修促進法を改正しました。それを受けて市原市耐震改修促進計画の策定が行われます。市有建築物は予算さえあればすぐにでも耐震化を進められますが、民間の建築物は、費用もかかりますし本人の同意がなくては耐震化を進めることはできません。
耐震の無料相談会は、この1年間170人の利用者がありました。

費用の面では、木造住宅耐震改修補助制度を使われた人は、1年間で39件と聞いていますが、これからどのように啓発活動を進めていかれるのか、お聞かせください。

(答弁)
「市原市耐震改修促進計画」に基づき、新たに作成した地盤の揺れやすさなどを示した地震防災マップを活用し、耐震化意識の高揚を図ることや、安価な工法の研究、又、高齢者や低所得者層に配慮した改修支援制度の検討を行い、市民がさらに取り組みやすい耐震化の環境を整備していきたい。特に、危険度の高い地域を耐震化の強化地域として指定し、地域の方々と連携を図りながら、効率的な耐震化の促進を図っていく。

11. 消防団について

消防団の歴史は古く、江戸時代の八代将軍吉宗が、「いろは組み町火消し」を設置させたことが、今日の消防団の前身であるといわれています。
消防団員はそれぞれの仕事を持ちながら、大切なものを守るため、訓練を重ね、いざという時に備えています。そして、その活動は多岐に亘り、火災・地震・台風・水害などのほか、災害から復旧支援、行方不明者の捜索、火の用心の呼びかけなど地域に密着した活動を地道に続けています。

今、全国的に消防団の団員が少なくなってきています。昭和29年当時200万人いた団員が、今や全国で89万人になったと報道されています。かつては自営業が半数以上だったのですが、今では7割がサラリーマンですので、なかなか入団する若者がいません。

地域の中でボランティア的な働きとして消防団に所属している方と職業として消防署でお勤めの方の2種類の働き方があります。町会で消防費として負担し、ボランティア的な消防団を支えている地域と、消防署があるから消防団はいらないし負担もしないという地域もあります。消防団への加入は任意ではありますが、特別公務員として位置づけられ、年間2万4千円が支払われています。
なぜ消防団が必要か、などの話し合いも必要です。繰り返しになりますが、火事のとき火を消すのは消防署がやっても後片付けまではしません。そのような時、消防団が後片付けなどを担当します。それと夜回りなどを率先して行っています。

そこでうかがいますが、市民にわかるような説明などを行っているのでしょうか。行っていないとすれば、是非とも啓発活動をするべきですが、今後の取り組みについてお聞かせください。

(答弁)
消防団員の活動実態を消防局ホームページや広報いちはらにおいて広報すると共に、特に消防出初式や消防団の参加する各種訓練等の実施にあたっては、マスコミへの情報提供を積極的に行うことにより、市民の理解を深めてもらえるように取り組みを充実したい。

又、入団するには18歳から55歳という年齢制限がありますが、その制限が必要なのでしょうか。引き上げたら老人クラブになったという話も聞きますが、55歳を引き上げてはいかがでしょうか、見解をお聞かせください。

(答弁)
消防団員は常に危険を伴う活動を任務としており、強固な精神力・体力を必要とすることから、年齢の上限を定めたものである。しかし、地域防災体制の充実を図るには、地域の幅広い層から消防団を確保することが望ましいので、年齢制限の見直しも必要と考えるので、今後、消防団とも協議していく。

再質問

公民館のあり方について

社会教育(生涯教育)の役目は終わっていないという答弁でしたが、それでは「使用料の減免基準の見直し」について、お聞かせください。

(答弁)
「公益性があるもの、公共性があるもの」と認めた場合には減免措置が適応される。

社会教育の役目があり、例えば「お話会」、子どもたちに読み聞かせを行っているサークルで利用者は子どもたちです。このような活動には減免措置がこれからも適用されると理解してよいのでしょうか。お聞かせください。

(答弁)
そうです。ケースバイケースで考えていきます。

公民館で学んで付けた力を地域に活かしていく、まさに公民館は地域づくりの拠点であり、コーディネーターの役を果たしています。地域の力、市民の力が発揮できるよう支える役目があると思います。
先日も公民館運営審議会を傍聴しましたら、地域の中学校に公民館からお琴のサークルが出向き、生徒たちにお琴を手ほどきして、生徒たちも喜んだ、という報告を聞いています。
又、公民館の事業として「野菜作り体験」20名募集とあり、中身は講師が自分の家の隣の農地を提供しておこなうというものでした。農地があっても有効に使いきれない人と野菜作りを体験してみたい人が見事にマッチングしたカタチでした。このように重要な働きを公民館が担っていますので、これからもコーディネーターとしての働きを活かしてください。