令和元年 第2回市原市議会定例会
代表質問 小沢みか
1.第2庁舎のあるべき姿と整備方針について
2.指定管理者制度の活用について
⑴公民館における指定管理者制度について
⑵指定管理者制度のあり方について

1.第2庁舎のあるべき姿と整備方針について
※将来的な整備方針について、現時点での議会への説明
先月6月24日、当局から議会に対し庁舎強靭化対策としての「将来的な整備の選択肢の抽出」について説明がありました。
その中身を整理すると、第2庁舎の将来的な整備モデルとして、大きく分けると5階建てに減築改修するか、新築するかの2案。新築案は第2庁舎のみか、全棟か、新議会棟以外かの3通りで、合わせて4通りの案が示されています。
そして、これらモデルを選んだ条件は、庁舎の規模を現在利用している面積相当分とすること、IS値0.75以上とすること。さらに、今年度末までに、この中から1案に絞り込むことを含めた「将来的な整備方針」を決定する、というものです。
※中長期的な視点で検討を行ったのか
しかしH29年6月の本会議で、総務部長から「第2庁舎の老朽化問題に対しては、長期的な視点でじっくりと議論し、方向性を見きわめる」とのご発言、また市長も「公共資産マネジメントの一環として、さまざまな視点から整備方針を検討する」と述べられています。
しかしこれら4つの選択肢は、そのような視点を踏まえたものではありません。
例えば、同じ行政系施設である支所との関連で、行政機能を今までのように庁舎に集約するのか、生活に身近な支所に分散するのかという視点。さらに、庁舎がある国分寺台エリアには、市役所とほぼ同時期に建てられた市民会館をはじめ、老人福祉センター、外郭団体である市原市社会福祉協議会など、公共性の高い広域施設が集積している。各々の施設の統廃合という視点。
以上の視点が必要だということは、庁舎強靭化対策検討委員会の委員からも指摘されています。なぜこれら中長期的な視点の検討を行う前にモデル案を示したのでしょうか。

答弁  (総務部長)
「庁舎等の将来的な整備方針」につきましては、「市原市公共資産マネジメント推進計画」に基づきます、「市原市公共施設再配置基本方針」における「個別施設方針」として、現在、策定をしております。
この個別施設方針は、公共施設再配置基本方針の基本的な考え方や施設分類別の方向性を踏まえまして、それぞれの公共施設を、将来に向かって必要な改修を施し、長寿命化させ維持していくのか、あるいは、建て替えていくのか、廃止していくのかの方向性を定めるものでございます。
このことから、庁舎等の将来的な整備の方向性を決定するためのプロセスといたしまして、4つの対策モデル案をまず抽出したものでございます。
なお、公共施設再配置基本方針における市庁舎の位置付けといたしましては、「個別施設方針等を踏まえつつ、施設の更新等を行う場合には、老人福祉センターなどの広域対象施設や、国分寺公民館などの地域対象施設の機能を整理し、機能集約等の可能性も検討」することとしており、周辺エリア全体での公共施設の最適化の検討は、庁舎等の将来的な整備方針を決定した後に、行ってまいりたいというふうに考えております。

「公共資産マネジメントの視点はそのあとで」と言っても、仮に減築改修となった場合、施設の統廃合や機能集約の選択肢は自ずと限られてしまう。その認識も共有されないまま、なぜ先行してモデル案を出したのか。
また、今後は施設総量を四分の一縮減しなければならないのに、最初から庁舎の面積を同規模とした点も腑に落ちません。
庁舎強靭化対策検討委員会では、耐震性や老朽化の状況、業務効率性などは示されたが、コストやサービスの種類と量、将来の人口などに関する資料は提示されていません。それで「どれかに決めてほしい」と言うのは強引ではないか。
※第2庁舎の整備方針策定を急ぐ理由は。
来年度には、各施設の個別施設方針が出揃う予定と伺っています。それを待って公共施設全体のマネジメント(最適化)を量ったうえで、最後に庁舎の方針を決定しても遅くはないのではないか。整備方針の決定を今年度末までとした根拠は何処にあるのでしょうか。

答弁  (総務部長)
これまでご説明させていただきました、庁舎等の将来的な整備方針策定の考え方におきまして、既存庁舎整備手法の方向性の決定は、令和元年度末としております。
この考え方につきましては、喫緊の課題として取り組んでまいりました、庁舎等の耐震対策でございますが、庁舎等の将来的な整備方針を策定するに当たり、議会や市民の皆様への丁寧な説明が必要であるとともに、コンサルタント等による専門的な技術的支援を受けながら、しっかりとした検証、検討をする必要がありましたことから、事業期間を2年間とし、平成30年度からスタートさせていただいたことによるものです。
 なお、公共資産マネジメントとの関係で申し上げますと、国は「インフラ長寿命化基本計画」に基づく対策として、令和2年度末までの個別施設ごとの長寿命化計画の策定を求めており、本市におきましても、今後、長く使い続けるすべての公共施設について、令和2年度までに『個別施設計画』を策定することとしております。
既存庁舎につきましては、将来的な整備の方向性として、仮に減築改修により長寿命化を図ることとなった場合には、長寿命化に係る『個別施設計画』を策定する必要があるものと考えており、その計画策定に要する期間を考慮した場合、庁舎等の将来的な整備方針の決定時期は、今年度末が適切なものであると考えております。

※地域の施設を優先せよ
老朽化が進む施設は、庁舎だけではない。あと10年もすれば、支所の多くが築50年近くになる。庁舎より前に建てられた小中学校は、22校ある。非構造部材の耐震化やトイレの洋式化、バリアフリー化、老朽化対策はまだまだこれから。
あるいは、地域活動の拠点がなく苦労しておられる市民団体の方々。地域の教育施設が次々と消えていく。こういう現状に困惑し行政に失望している市民に対して、庁舎の更新を優先する理由をどのように説明されるのか。

答弁  (総務部長)
本市では、平成23年3月に発生した東日本大震災の教訓から、庁舎の耐震対策を喫緊の課題と捉え、まずは、緊急対策としての現第1庁舎の建設を進め、続いて、残る既存庁舎の抱える耐震性等の課題に対し、その対策の検討に着手したものでございます。
なお、現在策定中の庁舎等の将来的な整備方針は、公共施設再配置基本方針に定める個別施設方針に当たるものであり、他の公共施設におきましても同様に、健全度調査等を行うなど、令和2年度末までの個別施設計画策定を見据え、必要な取組を行っているものと認識しております。

※財政力の見通しとコストについて
仮にどうしても先に第2庁舎単体で検討したいというのであれば、その選定条件は市の将来の財政力の見通しとそれに見合ったコストかどうか、このバランスしかないと考えます。
直近の長期財政収支見通しによれば、9年後の2028年で45.6億の赤字が見込まれている。しかもこの数字は、公共資産マネジメントにかかるコストが含まれていません。
30年後(第1庁舎の大規模改修が想定される頃)の市原市の生産年齢人口はおよそ今の6割に減り、高齢者人口は1.5倍になります。「入るを量りて出ずるをなす」といいますが、税収が減るなかで医療・福祉・教育・子育てに予算を振り向ければ、公共資産マネジメントにかかる予算は、おのずと上限が決まります。
今後30年間で、公共施設の統廃合や大規模改修に一体どのくらいまで投資できるとお考えでしょうか。

答弁  (財政部長)
本市では、中長期的な収支の推移を展望することで、計画的な財政運営に役立てることを目的に、毎年、ご案内どおり長期財政収支見通しを策定いたしまして、これを公表しているところでございます。
この見通しは、期間を10年といたしまして、近年の決算を踏まえまして、歳入面では現行の地方税財政制度などを前提としまして、また歳出面では、社会保障制度の動向に加えまして、建設事業では市原市で言えば区画整理事業など経常的に行う投資額のほか推計時点で計画があるなど捕捉可能な事業費を織り込み、試算したものでございます。
昨年度公表いたしましたこの見通しでは、公共施設の大規模改修等につきましては、議員にご案内ございましたけれど、規模や時期が未確定であるということで、直接的には反映してございませんけれども、このような条件にありましても、市税の緩やかな減少、あるいは社会保障関連経費の継続的な増加などから、令和3年度以降、毎年、歳出額が歳入を上回りまして、収支不足が生じると、こういう試算結果となりました。
市といたしましては、このような厳しい財政状況にございましても、必要な公共施設への投資に対しましては、的確に対応していかなければならないと考えてございます。
そこで、財源対策といたしまして、不断の行財政改革はもちろんのこと、税収の増加に向けた各種取組や、財政調整基金等の基金残高の確保と活用、公共資産マネジメントの取り組みの推進など、歳入歳出の両面から対策を講じていく必要があるものと考えております。

コスト試算も、資料によると今後検討委員会に示されるのが今議会の後。そしてもう10月にはどれか一案に絞られた整備方針素案が出てきます。これでは議論の時間がありません。
※市長の想いは
総合計画には、公共資産マネジメントの項目で 「 庁舎強靭化対策事業 」とあるだけで、その中身は示されていません。市長ご自身はどこまで想定されているのか。
また、将来の庁舎は、現在の庁舎と何が違うのか。どんな庁舎のあり方が望ましいとお考えなのか。具体的にお聞かせ願います。

答弁  (市長)
私が進める庁舎強靭化対策事業は、第2庁舎などの既存庁舎の強靭化に向け、具体的な整備方針を策定するものであります。
私は、まず第2庁舎の更なる減災対策を進めるため、スピード感を持って低層階への移転を完了させました。
そして現在は、耐震強度の不足に加え、コンクリートの中性化や設備の老朽化が進行するなど、大きな課題を抱える築47年の第2庁舎について、抜本的な対策の検討に取り組んでおります。
私の目指す庁舎の姿は、大規模な災害等が発生した場合、復旧・復興の拠点となるとともに、行政サービスを停滞させることなく、業務の高い継続性を可能にする庁舎であると考えております。
このことから、市議会や市民の皆様と対話を重ね、今年度中には、庁舎等の将来的な整備方針策定の方向性を決定してまいります。
次に、将来の庁舎について、お答えいたします。
本年4月から6月にかけて、多くの市民の参加を得て、「市庁舎をみんなで考えよう!市民ワークショップ」を開催させていただきました。
私は、参加した皆様が考える理想の庁舎への提案から、多くの気付きをいただきました。
私は、市役所が市民の皆様にとって開かれた魅力的な場所であり、人の活躍と市民の誇りの創生につなげられる場であるべきと考えております。

※議会の責任で二重投資は許されない
第1庁舎(防災庁舎)建設に係る議論の中では、当時私たち市議会も市民や職員の安心安全確保に急を要するとして、全棟更新には財政的な懸念もあり、分庁建築を決断した責任があります。当時市議会におられた市長は「唯一の心配は二重投資だ」と発言されていました。
従って、第2庁舎はあくまでも耐用年数である2043年ごろまで使用することを基本とすること。その前に何らかの対策が必要な場合は、その必要性及び財政とコストのシミュレーションを明らかにし、 将来の市民生活を見据えた議論を十分経てからにしていただきたい。ご見解をお聞かせ願います。

答弁  (総務部長)
平成29年1月策定の「庁舎強靭化対策に係る取組方針」では、第2庁舎の躯体の耐用限界が2020年頃であり、コンクリート中性化対策等の長寿命化改修を行った場合には、2043年頃まで延ばすことができることをお示しいたしました。
 現在策定中の「庁舎等の将来的な整備方針」では、第2庁舎等の老朽化・耐震性不足への抜本的な対策として、「減築改修」により2043年頃まで現在の建物を使い続けていくのか、あるいは、「建替え」により問題解決を図るのかの方向性を決定するものでございます。
 今後、策定作業を進める中で、今回お示しいたしました4つの将来的対策モデル案につきまして、次回の第3回市議会定例会までには、イニシャルコストや中長期におけるランニングコストを含めましたトータルコストに加えまして、幅広い視点からのメリット・デメリットなど、比較検討していただくために必要な資料を作成し、提出させていただきます。
 今後、これらの資料を基に、ご議論いただいた上で、将来に向けて最適な方向性を選択できるよう、取り組んでまいります。

市長は2期目の就任にあたってのご挨拶で「市民ニーズや時代の先にあるものをしっかりと捉えて」もっと前に進むと表明されました。第2庁舎更新でもそのマインドが発揮されるよう切に望みます。

2.指定管理者制度の活用について
指定管理者制度は「官から民へ」のスローガンのもと、2003年(H15)にスタートした。市原市においては、2004年度(H16)の三和保健福祉センターへの導入に始まり、現在では47施設に広がっています。

(1)公民館における指定管理者制度について

*制度導入で何が変わったか、確認
主に地域住民で構成される運営委員会を指定管理者として、2010年度(H22)南総公民館からスタート。翌年度から残り全てを加え、現在は2期目の指定期間にあります。
同制度の導入の目的は、行財政改革アクションプランによれば、サービスの向上と経費の削減の2点です。その点も踏まえ、公民館における指定管理者制度導入の効果についての総括をお聞かせ願います。

答弁  (生涯学習部長)
議員ご案内のとおり、本市では、平成22年度に南総・鶴舞公民館へ、その翌年から市内全ての公民館へ指定管理者制度を取り入れているところでございます。
それぞれの公民館の指定管理者としては、各公民館の対象区域ごとに、その区域の住民の代表者等で構成される「公民館運営委員会」が指定を受けております。
指定管理者制度導入の効果でございますが、市民サービスの向上の観点では、それぞれの地域の実情に通じた「運営委員会」が、地域住民の意向を適切に反映した公民館運営に努めた結果、「公民館利用者数」や「公民館主催事業参加者数」が導入前と比べ、いずれも増加いたしております。
また、経費節減の面では、市の直営施設であった平成21年度と、全公民館に指定管理者制度を導入した後の、平成23年度を比較いたしますと、約2,700万円の縮減が図られております。
これらのことから、地域住民を運営主体とした、指定管理者制度を本市の公民館に導入したことは、地域コミュニティの活性化や運営面の効率化に一定の効果があったものと考えております。

*官製ワーキングプアの観点から
仮に民に任せた方がサービスの向上が図られるなら、なぜ直営でそれができないのか。
コストダウンは当然です。その主な理由は単純に人件費の削減、要するに公務員が手を引いたからです。元々公益性が高く収益性が低い公民館に、運営の効率化はそれほど期待できないはず。
運営委員会は、剰余金を地域に還元することとされ、報酬はありません。慣れない人事採用に苦労して職員を雇っても、限られた指定管理料のやりくりで処遇改善もままなりません。5年間という期限付きで雇用も安定せず、定着しない職員の補充に毎年頭を抱えておられるケースもあります。いわゆる官製ワーキングプアの温床になっていると言っても過言ではありません。
もちろん、とくに問題を感じていない施設もあるのでしょうが、導入から8年が経過し来年度で指定期間が終わる今、改めて各々の現場の実態を把握し、利益の取り扱いなどの収支の在り方や、適正な賃金で職員が安定的に働くことができるような人件費の算定など、指定管理料の積算について再検討する必要があると考える。ご見解をお聞かせ願います。

答弁  (生涯学習部長)
市では、各公民館の運営が適切に行われるよう、施設を直営としていた時期を参考に、現在の利用実態を反映した上で、そこに従事する者に必要な職責及び配置数を編成しております。
これに本市で規定している指定管理施設に従事する職員の職責に応じた人件費基準額を乗じ、人件費の総額を算定しているところでございます。
また、収支の在り方につきましては、当該年度において、適切な管理運営がなされているかとともに、それに要する経費の負担が問題なく執行されているかを確認したうえで、もし、余剰金が発生した場合には、公民館の運営上、効果が期待できる事業への利活用に、再投資することを容認いたしております。
なお、公民館における指定管理料の使途につきましては、市が指定管理者募集の際に示した指定管理料の積算設計書を参酌しながら、指定管理者の裁量により人件費も含めた運用を決定し、効果的な運営に努めているものと認識しております。
今後の指定管理料の見直し等につきましては、公民館の安定的で適切な管理運営が果たせるよう、その時々の社会情勢等を考慮した中で、臨機に庁内関係部局と協議してまいります。

労働環境の悪化は、サービスの質や利用者の安全確保にも影響しかねない重大な問題。
*大災害時の対応の観点から
もう1点。大災害時の対応について伺います。
公民館は地域防災計画に基づく緊急避難場所あるいは避難所。直近では、昨年9月の台風により早期開設避難所に指定されました。しかし、当局は指定管理者と災害時の避難施設運営に関する協定を何も取り交わしていない。しかも、指定管理者を飛び越え直接館長に指示を出し開設させたと伺っています。
これはコンプライアンスに欠けており問題ではないか。万が一住民の避難に支障をきたせば、命にもかかわります。
市の担当職員が参集する前の応急開設、施設管理者が不在の際の対応、施設の解放場所、緊急連絡先の提供、避難施設の維持管理のために要する費用など、早期に指定管理者と取り決めを交わすよう要望します。ご見解をお聞かせください。

答弁  (生涯学習部長)
現在、公民館は五井、鶴舞、白鳥を除く8つの公民館が早期開設避難所に指定されております。
早期開設避難所の開設指示は、土砂災害や洪水などの災害が予見される場合に、市の災害対策担当部門が、危険な夜間を避け、明るい時間帯に安全に避難できるよう、日中の時点に発令するものでございます。
昨年度は、台風、大雨等により公民館に早期開設避難所が設置されました。
この時の開設に至る経緯でございますが、市の災害対策担当課から開設要請を受けた、公民館所管課である生涯学習課より当該公民館の施設管理者へ避難所開設の伝達を行い、これを受けた公民館は、避難所開設に向け、現に施設を利用している者の使用を停止させるとともに、避難所管理の引継ぎマニュアルに基づき、市の避難所担当職員が到着するまでの対応に当たったものでございます。
なお、閉館中に避難所開設の指示が出された時には、市からの連絡を受けた施設管理担当者が、施設の開錠を行い、市の避難所担当者が到着するまでの間の、待機等の対応を担っております。
避難所開設に関する事項につきましては、市と指定管理者等で取り交わしております基本協定に、市原市地域防災再計画に基づき、避難所収容所として、市民の避難、救護のために使用する場合、という規定がございまして、公民館としての利用が制限され、市の指示に従うものと明記しておりますことから、不明確なものではないと認識しております。

*公民の混同で矛盾に満ちている
その他にも例えば、社会教育法に基づき設置されている公民館運営審議会は、運営の主体者である指定管理者の蚊帳の外で進められています。貸館業務の取り扱いなども市のマニュアルで事細かに決められ、市の意向が直接館長に伝えらえることも多いそうです。
元々コスト削減ありきの見切り発車で同制度の導入を進めた結果、公民の役割分担が曖昧で矛盾だらけの状況になっていることは明らかです。
「運営委員会は単なる行政の傀儡組織だ。もう次期選定には応じたくない」との声も上がっています。このままで社会教育施設としての専門性や一貫性が保障されるとはとても思えません。
この問題は、単に制度の運用の仕方だけに原因があるのではないと思います。
根本的な問いかけとして、地域に密着した社会教育施設として公民館はどうあるべきか、そこに指定管理者制度を導入する意義は何処にあるのか、指定管理者を地域住民とすることで、市原市の社会教育推進にどんな影響があるのか。教育長のお考えをお聞かせ願います。

答弁  (教育長)
地域コミュニティの衰退が、社会全体の課題となる中で、昨年12月に国の中央審議会において、公民館の社会教育施設としての役割に係る答申が示されました。
この答申では、公民館の果たすべき使命として、「住民が主体的に地域の課題を解決するための学習の推進」、「学習の成果を地域に活かすための取組の強化 」、 「地域コミュニティを維持するための役割 」、「 地域の防災拠点としての活用」などが掲げられたところでございます。
このような中、本市の公民館では、多くの市民の皆様がつながりを持ち、生涯にわたって学び続け、主体的に社会に関わることができる地域発展の拠点となるよう、努めているところであり、この事は、国の答申に沿ったものであると考えております。
また、本市の公民館は、地域住民の代表者等で構成する「公民館運営委員会」を指定管理者とすることで、地域のニーズや実態を踏まえた「地域に根差した公民館」としての管理運営が図られているところであり、教育委員会に配置している社会教育主事と、公民館の社会教育指導員が緊密に連携することにより、社会教育の推進を図っているところであります。
私は、教育長として、公民館がこれまで培ってきた地域の実情に応じた学習の成果を新たな地域社会へと結びつけ、社会教育を一層推進することにより、郷土への愛着と誇りの創生につなげてまいりたいと考えております。

以前も申し上げましたが、運営委員会の皆さんは、もともと地域活動の中心を担う行政にとっても地域のキーマンです。こういう方々が行政に対して不満を募らせています、そんな状態を指定管理者制度が作り出しているのは事実。
今回指摘した様々な課題を早急に整理し改善されるよう要望します。

(2)指定管理者制度のあり方について
*国の通知より「経費の削減は目的にあらず」
繰り返しになるが、市原市の指定管理者制度の目的は、サービスの向上と経費の削減です。法改正当初の自治行政局長の通知にも、そう明記されていました。
しかし、以来事故やサービスの低下などの問題事例が相次いだことを受け、5年後に発出された総務事務次官通知では「指定管理者の基準選定にあたっては、公共サービスの水準の確保という観点が重要である」とされています。経費の削減は目的ではないということを、改めて示したと解釈できます。
そこで改めて、市原市が指定管理者制度の目的を経費削減としていることについて、当局のご見解を伺います。

答弁  (総務部長)
指定管理者制度は、平成15年9月、地方自治法の一部改正によりまして、多様化する住民ニーズに、より効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減を図ることを目的として導入されました。
本市におきましても、法改正を受けまして、同様の目的をもって、平成18年度から指定管理者制度を本格導入し、現在、47施設で同制度を運用しております。
公の施設の管理に、指定管理者制度を導入することの一番のねらいは、市民サービスの質の向上であり、市民の満足度を高めることである、と認識しております。
多様化する市民ニーズを的確に捉え、持続的に市民サービスの質の向上を図って行くためには、指定管理者の施設運営に対する創意工夫を引き出すとともに、市によるモニタリング等により、不断の見直しを続けて行く必要があるものと考えております。
併せまして、良質な市民サービスを提供し続けるためには、経費に関しましても、新たな指定管理者の選定の機会を捉え、社会経済情勢を反映した適切な積算や、利用料金制度導入の可否などについて、縮減の視点を排除することなく、常に検討をする必要があるものと考えております。
このようなことから、本市の指定管理者制度につきましては、多様化する市民ニーズに、より効果的・効率的に対応するため、今後とも、市民サービスのさらなる向上を主眼としつつ、縮減も含めた経費の適正化を踏まえ、運用してまいりたいと考えております。

私自身も今まで、市の行財政改革大綱のくくりの中で、同制度を経費削減の手段として捉えていましたが、その認識は改めなければなりません。このままでは、公民館のケースでも明らかなように、官製ワーキングプアを生み出し、民間と行政との信頼関係にひびが入る恐れがあります。
*第3者の参画の推進を
ではもう1点伺います。市原市では、指定管理者の実際の選考や評価の場に、専門的知見を有する有識者など第3者の参画がなく、行政職員だけで固められています。これは著しく公正性・公平性・透明性に欠け不適切ではないのか。ご見解を伺います。

答弁  (総務部長)
はじめに、指定管理者の選定につきましては、市職員で構成される選考会議において、一次審査を行い、候補者を絞り込んだ上で、外部有識者により構成された選定審査会に諮問し、候補者を決定した後、議会での議決をいただき最終的に選定しており、選定の過程におきましては、第3者の審議を受ける手続きを経ております。
 なお、選考会議と選定審査会、いずれの会議につきましても、市ウェブサイトにて議事録を公開しております。
 次に、評価につきましては、適切な施設管理及び市民サービスの提供がなされているかを確認する手段として、モニタリングの実施や監査委員による行政監査が行われております。 
しかしながら、モニタリングに関しましては、現状では、結果を公表しているものの、その手法が、指定管理者による利用者アンケートを含めた自己点検と担当部署による確認に留まっているため、第3者の参画までには至っておりません。
この点につきましては、課題であると認識しているところであり、今後、市民サービスの更なる向上に向け、調査・研究をしてまいります。

*理念の共有と統一ルールの制定を
前の定例議会で承認された水と彫刻の丘協議会の設置も、管理運営の手法を指定管理者の創意工夫にゆだねるという制度の原理原則から外れ、行政側が必要以上に物申す仕組みを作ってしまったと思います。これも非常に矛盾した話しです。
公民館然り、水と彫刻の丘然り、ここまでちぐはぐな制度運用になってしまっているのは、市が制度に対する理念が浅く、基本的に各所管部任せになっていることが原因と考えます。
まず庁内で共通認識を持つこと。そして制度導入や公募の適否、指定管理料の積算方法など基本的な方針を策定し、市民に公開するよう要望します。ご答弁願います。

答弁  (総務部長)
本市では、平成18年度の指定管理者制度の本格導入に際し、庁内での基本的な考え方や手続きを共有するため、指定管理者制度運用の手引を策定し、その後も改訂を重ねながら、適切な制度運用に努めてまいりました。

 

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