平成18年度 第1回市原市議会定例会 3月7日(火)

市議会レポート【個別質問】うわぶ玲子

1.都市交流拠点づくりについて

先日、東口特別委員会が開かれ、商工会議所から会頭始め各支部の代表の方々など主だった役員の方が出席され、委員との意見交流の場がもたれました。
その場で商工会議所の皆さんから出てきた言葉は「東口整備計画」に対して反対ということでした。正直、これほど強く反対の意思表明がされたことに、大変驚きました。

そこでお聞きしますが、商工会議所会頭は推進協議会の委員でもいらっしゃいますが、推進協議会での話し合いはどうだったのでしょうか、合意形成は図られてきたのでしょうか、また商工会議所との話し合いはどのようにされてきたのかも併せてお聞かせください。

皆さんが異口同音に言っていらっしゃったことは、東口開発によって、五井西口をはじめ姉崎、八幡など既存の商店街が落ち込んでしまうということでした。
東口開発の大きなポイントは新しい区域を整備することで、既成の中心市街地も波及効果により活性化させ、全体を都市交流核として求心力のあるものとするとしています。
五井西口も再構築を図る中で、今の街の姿からいろいろとかたちを変えていくことにはなるのでしょう。しかしながら現在そこに住んでいる住民の生業がどうなっていくのか、店を維持していくのが可能なのかなど、具体的な心配が起きてくるのは当然でしょう。
基本計画には「新たな機能との連携による中心市街地の活性化」と言葉ではさらりと述べられていますが、既存の街を作り変えるということだけにそれを具体化することはかなり大変なことです。

平成19年には中心市街地活性化計画の見直しと言うことが計画されていますが、見直し内容のポイントは何でしょうか、お聞かせください。

基本計画にも述べられているように「みんなの手によるまちづくり」が重要であることはいうまでもありません。しかしこの「みんなの手による」という状況作りがいかに難しいかというのが、地域性も含めてあるのではないでしょうか。
先日、新聞に掲載されていた記事ですが、商店街の建て直しに取り組む青森市「街づくりあきんど隊」隊長の加藤博さんは「みんなそろってはやめて、やる気人間だけ集まる。会費や分担金も集め、コンサルタント任せにせず、自分たちで考えた」と言っています。加藤さんは大手スーパーの幹部という、しがらみのないよそ者ですが、商店街活性化の中心になり、青森が息を吹き返そうとしているということです。

どちらにしても地域住民が主体になって責任を持って、まちづくりを考えていかなければ、この計画は成功しません。これまでは経験もしていない住民主体の「まちづくり」をどのようにしたら成功させることが出来るのか、お考えをお聞かせください。

次に、東口の整備構想区域についてお聞きします。
先日は、ちはら台の大型ショッピングセンター建設の報告がありました。人口の減少や消費の頭打ちが言われていますが、一方で県内各地、そして近隣にもいくつもこのような施設が計画されているのを聞きます。過当競争ともいえる状況の中で、計画が本当にうまくいくのか、計画通り集客に結びつき、賑わいを作り出すことが出来るのか、また、一時的に人が呼び込めたとしても、どれだけの継続性があるのかなど、かなりの疑問や不安がぬぐえません。

これまでもプロポーザルで事業者側からは示されましたが、再度確認の意味もあってお聞きします。行政としてどこの地域から年間どれだけの人が集まってくると予測していますか。お聞かせください。

ここには大型店ができることにより、30ヘクタールもの街が出現するわけです。街というのは本来、その地に人が住み着き、日常の暮らしをおくる中で街の発展も考えていくわけですが、東口の場合の街は企業が作り出すわけですから、その後のまちづくりがどのように継続されていくのかと言うことも不安要素です。

エリアマネジメントと言う仕組みが提案されていますが、企業の都合で勝手に、撤退するような事はないのか、其の場合この場所はどうなるのかなど、大半が私有地という条件のなかで、将来にわたってのこの土地の「まちづくり」についてどう考えるか見解をお聞かせください。

2.外出支援サービスについて

市原市の市民要望として常にトップにあげられるのは「公共交通」の充実です。特に交通弱者といわれる高齢者や障害を持った方たちの病院への通院や、その他外出に際しての移動に困っているという声が、多く寄せられてきます。
一方、国の動きとして介護保険事業制度等の開始により、訪問介護事業所やNPO法人等が実施する移送サービスについて、道路運送法上の問題(白タク行為ではないか)が生じていました。
その結果平成16年4月から平成18年3月までを準備期間として、有償の輸送を行う場合は道路運送法による許可を得るようにという通知が出されています。

前段で述べましたように、本市における公共交通問題は重要課題なわけですが、交通弱者に対する対応はこれら国の動きとも関連して、現在どのような検討がされているのか、お聞かせください。

いわゆる福祉有償運送を実施する場合は、市町村において運営協議会を設置し、そこでの協議が必要と聞いていますが、それらの準備状況についてもお聞かせください。

福祉有償運送には道路運送法の第4条、第80条許可の2種類があると聞いております。今後市内において許可を受ける事業所や法人はどれくらいあるのか。またそれによってまかなえるサービスはどれくらいと見込んでいるのでしょうか、お聞かせください。

高齢者等への外出支援サービスは第3次の高齢者保健福祉計画にあるものですが、実施がのびています。今回の第4次に事業内容の再検討とありますが、何をどう再検討するのかお聞かせください。

関連して外出支援のひとつとして、ボランティアセンターが行っているボランティアカーによる送迎サービスがあります。サービス件数は年間600件近くに上り、交通弱者の足の確保の一端を担っています。現在、社協、辰巳ふれあいセンター、アネッサの3箇所に1台ずつボランティアカーが配置され、ドライバー登録をしていただいている方の協力で運行されています。
一人の利用回数が月2回と制限があるなど、もっと充実した対応が望まれます。また利用者の地区別の内訳を見ると三和、南総地区が全体の4割以上を占めていますが、実際にはこの地区に車が配置されていないために、他から回るとことになっており、不便をきたしています。

南総、加茂、三和地区を対象に運送できるようにボランティアカーの増車を計るべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。

3.認可外保育について

経済的にもまた生き方としても、男も女も共に働きながら子育てをし家庭を築いていく社会になりました。また核家族や母子、父子家庭も増える中で、社会の制度として保育を充実していくことが、いっそう求められています。
市原市では現在、公立、民間の認可保育所が20ヶ所、そして認可外といわれる民間の託児所は10数ヶ所あります。
前段で述べましたが保育への要望は年々高く、したがって待機児童の問題は一向に解決しそうにありません。保育所の充実はまだまだ必要なところですが、現状で、この待機児童の受け皿として、また緊急時の子どもたちの預かり、一時保育など、認可保育所で受け入れきれないところを、地域の認可外保育所が担っているという現実があります。
これまでも何度か認可外保育所を運営する方々から、状況をお聞きしていますが、最近、また現場の状況をお聞きする機会がありました。認可外保育所のみなさんのがんばりで利用者はもちろん、保育制度の不足する部分を随分助けられていると言う現実を再確認した次第です。

そこでお聞きしますが、認可外保育所の存在や果たしている役割をどのように認識していらっしゃいますか、お聞かせください。

実施計画では認可外保育補助事業として「事業者や保護者に一定の補助をし、児童の安全確保や保護者の経済的負担を緩和します。」とありますが、今後の具体的な助成についてのお考えをお聞かせください。

認可保育所と認可外保育所との保育料の負担額の差は3倍以上にもなります。
またそれだけの保育料が入っても、事業者にとってはかなり厳しい経営になるわけです。実施計画に示された助成制度を早急に具体化すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
同じ子育てにおいてこれだけの不公平が生じると言うことは、納得できませんし、認可外保育所には母子家庭や経済的にハードな働き方をしなければならない、どちらかと言うと比較的低い所得の方々が利用していると言う現実があります。
他に、認可外保育所の助成制度が進まない理由に、「保育の質の問題」がいわれます。「保育の質」の確保が必要だから、むやみに助成ができないということらしいのですが、これまでに各認可外保育所の保育内容を調査するなりしての状況把握はできているのでしょうか。

現に県の審査は行われていますので一定の評価や審査はされているわけですし、更に第三者評価制度などを導入することで、この「保育の質問題」は解決できるはずです。見解をお聞かせください。

4.ごみ減量について

資源の無駄遣いをなくし、出来るだけごみを出さない暮らしに変えていくことが、地球環境の上からも、また経済性の上からもいっそう進めていかなければなりません。
国レベルでは「容器包装リサイクル法」の改正が進められており、3月には国会に提出されるとのことです。しかし自治体や事業者のリサイクルコストの負担問題の議論を聞いていてもよくわかりませんし、はたしてこの法改正が最終目標であるごみの発生抑制につながるかどうかも、不明確のようです。

まず、今回の容リ法改正が本市の「ごみ行政」に具体的にどのような影響があるのか、お聞かせください。

2010年には市民一人当たりの排出量を850グラムに減らすという目標を立てているわけです。14、15、16年度と3年間の推移を見ますと、総排出量、1人当たりともいくらかの増減はありますが、ほぼ横ばいといったところでしょうか。ちなみに一人当たりの排出量は16年度は1095グラムとなっています。目標値より245グラム多く、4年後の目標達成はなかなか厳しいと感じますが、どのような状況認識をしていらっしゃいますか、見解をお聞かせください。

どのような方法がごみ減量につながるのか、コレで解決というわけにいかないのですが、やはり出す側の市民のひとり1人の意識や、暮らし方が原点であり、そこを変えていくことだと思います。
意識のひとつのバロメーターともいえる排出されるごみの分別状況ですが、17年版清掃事業概要によると、例えば家庭系の燃やすごみには資源物が20%強含まれているわけです。その中でも雑誌、雑紙類が多く、市民への呼びかけ次第でまだまだ資源として取り出せると思います。
同じように燃やさないごみにもビン、カンが15%強含まれていますから、分類して資源物として出す必要があります。

このようにまだ資源物への移行が可能であるわけですから、今後の具体的な施策としてどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。

次に燃やすごみの4割近くを占めている生ごみについては、今後どのような処理方法を考えていますでしょうか。いくつかの方法があると思いますが、具体的にどれくらいの量をどのような方法で処理したらよいのか、お考えをお聞かせください。

これらごみの課題を少しでも解決するためにも、モデル地区を決めて実験をしてみることが必要と考えますが、それらの計画がありましたらお聞かせください。

次に事業系のごみについては平成15年度から資源物の業者への直接持ち込みにより、福増クリーンセンターへの搬入がなくなったわけですから、生ごみを堆肥化にまわすなど、他品目についてもこのような取り扱いは考えていないのでしょうか。お聞かせください。

年間24億円近い経費がごみ処理費としてかかっているわけです。この経費を少しでも減らし、かつ資源の無駄遣いを減らしていくということは、ただ単にリサイクル化を推し進めるのでなく、基本はモノを大切に長く使うということを、常に中心においていくことが重要です。

5.若者支援について

ニートとはイギリスで生まれた言葉ですが、日本では「職にもついていず、学校機関にも所属せず、そして就労に向けた具体的な動きをしていない若者」を指しています。
平成16年版の労働経済白書では、ニートという言葉は使われていませんが、無業の若者が約52万人もいることが発表されました。それだけの数の引きこもりやニートの問題を個人や家族の責任問題だけで片付けるのにはあまりに無理があるわけです。議会でもこれまで何人かの方が、この問題をとりあげてきました。
先日、ある会合でニートの若者支援に取り組むNPO法人「ニュースタート」の事務局代表の方の話を聞きました。県内にも若者支援を行なっているNPOがいくつかありますが、ニュースタートもそのひとつです。
若者が寮での共同生活を通して生活改善をする仕組みや、福祉のデイサービス、喫茶店など多彩な事業を展開し、若者の仕事体験の場を作り出しています。
これらの活動を通して言えることは、彼らはけっして働きたくないから仕事についていないのではなく、何らかの原因があって働けなくなったり、学校に行けなくなったりしたということです。ですから誰にとってもニートというのは他人事ではないわけです。また社会がますますストレスが多くなるわけですから、ニートになる若者も増え続けるでしょう。

では市原市にニートといえる若者はいったい何人ぐらいいるのでしょうか。これまでの動向も踏まえてお聞かせください。

市内の高校の平成16年度における中途退学者の数は183人と聞いています。もちろんその子たちが即ニートというわけではありませんし、市外からの生徒も含まれているわけですが、やはりその中退した子どもたちは、その後どうなっていくのかということは、非常に気になるわけです。

高校中退の問題は現在、各高校で真剣に取り組んでいることを聞いていますが、どうして中退者が多いのか、どうしたらよいのかは別に考えるとして、ニート問題に対して行政としてどのように認識し、どのような対策をしているのでしょうか。将来的な取組み計画も含めてお聞かせください。

一口にニートといってもさまざまな状況があるわけで、大まかに三つに分けられるそうです。(1)就労についてのきめ細やかな情報提供が必要なケース、(2)就労以前に人間関係が苦手で社会に出てもすぐに挫折しそうなケース、(3)生きていること自体にあまり喜びを感じられないケース。ニートの若者支援には、これらの状況に応じての対応が望ましいわけです。現在、経済振興課が取り組んでいる企業との出会いの場の「合同面接会」は若者支援としての一つの場作りとして期待できます。

今年度は2月24日に障害者も対象に加えての面接会が開かれたと聞いておりますが、若者支援という視点でいえばもう一歩分野を広げての取組みは、考えられないでしょうか。
先に述べました(2)、(3)のケースに対応できるような、例えば「仕事体験の場」、また市原市の自然を活かした「農業体験」など通して人間関係作りを学べるような場作りを考えてはいかがでしょうか。地域やNPOとの連携で広い意味でのニート対策につながるはずです。見解をお聞かせください。

6.文化・芸術への取組みについて

文化・芸術について一言で述べるのは難しく、またそれぞれにこだわりの違いがあるわけですが、心に潤いを与え、ゆとりと豊かさをもたらしてくれるものとして、私たちが生きていくうえで、とても大切なものだと思います。
市原市にもさまざまな文化・芸術活動に取り組んでいる方がいらっしゃいますし、鶴舞には著名な画家の方たちが他から移り住んで、芸術活動をされてきたという特質を持った地域でもあります。
そのような市原市特有の文化の要素があるのですが、では、市原市の文化・芸術は、美術品はどれ?と聞かれた時、「これがそうです」となかなか、見せるもの、案内する場所が思い当たりません。
先日、高滝湖の水と彫刻の丘で、市原市収蔵の絵が展示され拝見しました。展示の仕方や企画内容、アピールの仕方等、まだまだ工夫がいると思いますが、このような企画がどんどん計画されて、市民が美術品に触れる機会をつくることは大いに必要です。
市原市収蔵の美術品ということで、ふるさと文化課管理の作品は97点と聞きました。

では他に市原市所蔵のものはどれくらいあり、現在どのように管理されているのでしょうか。お聞かせください。

また、美術品の購入についてはどのような方針を持ち、どのように進めていくのか、お聞かせください。

最近、鶴舞在住の銅版画家、深澤幸雄先生の作品の大部分が山梨美術館に寄贈されることとなったと聞きました。いろいろないきさつがあってそのような結果になったとは思いますが、なぜ市原市でなかったかというのがとても残念です。チャンスは活かさなければ二度と訪れないことも踏まえて、対応してくださることを要望します。
また先日、市原市観光協会学芸委員会に出させていただきました。委員の顔ぶれが千葉県立美術館館長はじめ、美術の専門家でいらっしゃることもあり、絵の展示についての話題になりました。室内の照明の明るさや湿度まで考えた設備でないと、重要な絵画は展示できないという、私も認識を新たにさせられました。

以上、いろいろ述べましたが適切な収蔵庫、展示のための条件を備えたギャラリーなど必要なものを備えて、50年、100年を見据えた文化、芸術への取組みを進めるべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。

市議会レポート【反対討論】うわぶ玲子

議案第4号、第5号国民保護法関連の条例についての反対討論

議席2番 上符玲子です。市民ネットワークを代表して、議案第4号 市原市国民保護協議会条例の制定についてと、議案第5号 市原市国民保護対策本部及び市原市緊急対処事態対策本部条例の制定についての2議案に対して、反対の立場から討論をいたします。

国民保護法の前提として2003年6月に有事関連3法が成立しました。その中核をなすものが「事態対処法」ですが、その内容は地上部隊、ゲリラ、弾道ミサイルなどによる日本への武力攻撃に対しての対処を示したものです。
事態対処法の成立を受けて2004年6月に国民保護法が成立、9月に施行されました。そして昨年3月に「国民の保護に関する基本指針」が示され、さらに千葉県では「国民保護計画」の素案が昨年9月に作られました。それらの流れの中で来年度市原市でも「国民保護計画」を作成するための条例が提案されたわけです。
市町村に先立って昨年、都道府県に条例案が出されたわけですが各議会での審議状況を見ますと、協議会設置について攻撃被害の想定が難しく条例の可決が成されず、当初継続となったところが9県に及んだとのことです。特に沖縄県議会では、基地が集中する沖縄の現実や、沖縄戦の体験から全会一致で継続審議にしたと聞いております。
国民保護法に基づいて基本指針が決められたわけですが、そこで想定しているのは武力攻撃事態4類型といわれる、地上部隊の上陸、ゲリラ特殊部隊、弾道ミサイル、航空機によるそれぞれの攻撃と、緊急事態4類型といわれる航空機テロ、化学薬品散布、原発破壊、交通機関占拠など8種類の事態を想定しています。
この8類型のうち基本指針が最も重視し、本格的な準備と対策を求めているのは上陸攻撃と航空機攻撃に対しての対策です。というのは戦争が政治の延長である限り、「何の前触れもなくどこかの国の軍隊が日本への上陸作戦を敢行」することは考えられません。つまり地上部隊の上陸や航空機による攻撃は「予測に基づく事前の避難が可能な事態」と考えるからです。このようにありえない本土決戦、本土空襲を避難計画、避難演習の中心にすえざるを得ないという無理を基本方針は持っているわけです。
これに対し、ミサイル・ゲリラ攻撃や緊急事態4類型といわれるテロ等は突発的に起こるのが本質ですから事前の予測はまずできない。だから対処・避難は発生してからのもので、基本指針でも「とりあえず今いるところで安全確保」するしかないとしています。つまりこれまで対策を考えてきた自然災害対策となんら変わりないわけです。
「備えあれば憂い無し」で始まった有事法制の行き着いたところが国民保護計画です。有事法制と国民保護法には多くのありもしないことを想定しながら、実際の生活に巧妙に取り込むような、つまり虚像と実像を混在させるような形が取られています。
その一つは自然災害と戦争の同一視です。その結果が「防災計画の国民保護計画への焼き直し」がされようとしています。現に市原市において設置される協議会は防災会議とほぼ同じ構成になるわけです。災害対策を戦争に流用するということがいかに愚かなことか、少し考えたらすぐわかるはずです。
次は、ありえない本土決戦・本土空襲(これは防衛庁、自衛隊がありえないと言っているのです)を想定していることです。
また、具体性のない想定での計画を作ろうとしていることです。「どちらから、どの程度の敵が来るか」という問いにも政府の説明は、具体的な対応を定めておくのは困難だと答えています。
そして、いかに具体性を持った計画を作ったとしても到底意味のある計画にはなり得ないということが証明されています。鳥取県のシミュレーションでは不審船によるゲリラの上陸を想定していますが、着上陸現地の住民約26000人の避難に11日間かかるとしています。しかもこの中に要援護者は含みません。また避難時には主要幹線道路は自衛隊の占有となるため、一般の避難には使えないとの発言もされています。国立市では陸上自衛隊立川飛行場南側の青梅線近くで大きな爆発が発生、周辺地域に甚大な被害が生じたということで、要援護者の避難をシミュレーションしてみたところ、昼夜問わず26時間かかっても半分の4000人しか避難できないことがわかったこと。人員の確保、機材の事前準備に要する経費、避難する施設の容量から見てこの程度の非難でも実施はきわめて困難であり、一次避難所から次への避難など不可能、ましてや避難弱者を市外へなどは不可能。市民全員が避難などという事態は想定すらできないという結論になったわけです。
このように実際の有事にはほとんど役立たない「国民保護計画」の本当の狙いは他のところにあるとしか思えません。
来年度市原市でも策定されるわけですが、地震などの突然やってくる自然災害とほぼ同じ対策だとしたら、現在策定中の「防災計画」をしっかり作れば済むわけです。来年度予算で国民保護計画の策定費として665万8000円が予算化されていますが、無駄としか言いようがありません。
また今後計画が作られた後、避難訓練も行われるわけです。学校での訓練、地域での訓練で日頃から敵の侵攻に備えるんだというような戦時を想定しての訓練が行われるということでしょうか。
なぜ今、私たちはこのような戦時社会を想定しなければならないのでしょうか。その前にまだまだ努力してやるべきことはあるはずです。国際社会の中で大儀なき戦争を続けるアメリカと、そのもっとも忠実な同盟国としての日本。泥沼化するイラクの状況と長引く自衛隊のイラク派遣など、これらの事態が長期化することこそ、今の私たちの平和を脅かす危険なものであると考えます。
また、国で法律を作ったから市町村が計画を作るようにというトップダウン方式のこのやり方は、地方分権を進める今の時代にそぐわないものであり、地域住民の自主性が重要とされる防災計画をも混乱させるものとなりかねません。
また国民保護計画作成を政府の方針として目指しているものの、法律の規定上、期限は定められていませんから来年度中に作らなければならないということはありません。
条例が可決され、計画作成に入れば議会へは、承認を経ず報告で事足りるということになっています。今回の条例を可決するということは重大な一歩を踏み出すものであり、この計画を作ることで、真に市民の命や財産を守るものとなるとは考えられないことから、議案第4号と第5号の国民保護関連の条例に市民ネットワークは、反対いたします。