平成20年度 第2回市原市議会定例会 6月24日(火)

市議会レポート【代表質問】岡村由美子

1. 市長の政治姿勢について

(1)新実施計画について

市長は新実施計画について「子育てから輝く市原へ、計画から実行へ、そして市民生活向上の気運から実感へと、ステージの向上を図っていく」と抱負を語っておられます。今後の市原市を見据え、十分に吟味された事業計画が記されています。この計画の中でこれだけは必ず実行する、やり遂げるということをひとつ掲げるとすればどれをあげられますか?お聞かせください。

(答弁)
新実施計画「輝望いちはら」の目標とする平成22年度は、南部地域では圏央道開通、北部地域では都市交流拠点の整備構想区域で大型商業施設のオープンが予定されており、節目の年になる。
広域性を利点としてまちづくりをダイナミックにすすめていかなければと思う。
根本は子育て支援と責任ある教育の推進。
医療費助成、学校施設整備、環境学習の充実、通学路の整備などあらゆる施策において、子育ての視点を取り入れ、地域全体で子どもが育つ環境整備を図っていきたい。
身近な公共交通などの生活を支える交通環境の整備、圏央道開通を見据えた観光振興による南部地域の活性化、耐震対策など市民の生命にかかわる施策について積極的に展開を進めていきたい。

(2)地方分権について

地方分権一括法成立から8年。18年12月、地方分権推進法が成立、19年4月に地方分権改革推進委員会設置、第2期分権改革が本格的にスタートしました。
地方分権は今あらためて正念場を迎えています。自治体が分権の時代を切り拓いていくために国からの権限や財源の委譲はもちろん大切ですが、それ以上に必要なものは自立の精神だと思います。自治体の行政も市民も地域のことは自分たち自身で決めていくという自己決定の強い意思をもたなければ何もはじまりません。まさに地方分権の真価が問われる時代になっています。
「本市はいま時代の転換点に立っている」と市長が3月議会の挨拶でのべておられていますが、市原市独自の自立したまちづくりの方向性を明確に指し示していく時期にあると考えます。
また、市原市の強みは、財政が堅実であるということです。交付税が軒並み削減され、財政健全化法に戦々恐々としている地方自治体が多い中、不交付団体であることは、それはそれで、苦しい部分もありますが、国の動向に大きく左右されずに、独自に予算をつくっていく自由裁量の部分が多いことでもあります。

時代の転換点に立って市原市が今後めざすべき独自性はなにか、またどんな市のあり方をめざすのか、お考えをおきかせください。

(答弁)
新地方分権推進法に基づき、自治体の自主性や自立性を高めることが求められている。
地域に暮らす皆さんが住み慣れたまちでいつまでも暮らすように、その地域にあった市民本位の行政を行うことが重要と考えている。
地方分権の取り組みの中で、それぞれの地域が持つ風土や歴史、文化などの資源を有効に活用し、市民と行政の協働による「新しいふるさとづくり」を進めていくことで独自性を持たせることとする。
市のあり方としては「ともに輝くげんきな ふるさと いちはら」を都市像に掲げ、市域を4つにわけ、各ゾーンの特性を活かしつつ、都市交流核を中心に各地域間の連携を図り、バランスの取れたまちづくりを展開することで、個性的で魅力あるまちができるものと考えている。

(3)「協働」について

先日、元我孫子市長の福嶋浩彦さんによる、「協働」「まちづくり」「新しい公共」についての連続学習会に参加しました。
いま地方分権を担う主体を確立するためにも、ますます多様化する社会ニーズに対応するためにも税収が減少する時代に持続可能なシステムを構築するためにもより根本的な自治体改革が求められています。
そして、この改革の実現には「市民との協働」「市民への分権」が不可欠です。国は県に、県は市町村に仕事を委譲してスリム化しようとしています。では市町村はより多くの仕事を抱え込んで「大きな政府」を目指すのか?それは財政的見地からみても不可能です。
「市町村においては市民への分権を徹底して進める以外にない」
「公共サービスを行政が全て受け持つという時代はとっくに終わっている。むしろこれからの行政の役割は必要最小限の許認可など公権力をともなわなければできないものと、市民と共につくったまちづくりの目標にむかってあらゆる市民や企業の活動をコーディネートしていく仕事、この2つが中心になるのではないか」
と福嶋さんは話されています。

公共とは本来、行政と市民の双方で行うものですが、明治以後、公共を行政が独占し、市民は行政にお任せにしてきました。
21世紀はこうした行政と市民の関係を根本から変えて、市民と企業がよりよいパートナーシップを築き、それぞれが自分の責任をしっかりと果たしながら協働のまちづくりを進めていく時代です。

協働という言葉をはじめて耳にしたのは確か、2000年あたりだったと思います。
協働といっても中身は従来の市民参加と何ら変わりはない、言葉だけ変えて新しい関係のようなつもりになっていることも多い、そして、「協働」ということばの意味が、行政と市民のあいだでいまだ共有できていないのではないか、ズレているのではないかという場面に時々出会います。
また、行政が臨時職員の代わりの安上がりの労力として市民団体やNPOを利用するだけという意識はないとはいえないのではないか、いっぽう本来は市民が自らの責任と力で行うべきものを行政に依存している場面もないといえないのではないか、などの辛口の意見も耳にします。
福嶋さんは「協働」について、「けしてもたれあいの関係ではなく、自立したもの同士に成り立つ関係であること、そして、自立を前提として性格の異なる主体が、対等な立場で、それぞれの得意とすることを生かして、共通の目標に向けて協力すること」と強調されておられました。

本市も「協働」をかかげて数年。平成16年の市民会議にはじまり、試行錯誤しつつ、市民とのパートナーシップの関係を一歩一歩つみあげてきたと思います。平成18年3月には「協働によるまちづくりルール策定会議」から「協働におけるまちづくりルールの提言書」が出されました。
この春、協働における窓口を市民生活部に一元化し、さらに腰をすえて取り組んでいかれることと思います。いま、あらためて、「協働とは何か」を問い直し、個々の市民団体との関係をもう一度整理しなおす時期、そしてこの提言書に書かれていることを実践に移す時期と思います。

「協働」における行政の役割についての見解と今後の取り組みについてお聞かせください。

(答弁)
協働における行政の役割は市民の皆様が、主体的かつ自立した活動ができる機会の確保、活動しやすい環境整備にあると認識している。
今後の取り組みは「協働によるまちづくりルールの提言書」の実現に向けて、協働のガイドブックを作成していく。
ガイドブック作成の目的は市民と行政が協働について理解を深め、共通の認識を持てるようにするため。現在庁内の協働推進員により検討作業を行っている。
市民団体の育成や資金提供などの支援の仕組みづくりは、実践の中で取り組んでいく。

2. 五井駅東口整備について

工事が着々と進んでいますが、最近になっても、私たちの元に、「あの工事は何のための工事なのか、目的は何なのか」と問うてこられる市民がおられます。行政はしっかり説明をした、といわれますが、市民にとっては、決して周知の事柄ではなかった、といわざるを得ません。
「都市交流拠点整備」、「市原の顔づくり」ということばが、抽象的な行政用語として、市民の胸に届いていないようにも思えます。市民は、どうやらヨーカドーが来るらしい、でもなぜそこに、税金が63億円も投入されるのか?相変わらず首をかしげています。
市民との合意形成が十分になされたうえでの工事着手だったのでしょうか?蘇我アリオや、ちはら台ユニモといった大型のショッピングモールがつぎつぎとオープンするものの、当初予定の集客を下回っているという現実、加えておゆみのにも先日イオン系のショッピングモールが開店、果たして、似たようなショッピングモールの新たな建設に対し、集客がどのくらいみこめるのか、また従来の商店街への打撃はどうかなど、疑問がふつふつとわいてくるのでしょう。
公園用地を買い上げ、公園整備を行う目的は、市がリーダーシップをとっていくことにあったと思いますが、「市原の顔づくり」に対し、市はどのくらいの影響力を持つのでしょうか?
ヨーカ堂がオープンし、公園がなんとか形を成していく頃には、今よりさらに「都市交流拠点」などという言葉は忘れられているのではないか、と思えてならなりません。

まず、総合公園についてお伺いします。19年12月から実施設計に入っています。
修景池については最小コストで、最大効果をあげるために、水循環の仕組みをどう考えているのでしょうか?「浚渫」の問題等は生じないのでしょうか?
修景池の年間の維持管理費と公園全体の維持管理費についてお聞かせ下さい。
似たような修景池を作っている他市の例についてもおきかせください。
公園は、当初計画予算内で整備できるのでしょうか?万が一予算オーバーとなったら、補正予算を組む、ということにはならないでしょうか?

(答弁)
修景池の水源は区画整理地内の雨水や地下水、補給水は井戸水を考えている。
水質保全は充分な配慮を必要とし、水生生物と植物による浄化、水の流れを発生させ腐敗を防ぐフロート式噴水を計画している。
浚渫は10年に一回を予定。
年間経費は池に250万、公園内の草取り清掃の管理費が2500万を予定。
似たような水循環の公園は代々木公園。
施設整備費は当初計画の範囲内で執行予定。

次にエリアマネジメントについてお伺いします。月1回程度の合同4者会議で協議されているとのことですが、協議会方式とマネジメント法式の方法がある、と計画に記されています。どちらの方式で行うのでしょうか?協議会方式、マネジメント方式、それぞれのメリット、デメリットについておきかせください。
まち開きが22年春ですので、オープンを見据えて今年度中に具体的に方向付けをすべきですが、対象範囲はどこまでか、何をマネジメントするのか、また、進捗状況についてお聞かせください。

(答弁)
五井駅東口の整備構想区域は都市交流拠点の形成に向けた先導的な役割を担うものである。まちの魅力や暮しやすさが将来にわたって、持続・成長し続けるためにエリアマネジメントの導入を図る。
エリアマネジメントは地域の経営や質の高い環境整備、魅力を創出する地域づくりなど主としてソフトの面から地域の一体的な管理・運営を行うものである。
メリット、デメリットは、協議会方式は市、地権者、進出企業などの任意の組織となるため、立ち上げ等は比較的容易だが、契約行為を伴う事業主体になりえないなど、その活動に限度がある。
マネジメント方式は土地区画整理組合、パートナー企業2社、市による4者合同会議のなかで、まずは49haの整備構想区域を対象範囲に想定し、平成22年度をひとつの目途として協議、検討をすすめていく。

市民へは、広報いちはら、ホームページ、各種団体への説明会、また、バーチャルリアリティによるイメージ映像を活用し、わかりやすい周知に努める。

また、「都市交流拠点」に多額に税金を投入するわけを何度でも市民に説明すべきである、と考えます。今後の計画について、節目節目において具体的にしっかり市民に示していくべきと考えますが、いかがでしょうか?

地域インフラとしての循環バス運行支援業務が示されています。循環バス運行は必ず実現してほしいことのひとつです。バス運行に関してエリアマネジメントはどこまで担うのでしょうか?
計画では「まちづくり交付金を活用した運行(2~3年に限定)も考えられる」ということですが、その後の継続性についての考えをお聞かせください。
また、利便性を考えると、提示しているコースは中途半端です。コースは市役所あたりまで含むコースにならないのでしょうか?どんな協議がスタートしているのでしょうか?

(答弁)
4者合同会議で協議中。まちづくり交付金事業には現段階では位置づけていない。

3. 景観について

日本の自然の風景は絵のように美しかったと、幕末から明治初年に訪れた外国人たちは一様に感動のことばでつづっています。自然ばかりではなく、貧しくはあっても街並みもまた個性があり美しかった、都市や街並みを造る素材は木や土や竹を素材にしているから自然と調和し、全体に統一感があり、住む人の努力でごみひとつなく清潔に保たれていた・・・景観は人の営みによって美しくもなり、汚くもなります。しかしながら、戦後、日本は経済の豊かさは得ましたが、市民が美しい「まち」をつくるという意識もないまま、その本来の美しさを壊してきました。

本市の景観づくりの取り組みは県下で最も早く平成4年から始まっています。前市長が、「歩いて楽しく、眺めて美しいまちづくり」を掲げ、平成6年に基本計画を定め、11年に「都市景観条例」、平成16年に「景観法」制定後は、17年に「景観行政団体」となりました。
現在は「景観法」にもとづいての「景観計画」の策定、独自条例の改正の時期を迎えています。

条例の改正に向けての今後のとりくみについておきかせください。
新たな届出制についてお聞かせください。
景観アドバイザーを創設とうかがっていますが、その役割はどのようなものでしょうか?
また重点地区を設けるとのことですが、重点地区についての考えをお聞かせください。

(答弁)
届出制は現在は建築面積2000㎡、高さ15mを超える建造物が対象で、届出件数は年10件程度。
新たな届出制度は対象範囲を拡大し、協議の場を多く設ける。景観法に基づく勧告等を活用し、積極的対応を図る。
景観アドバイザーの役割は届出にかかわる相談や審査に際しての、専門的見地からの助言。

美しい景観は日常的に市民の目にさらされ、市民が参加することによってつくられていきます。自分の家を建てる時はもちろん、家の周りの垣根を整えたり、美しい花を植えたり飾ったりすることも、市民が都市景観を造っている行為になります。
去る5月18日に「辰巳台のまちづくり協議会の設立総会」がおこなわれ、オブザーバーとして出席いたしました。総会後分科会にわかれ、私は自然・生活・環境部会でまちの方々の話をうかがっておりましたが、「まずはからだを使ってできるところから」「月1回の清掃デーを設けよう」との話からはじまり、自分の家の近くの川をきれいにしている方、犬の散歩のときごみ拾いをしている方、自分の家の前の通路に花を植えている方など、日々の実践をしておられる方がたくさんおられることに感銘を受けました。
「辰巳台を自分たちの手でいいまちにしていこう」という思いを共有し、「実践すること」が即、景観づくりなのだ、と納得しました。また、その他の各地域でも市民によるこのような取り組みが積極的に行われていると聞いております。
何気ない日常の町並みを眺めて美しいと感ずること、歩行者の目線で町を眺めること、市原にあっては、言い古されたことではありますが、「歩いて楽しいまち」は「暮らして楽しいまち」であると、改めて思うところです。

神奈川県真鶴市の「まちづくり条例」通称「美の条例」が注目されています。美の8原則と69の美の基準を設けているのですが、町並みや風景に「実のなる木」、「垣間見る風景」、「山・海の仕事」などと名前をつけて、美を見出しています。さりげない昔ながらの風景です。しかしそれが、「真鶴」らしさと位置づけています。真鶴市の話を聞きながら、では、改めて、市原にとっての市原らしい美しさとは何か、と考え込んでしまいました。

市原でも「都市景観賞」を平成12年から設けていますが、選考の着眼点について、あらためてお聞かせください。
また、「市原らしい景観」をどうとらえておられるのか、お聞かせください。
合わせて、景観形成と市民参加についてのお考えをお聞かせください。

(答弁)
臨海部のダイナミックな産業景観、市街地、今なお残る昔懐かしい建造物や原風景、緑豊かな自然景観など多彩な景観資源、これこそが「市原らしい景観」と考える。
個性に満ちた景観を保全し、創出、次世代に引き継ぐために景観法をふまえた施策を逐次展開していく。
賑わいを創出する新たな市街地、歴史文化や自然がつくり出す景観を重点地区として位置付け、きめ細かな景観形成の基準を設定し、新たな景観の創出や地域固有の景観の保全に努めていく。

景観賞選考の着眼点は都市景観審議会で本市の歴史文化や風土、地域と調和した景観を形成しているかという視点を重視。

市民参加は市民意識の高まりと相互の協力が重要。

4. 「まちづくり条例」について

近年、地域やまちづくりに関わる条例を制定した自治体が増えています。とくに地方分権一括法以来、条例制定の自治体は加速し、2008年の春には1788の自治体で615のまちづくり条例が制定されています。
まちづくり条例は、都市計画的な側面が強調されたものと、景観的な配慮を中心にしたもの、住民自治基本条例のような住民自治を基本にしたもの、また地域福祉計画等をベースにした福祉的な色合いの濃いもの、それらのいくつかをミックスしたものなどいろいろなパターンがあるようです。
まちづくり条例は自治体の強い意思をあらわすものとして、自治体のかかげる目標の実現に有力な武器となることはいうまでもありません。
また、条例をつくるのは行政だけでもできますが、肝心なのはそのまちづくり条例が機能して、まちづくりに役立つがどうかで、それには住民の協力が欠かせません。その意味では制定過程が極めて重要であるといえます。
地域再生を契機にまちづくりをルール化する条例を制定した湯布院や真鶴などの先進地域を見ても、行政と住民に専門家を交えて、粘り強く学習を重ねていったことが、住民のまちづくりに関わる意識を高めさせ、自立をうながしたということです。
市原市においても、まさに、市民と共につくるまちづくりのための条例が必要と思います。

いまとくに重点施策としてとりくんでいる、協働をルール化するための条例制定についてどのように考えておられるか、お聞かせください。

(答弁)
「市民公益活動推進に関する基本指針」に基づき、本市における協働は次第に活発化しつつあるが、市民も行政も協働への理解や対応が充分といえない。引き続き、互いに学び、知恵を出し合い、協働を育てていく。
着実に成果を積み上げていくために協働のしくみづくりをすすめていく必要がある。「提言書」の提言の実現を第一義としてすすめていく。

5. 指定管理者制度について

2003年の地方自治法改正によって、指定管理者制度が導入されました。
市原市ではH18年4月より本格的に導入、今年が3年めに当たります。
中間年の今年は初めて導入した同制度を検証し、2年後の見直しに向けて仕切りなおす時期です。ふりかえりを含めて、いくつか質問したいと思います。

財政の圧縮という理由だけでなく、「官から民へ」という流れに乗った指定管理者制度は、じわじわと大きな影響を社会に及ぼすといわれています。その理由は対象施設が多いこと、しかもその多くが地域の住民にとって身近な施設であることにも関係しています。総務省調査では2006年9月2日現在の導入施設数は全国で6万1565です。しかし、全市町村で対象と思われる施設数の合計は30万施設といわれ、まだまだ、「官から民へ」移行する可能性のある施設はあることになります。地域に密着した施設が、民間事業者や市民団体、NPOにより、管理されるようになれば、市民参加の土俵を広げ、公共にたいして、直接市民が物申す機会を広げます。それは、単に施設の管理のあり方を変えるだけでなく、お任せにされてきた地方行政のあり方を、市民が変える一歩になる可能性を秘めています。そこで、いくつか伺います。

まずは目的の確認です。
指定管理者といえばコスト削減とサービスの質の向上が2大目的といわれますが、導入のいちばんの目的は、地方公共団体が示す「施設設備の目的および使命」を最も効率的、効果的に具現化できる事業者の選定でした。ところが実際は、選定期間が短かったこともあり、「目的および使命」があいまいなまま、指定管理者の公募がなされたのではないでしょうか。
指定管理者と委託事業の違いは、委託事業は市から委託された個別事業を粛々と行うことにありますが、指定管理者においては自由裁量がプラスアルファされ、民間的発想にもとづく独自事業を展開する余地があり、そのことによって、当初の目的、および使命をより良く達成することができるということが、上げられていました。

市内においても、「市民の森」は、指定管理者となった事業者が、独自事業の展開をはかり、活き活きと活動の幅を広げ、集客数をふやしていきました。このように成果が上がった事例について、どのように分析されていますか?

(答弁)
目的は手軽な森林レクレーションの場の創出。
地元「安由美会」が地域の活性化も視野に入れた独自事業を展開し、年間入場者数が3万6千人と、2万人ほど上回っている。
「自分達の森を多くの人に満喫してほしい」という管理に対する意識の高さが成果をあげている要因のひとつと考えている。

指定管理者制度の成果が思うように出ていないと思われる一例を挙げますと、昨年、再度都市開発公社が指定管理者となったサンプラザなどは、市民ニーズという目的にそった運営をするためには、どんな活動をしていけばよいのか、今のうちから、検討しておく必要があるのではないでしょうか?
その上で、次回こそは、一般公募によって、最大効果を上げうる事業者を市の内外を問わず、広く求めるべきと考えますが、いかがでしょうか?見解をお聞かせください。

(答弁)
市民ニーズを的確にとらえ、必要とされる行政サービスの拡充を図るために、関係部門と協議中。多様なサービスが展開できる施設として、その機能を最大限に発揮できる運営団体を公募していく。

また、今年は中間年になりますが、2年後の見直しに備えての施設全体の事業評価実施について、ご見解をお聞かせください。

(答弁)
導入後、2年あまりを経過、各施設において管理経費等の節減や利用者の増加、接遇応対や自主事業の充実におけるサービスの質的向上など、制度導入の目的を充足していると認識している。
事業報告に基づき検証している。
指定替え時にモニタリングや選定審査会等を活用した評価に基づき検討していく。

次に選定方法についてですが、指定管理者制度では公益法人等に制限されていた聖域が開放され、民間事業者も業務を担うことができるようになり、期限を設けることで、業績評価によっては、次回の事業者の交代もありうることとなりました。これは事業者にとっては、継続的な事業計画を立てにくい、というリスクはありますが、業の遂行にあたっての緊張感や一定期間で成果を出す、という効果を生むことにもなります。市ではおおむね、導入の際、5年という期限で選定しましたが、30事業のうち、非公募での選定が7事業でした。市民サービスの向上のためにも、次回の選定の際には、特別の理由の説明ができない事業以外は、全て公募にすべきと思いますが、見解をお聞かせください。

(答弁)
選定方法は公募を原則。所管部署に指定管理者の候補者選考会議を設け、書類審査、面接審査の実施、外部の有識者、施設利用者で構成する選定審査会で審査という二重の審査を行い公平性、透明性を確保。
公募しない場合は手続き条例の規定にもとづく。

最後に、行革大綱に示されている公民館への指定管理者制度の導入については今後どのような方針を持って実行していくのかおきかせください。

(答弁)
社会教育活動を積極的に展開できるように、地域住民が中心となって市民力や地域力を基盤とする運営体制への移行が必要になっている。
「公民館運営協議会」と協議を重ね、平成22年度以降を目途に順次移行する。

6. 入札について

(1)電子入札制度導入について

千葉県では57市町村のうち、現在14市町村が実施しています。本市でもこの6月から電子入札制度が本格的に実施されます。
1,000万円以上の工事や委託に関しては、従来の公募型指名競争入札から、制限付き一般競争入札となり、これまではひとつの入札に参入できる業者が24社上限であったものが、無制限となり、また、お互いの顔を合わせる必要がないことから、公正性が高まるという利点があります。また、行政、そして、事業者にとっての事務作業が簡素化されるという利点があります。
さらに10月からは130万円以上1,000万円以下のすべての工事や委託に関して、電子入札制度が導入されます。

新制度導入に当たって、規模の小さい事業者等のIT環境が電子入札に耐えうるか、見極めつつ進めてほしいと思います。現状と課題についてお聞かせください。

(答弁)
市内業者を対象に、説明会や研修会、模擬入札を実施している。
課題は小規模業者の高齢化などでパソコン操作に不慣れな状況がうかがえる。小規模事業者が電子入札の移行をスムーズに行うことができるように発注者として充分な対応を図っていく。

(2)総合評価制度について

1999年の地方自治法施行令の改正で一般競争入札において「総合評価方式」の導入が可能になりました。本市では県下でも先駆けて、昨年より、「総合評価制度」を試行しています。昨年の実績は今津1号線の下水道工事の1件で、ホームページで公開されています。
この制度を導入しているのは市町村においてはH18年度2.0%からH19年度は24.3%。県内市町村では千葉市、銚子市、市川市、館山市、木更津市、野田市、流山市、南房総市の8市が19年に実施。20年度は18市が実施を予定しています。
価格の安さだけで事業者を選ぶ手法は一方で、税金の無駄遣いを抑えますが、価格競争の果ての談合や、労賃の無理な切り下げなどを生じやすいという問題があります。
普段の買い物では、私たちは安さだけで買い物はしません。価格以外の価値、たとえば耐久性や使いやすさ、デザインのよさといった点にも目をむけ、総合的に判断して商品を選んでいます。たとえ高くてもその商品に自分の生活に必要な価値があると判断すればそれを買うはずです。
こうした考え方を入札に取り入れ、市原の総合評価落札方式においても価格以外の技術、実績、社会貢献などが評価の対象となっています。

まだ、試行段階ということもあり、総合評価制度の評価をここで出すことは性急だと思いますが、どのような手ごたえを感じておられるでしょうか?また、総合評価制度の課題はどこにあるとお考えでしょうか?おきかせください。

(答弁)
更なる試行の実施が必要。
課題は決定するまでの期間が2ヶ月半と長いこと、「落札者決定基準」の策定が煩雑であること。

市原市は建設工事等入札参加審査に伴う主観点の算定にあたって、これまでの工事成績に関する評価点のほかに、環境のISO14001、安全性にかかわるISO9000シリーズをそれぞれ10点ずつ加点したり、優良建設工事表彰者への評価、災害時の応急工事への協力、いわゆる地元貢献を評価点に加えるなど、まさしく政策的項目を加えていることは評価します。

気になるのは不当に安い賃金で働かされる労働者への対応です。昨今、福利厚生面がきわめて不安定な現場で働く人が多いという声を聞きます。市原市は建設工事適正化指導要綱で「雇用労働条件の改善」にしっかり言及しておられますが、総合評価落札方式において福利厚生を評価の対象とすることはできないでしょうか?

(答弁)
総合評価落札方式は公共工事の品質確保のための制度なので福利厚生を評価の対象には考えていない。

(3)公契約と生活できる賃金について

今回私が入札問題をとりあげた大きな動機のひとつは、規制緩和を背景とした雇用の不安定化の問題でした。労働現場では、非正規雇用が増え、ワーキングプアが社会的な問題となっています。
今回の電子入札制度導入に際しては、公正性、競争性を高めるというメリットがありますが、競争性が高まり、落札率がさがれば、低価格に抑えるために、下請け等の労働条件がさらに低く抑えられるなど、現場の労働者へのしわよせが大きくなることも考えられます。
市の政策は地域に大きな影響を与えます。低価格で落札することは、税金の無駄遣いを抑制するという意味では、よいことではありますが、労働条件の低下は長い目で見ると地域で働く人びとの生活の質を落とし、ひいては地域の活力をなくすことにつながるという側面も指摘されています。
いま、米国では「生活賃金条例(リビングウエイジ条例)」をつくる運動がひろがっています。地方自治体が契約する民間企業は生活できるだけの賃金を労働者にはらっていかなければならないというところから出発した運動で、この運動の趣旨は、日本では国分寺市と豊中市では取り込まれ指針等をつくられています。

先の総合評価制度の質問とも重なりますが、公契約においての「労働者が生活できる賃金を確保する」という考え方をとりいれて、今後の電子入札制度をすすめる、また、入札制度を改革していくなどの議論がなされているか、お聞かせください。
あわせて労働者の最低賃金保障などについて、部課をまたぐ横断的な議論がなされているかについてもお聞かせください。

(答弁)
低価格で入札がなされたときの対応に低入札価格調査制度がある。調査基準価格をあらためて設定し、この価格を下回る入札があった場合、入札者に対して調査資料の提出を求め、事情聴取を行い、原材料や人件費、労務調達の合理性を検討、仕様に適合した履行が可能か審査し、妥当である場合のみ契約が締結する。

最低賃金の保障については低入札価格の調査過程で考慮していく。

7. 教育行政について

(1)教育における地方分権について

2006年12月に教育基本法が60年ぶりに改定されました。それにともない、昨年6月に教育三法が改定され、いじめによる自殺や未履修問題を背景に、文部科学大臣の教育委員会に対する是正要求や指示の権限が強化されました。これに対し「地方分権に逆行する」として全国の自治体や有識者などから強い懸念の声がわきおこりました。
中教審委員として一貫して「教育の地方分権」を訴えてきた岡山県知事の石井正弘氏は次のように警鐘を鳴らしています。
「学校でのいじめ問題について、子どもの命に関わることであり、問題が発生しているに関わらず現場が放置している場合に文部科学大臣が是正指示するという、一見もっともな理屈に見える。しかし、全国に小中あわせて3万3千校あるうちに、ある学校の何年何組の教室におきている表に出にくいいじめ問題について「命に関わる、緊急性がある」と霞ヶ関の役人やそれを統括している文部科学大臣が判断し、是正支持することができるか。おそらく認識したときにはすでに時遅しになる、そのような権限を付与したら教育現場や教育委員会は今まで以上に文科省の意向を意識するようになってしまう」
そして、「教育の地方分権を言うのであれば、文科省→都道府県教育委員会→市町村教育委員会→各学校と上からの指示命令がストンと現場まで下りてくる、現在の教育委員会制度の改革をまず手がけなければ」と主張しています。
私は「教育委員会ってなんだろう?」という1年生議員の素朴な疑問から、この1年間の市教育委員会の議事録を読み、5月27日の教育委員会を久しぶりに傍聴いたしました。
数年前、はじめて傍聴したときは正直「形式的」な会議に失望いたしましたが、今回は、そのときに比べると、教育委員の方々の「肉声」「市原の教育への情熱」がうかがわれ、聞き応えがあると感じました。
「市原の子どもは市原で育てる」と目標をかかげておられます。

まずは「教育における地方分権」についての教育委員会のお考えをお聞かせください。

(答弁)
平成12年以降、地域の実情に応じた弾力的学級編成の実施、教育長任命承認制度の廃止、学習指導要領の「基準性」のいっそうの明確化など、教育における地方分権のための制度改革が推し進められてきている。
本市でも小学校1、2年生と中学1年生に35人の少人数学級編成を導入している。
国は基本的制度の枠組みや基準の設定を行い、地方は地域の実情に応じて、実際の教育を実施すべき。
学校訪問や、校長会、教職員代表等から意見を聴取し、現場の声を参考にしつつ、国、県に働きかけていく。

(2)教科書採択について

今年は小学校の教科書採択、来年度は中学校の教科書採択の年です。ほぼ4年ごとに教科書は検定と採択が行われますが、今回は新しい学習指導要領の改訂がしめされたばかりなので、検定は行われず、採択のみで、8月31日までに採択をすることになっています。小中それぞれ2年後に新学習指導要領を受けての本格的検定と採択がなされます。
教科書検定については2001年のこの2回前の検定時より、「新しい歴史教科書をつくる会」の扶桑社版歴史・公民の教科書を「決して子どもたちの手に渡してはならない」と全国的な運動が展開されていますが、市民ネットでも「よりよい教科書を選び、市原の子どもたちの手に渡すことは教育の基本」と考え、足かけ8年、教科書検定問題にとりくんできています。
今回の大きな特徴は採択地区の変更です。いままでは千葉市と、あるいは君津や袖ヶ浦等南房総地区4市共同で市原の子どもたちの手にわたる教科書を選んでいたのが、「市原単独採択」になり、市教委がその任をになうことになりました。単独の採択となることで本市の施策や生活経験に適合した教科書を選択できるというメリットがあります。
専門委員会で各教科に見識の深い教員が調査、その後の選定委員会において現場の教員や保護者が協議した上で教育委員会が採択するとのことです。

現場の先生や保護者の声を十分にとりいれていただきたいと思いますが、採択にあたっての理念、方針についてお聞かせください。また、今回検定はなかったとはいえ、4年間使ってみてどうだったか、十分検証の上、選んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか?

(答弁)
教職員や保護者の声を充分に取り入れることが必要と考える。「市原市の教育施策に適合していること」「市原市の児童生徒の生活経験や学習能力に適合していること」を採択の基準とする。
教職員、保護者を交えた市原市教科用図書選定委員会と専門部会を設置し、調査研究が公正かつ公平なものとなるよう取り組んでいく。

(3)千葉県県立高等学校入学者選抜の改善について

昨年3月26日付で「平成20年度千葉県県立高等学校入学者選抜の改善について」の通知が、県教委教育長から市教委教育長あてに出され、「調査書評定の取り扱い方」の改善が示されました。
背景として約10年前の学習指導要領改訂で、相対評価が絶対評価となったが、この4年間で評定平均が年々高くなる傾向があり、学校間の評定の格差の是正が目的とのことですが、千葉市の中学では学年の8割近くが公立高校を志願して、特色化選抜、学力検査を受けたのに対し、合格者は半分にもみたず、結局、4割が公立高校、6割が私立高校への進学という結果になり、保護者会での質問が相次いだところがあったといいます。
改善検討は「千葉県公立高等学校入学者選抜方法等改善協議会」でなされています。
このような評定の取り扱いは他県に例を見ないことであり、通知から実施まで1年と拙速な入試制度の変更に疑問をいだきます。入試制度は県の管轄とはいえ、実際に大きな影響を受けるのは市内の中学に通う子どもたちです。

今回の変更が各学校においてどのような影響があったのでしょうか?現状を把握し、県教委に現場の声と市としての見解を伝えるべきと思いますが、いかがでしょうか?

(答弁)
市内中学で調査評定改善の影響があったという報告は受けていない。

なお、23年度の入学者選抜からは、学力低下の懸念等を背景に、「特色化選抜においても5教科学力検査が必須になる」などの改善案(素案)が現在、出されています。これについても課題を整理し、現場の声や市の見解を県教委に届けるべきと思いますが、いかがでしょうか?お考えをお聞かせください。

なお、入試に関しては、進路指導連絡協議会が中心になっているとのことですが、教育委員会との連携や、入試に関し、市教委の間でどのような話し合いがなされているのか、あわせてお聞かせください。

(答弁)
現行の公立高校入学者選抜は複数回の受検機会が設けられているが、様々な課題があり、県教委では課題解決のための素案をとりまとめている。
県教育委員会は毎年3月に問題や入試システムのアンケートを実施し、現場の声を取り入れる機会としている。
各学校の中学校進路指導主任で組織する会議において高校受験のシステム等に対する意見を集約し、県の校長会を通して県教育委員会に要望している。

(4)教職員の超過勤務について

これについては再三、教育委員会の議事録でたびたび目にし、心を砕いていることがうかがわれます。私も中学生、高校生の子どもがおりますが、とくに中学校の先生方の長時間勤務の様子を見ますと、身体面、精神面ともにオーバーワークなのではと心配しております。子どもと向き合うには「ゆとり」が必要です。
19年7月から3回にわたって「教職員の勤務実態に関する検討委員会」が開かれ、11月に答申が出されました。

過酷な労働の現状把握と、その超過勤務是正に向けた学校への働きかけは現在どのようになされているのでしょうか?また、答申の内容はおもにどんなものだったのでしょうか?

(答弁)
「教職員の勤務実態に関する検討委員会」での改善策の例は、月~金のうち1日は部活動のない日を設ける。学校での事務処理時間の確保に努める。その結果一部の学校でわずかではあるが、超過勤務が削減された。今後も改善策の励行につとめるよう周知していく。

(5)学校の耐震化事業について

中国での四川大地震では校舎が倒壊し、子どもたちの命が失われました。
災害時での地域住民の避難のよりどころともなる学校の耐震工事を前倒しでとりくんでいくことを、前向きに検討するように市長は表明されましたが、ぜひすすめてほしいと思います。
夏休みが耐震工事の時期にあたりますが、今年度の予定と、現在の進捗状況についておきかせください。

(答弁)
工事の実施は市原小学校、姉崎中学校、若葉中学校の3校を予定している。耐震化工事のための設計は辰巳台東小学校、白幡小学校、千種小学校、五井中学校、辰巳台中学校の5校を予定している。
工事については夏休みに着工できるように入札手続をすすめている。

8. 子ども施策について

(1)子どもへの支援について

週間東洋経済5月17日号の特集「子ども格差~このままでは日本の未来が危ない」が話題になっています。
大阪府堺市の道中隆さんという、生活保護行政のベテランが、生活保護受給世帯に関する390件のケース記録の分析結果を社会政策学会で発表した論文をはじめ、豊富なデータをもとに分析しています。
これは堺市貧困調査といわれ、「生活保護の母子世帯の4割が2世代にわたって生活保護を受給している現状」を「負の連鎖」として、新聞等でも大きくとりあげられました。
日本の子どもに関する公的支出は先進国中最低レベルです。母子家庭など一人親世帯への給付である児童扶養手当制度が02年改正で所得に応じて給付額を段階的に引き下げる措置が導入。また、受給が5年を超す家庭の減額措置(実施は08年だが、凍結)、さらに、生活保護世帯でも、母子家庭に対する加算の廃止に踏み切りました。
経済的理由により就学が困難な小中学生のいる家庭に学用品や教育費を訴求する就学援助制度の利用者が急増し、2004年度時点で133万7000人。全国で8人にひとりが就学援助を受けています。
市原市では17年6.75%、18年7.84%、19年8.06%と年々増えています。2年前全校に配布し、周知がすすんだこと、社会の状況、離婚が増え児童扶養手当の母子家庭が年に100件増えていることが理由として挙げられますが、生活保護世帯とあわせるとおおよそ10人にひとりが就学の援助を受けていることになります。
そこでお伺いします。

就学援助制度の利用者の急増をどのようにとらえておられますか?
また、市原市の母子家庭は現在2238世帯で、全世帯の2.1%にあり、全国平均収入17年度で213万円です。
子育て支援を重要施策とかかげておられますが、母子家庭に対し、現在どのような手立てをしているのか、また、今後の取り組みについてお聞かせください。
父子世帯への支援についてもあわせてお聞かせください。

(答弁)
就学援助の受給者は児童扶養手当受給者である母子家庭や市民税非課税世帯などの低所得世帯が大半を占めている。離婚による母子家庭増加や、低所得世帯の増加、小中学校へのチラシ配布による制度周知により増加と考えている。

母子家庭への支援は児童扶養手当、市独自の高等学校就学援助金や遺児手当、県の補助制度のひとり親等医療費助成など経済的支援を行なっている。
個別相談者には母子自立支援員が経済的自立、就労に向けて支援している。
今後は教育委員会と連携を密にしていく。

父子世帯はひとり親等の医療費助成制度、高等学校就学援助金、遺児手当などの支援を行なっている。

(2)児童虐待について

児童虐待の背景に経済的困窮との相関関係も指摘されています。2003年度の東京都の児童相談所が児童虐待として対応した1694件の相談事例のうち30.8%が経済的困難、31.8%がひとり親家庭、23.6%が親族、近隣等からの孤立となっています。
先だって、千葉県の健康福祉部からの聞き取りで、児童相談所の相談対応件数が平成11年度237件~18年度1287件と急激に増えており、千葉県は全国6位とのことです。
児童相談所は平成19年度より東上総地区に一箇所増設したとのこと。それでも虐待の増加には遠く及ばず、焼け石に水の状態です。

平成17年から市が窓口となることになり、県・市の相談体制の一元化がはかられました。19年度の市から中央児童相談所への相談件数は78件です。児童相談所においては、ほとんどが面接指導のみで、その後また、地域に戻って暮らすとのことです。

市町村に戻された場合の継続的支援がどのようになされているのか、お聞かせください。

(答弁)
要保護児童対策地域協議会実務者会議で主担当機関を決定し、連携を図りつつ対応している。

また、中央児童相談所においては、相談件数は、市原市が全体の約4分の1と、一番多いのですが、その理由についてどう分析されていますか?

(答弁)
14市中、本市の人口が最も多い。人口と相談件数の比率では3番目。

児童福祉法の改正で「要保護児童対策協議会」が市町村において設置努力義務になりました。法の裏づけのある協議体として、市町村がそれぞれ要項をつくります。55市町村のうち37現在できています。市原市は平成19年2月に設置しています。現在は試行段階とのことですが、現状と課題についてお聞かせください。

(答弁)
19年は代表者会議1回、実務者会議は全体会を2回、個別支援会議を7回、具体的支援を協議し、支援計画を決定してきた。
課題は会議の効果的効率的運営の確保とさらなる連携の強化。

児童虐待は、人の心の闇の部分の問題でもあり、根絶はむずかしく、また、虐待を受けた子どもが大人になって虐待を繰り返す事例が多いとも聞いています。今後も虐待は増加の一途をたどるといわれます。市でも年間の児童家庭相談の7826件中4903件、つまり約3分の2が児童虐待に関する相談ということで、驚いております。さらに相談件数は平成17年2816件、18年度3601件、平成19年は4903件とかなり増えています。
増加の理由についてどのようにとらえておられますか?

(答弁)
家庭児童相談室の周知、要保護児童対策地域協議会設置による関係機関との連携強化、早期発見、迅速な情報提供が増加理由と考える。

佐倉市では5年前に死亡した事件を契機に虐待防止に関わる職員の体制を7人体制にし、取り組んでいるとのことです。
市原市は現在正規職員が1名、非正規の相談員4名の体制ですが、相談件数から見て、体制を強化し、対応できる職員を増やす必要があると思いますが、いかがでしょうか?増員の検討がされているかどうかお聞かせ下さい。

(答弁)
必要に応じ、関係部署と協議していく。