平成24年度 第2回市原市議会定例会 6月22日(金)
【代表質問】 小沢 みか
1. エネルギー政策について
(1)エネルギー政策に対する市長の方針について
昨年の東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故をきっかけに、原子力のリスクやエネルギーの供給システムの歪みが露呈した。
多くの国民がエネルギー問題について強い関心を寄せ、また不安を抱いている。
エネルギーは、市民の日常生活や地域の経済・産業活動に不可欠であり、周りの自然環境にも大きな影響を与える。国の政策に任せるのではなく、市民に一番身近な地方自治体がエネルギー戦略をしっかりと掲げ、国に対して声を挙げていくことが求められている。
大飯原発再稼働でエネルギー政策の一つの分岐点に立っている今現在において、改めて、原発問題と今後市原市が進むべきエネルギー政策について、市長の思いをお聞かせ願う。
答弁
文明社会を求める中で、私たちは余計なエネルギーを使っているのではないかという感じを抱いている。もっと足るを知ることが必要である。その上で、次世代を意識した生活の仕方を考えなければならない。
昨年の3.11以来、原子力の問題についても、将来的には太陽光や太陽熱、水力、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーへの転換が望ましいと思っている。
しかし、原子力発電を再生可能エネルギーに置き換えていくには市民生活や産業活動への影響を考えると相当な時間がかかると認識している。
市のエネルギー政策については、臨海部企業から発生する低温排熱の利用や一般廃棄物処理過程での熱回収の効率化など、未利用エネルギーの活用方法についても調査研究を積み重ねていきたい。
原発は、事故の危険性もさることながら、たとえ事故が無くても運転すれば核のゴミを排出し続ける。いのちと健康を犠牲にした経済などありえない。
佐久間市長には今後も脱原発の覚悟を持って、国に訴えていってほしいと思う。
また、3.11以降、政治に対する強い不信感が国民の間に広がっている。
佐久間市長においては、原発の代替エネルギーを今後どうしていくのか、エネルギーの市原モデルをしっかりと市民に示すことで、市民の不安と不信を払しょくされることを期待している。
(2)市原市地球温暖化対策実行計画について
市原市では、「温室効果ガスを2020年に1990年比で25%削減する」との国の国際公約に貢献するための基本指針として、「市原市地球温暖化対策実行計画」を今年3月に策定した。実行計画策定にあたっては、平成23年9月に1000名の市民と64事業者に対してアンケート調査が実施された。
先日、当局に対しこのアンケート結果が地球温暖化対策協議会の中でどのように分析されたのかを伺ったところ、市民からの回収率が37.3%であったことを受け、地球温暖化対策に対する市民の関心の低さが指摘されたという以外は特になかったとのことであった。
しかし、アンケートの実施は震災後で、9月といえば電力使用制限令が出され日本中がこれまでになく節電を強いられた夏の直後である。この時期に市民の関心が低かったとは思えないが、如何か。
答弁
昨年実施された節電対策が、主に電力使用量削減の取り組みに主眼を置いて行われたため、二酸化炭素削減としての地球温暖化問題と結びつきにくかったことが原因であると考えている。
他にも例えば、実行計画では「市も一事業者として、率先行動を行う」と定めてある。であるならば、行政職員に対しても同様のアンケートを実施していただきたかったし、2020年度までに二酸化炭素を25%削減するという目標は、原子力発電を「CO2削減のための基幹エネルギー」とすることを前提に示された削減目標であって、福島の事故後では意味をなさないのではないか。
いずれにしても、アンケートの目的や意義、結果に対する分析や評価、今後の施策への反映がなされていない。
東日本大震災と福島の事故を経たにもかかわらず、「これからのエネルギーは地方がイニシアチブをとって進めていく」という思いがこの実施計画から伝わってこないのは残念。
ぜひ市としての長期的なビジョンをしっかり持って取り組んでいたくよう要望する。
(3)再生可能エネルギーの利用促進について
これは市の基本的施策のうちの一つであり、実行計画には、太陽光発電の普及、バイオマス利活用の推進、新エネルギー産業の振興、熱利用の4つの取り組みが掲げられている。
一方、これまで本会議での他会派からの「今後の取り組みは」との質問に対し、当局は、「臨海部工場の低温排熱等の利用について調査研究する」と繰り返し答弁されている。
この点に今後市原市が目指す新しいエネルギー戦略が表れていたように思うが、如何か。また、現在の進捗状況は。
答弁
本市では、本市の特徴である臨海部に林立する石油化学コンビナートにおける「低温排熱等の民生部門での利用方法等について、調査研究を行う。
今後、本計画の策定の中心となった企業の代表も参加する地域協議会を活用しながら、庁内関係部局とも連携し進めていきたい。
熱の利用、そして産業部門との連携という二つのポイントがあったと思う。
熱の直接利用は電気に変換するよりもはるかにエネルギー効率が高く、節電対策にも有効である。しかも工場からの排熱が貴重な資源に変わるということは、市原市に新たな市場が生まれ、地域の活性化にもつながるということである。
今後の展開を期待したい。
しかしその一方で、産業部門を軸とするエネルギー供給は、厳密な意味では持続可能なエネルギーとは言えないのではないか。
市域の広い市原市は地域特性が大きく異なる。太陽の光や熱、風、水など、地域ごとに最も豊富に採れる自然エネルギーは何かを見極め、それを活用するためのインフラ整備はやはり重要である。
市内に存在するコミュニティービジネスを掘り起こし支援する取り組みに、今後は行政も積極的に関わるよう要望する。
(4)子供たちに対するエネルギー教育について
現在、市内5か所の小中学校に住宅用太陽光発電システムが設置され、モニターによって子供たちが電力の使用状況を把握できるようになっている。
な かでも、今年度開校したちはら台西中では、雨水貯留槽の設置や屋上緑化にも取り組んでいる。
これらの取り組みに対する子供たちの反応や変化、また、学校現場におけるエネルギー教育についての現状をお聞かせ願う。
答弁
子供たちが発電モニターを日常的に観察することで、教室移動の際に声を掛け合って電気を消したり、家でもできるエコ活動に取り組んだり、自分たちの生活を改めて見直す姿勢が見られている。
授業以外にも、多くの学校が「グリーンカーテン」や「リサイクル活動」、また「エコ活動」などに取り組んでいる。
昨年の「市原市こども環境サミット」には4つの小学校が参加し、「省エネ出前授業」にはいくつかの小学校が参加した。
教育委員会では、これらの取り組みを今後も広めていきたい。
先日、住宅用発電システムのメーカーの方から伺った話では、震災以前は「何年たったら元が取れる?」などと必ず聞かれ、経済性を優先して購入する方がほとんどであったが、震災後は逆に「自然エネルギーを使用したい」という理由が購入の決め手となるお客さんが多くを占めるようになったとのこと。
このお話から、お金の支援も必要だが、これからの社会を担う子供たちの意識を育てることは、それ以上に重要であると感じた。
校舎へのパネルの設置は、耐震化などのハード面の課題もあり早急には進められないとは思うが、校舎は災害の際の避難所にもなるため、防災の観点からも自給自足のエネルギーの確保は有効である。
なにより、市内すべての子供たちが等しくエネルギー教育を受けられるような環境整備を、今後もぜひ進めていただきたい。
2. 国民健康保険について
(1)保険料の収納対策について
国保特別会計は無職者や低所得者の増加に伴って収納率が低下する中、高齢者の増加による医療費の上昇も相まって、全国的に赤字となる市町村が続出している。
市原市では現在約5万一千世帯、全世帯数の約44%が国保に加入しているが、収納率は83%と県内市町村でもワースト10に入っており、H22年度の未納額は13億9千万円。滞納繰越も合わせると54億3千万円。一般会計から19億一千万円を繰り入れている。
未納者に対する督促の流れとしては、まず督促状の送付、次にコールセンターや年4回の書状による勧告、それでも未納のまま1年過ぎた場合には窓口へ呼び出しての納付相談を行っている。
しかし、そのうちの約7割が窓口に現れないのが現状である。
では、納付相談に現れない場合はどうなるのか、相談に応じた結果どうしても払えないと判断した場合、または悪質な場合など、市の対応の実態をお聞かせ願う。
答弁
納付相談に応じない場合は、嘱託職員が滞納者の自宅を訪問し、生活実態の把握や納付勧奨を行っている。
また、職員による預貯金や不動産調査などにより資力があると認められた場合には、財産の差し押さえ処分を行っている。資力がないと認めた場合、地方税法に基づいて滞納処分の執行停止を行っている。
悪質な場合は、財産の差し押さえ処分を行い、保険料負担の公平性の確保を図っている。
例えば、被保険者世帯数に占める滞納世帯数の割合は23%にものぼるが、とりわけ五井地区は30%と突出している。これに対する対策はなされているか。
答弁
地区を限定しての特別な徴収対策は行っていない。
滞納者の中には、一般的に、支払能力が十分にあるにもかかわらず、「病気にならないから」という理由で払わない若年層が多いと言われているが、それに対する取り組みは、如何か。
答弁
納付方法は、納付書、口座振替、年金からの特別徴収の三種類がある。平成20年度からはコンビニからも納付が可能になった。
先進市では、インターネットを導入した事例もある。これらも検討していきたい。
口座振替やネットの利用は確かに効果的。しかし、「病気にならないから」と払わない方はそもそも口座振替をしない。やはり他のアプローチが必要ではないか。
他にも、うっかりの納付忘れ一回が長期の未納につながるという話も伺っている。初期段階の未納者対策も大切。
一方、担当部局内での取り組みには限界がある。全庁的な取り組みとして、平成21年度より庁内での情報共有化や連携をはかりながら滞納額の縮減に取り組むことを目的にして、副市長を本部長とする債権回収対策本部が設置されたが、どのような対策をしておられるのか、状況をお聞かせ願う。
答弁
市税や国民健康保険料など、滞納事案が重複する場合は、それぞれ関係する課が、同一対応・同一処理を基本に、効率的・効果的な滞納事案の解消に取り組んでいる。
庁内全体の問題として、連携して滞納対策にあたるという取り組みはとても重要。
国民健康保険は、冒頭でも述べたように、無職者や低所得者の割合が多いことから、国民皆保険制度の下支えとなっている。従って、国保は加入者同士の「助け合い」の制度ではなく、社会保障制度であると言える。このことは、昭和13年に創設された国民健康保険法が昭和33年に改正された際、旧法第1条の「相互扶助の精神に則り」という文言がなくなり、代わりに新法では「社会保障及び国民保険の向上に寄与する」とされたことからも、明らかである。
従って、この制度の趣旨を加入者に十分理解していただきながら、未納者・滞納者に対してはまず生活背景を含めた実態把握と分析を的確に行っていただきたい。
そのうえで、まじめに納めている方が損とならないよう、悪質なケースと払いたくても払えないケース、それぞれに対し適切に対処していただくよう要望する。
(2)被保険者資格証明書について
被保険者資格証明書の交付は、法令によって義務付けられているとはいえ、全滞納世帯数に対する資格証明書の交付世帯数の割合を県内の自治体ごとに調べると、0%~30%以上と非常にばらつきがあり、対応に差がある。
市原市の平成22年度6月時点での資格証明書の交付世帯数は2259件。これは全滞納世帯数の15%で、県内市町村の中でも上位。市原市は厳しい対応をしている方だと言える。
市原市ではどのような経過を経て資格証明書が交付されているのか。
答弁
滞納が発生した場合いは、文書による督促や催告をはじめ、コールセンターによる電話催告、嘱託調査員による訪問指導、納付相談にかかる呼び出しなどの徴収対策を行う。
これらの対応に応じず、資格証明書の交付対象となる場合、交付する前に弁明の機会を設けている。
もちろん、悪質な滞納者に対しては毅然とした措置は必要であるが、問題は払いたくても払えない低所得者に対する交付である。
資格証明書は医療機関での窓口負担がいったん10割となるため、受診を我慢して病状が悪化する事例も報告されている。
資格証明書の交付が収納率の改善につながるというはっきりしたデータは無く、むしろ行政に対する不信を招き、滞納者の固定化につながる危険性も指摘されている。
平成21年度、これまでの収納指導員制度が廃止され、あらたに国民健康保険料等調査員制度が始まったが、業務内容は居住の有無や借家・持ち家の確認、納付の勧奨などにとどまり、滞納者個々の生活背景の把握までには至っていないのが現状のようである。
まずは地域の相談窓口を増やし、窓口の周知をしっかり図る。電話や訪問など接触の機会をもっと確保する。庁内の徴収部門や福祉部門との情報共有や連携。
これら滞納者の状況をしっかりと把握できるような体制を整備して、くれぐれも接触できなかった方に対して一方的に交付することがないよう、当局には慎重な判断を要望する。
(3)市町村国保の都道府県単位化について
平成22年5月の国民健康保険法等の一部改正により、都道府県は国民健康保険事業の広域化、または市町村に対する支援方針を定めることができるとされ、千葉県では同年10月に策定された。
平成27年度には市町村国保の都道府県単位の共同事業の対象が、現在のレセプト1件30万円を超す医療費からすべての医療費へと拡大されるなど、財政運営においての広域化の流れはすでに始まっている。
市としてはこの流れをどうとらえているのか、またどんな課題があるのか、お考えを問う。
答弁
保険間の保険料の平準化が進むことが見込まれるほか、財政規模の小さな市町村では毎年の医療費の変動が少なくなり、財政運営が安定化することが見込まれていることから、意義あることと評価している。
課題としては、拠出金の算定にあたり、被保険者数、医療費実績などの要素をどのような割合に設定するかにより、市町村ごとの拠出額に大きな差が生じることになることが挙げられる。
では広域化になった場合、市原市の保険料はどうなるのか。
答弁
現段階では、保険料算定基礎となる拠出金の算定方法の詳細が未定であることなどから、現状では算定が困難な状況にある。
国保の低所得者や高齢者の加入割合が高いという構造的な問題は、広域化によって解決されるわけではない。また、保険料徴収などは市町村が行わざるを得ず、責任主体がかえってあいまいになるのではないかとの懸念もある。
市には、制度が変わっても市民の足元を支える自治体としての役割をしっかり果たしていただきたい。この流れを今後も注視していきたい。
3. 特別支援教育について
(1)学校と関係機関との連携について
平成18年度の学校教育法の一部改正により平成19年度に特別支援教育がスタートし、今年度で5年目を迎えた。
特別支援教育の一番のポイントは、これまで特殊教育の対象とされていた児童生徒に加え、通常学級に6%以上在籍しているとされる学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能自閉症などの発達障害児に対する支援体制の整備である。
平成17年度に「発達障がい者支援法」が施行されたことにより発達障がい児にもようやく光が当てられ、特別支援教育がスタートしたことは大変大きな意義があった。
ところで、市の教育委員会においては、保健・福祉・医療など関係機関と連携を図りながら、障害のある子供たち一人一人に適切な特別支援教育が実施されるよう「特別支援教育等連携協議会」が設置されている。
ここでは今までどんな話し合いがされてきたのか、市内の学校に対し、具体的にどんな支援を行ってきたのか、また、どんな課題が挙げられているのか。
答弁
これまで、各機関の連携や協力のありかた、早期療育の現状把握について、また、いちはら相談支援ファイル「スクラム」の周知などについての話し合いが持たれてきた。
特に、昨年度から始まった支援ファイル「スクラム」が特に役立っていることが報告されたほか、今後の周知や各機関の情報の共有化などの課題も挙げられている。
スクラムは私もこれまで議会でも取り上げてきたが、その仕組みが最も活かされる場は、まさに教育現場だと思っている。さらに活用が広がり充実するよう、今後も力を入れて取り組んでいただきたい。
そして、連携協議会は単に情報交換の場ではなく、持ち寄った課題を整理し対策を立て、それを現場にきちんとフィードバックさせていただきたい。
特別支援教育が始まって5年経ったが、子どもも親も現場も相変わらず困っている。
子供の生活を包括的に支えるための地域の支援ネットワークづくりのためにも、連携協議会をしっかり機能させるよう要望する。
(2)特別支援学級について
市原市では、今年度特別支援学級は通級合わせ小学校では41校に85学級、児童数は368名。中学校は15校に22学級、生徒数は56名。少子化が進む社会情勢にあって、設置校・児童数ともに6年前の約2倍と著しく増加している。
設置校増加については、本人や保護者が希望すれば地域の学校に通える環境が整えられつつあると言え、その点は大変評価している。
しかし、学級数の急増に対し、特別支援教育を担う力量を備えた教師の配置が果たして追いついているかという点が、逆に心配される。
知的障害児とは対応の仕方が全く異なる発達障害児に対応できる教員は、適切に確保されているのか。
答弁
発達障害児の対応に関しては、指導経験の浅い教員が担任に配置されている現状がある。
このことを踏まえ、教育委員会では、学校からの要請に応じて訪問し、指導助言を行っている。
また、今年から障害種別の研修を設け、障害に応じた対応に仕方や学習指導等についての習得をはかっている。
実際に学齢期の障害児を育てている保護者の方の悩みを伺っていると、自分の子供に関することよりも、発達障害を理解していない学校側や担任の指導内容に関するものがほとんど。
地域の学校に特別支援教室があるにも関わらず、評判の良い教師を選んでわざわざ学区外の学校へ通うという話も耳にする。これではまったく意味がない。
教職員全体のスキルアップに取り組まれることは大変ありがたいが、問題は知識や資格や経験ではなく、障害に対する受容(受け入れ)と特別支援教育に対する意欲がどれだけ備わっているかということが大きなポイントである。
この点は行政にとって大きな課題だと思うが、ぜひ本腰を入れて取り組んでいただきたい。
(3)通常学級への支援について
特別支援学級に在籍する児童・生徒数の急増については、特別支援教育の普及によって、これまで特殊教育に抵抗感を持っていた保護者が入級を希望するようになったことも理由の1つに挙げられる。
しかし,指導困難な子どもが安易に支援学級へ追いやられてしまうということも、可能性として否定できない。
この点については、通常学級の担任にすべての任を負わせるのは現実的ではない。
障 害があっても普通学級での学びの場を保証するためには、一つには学級補助員の配置を充実させることが必要と考える。
ところが、昨年度末に市内の小中学校から配置希望が出された補助員の人数は、計91名。それに対し、実際に配置された補助員は、18名で、2割にも満たない状況である。このことについてのご見解を問う。
答弁
学校長からの要望をもとに、担当課職員と特別支援教育担当指導主事で学校訪問を行い、実態を調査し、専門家の意見も交えて配置の必要性について協議したうえで適正に配置している。
引き続き適正な配置に努めたい。
18名分の予算しかないといえばそれまでであるが、配置されなかった73名は現在どのように学校生活を送っているのか、保護者はどんな思いでいるのか、クラスメートとの関係や教師への負担など、学校生活全体に与える影響は大きい。
通常学級に約6%いると言われている発達障害児への支援は教育現場にとっては決して6%ではなく、健常の子供たちを含めた教育環境全体を改善させるものである。
障害があっても通常学級で健常児と一緒に学びたいと願う子供とその家族の思いに応えるためにも、当局にはさらに手厚い支援をされるよう強く要望する。
(4)校内の支援体制について
特別支援教育コーディネーターは、主に校内の教職員の相談に乗りながら、校内全体の把握や調整、外部の関係機関との連携、保護者からの相談窓口などの役割を担うために、各学校に配置されている。
しかし実際は、各学校の状況に応じてそれぞれ特別支援学級の担任もしくは養護教諭、教務主任、教頭などが兼務している状態で、現在校内でどの程度機能しているのか疑問が残る。
教職員や保護者からどのくらい相談を受け、どのように対処しているのか、実態は如何か。
答弁
学校によっては、年間およそ30件の相談を受け、職員同士で話し合ったり、担任とともに保護者の相談に乗り解決に向けている事例もある。
しかしながら、すべての学校が十分に機能しているとは言えない現状もあることから、今後、教育委員会としては、特別支援教育指導員の派遣や特別支援教育コーディネーター研修会の実施などにより、各学校で適切な指導・支援ができるよう努めていく。
コーディネーターの職務の任命や活動内容は、各学校の裁量に任されたままになっている。うまく機能しているところとしていないところ、学校間の差が大きいことは、承知していることと思う。
現に、いまだにコーディネーターの存在すら知らず、困ったことがあってもどこにも相談できずに泣き寝入りしている保護者は大勢いる。
国や県から降りてきた制度の枠を整えるのは当然だが、そこに命が吹き込まれて住民のために活かされる制度になるか否かは、住民に一番身近な自治体行政のやる気にかかっている。
市原市の特別支援教育の今後に期待し、教育委員会の取り組みを注視していきたい。
4. 残土問題について
(1)市原市自然環境マップの活用について
私は昨年9月の定例議会で、現行の残土条例から、事業者側に周辺住民の同意を得るよう求めるという規定を上乗せした条例に改正するよう求めた。
それに対し、当局のご答弁は、「現在実施している『環境マップ作成事業』で、現在ある豊かな自然を把握したうえで、『自然の回復』という新たな概念を取り入れ、必要に応じた関係条例の検討を行う」というものであった。
そこで、環境マップの完成を待ち構えていたわけだが、ようやく今年度に入り手にすることができ、早速拝見した。
確かに、貴重な市原市の財産が記された素晴らしい資料であるが、この環境マップが残土対策にどう関係してくるのかといえば、首をかしげざるを得ない。
このマップによって豊かな自然の把握をされたあと、どのような活用がされ、残土の対策がとられるのか。
答弁
自然環境マップは初版として7000部を刷り7月末に小中学校を主に約4500部を配布する予定でいる。7月23日には報告会を開き、その後一般に配布する」。
市では、環境マップの活用により、市民に市原市の自然への関心を高めていただき、今ある自然の素晴らしさと、保護・保全し後世に引き継ぐことの大切さを理解してもらいたい。このことによって、開発と自然保護のバランスが保たれ、市民生活の向上に繋がるものと考えている。
残土対策への活用についても、地権者や市民の意識・関心を高めて、開発と自然保護のバランスのとれた政策となるよう手法を研究していく。
小中学校へ数多く配布されるということで、子どもたちに対する意識づけに重点を置いたという点は、評価する。
しかし、私は今現在問題となっている残土対策への活用という点について、当局からもう少し具体的な活用策を伺えると思っていたのだが、それに関してのお答えは全くいただけなかった。これまでの答弁はいったいなんだったのだろうと非常に残念な思い。
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(2)残土条例の改正について
では、環境マップが市原市の残土問題対策の処方箋とならないのであれば、代わりにどのような対策を考えておられるのか。
(ここで時間切れ)