2018年度(H30)決算 総括質疑・意見陳述
小沢みか
総括質疑
監査報告や要求資料・配布資料などから、特に気になった項目のうち何点かをお聞きします。
(1) 市原市水道事業調査委員会調査報告を受けた取り組みについて
H29年(2017年)11月に組織ぐるみの有収率改ざん行為が明らかになり、水道事業のみならず、本市行政全体の信頼が著しく損われました。その深い反省に立って、調査委員会の調査報告をもとに、H30年度は様々な改革に取り組まれたことと思います。そこで何点か確認します。
H30年度決算では、有収率は1.8%減の74.3%(因みに同規模事業体平均84.8%)、一般会計繰入金も1億8600万円増の14億4300万円と、前年度より更に悪化しています。
施設利用率、最大稼働率は改善したものの、同規模事業体平均と比較すると、まだまだ遠く及びません。給水原価も520円98銭と前年度に比べ10円20銭増加するなど、他の様々なデータからも、経営の厳しさは更に増していると言わざるを得ません。
そこで伺います。
H30年度は、既設排水管の布設替え工事は予定通り行われていたとのこと、しかも漏水件数は年々減少傾向にあると伺っています。ではなぜH30年度は有収率が更に減少したのでしょうか。また、それに対しどのような対策を行ったのでしょうか。お聞かせ願います。
(上下水道部長)
有収率につきましては、分子となる年間有収水量が、前年度より減少した一方、分母となる年間総配水量は増加したため、平成30年度の有収率は74.3%となり、前年度の76.1%に比べ1.8ポイント下がったものであります。
このうち、年間有収水量が減少した理由につきましては、給水人口が前年度より231人減少したことが要因と考えられます。
また、年間総配水量が増加した理由につきましては、水道管の更新を計画的に行っているものの、管路の経年劣化の進行に更新が追い付かず、時間の経過とともに新たな漏水が発生しているものと推察しております。
平成30年度の漏水実績を検証しますと、配水管漏水が46か所、給水管漏水が178か所であり、前年度と大きな差が生じていない状況から、地表には現れない地下漏水量が増加しているものと考えられます。
次に、対策について、お答えいたします。
これまで、地区ごとの有収率や漏水実績を考慮して、水道管の更新工事を行ってまいりました。
今年度からは、区域を更に細分化して漏水箇所の特定に努めるなど、より効果的な更新工事に取り組んでおります。
更に、経験豊富な職員をリーダーとした漏水調査チームを編成し、有収率の低い区域から、現地において、配水管や給水管を直接、音聴棒などにより確認していく調査を実施しており、漏水の早期発見に努めております。
その調査結果、4月以降これまでに、14か所の漏水を発見しており、一定の成果が得られております。
今後も、継続的に対策を講じながら、水道管の更新や漏水防止対策に取り組み、有収率の向上に努めてまいります。
「(仮称)市原市水道事業経営基盤強化計画 策定方針」によれば、抜本的な経営改善へと舵を切るためには組織風土や職員の意識の改革が必要だとして、コンプライアンスの徹底や事務処理体制の在り方など、職員の日常業務遂行の行動指針となる「アクションプラン」をH30年度2月に公表するとしていました。その進捗状況を伺います。
(上下水道部長)
プランの作成にあたり、昨年、若手中堅職員を中心とした横断的なプロジェクトチームを部内に立ち上げ、職場内の問題を自由に話し合うための環境を創設いたしました。
そこで議論を重ねた結果、市ウェブサイトの内容の一新や有収率の定期公表など、市民に向けた情報の見える化は、早急に対応していく必要があるものと考え、プランの作成に先行して、優先的に取り組みました。
このようなことから、プランについては、現在のところ骨子から成案への作業過程にありますので、早々にこれを完成させ、公表したいと考えております。
庁内全体の取り組みについて伺います。
調査報告書の最後に「これは水道事業内部だけの問題ではない、庁内全体で共有し取り組むべきである」と記されています。
例えば内部通報制度の周知や研修などのコンプライアンスの徹底、組織内の自律的な改革の仕組み作り、監督職・管理職のマネジメント力の強化も必要と思いますが、具体的にどのように実践されたのか、お聞かせ願います。
(総務部長)
報告書では、再発防止に向けた市全体の取組として、コンプライアンスの徹底と職員の意識改革、大きくはこの2点をお示ししております。
まず、コンプライアンスの徹底につきましては、平成30年4月に全職員に対してその徹底を周知するとともに、令和元年5月には、内部通報制度を全面改訂し、改めて全庁周知を図りました。
また、平成30年10月と11月には、公務員としてあるべき姿やコンプライアンスを再認識するため、実務の中核を担う係長相当職や副主査を対象にコンプライアンス研修を新規に実施し、560名が受講いたしました。
次に、職員の意識改革につきましては、事務事業の市民点検における市民対話や組織内対話を通じ、事務事業の原点に立ち返り、仕事の目的を再認識することで、手段が目的化することの無いよう、職員意識の改革から組織文化の変革へとつなげ、事務事業の見える化や風通しの良い職場づくりに取り組んでまいりました。
今後とも、これらの取組を進めながら、各部門においては、組織内対話を活性化させ、自ら考える自律的な改革を推進してまいります。
市原市水道事業は都市部地域が県営水道、その他地域は市営水道という構造的な課題を抱えています。その解決をなくして真の経営改革はありません。
この難題に専任で取り組むことを目的として、H11年以来廃止していた水道事業管理者をH30年度復活させました。その成果については、今後も引き続き注視したいと思います。
(2)諸計画策定における業務委託について
限られた職員数で住民サービスの向上を図るために、本市においても、行財政改革の流れの中で様々な分野において業務委託が進められています。
そこで今回、市の意思形成の根幹にかかわる業務である諸計画の策定について取り上げ、どの程度外部委託が行われたのか、直近3年間の決算額の推移を調べました。
H28年度は9計画で委託費が合計約4000万円、H29年度は12計画で約9000万円、そしてH30年度は14計画を合わせて1億円を突破しています。
私の感覚では「まちひとしごと創生総合戦略」や「総合計画」の策定と呼応する形で、計画策定業務の外注が4~5年前から目立ちはじめたという感触を持っていますが、それにしても1億円越えとは、正規職員を何人も雇える額です。
とは言え、発注する担当部署があくまでも目的や成果物のイメージを明確に持って、専門性の高い業務や定型的な業務を切り出して委託するのであれば、特に問題はないと思います。
しかし、丸投げとはいかないまでも、例えばコンサルタントが案を執筆編集して、職員が添削する形式が取られている場合など、その中身が類型的にならないか、審議会などの意見や民意を柔軟に取り入れられるのか、などの懸念が生じます。中でも私が最も危惧するのは、関係職員が自分事として課題に向き合う機会が、外注によって奪われることはないのか、という点です。
本来であれば各々の計画について確認したいところですが、総括してお聞きします。
実際の委託に際して、職員ができない部分や職員が担うと非効率になる部分に限定するなど、適切に執行されていたのでしょうか。また先ほど述べた懸念事項についても合わせて、ご見解をお聞かせ願います。
(企画部長)
懸念事項である1点目の「委託により他市と同様な計画となっていないか」という点につきましては、総合計画策定時に「計画群の総合化」を進めました。市原市総合計画条例において「個別計画の策定にあたっては、基本計画と調整を図らなければならない」と規定しております。
このことから、計画策定過程において、市長を本部長とする変革創造本部会議において骨子案、素案、最終案を審議・報告し、基本計画と整合性が図られているか、本市の課題解決につながるものとなっているかなど、徹底した議論を進めることによって、本市独自の計画づくりを進めているところであります。
2点目の「審議会やワークショップ等の市民意見への反映」につきましては、コンサルタントが各種会議にも同席したり、会議やパブリックコメントで出された意見・提言を伝えたりするなど、市民意見を十分に反映できるよう取り組んでおります。
懸念される3点目の「職員の自分ごと化」につきましては、計画策定業務すべてを委託するのではなくて、主に支援委託として、例えば高度で専門的な知見を有する事業者から技術的な支援を得たりとか、各種調査・集計等の支援により業務の効率化を図り、組織内で限られたマンパワーをより創造的な業務に集中させたりなど、職員が主体的に計画策定に取り組めるよう活用しております。
このほか、支援委託の活用により、効果的な資料を作成し、庁内外の議論の場で建設的な意見交換が行われ、限られた期間内で計画策定業務が実施できたことなどから、適切に予算執行が出来たものと認識しております。
今後も、引き続き以上のような取組が庁内で徹底され、適切に実施されるよう更なる改善に取り組んでまいりたいと考えております。
改めて本市の計画策定に係るコンサルタント委託についての考え方と、果たして庁内でその考えを共有しているのかどうかという点について、ご答弁願います。
(企画部長)
市では、総合計画の推進にあたり、平成29年5月に「個別計画の策定・見直しに関する基本方針」を策定し、各部門が主体的に総合計画の具現化に取り組めるよう基本的な考え方を示し、庁内で共有化を図ったところであります。
この方針の中で、「策定作業の一部を委託する場合には、職員の意識・能力向上の観点から、委託範囲・内容について留意すること」と示しております。
このように計画策定は、職員の人材育成の視点からも大変貴重な機会であり、また、自分たちの地域課題について、自分たちで点検・調査し、必要な施策や事業を立案することは、大変重要であると考えております。
今後は、この基本的な考え方をもう一度庁内で共有し、実行計画の事業選定及び予算編成過程において、真に必要な委託なのか十分精査し、各部門が主体的に計画策定に取り組めるよう進めてまいります。
意見陳述
以上、限られた時間の中で2点確認させていただきましたが、今回の決算審査は分科会による審査が省略されており、台風15号による執行部の対応を考慮して調査も不十分であったことから、市民ネットワークはこれ以上の意見陳述並びに認定の可否は、現時点では不可能と判断しましたので、以上で終わります。
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