令和6年第3回市原市議会定例会議 令和5年度決算審査 総括質疑 小沢みか
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総括質疑
初めに質疑を行います。
1.一般会計における債務負担行為について
令和5年度決算資料の財政状況の推移を見ると、債務負担行為未払い残高が令和元年度約47億6,000万円から右肩上がりに増え、令和5年度は約443億円と、わずか5年間で9倍以上に膨らんでいます。
これだけの規模は過去になく、まさに桁違いの数字です。
そこで、債務負担行為未払い残高がここまで増加した理由についてお聞かせ願います。
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【財政部長】
債務負担行為未払残高の規模が増加している主な理由につきましては、公民連携を推進する中、大きく3点ございます。
1点目は、公の施設の指定管理者の指定替えに併せ、令和2年度から各施設の指定管理料について、5年間の長期契約における契約事務の適正化のため、債務負担行為の設定を行うよう、国の通知を踏まえ、取り扱いを改めたことによるものであります。
2点目は、公共施設包括管理委託事業やし尿処理施設管理運営事業など、業務の集約化や直営から民間委託への切り替えにより、長期契約となる業務について、新たに債務負担行為を設定したことによるものです。
3点目は、(仮称)八幡宿駅西口複合施設等PFI事業や学校給食共同調理場再整備事業などについて、建物整備費に施設の管理運営費を加えた大規模かつ長期にわたる事業について、債務負担行為を設定したことが挙げられます。このほか、建設工事の施工時期平準化の推進と年度当初から速やかに事業着手することを目的として、前年度中に契約を行うゼロ債務負担行為の活用などが影響しております。
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様々理由を挙げられたが、それにしても未払い残高約440億円は令和4年度の類似団体の数値約200億円と比較しても倍以上。
さらに、令和5年度の地方債残高(約420億円)を超える規模です。
財政指標のこの5年間の推移を見ると、実質公債費比率は5%台で推移。将来負担比率は明らかに減少。地方債現在高も順調に減少。一見何も問題は無いように見えます。
しかし債務負担行為は財政指標にこそ現われませんがいわば約束手形であって、確実に後年度の義務的経費となります。そういう意味では「隠れ起債」とも言えます。結果市の財政の硬直化を招き、将来他の公共サービスに支障をきたす恐れがあります。
R6年度も
市庁舎整備事業に155億(一財分103億)
粗大ゴミ処理施設更新事業193億(一財分102億)
といった債務負担行為を設定した大型事業が目白押しです。そこで確認いたしますが、今後も未払い残高は倍々ゲーム的に増え続けるのか、それとも頭打ちになるのか、なるのであればピークはいつ頃かなど、今後の見通しをどう想定しているのでしょうか。また、その対応についてどのようにお考えなのかお聞かせ願います。
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【財政部長】
債務負担行為未払残高につきましては、今年度当初予算で設定した、市庁舎の整備や粗大ごみ処理施設更新など大規模事業の限度額が加算されることから、令和6年度末時点で概ね730億円を見込んでおります。
また、令和7年度は、33の指定管理施設の更新年度であり、新たな指定期間に係る債務負担行為を設定するため、令和6年度末残高と同水準での推移を想定しているところであります。
その後は、情報システムの標準化などDXの推進や適切な契約事務を踏まえると、現下の社会経済情勢の中、毎年度一定程度の債務負担行為の設定額が増加していくと考えております。
債務負担行為を設定した経費は、その大部分が長期契約を担保する経常的経費と公債費に準じるものに分けられ、経常的経費は「経常収支比率」に、また、公債費に準じるものは財政健全化判断比率の1つである「将来負担比率」に反映されてまいります。
令和5年度決算においては、どちらの指標も適正な範囲であり、財政の健全性を確保できていると考えております。今後も、長期財政収支見通しを踏まえた予算編成における事業の選択と集中により、市民サービスの向上と規律ある持続可能な財政運営の両立を図ってまいります。
事業一つ一つを見ればその時点では必要だろう(実際、議会でも都度認めてきた)。
しかし、当局が全体のバランスや将来見通しの視点を持っているかどうかが重要なのである。
ブーカの時代だからこそ、少しでも財政構造の弾力性を高めておかなければならない。債務負担行為の設定に当たっては、起債と同等の適切なリスク管理と計画的なアプローチを求める。
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2.国民健康保険事業特別会計について
年度末基金残高 R2年度 4億1600万 R3年度 2億3200万 R4年度 2億7200万 R5年度 0.8万 令和5年度決算において国民健康保険 財政調整基金が2億7153万取り崩され、R5年度末現在高が8000円とほぼカラになってしまいました。当初予算で見込んだ通りではありますが、あらためて確認させて頂きます。
この背景には、平成30年度に財政運営の責任主体が市町村から都道府県に移行するという大幅な制度改正があると考えます。
この6年間で県への事業費納付金が一人あたり1万8000円も上昇しましたが、当局は一般会計からの法定外繰り入れを行わず、基金の取り崩しなどで保険料率を据え置いてきました。しかし令和6年度に約6億9000万円の歳入不足が見込まれたため、保険料一人あたり平均約8000円の引き上げとなる保険料率の改定を行いました。そこであらためて制度改正以来の財源対策を振り返り、その方針の妥当性について当局のご見解を伺います。
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【保健福祉部長】
国民健康保険は、他の健康保険制度と比べ、より顕著に、加入者の医療費水準と所得水準とのバランスが保たれておらず、市町村による制度運営が不安定になりやすい構造上の課題がございます。
その状況下、本市では、決算補填を目的とする法定外一般会計繰入金は解消・削減を図るべきとする基本的考え方を踏まえつつ、安定的な制度運営に向け、平成29年度、30年度と、引き続いて保険料の増額改定を行うとともに、徴収部門を債権管理課に一元化し、収納率向上に努めてまいりました。
一方、国では、平成30年度から、国保財政基盤の安定化などを目的としまして、都道府県を国民健康保険の財政運営の責任主体とした広域化が行われたところでございます。
これらの一連の動きの中、本市の国保財政としましては、特に令和元年度には、多くの剰余金を確保することができまして、その他一般会計繰入金自体の解消とともに、令和2年度に創設いたしました「国民健康保険財政調整基金」への積み立てのうえ、活用してきたところであり、収支均衡を図ってまいりました。
しかしながら、令和5年度に入りますと、被保険者数の減少等による保険料収入の低下や、一人当たりの医療費の増加などの要因から、歳入不足が生じまして、国民健康保険財政調整基金の活用に加えまして、令和元年度以降行っておりませんでした「その他一般会計繰入金」を計上し、対応してきたところでございます。以上申し上げた経過とともに、今般の令和6年度保険料率の改定の上げ幅や、財政調整基金残高の現状を省みますと、これまでの対応では、その時点の状況を踏まえつつ、基金や繰越金を活用した歳入確保を優先してきたところではございますけれども、計画的かつ段階的な保険料の見直し、及び一般会計の繰入金も選択肢の1つと考えるものでございます。
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今後も更なる保険料引き上げも見込まれますが、国保事業の苦しい状況も理解しました。それでは今後の課題と対策についてお聞かせ願います。
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【保健福祉部長】
この度の、「令和6年度保険料率の改定」にあたりましては、法定外繰り入れを行わずに引き上げを行った場合には、加入者への負担が急増することから、現下の社会情勢や日常生活への負担等を考慮いたしまして、激変緩和措置として、2年をかけて引き上げるものとし、引き上げを抑えたことによって生じる歳入不足分として、約3億円の法定外繰入金を、当初予算案に計上したものでございました。
先ほど申しあげましたとおり、その他一般会計繰入金のうち、保険料の負担緩和を図るためなどの「決算補填目的」の繰入につきましては、国及び県からの「解消・削減を図るべき」との方針を踏まえますと、恒常的に繰入を行うことは避けるべきとの基本的考え方はございます。
しかしながら、今後ますます厳しさを増していく国保財政の持続可能性を考えますと、計画的かつ段階的な保険料の見直しを基本として、基金への剰余金の積み立てが進められるよう、取り組むとともに、年度ごとの状況によっては、一般会計繰入金も含めた総合的な財政運営が必要ではないかと思慮するものでございます。
なお、国民健康保険では、被保険者の多くが、低所得、高年齢層が占めてらっしゃる等の課題を抱えておりますことから、令和5年11月に、全国知事会や全国市長会など、国保関係者が参加いたします「国保制度改善強化全国大会」におきまして、国保の財政基盤強化のための公費投入の確保や、財政支援の充実が採択され、国への要望が行われたところでございます。本市といたしましては、今後も、歳入確保や医療費の適正化等に努めるとともに、国の動向を注視し、引き続き、全国市長会等を通じて、必要な要望を行いつつ、国民皆保険の根幹である国民健康保険の安定的な運営に鋭意努めてまいります。
保険料を上げると未払い額が増えるという悪循環に陥る恐れもあります。国民健康保険制度は社会保障制度であるという観点から、今後は決算補填等以外の目的(基金への積み立てや保険料減免額充当など)の法定外繰り入れも積極的に活用し、被保険者の負担の軽減に努めていただきたいと思います。何よりも根本的な解決策として、県に対しては納付金の引き下げや基金の活用を、そして国に対しては国庫負担の引き上げを求めていくことが必要と考えます。
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