令和7年 第4回市原市議会定例会議 個別質問 小沢みか
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市民の声の公正な取扱いと広聴体制の確立について 2問
⬧ 現状の広聴体制の認識と課題について
市政運営にあたり、市民の皆様から寄せられる声は、行政にとって欠かすことのできない貴重な財産。
いちはら奏会は、9月の決算審査の資料として「市政に対する市民の声の事案別・ルート別の件数」について要求した。その結果「市長への手紙」と「パブリックコメント」以外の「その他」として扱われる窓口・電話・電子メール等による意見が令和6年度784件であったこと等が明らかになった。
私はこの「その他」のルートに着目し、改めて各部署に聞き取りを行った。
年間0件という部署も目立ったのだが、実際は電話対応など職員の個人判断で記録に残さないことが多いのではと感じた一方で、最も多かった教育部指導課では昨年度414件も受付けており、対応に非常に苦慮されている様子が伺えた。
また、特殊な事例で、子ども福祉課ではロゴフォームによる「子ども若者アイディアBOX」が令和6年度130件も寄せられており、受付方法の差がそのまま記録件数の差になっている実態も明らかになった。
つまり、市民から寄せられる意見に対し、受付・記録・回答の処理方法がバラバラで、全庁統一的な基準が全くないことが分かった。
これでは市民の声を公正かつ網羅的に受け止めているとは言えない。⬧ 統一基準と中央集約体制の構築について
例えば市民や団体が窓口で改善を訴えても「伝えておきます」で終わり、改善しない理由も説明されず、担当者が変ればまた初めから・・・そうした不条理な事例は、私自身も日常的に耳にしている。
一方で、不当な要求や長時間の電話対応に、職員個人の工夫で向き合わざるを得ないケースもあるのではないか。
本来、市民の声の受付・記録・回答といった広聴事務は、職員を守りながら公正さと説明責任を確保するため、職員個々の裁量に委ねてはならないと考える。
また、決算要求資料のデータの取りまとめに難航した様子が伺えたことからも、現状では部署ごとに散在する市民の声を「市全体の課題」として捉え直し、改善に結びつけていく中央集約的な機能も存在しない。
他自治体では、意見の受付体制や職員の心構え、記録・集約の方法、回答までの流れ等を定めた「公聴ガイドライン」を策定し、あわせて市民意見を一元的に集約し、各部署への振り分けや進捗管理を行う専任部署を置く事例も広がっている。
本市においても、まずは全庁的な広聴ガイドラインの策定、さらに、市民の意見を一元的に集約・管理する中核機能、この2点が必要ではないか。
当局のご見解を伺う。
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⬧ 広聴DXの推進について
次に、将来の行政運営を支える基盤整備という視点も含め、広聴DXの推進について伺う。
先ほど申し上げた、既に子ども福祉課が実施している「子ども若者アイディアBOX」は、意見提出のハードルを下げ、子どもや若者から年間百件を超える意見やアイディアを集める優れた取り組み。
しかし、内容が他部署・多岐にわたるため、その整理や振り分け・回答等の事務作業が、結局はアナログ的な「担当職員の頑張り」に依存している側面は否めない。
私は、このような広聴機能のデジタル化を一部署の工夫にとどめるのではなく、市民の声を受け止める共通のシステムとして全庁的に広げることが、本市の広聴DXの出発点になるのではないかと考える。
近年、AIの活用による自治体DXが進められているが、その前提となるのは「データをどれだけ体系的に蓄積しているか」にかかっている。市民の声をデータとして残さなければ、近い将来AIを用いて課題分析を行ったり政策立案に活用したりすることもできない。
市民の声のデジタル化と一般化は、政策決定の質を向上させる「データ基盤の整備」そのもの。これは、本市の将来を見据えた極めて重要な投資と言える。
そこで伺う。
窓口対応や電話も含め様々なルートで寄せられる市民の声を、共通のデジタル集約基盤で一元的に蓄積・分析できる仕組みとして全庁整備し、今後の広聴体制の柱として位置づけていただきたい。
当局のご見解をお聞かせ願う。
広聴は単なる「市民サービスの個別提供」ではないし、デジタル化は「業務の効率化」にとどまるものではない。広聴DXは「全庁的な課題の発見と政策反映」のための戦略的な資源となり、DX推進の要。ぜひ市長の確かなリーダーシップのもと、着実に着手されるよう要望する。
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辰巳台東小学校施設更新事業について 4問
事業概要
本事業は「公共資産マネジメントの観点から学校施設更新を行う先行モデル事業」との位置づけで、令和6年10月からこれまで地域の関係団体を交えた検討会議を計6回、その他シンポジウム、ワークショップといった事業展開を図ってきたと承知している。
令和7年8月、市は「令和6年度の検討会議の結論」として、
①現在より広い別の敷地
②機能集約・複合化
③小中一貫校化
以上3点を検討の方向性として議会に示された。
その際の資料には、地域内の3小1中と公民館・支所等の機能集約を図り、移転検討地を団地外縁部の市街化調整区域内に具体的に地番を特定した上で「用地を取得し、事業推進を図る」と明記されている。
こうした点を踏まえると、これは単なる「案の一つ」というより、少なくとも市として一定の方向性をもって提示した実質的な事業方針であると受け止めざるを得ない。
その認識に立って、これより何点か伺う。⬧ 政策的矛盾について
まず、移転検討地の妥当性について伺う。
調整区域での開発は原則禁止であり、許可には都市計画法第34条の例外規定が必要だが、事前に当局に確認したところ「これから検討する」とのことであった。
法的根拠も固まっていない段階で、特定の土地ありきで地権者に接触し候補地を公表するという進め方は、行政として果たして適切であったのか。
市は、許可権限を持つ立場であるからこそ「自ら申請し、自ら許可する」という構造には、通常以上の慎重さと透明性が求められるのではないか。
さらに、本市の立地適正化計画で辰巳台は「生活拠点」と位置づけられ、特に公民館や支所は、団地中心部の都市機能誘導区域に維持すべき施設として明記されている(p98)。
そのような中で、地域の中心機能を団地の外へ、しかも市街化調整区域に移すという方向性が唐突に公表された点について、首をかしげざるを得ない。
財政確保面でも、国の社会資本整備総合交付金は都市機能の集約・拠点形成を前提とするメニューが多いため、公民館や支所などの誘導区域外への整備は対象外となるリスクが高い。
また民間との連携についても、開発規制が極めて厳しい調整区域では、事業者の参入ポテンシャルを大きく損ねるのではないか。
このように、いずれの観点から見ても、今回の移転案を調整区域で進めることの合理性が、現時点では全く明らかにされていない。
そこで伺う。
団地内にある公共機能を、なぜあえて複合化して調整区域へ移す必要があるのか。その優位性について、改めてご説明願う。
特に気になるのは、立地適正化計画との整合性。市自らが策定し市民と共有してきた「地域の未来像」であるにもかかわらず、こんなに容易に認めて良いのか?団地の中心が空洞化する恐れはないのか?
その点については、しっかりと検討して頂きたい。
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⬧ 学校の統合や小中一貫校化の教育的意義について
次に、学校規模適正化や小中一貫校化の教育的必然性について伺う。
既に小中一貫校化を進めた加茂学園や、現在検討を進めている三和地区では、児童生徒数の急激な減少や複式学級の懸念といった教育の持続性に関わる切実な課題が背景にあった。そのため教育委員会は、保護者や地域と丁寧な対話を重ね、教育的必然性を明確にしたうえで方向性を探ってきたと理解している。
対して辰巳台地区はどうか。
児童生徒数は減少傾向にあるとはいえ、現時点で統合を急がなければならない教育上の危機があるわけではない。
にもかかわらず、今回唐突に3小1中の統合と小中一貫校化が示された。
事前に教育委員会に確認したところ、学校規模適正化基本方針の基準に照らした根拠や、小中一貫校化の教育的意義については「これから整理し説明する」とのことであった。
これは「老朽化のタイミングだから」というハコの都合が「教育的必然性」よりも先行しているという事ではないか。
いくら「公共資産マネジメントの観点から入った」とは言え、老朽化対応と教育のあり方を混同して結論を先行させるやり方は、本来の教育行政の姿とは言えないのではないか。
そこで伺う。
複式学級の懸念も現時点では差し迫っていない辰巳台地区において、4校の統合・小中一貫校化を行う教育的必然性は何か。
教育委員会として、どのような将来像を描いた上で今回の案を示したのか、改めて見解を伺う。
いずれにせよ、教育の根幹となる考え方より先に結論を示すのは、順番が逆。
子ども達の9年間を左右する話を、施設更新の都合に合わせるような進め方は、教育行政として本来あってはならない。
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⬧ 検討のあり方について
次に、検討のあり方について伺う。
今回の方針では、敷地面積が現在の半分程度に縮小されることになる。
しかし、その前提となるはずの利用実態の把握や将来需要の分析が、十分に共有されているとは言い難いのではないか。
例えば地域には公民館も含め5つの体育館があるが、何れも稼働率は90%超えで、新規利用希望を断らざるを得ないと伺っている。こうした基礎的な需要データや、それに基づく比較検討資料は全く示されていない。
その他、避難所設置への影響や、高齢者・児童生徒のアクセス確保といった、地域生活に直結する視点こそ検討の核心であるはずだが、こうした論点も現段階では明らかにされていない。
検討会議については、私自身、何度か傍聴を求めたものの認められなかったため、議事録を確認すると、市が示した方向性が半ば前提となっており、例えば地域利用に及ぼす影響や機能の優先順位など、地域が本来議論すべき点は議題化されていない。
これでは「閉じられた場」で方向性だけが先に走り、住民参加が形ばかりに見えてしまっても仕方ない。
そこで伺う。
地域参加による検討開始から既に1年以上経過しているが、当局ではこれまでの検討プロセスをどのように評価しているのか、お聞かせ願う。
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⬧ まとめ デメリットも共有し方針の再考を
最後に、今後の進め方について伺う。
これまで述べたとおり、本事業は、都市計画法や立地適正化計画との整合性、教育的ビジョン、施設需要の把握、住民との対話のあり方など、あまりに多くの前提条件が整理されないまま進んでいる印象は否めない。
私は、この地域で将来を見据えた公共施設の移転や複合化そのものを否定するつもりはなく、むしろ執行部のモデルケースとしての取り組み意欲は大いに歓迎するところ。
しかし、メリットを全面に出し、デメリットも含めた判断材料や将来への影響が住民と共有されないまま進められるのではないかと、強い懸念を抱いている。
とりわけ、既存の公有地を最大限活用するという正攻法を取らないのであれば、それを補って余りある客観的根拠を示さなければならない。
他にも、複合化の前提として跡地の一定割合を手放さざるを得ないことや、複合化後に確保すべき機能の取捨選択など、住民が判断すべきポイントは多岐にわたる。
これらについて、住民は無論のこと学校現場・公民館職員・利用者など関係者とも共有した上で、様々な可能性から検討されるよう要望する。
今後、こうした実質的な判断材料をどのように提示し、住民が「真に判断できるプロセス」を再構築していくのか、当局のご見解を伺う。
今のプロセスは、合意形成ではなく追認に近いと思う。結論が先に走り、判断材料が後から追いつく進め方では、誰も未来を選択できない。まずは判断できる場づくりを徹底して頂くことを求め、質問を終わる。
