平成17年度 第4回市原市議会定例会 12月14日 (水)
市議会レポート【議案質疑】桑田なお子
1.市長の政治姿勢について
議席1番 桑田尚子です。
市民ネットワークを代表して議案質疑をいたします。
議案第111号は市原市農業委員会の委員の定数等に関する条例の一部を改正する条例の制定についてです。この条例の改正は、平成16年11月1日に農業委員会等に関する法律の一部が改正され施行されたことによります。
法律の内容をみますと、「組織のスリム化と設置、運営に係わる市町村の裁量の拡大」を強く求めるとあります。なぜこのような法律改正にいたったかは、平成14年5月にやはり農水省から出された「農業委員会の選任委員の選定について」という文書にも示されていますが、農業委員会制度を取り巻く環境が大きく変化し、それに対応できる農業委員会が求められていることによります。
選出されることが望ましい委員として
- 農業政策、農地制度等について学識経験のある者
- 土地改良、水利慣行等について学識経験のある者
- 農業技術、農業経営の改善合理化について学識経験のある者
- 青年、女性農業者、認定農業者等の担い手で農業・農村の活性化について学識経験のある者
- 農産物の販売・流通等について学識経験のある者
という5つの項目が示されています。
そこでお聞きしますが、今回の条例改正でこの5項目をどの程度、充足させることができますか。具体的にお聞かせください。
法律では「地方の裁量権の拡大」とあり、農業委員会の運営に係わる市町村の裁量を拡大することが強く求められているとありますが、具体的にはどのようなことですか。
また、農業委員会の現状の課題と、今後の改革すべき点を簡潔にお聞かせください。
議案第114号、122号、123号、128号、132号はいずれも指定管理者の指定についての議案です。
議案第114号 市原市サンプラザ市原について
選定にあたり、合計点をもって決めたということで、一定の理解はいたしますが、『施設の利用促進に関する計画は効果があるか』『自主事業の実施計画は十分で収益性はあるか』の項目では、ケンネックが23点、トライネットが21点とあり、従来の都市開発公社の18点をかなり上回っています。サンプラザについては「利用促進」と「自主事業の収益性」この2つを高めることが課題だと思われます。公社提案をどのように評価したのかお聞かせください。
同じく、総合評価に「市民サービスの向上や利用促進の提案が示された」とありますが、具体的にはどのような提案内容なのでしょうか。
次ぎに、このプラザのみは指定期間2年間ということです。いつまでにどういう形で「見なおし案」を作るのでしょうか。
議案第122号 市原市五井福祉作業所と 議案第123号 市原市三和福祉作業所について
評価項目の中の「利用者一人ひとりの自立と社会参加促進を向上していくための配慮の充実度・経費縮減等」が基準評価値である現状が3点と低いことに示されているとおり、この事が課題ということです。社協に対しての評価点は5点となっています。具体的にはどのような提案があったのでしょうか。
また、市が運営する福祉作業所の目的は何なのか、役割・機能は何であるのか、今後のあり方を含めてお聞かせください。
議案第128号 市原市水と彫刻の丘について
評価内容を見ますと「18年度企画展の提案は魅力的で実現性があるか」「自主事業の実施計画は十分で収益性はあるか」の項目では現状である基準評価値と計画の数字はほとんど変わりませんが、具体的にどのような内容でどのような評価をしたのでしょうか。
総合評価の中で「管理運営に対する意欲と改善・改革の計画も実行可能性が高い」とありますが、何をどのように改善改革をしようとしているのでしょうか。
総合評価の中で「観光協会としての立場を活用し、多くの観光情報を収集発信できる・・・」とありますが、この施設の現状をどのように認識し、指定管理者制度への移行でこの場所をどのようにしていけると考えているのでしょうか、お聞かせください。
議案第132号 高滝湖畔公園について
今回、1団体のみの応募に留まったのは何故だったのか、どう思われますか。お答えください。
次に、この施設の課題は何で、今後どうあるべきだと考えておられますか、お聞かせください。
本来、指定管理者制度は市民のサービスの向上を図るのが目的ですが、評価点では基準評価値18点と同じ18点になっています。一方、総合評価では「市民サービスの向上が期待できる」と書いてあります。実際にはどのようなサービスが期待されるのかお聞かせください。
また、公園とレストランという質の違ったものと一体的に管理するというのは、無理があるように思われます。見解と今後のあり方について考えをお聞かせください。
市議会レポート【個別質問】桑田なお子
1.読書環境について
「子どもの読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものであることにかんがみ、すべての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備が推進されなければならない」
これは平成13年12月12日に制定された「子どもの読書活動の推進に関する法律」の基本理念です。今年の7月22日には「文字・活字文化振興法」が成立しています。そして「文字・活字文化の日」が10月27日に制定され、今年の標語は「本を読んでいる君が好き」でした。
今年10月30日に、中央図書館で「市原市子どもの読書活動推進ミニフォーラム」が行われました。これは市原市の子どもの読書活動推進計画を立てるため市民から意見を聞くというフォーラムでした。集まったメンバーは、学校で読み聞かせボランティアをしている人、学校の教師、読書指導員、図書館司書、ブックスタートに携わっている人、自宅の図書コーナーを地域に解放している人など、読書に興味を持っておられる方々でした。
司書からは図書館に来ない人へのアプローチはどうしたらよいか分からない、との発言がありました。それを考えますと学校は、誰もが気軽に本に親しむ絶好の場であると再認識いたしました。学校で読み聞かせボランティアをされている方からは、読み聞かせが終わった段階で、担任から教育的配慮のもとで、子どもに感想を求めたり、登場人物についてのテストをされる、そうすると、読むほうも聞いている子どもたちも緊張して、心から楽しむ事ができない、との意見も出ました。
そこで伺いますが、
1点目、市原市の子どものための読書活動推進計画の目標をどこに置くのか、本市の独自性というのは何なのか、それは計画に盛り込まれるのでしょうか、お聞かせください。
2点目、計画策定はいつごろまでをめどにしておられるのでしょうか、お聞かせください。
今年の秋は、市民ネットのメンバーと一緒に何箇所かの小学校の図書室を訪問致しました。人のぬくもりのある図書室には子どもたちが集まり、図書も有効に活用されています。現在6人の読書指導員で、市内の小学校12校を担当していますが、ぜひとも増員を図るべきと考えます。しばしば、ボランティアがいれば読書指導員は必要ないのでは、という声も聞かれますが、両者が決定的に異なるのは本の選定や廃棄にかかわる仕事、調べ学習の水先案内人の働きができるか否かの違いです。どちらもそれぞれの持ち場があり、どちらも必要な働きだと図書室の現場を見て感じました。
そこでお伺いします。
読書指導員の拡充が必要と感じますが、次世代育成支援行動計画の中では「全小中学校読書指導員を配置」とありますが、いつまでという期限が書かれてありません。その具体的な計画をお聞かせください。
現在、地域の公民館も指定管理者制度を取り入れるか検討中だと聞いています。公民館に付属している図書館の分館としての図書室もまた、読書指導が必要であり、単なる貸本業の図書館として考える指定管理者制度には馴染まないと考えます。地域の中で歩いていけるところにある図書館は生涯学習の拠点・交流の拠点として貴重な財産です。生涯にわたり文字・活字文化の恵みを受けられるよう配慮されるべきと考えます。
そこで伺いますが、指定管理者制度を導入するのでしょうか、また、導入するのなら、どんなことを基準に考えていくのかお聞かせください。
2.残土問題について
残土処分場において、しばしば残土と称して産業廃棄物が混ぜ込まれる現実があります。市原市は広く、首都圏に近く、袖ヶ浦の港からも遠くなく、丘あり谷ありで、残土を運び込むには絶好の条件が揃っています。特に市街化調整区域となる地区は、狙われています。
海保、その隣接地区では過去7年間に6件の残土処分場が許可されながら、その中でまともに終了したところは1件もなく、すべて違反を起しています。産業廃棄物の混入がなされていたり、許可区域をはるかに超えての面積拡大等で、行政指導を受けています。その内2件は責任者が行方不明です。最近動き出した某事業者は、許可区域を大幅に超えたため指導を受けたのですが、わずか6分の1を復旧させたままで、会社名を変え再び事業を展開しています。平成15年に残土条例が改正されたのですが、抜け穴もあり違反した会社でも名前を変え、別会社となれば許可になってしまいます。現行の条例は実行性がないと言えるのではないでしょうか。
名前を変えた某事業者に対し、地元町会は警戒し事業者から求められている説明会を開きませんでした。それに対し、事実と異なる内容で説明会ができない理由を事業者は県に提出しました。そこでお尋ねいたしますが、指導指針第3条では市町村は事業者が、事業の影響を受ける範囲の地元に対し、説明するよう指導する責任がありますが、議事録には当該町会の責任者及び町会長の自筆サインと捺印を求めるよう事業者に義務付けが必要と考えますが、見解をお聞かせください。
某事業者は許可後、軽微な変更届けを何度も繰り返し、許可を得た書類の発生元とは全く違う残土が搬入されています。ちなみに町会役員が、最初の特定事業許可申請書の発生元に行き、そこの現場職員と会ってきたのですが、「某事業者から残土についての話を一切聞いたこともないし、某事業者とも会ったこともない」との話でした。
これは、情報公開で書類を取り寄せ丹念に読んで分かったことです。県の許認可ですが、市原市で起きている問題です。書類だけで判断するのではなく、発生元が事実かどうかを見て判断すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
今後、どのような土が搬入されるのか不安ですし、地下水の汚染が心配です。環境を守るための立地規制、あるいは里山保全・次世代に負の遺産を残さないという強い意志が必要と考えますが、市の方針をお聞かせください。
関連して伺いますが、羽田空港再拡張事業で発生するであろう建設汚泥、建設発生土、浚渫土はどこに行くのか、市原市に来るのではないか、とはなはだ気になるところです。10月27日の環境審議会において、国土交通省は「山砂採取や浚渫土処理は請け負い事業者に任せるので、現時点では未定」との回答をしていましたが、その後の動きがあったのか、変化があればお聞かせください。
適正な処理がなされるべきは当然のことですが、この件について市原市ではどんな対応をしようとしておられるのか、お聞かせください。
3.精神障害者の地域生活支援について
先月の11月19日に、市原市内の障害者団体が実行委員会を作り、「べてるの家」を呼びました。まさに市民力が結集した講演会でした。
「浦河べてるの家」は、北海道浦河赤十字病院の精神科を利用する当事者と、地域の有志によって設立した社会福祉法人の名称です。日高のえりも岬に近い人口1万6千人の小さな町浦河町で、共同作業所・共同住居・通所授産施設などを運営しており、年商1億円、年間見学者1800人、いまや過疎の町を支える一大地場産業となっています。モットーは「地域で普通に生きていくこと」です。ここでは幻想や妄想を語り合う『幻覚&妄想大会』や自分の体験を語り、言いっぱなし・聞きっぱなしで誰からも非難されないという語りの場が補償され、精神障害をオープンにして地域で堂々と暮らしています。
長い間、県の保健所が管轄していた「精神障害」の分野が、2002年の精神保健福祉法の改正により、身近な市町村が主体になって精神障害者に対する福祉施策が進められるように位置づけられました。そういうわけで、市原市では昨年の10月に障害者基本計画の精神障害者版ができました。
この障害は医療との付き合いは切り離せません。しかし良い薬ができて、入院することが多かった以前に比べ、ほとんどの人が通院し地域で暮らしています。それでも偏見や誤解のため、やむなく社会的入院をしている方もおられます。国や県は「障害者を地域に」と言っていますが、地域で支援するには、社会資源と言われる地域生活支援センター、グループホーム、作業所などの諸施設や連携する病院等が必要です。
そこで伺いますが
1点目、精神障害者宅に派遣できるヘルパーを養成していくとの計画ですが、現在の進捗状況をお聞かせください。ちなみに平成15年度末の数は54名、目標の平成20年度は120名となっています。
2点目、短期入所事業の充実を図るため短期入所施設等との連携を図り、平成20年度までにどれくらいの利用拡大ができるのか、その進捗状況をお聞かせください。
3点目、地域生活支援センターは、平成20年までに2つ出来る予定になっています。広い市原市の中でどこの地区に建てようとしておられるのか予定をお聞かせください。
精神障害をもつ人が地域で暮らすには、まだまだ偏見や誤解が多いのが、現実です。
そこで伺いますが、
1点目、計画の中では、理解と交流を深めるために「啓発・広報の充実」とありますが、具体的に考えておられることがあればお聞かせください。
2点目、「グループホーム」や「ふれあいホーム」の世話人が、周りの無理解で悩んで相談に来られた場合、行政はどんな支援を行う予定ですか?お聞かせください。
3点目、精神障害のある人が「グループホーム」内だけの生活であったら、地域に出た意味がありません。「グループホーム」を拠点として、働く場が必要です。福祉的就業について何か予定しておられる事がありましたらお聞かせください。
4.子どもの居場所づくりについて
はじめに、学齢期の子どもの居場所づくりについて伺います。
文部科学省では、青少年の問題行動の深刻化や地域の教育力の低下等の緊急的課題に対応し、未来の日本を創る心豊かでたくましい子どもを社会全体で育むため、平成16年度から学校等を活用した安全で安心して活動できる子どもの居場所(活動拠点)づくりを支援しています。
市原市も3つの団体が「子どもの居場所づくり」キャンペーンに応じています。これらの団体は、以前から子どもたちへのプログラムを持ち活動していた団体です。これは平成16年から3年間だけの国の補助事業ですが、この先市原市は支援していかれるのか、今後の方針をお聞かせください。
次に就学前の子どもの居場所づくりについて伺います。
子育て支援員はかつての母子福祉推進員が解散せず、ほぼそのまま子育て支援活動に移行した制度ボランティアです。主に就学前のお子さんが対象で、現在151人の子育て支援員が市長から委嘱を受けて活動しています。各地で子育て支援の集会が行われていますが、どこにどういう親子がいるのか個人情報はなかなか得られず、名前も住所も把握できない現状で、そういう集会に出てこられない親子に対しては「どのように対処したらよいか分からない」という声を聞きます。今回、子育て支援員によって子どもの生まれた家庭を訪問し、子育てハンドブックを手渡す「子育て家庭訪問」を予定しているとのことは、評価するものです。しかしながら、対象となる幼児は地域にまだまだ多く、任期2年の中で何をやったらいいのか、試行しながらのスタートだったようです。
今後、子育て支援員の役割をどのように方向づけようとしておられるのか、お聞かせください。
ある保護者から「保育園に入れなかったので引越しを考えている」とのこと。また、ある40代の友人から「子どもを預かる仕事をしたいのだけれど、ボランティアではなくある程度の収入も欲しい」との相談を受けました。
千葉市では認可外保育施設のうち認定基準を満たした施設を「保育ルーム」と名づけ、待機児童の解消をはかり、認可保育所に入所できる資格がある児童には助成を行っています。待機児童と保育に携わりたい大人の両者を、この「保育ルーム」はうまくつなげています。
大きな保育園を作るのではなく地域にすむ人の力で支えあえれば、こんなに素晴らしいことはありません。
市原市でもこのような取り組みはできないでしょうか?
見解をお聞かせください。
5.発達支援センターについて
昨年の7月からサンハートの中に、発達支援センター「スマイル」が設置されました。「発達支援」という名称を見ると、専門療育もやってくれるのではないかと期待してしまいます。しかしながら、現実には専門療育が充分になされていません。毎日の療育相談もありますが、ここに通われる保護者の皆さんは、我が子の発達の違いに戸惑いを感じ、専門療育を期待してきますので、その期待が大きいだけにそれが不満として表われてきます。
そこでお尋ねいたします。
1点目、発達障害に関わる専門医である児童精神科医が必要との声を保護者から聞きますが、実際のところどうなのでしょうか、お聞かせください。
2点目、家族の支援という側面からいくと、療育相談とは別に当事者・家族による身近な相談窓口が必要と考えます。
そこに携わる人は、同じ経験をされ共感できる保護者ですので、安心して本音が出せるのではないでしょうか。ボランティアで月に1回、そういう日を設けたらよいと考えますが、見解をお聞かせください。
地域生活支援の前提として個別支援計画が重要と考えますので、お子さんと保護者の意思とニーズを最大限尊重し、計画作りに取り組んでください。
今年4月から受け入れ児童を50名から60名に増やし、多くの方々の要望に応えようと療育体制を工夫されたことは評価するものです。しかし、そのために職員の人員不足で一人一人の障害の特徴や個性に適したきめ細かな対応が難しくなってきていると聞いていますが、人員は足りているのでしょうか、お聞かせください。不足であれば、あと何人必要なのでしょうか。
また、障害程度の軽い子や現況の落ち着いた子には一般の幼稚園入園または並行登園を勧めておられますが、障害があるという理由で入園できにくくなっています。公立幼稚園が率先して障害のある子を受け入れるべきですが、現実には受け入れ体制ができていないという理由で、断っています。
保育という福祉の分野では障害児を受け入れ、共に生活し共に成長するように図られていますが、教育の分野では、障害児が障害の状態に応じて充分な教育が受けられるようにという理由で、分ける教育を進めているように感じてしまいます。子どもを真ん中において継続的な、縦割りでない福祉と教育の連携、障害があってもなくても共に育ち学ぶことが重要と感じますが、市長の考えをお聞かせください。
障害があっても皆と同じように地域で暮らしたいと願っている家族や本人がほとんどです。
平成17年4月1日から発達障害者支援法が施行されています。発達支援センターの役割は、就学前から学齢期における切れ目のないフォローアップ等が期待されていますが、今後の取り組についてお聞かせください。