平成19年度 第1回市原市議会定例会 3月8日(木)
市議会レポート【個別質問】上符玲子
市民ネットワークとして政策づくりのために地域の多くの方々にアンケートに答えていただく活動を行ってまいりましたが、まさに暮らしの現場からの生の声をたくさんお聞きすることができました。今回は特に、市民の皆さんから寄せられた意見を中心に質問をさせていただきます。
1.市民の交通手段の確保について
(1)コミュ二ティバスについて
広大な面積を擁する本市においては、移動手段が課題であり、バスを中心とする公共交通の充足が不備なために車に頼らざるを得ないということと、そのことがまた、公共交通の利用減を招くという、悪循環をも作り出しています。
今後の高齢化の進行を考えたとき、やはり交通手段の確保は無くてはならない課題です。
そこで質問ですが
1. コミュ二ティバスの取り組みは現在は青葉台地域のみですが、実施計画事業の中での予定と実現見込みについてお聞かせください。
2. また、事業者の理解が得られず、加茂地域のコミュ二ティバスの計画が停滞しているとのことですが、今後の展開にも大きく影響する問題と考えます。どのような姿勢で臨んでいくのか見解をお聞かせください。
3. コミュ二ティバスの立ち上げは、市民に力がないとなかなか実現しない事業です。そういう意味からも団塊の世代が退職を迎える、ここ何年かが大きなチャンスと考えます。実際のニーズはその10数年後かもしれませんが、その時に立ち上げようと思ってもうまくいかないと予測されます。先行投資も覚悟で望むべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(2)交通弱者対策について
交通手段の確保の中でも対策が急がれるのが、交通弱者に対する対策です。高齢者、障がい者を中心として公共施設や通院への移動手段にも、まだまだ事欠くのが市原市の現状です。
1. 高齢者保健福祉計画における「外出支援サービス」はどのような検討がされたのか、お聞かせください。
2. 福祉タクシーの制度は、障害者手帳、療育手帳のある方、また65歳以上の寝たきり高齢者の方が対象です。この範囲をひろげることはできないかということですが、例えば自力で移動が困難な高齢者なども検討したらいかがでしょうか。
本市のような広域面積で公共交通がこれだけ薄い地域では、高齢化の進行とも相まって遅かれ早かれ移動手段が問題のトップに上がってくるものと思われます。
タクシーをいかに市民福祉に利用するかということも必要ではないでしょうか。見解をお聞かせください。
2.市境地域における市民サービスについて
瀬又地区の誉田グリーンヒル、萩の台、猪の台は住宅団地として開発されて30年以上経ちますが、まとまった住宅地でありながら市原市のいわゆる市街地からは離れているために、行政サービス上さまざまな不便が生じているという実態があります。
また一方で千葉市の緑区とは道ひとつで隣接し、誉田駅の利用をはじめ、各種施設の利用も位置的には千葉市の施設のほうがはるかに利用しやすいが、他市の施設ゆえに横目で見ながら、どちらからも疎外感を味わわざるを得ないという特殊な事情を抱えた地域と言えます。
長年の懸案であった「上水道の整備」に着手され20年度末に一部供給開始されることは評価いたします。
しかし、まだまだこの地域の住民の方の多くが「市原市でありながら公平な市民サービスを受けていない」という、鬱積した不満を持っていることを行政としてもご存知のことと思います。
昨年の1月に有志の方々から市長への要望書が出されています。市原市の文化福祉施設を利用したくても不可能なことから、千葉市との「行政協定」のような取り計らいを含めて、市民サービスの不十分さを埋めて欲しいという内容です。具体的には駐輪場料金の補助、緑いきいきプラザ利用料の補助、火葬場利用の補助、私設上水道、下水道に対しての補助、側溝への蓋の整備、小中学生の越境入学の許可など7項目に渡っています。
この要望に対しての回答が同年3月にされていますが、全ての項目についてほとんどが「困難でありできない」旨の回答になっています。
その後再度、皆さんから市長宛に回答に対しての意見が出され4月に市当局との話し合いが持たれているようです。
有志の方たちからの要望とはいえ、地域に住む住民の多くの方の気持ちを代表するものだという感じを強く受けます。
そこで質問ですが
1. このような要望書が瀬又地域から出されるということに対して、どのような受け止め方をされているのかお聞かせください。
2. 要望の全てを満たすのは困難だとしても、駐輪場利用への補助、千葉市施設利用について千葉市との行政協定、このほか市津支所からの出先機関による行政サービスの実施など、何か考えるべきではないでしょうか。見解をお聞かせください。
3.高齢者福祉について
少子高齢化時代の到来が叫ばれて久しくなりますが、地域を歩きますと「高齢化」が目に見えて進んでいるのを実感いたします。
もちろん年をとったら全ての人が介護が必要になるわけではなく、ほとんどの人が元気で過ごすわけですが、高齢者の割合が圧倒的に多くなり、やはり高齢者を対象としたさまざまな課題に対処していかなければならないということを強く感じるわけです。
多くの方達の関心事であるのが高齢者福祉です。そこではやはりこれからの生活への不安が大きく占めています。いつまでこの家で、この地域で暮らしていけるのだろうか、できるだけ子ども達に頼らずに自立して暮らしたいが、そのためには経済的な問題、困った時の相談相手、助けも含めて考えておきたいなど、切実な問題として私達の目の前に迫っているのがわかります。
平成18年度以降の介護保険制度が介護予防を重視するという方向に大きく転換し、本市でも第4次市原市高齢者保健福祉計画・第3期介護保険事業計画として、示されました。
そこでいくつか質問させていただきます。
1. 本市の計画書には大きな意味でのビジョンというのがどうもみえてきません。要するに本格的な高齢化時代を迎える20年後に私たちはどのような暮らし方をしていたいのかということが議論され、描かれることが必要だと思うのです。ビジョンはあるのかも含めて、見解をお聞かせください。
2. 年をとってもできるだけ住み慣れた自宅で、そして地域で暮らしたいというのが大半の人たちの願いです。また、改正された介護保険法や介護保険計画を見ますと、財政的な理由が大きいのですが、介護度の低い人は必然的に家で暮らすことを前提とした計画になっていることがわかります。
これらに備えた地域密着型サービスの充足状況はどのようになっているのかお聞かせください。
3. 改正介護保険制度では予防介護の観点が取り入れられたのが特徴となっていますが、国全体でも介護予備軍としての特定高齢者にあたる方達が予想よりかなり少なかったという結果が出ています。
新しく創設された地域支援事業・介護予防事業は具体的に誰を対象に何をしていくのが望ましいのか、20年度までは方針は変わらないとのことですが、今後の展開も踏まえて自立の一般高齢者に対する施策への考え方を簡潔にお聞かせください。
4. 地域生活を支えるためには、地域での助け合いが不可欠であり、元気な高齢者の参加も含めての仕組みづくりが、大切です。先に作られた地域福祉計画の実践など、地域への呼びかけ、投げかけ、提案など行政がある程度のリーダーシップをとりながら進めていくべきですが、準備も含めて見解をお聞かせください。
4.いちはら聖苑の業務委託について
今年の1月にいちはら聖苑の業務を委託されている会社の従業員の方から、私ども市民ネットワークに相談がありました。いわゆる内部告発といえる内容で、会社のひどい実態を訴えるものでした。
この内容は市から業務委託をしている、いちはら聖苑にも関わる問題でしたので、担当の部局にもお話しをし、行政として迅速に調査をしていただき現在にいたっています。
問題と思われる内容は
火・埋葬許可証の名簿から名前、住所を市側には無断で、会社側が用意した用紙に書き写していること。
いちはら聖苑の業務に従事する人数は仕様書では7人と定められているが、実際には7人が充足されていない場合が多いこと。なぜならばこの会社が経営する、葬祭場との兼務をさせられている従業員が多いために、仕事の入り具合によって、両仕事場を移動して仕事のやりくりをしているのが実態であると聞いています。
また、従業員と会社間にはきちんとした雇用契約書も結ばれていないために、社長の一言で解雇されてしまうという状況が起きているとも聞いています。
その他、葬祭場では業務上により発生したゴミを家庭ごみとして出すなどの行為も行われているようです。
今回、告発した方が不利益をこうむるかもしれない状況もある中で、あえて質問に取り上げましたのは、これらの問題が要因となって、市民の生活に密着したサービスに対して、今後支障をきたす恐れがたぶんにあるからと判断したからです。そこでいくつか質問をいたします。
1. 内部告発を受けてどのような調査が行われ、現段階ではどのような対処が行われているのか。状況をお聞かせください。
2. この業者については明らかに仕様書に違反しているのだから、委託を取り消すなどの処分が必要と思いますが、見解をお聞かせください。
3. この業者は他に指定管理者としての業務を委託されているが、そちらに対しては、問題なく事業は行われているのか、お聞かせください。
4. これらの問題について、委託者である市の監督責任をどのように捉えられているのか、お聞かせください。
5.市原の農業について
国においては「食料・農業・農村基本計画」が17年3月に閣議決定され、また本市においても今後10年間においての農業政策をまとめた「市原市農林業振興計画」が昨年8月につくられました。
農業の衰退は食糧問題にとどまらず、地球環境や人間の生きる環境そのものに大きな影響をあたえることが予想されます。
担い手の減少や高齢化が進む中で、農業をとりまく状況はほんとうに厳しく、果たして政策がその現実に追いつくのか、悲観的にならざるを得ないというのが実感です。
地域という現場で、できるだけの力を出して農業の活性化をはかり「元気な農業」を実現させていくことが強く求められているとの観点からいくつかお聞きします。
1. 地産地消への取り組みでは、この1年でどのような進展があったのでしょうか。具体的なプログラムの策定についてはどのように進められているのでしょうか。
特に直売所の増加と店舗間のネットワーク化というのが計画でも上げられていますが、具体的な動きについてお聞かせください。
また「あずの里」に準ずるような農産物直売所を何箇所か増やして、地場農産物がもっと消費者の目に触れる場作りをしていく必要があると思いますが見解をお聞かせください。
2. 農産物加工など具体的な事業についてですが、パウダー化の事業はどのように進められているのでしょうか。
また、女性を中心とした新規の起業家、起業グループが立ち上がるように働きかけるべきと思いますが、見解をお聞かせください。
とにかく市原中に「地産地消」の風が吹いているという状況を作り出すことが、大事と考えます。
次に「担い手」の問題についてお聞きします。
今年の4月から国の補助金のあり方も大きく変わり、集落営農組織や認定農業者など、農地と担い手を守るという明確な方針になりました。
これにたいして市原市の農業はどうなるのか気になります。 水田耕作は2種兼業農家が多く1戸あたりの耕作面積も少ない中で、今後の政策展開が問題になるわけですが、利用集積が積極的に図られ、耕作農地として受け継がれていくように対策をとることが、喫緊の課題です。
どちらにしても「担い手」がいないというのが最大の問題だということを、私も農業委員を少しやらせていただく中で、実感しております。
そこで質問ですが
1. 担い手として新規参入者を増やすことも、大変重要と考えますが、どのような政策がおありでしょうか。特に若者や団塊世代といった方たちへの具体的な、アプローチが必要と考えますが、計画中あるいは現在進めていることがありましたら、お聞かせください。
2. 農業委員会についてお聞きします。
教育委員会改革と並んで、国のほうでも農業委員会改革がいわれています。
その存在が必要かどうか議論のあるところですが、農業委員会の重要な仕事でもある「遊休農地対策」や「農地の流動化・利用集積」などに対して全国の農業委員会では新しい動きがあります。本市での現状と今後の取り組みについてお聞かせください。
また、新しい風を入れるという意味でも、女性農業委員の選出も考えるべきですが見解をお聞かせください。