平成19年度 第3回市原市議会定例会 9月12日(水)
市議会レポート【個別質問】桑田なお子
1.市長の政治姿勢について
市長はじめ執行部の皆様には、「やすらぎと活力」を基本理念に、すべての市民が心から「住んでよかった」「住み続けたい」と感じるような「ともに輝く元気なふるさといちはら」を都市像に掲げ、市政運営に取り組まれていることに敬意を表します。
まず、五井駅東口を含む都市交流核構想について伺います。
今回、都市計画マスタープランの見直しが行われ、その素案が策定され、市原市の目指す都市像や都市の整備方針などのまちづくりについての基本方針が示されました。
それと同時に、来年度から始まる新実施計画の中間報告もなされました。
まちづくりは基本的にはそこに住む人が作るものです。行政側から言えば、市民との協働が欠かせません。都市の活力を生み出す拠点として、それぞれの地域核は、人が住み生活している中心部、日常生活圏での個性を生かしたまちづくりが求められます。
今回、都市交流拠点として位置づけられた五井駅東口の開発は、まだ、そこに人が暮らしていないわけですから、暮らしの営みが想像できません。
計画上では、都市交流拠点は五井駅西口も一体として考えるということですが、果たして東口に対して、しっかり地に足のついた計画であるのか、はなはだ疑問です。
まして、文化の森までを含めた都市交流核となると、その核となるのはどこなのか、明確ではありません。
そこでお尋ねいたしますが、広い都市交流核の担い手として、どの地域を想定しておられるのか、又、五井駅、総合公園をふくむ東口、西口、市役所、山倉ダム、文化の森一体を結んで、どのように核として育てようとイメージしておられるのか、お聞かせください。
(答弁)
五井駅周辺地区から市役所を中心とした国分寺、文化の森周辺地区までを「都市交流核」と位置づけ、商業、業務機能と交流機能の充実を図り、名実ともに本市の顔づくりを目指すこととしています。
次に、交通対策について伺います。
市内を4つのゾーンに分け、都市マスタープランについて7つの会場で、市民懇談会を開き情報の共有がはかられました。
参加された皆さんは、自分達の地域の今後の計画についてもっと具体的な話を聞きたかったのではないかとも思いますが、市民との意見交換を図る上でひとまずは、よかったと思います。
そして、どの会場でも「高齢者が暮らし続けられるまちづくり」と「足の便の確保という交通対策を重視したまちづくり」の2つは、共通の課題としてあげられていました。
そして、これらの課題を達成するために実施計画の中でいろいろな事業を立ち上げ、その解決に向かって取り組んでいることは理解できました。しかし、交通対策では、道の整備などのハード面の事業が多く、ソフト面に対する充実は、まだ不十分のように思いました。
長年の課題でもある交通弱者に対する支援策、交通対策に対して、市長の意気込みをお聞かせください。
(答弁)
市内の交通体系を検証し、課題を明確にし、課題解決に最も有効な方策を模索し、市内交通問題を総合的に勘案した「交通マスタープラン」の策定を急いでいます。
次に地域間格差について伺います。
このマスタープランでは、あるべき都市像が示されていますが、あるべき郡部の姿は示されていません。実は、同じゾーンの中にも、市街地、市街化調整区域、その他地域が含まれています。市街地は人口も増え、便利になっていきますが、市街化調整区域と位置づけられた昔からの集落は、自然に恵まれた地域ではありますが、通学路を確保しようにも道幅が広げられないなど生活に不便で、ますます、人口減少地域になっています。この市原市でも地域間格差が広がってきています。
南部ゾーンだけでなく、西部ゾーンにも開発された大型団地に隣接した古くからの集落があり、この地域には、予算の投資が少なく、そこに住む市民の中から不公平さを訴える声も届いています。
例えば、すぐ近くにある団地では、光ファイバーでインターネットが使えるのに、まとまった戸数がないためにそのインターネットさえも使えない。そのような地域が、この市原市の中にあるのです。このような不利益をこうむっている地区に対して、市長としてどのように考えておられるのか、このような現象は仕方のないことなのか、何か対策を考えられるのか、見解をお聞かせください。
(答弁)
都市計画マスタープランでは、快適な居住環境づくりを目指しその必要性を掲げています。
既存の集落等も含めた日常生活圏のより具体的なまちづくりにつきましては、市民等との協働により、地域特性を踏まえたまちづくりを進め、市域のバランスある発展と魅力ある価値の創出をめざします。
(感想)
何がなんだか、今、ひとつ分かりません
次に医療体制の強化について伺います。
人が「住みたい」と思う条件に、買い物など生活に便利か、子育て中であれば、子どもにとって育てやすい自然環境であるか、教育に困らないか・そして医療・福祉の充実が図られているかどうかなどがあります。とくに医療に関しては、年代を問わず関心の高い分野です。
市原市は30万人都市を目指しているのであれば、救急医療体制を整えるべきと考えますが、残念ながら3次医療といわれる救急医療センターがありません。それに代わるものとしてドクターヘリの導入も考えておられるのか、救急救命医療体制についての見解をお聞かせください。
(答弁)
千葉県は平成13年にドクターヘリを導入しており、帝京大学ちば総合医療センターと千葉県循環器病センターにヘリポートが整備され、利用されています。
先日も、新聞報道でありましたが、救急車で運ばれた患者が病院をたらいまわしにされ、充分な医療を受けられませんでした。一方、救急車を呼ぶほどではない軽度の利用者の増加が、重篤な患者の受け入れ体制を遅らせています。救急車を気軽に使ってしまう理由として、病院の情報が少ないためどの病院に行ったらよいか分からない、あるいは子育て中で相談する人がいないために、夜間に救急車を呼んでしまうとの報告がなされています。
これらの課題を解決するには、当番医だけではない病院の情報を知らせ、子育て支援の充実をはかるなどの整備、そして又、市民の意識改革や、『かかりつけ医』を持つようにとの啓発活動などが必要です。また、地元医師会との連携も含めた、保健、福祉の充実・連携が欠かせません。「かかりつけ医相談窓口」などの地域医療体制も必要です。市長は、市原の医療体制の整備について、どのような方針をお持ちなのかお聞かせください。
(答弁)
三次医療施設については、県に対し整備を強く要望しています。
病院の情報提供や、子育て支援のさらなる充実をはかり、医療体制の持続性の確保や医療資源の適正な活用、「かかりつけ医」を持つための啓発活動など、市民の安全安心のため努めてまいります。
市長は「オンリーワンの施策」を掲げておられます。
二期目に入り、今後4年間で、具体的には、何を最優先して実現しようとしておられるのか、お聞かせください。
(答弁)
二期目にあたっては、「安心安全、住みやすさ一番のまち」「活気に満ちた地域力一番のまち」「パートナーシップによる市民力一番のまち」の3つの目標を掲げ、とりわけ、「子育てと教育」に力をいれます。
次に、大規模災害時における協力体制について伺います。
さて、去る9月1日の防災の日、八都県市合同防災訓練が市内で行われ、災害応急対策と各種関係機関相互の応援体制の見事な連携プレイが披露されました。災害はいつ起こるか分かりませんので、備えとして訓練は必要ですが、この訓練内容のような大規模災害が起きないよう、願ったのは私だけではなかったと思います。
一旦、大規模地震が起きますと、関東一円が巻き込まれることになります。現在、市原市は埼玉県の所沢市と災害協力協定を結んでいますが、関東ではない遠く離れた自治体とその協定を結ぶことも検討すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
予測を超えた震災被害が発生した場合、国において激甚災害の指定などの措置や今回の中越沖地震の例に見られるように、全国市長会や都道府県を介して、地域を超えた応援体制が図られるものと考えているので、遠く離れた自治体との協定は考えていません。
2.市民と協働のまちづくりについて
協働は市民と行政が対等の立場で、ともに学び成長していく場であり、成熟した市民社会を築くため、欠かすことができません。総合計画の実施も、地域福祉計画も都市マスタープランも市民と行政がそれぞれの役割と責任を果たしながら協働して取り組む事業です。
計画をつくるまでは、何度も会議を重ねる大仕事ですが、計画策定が終わると、とたんに、仕事が終わったような気分に、とかくなってしまいがちです。しかし本番はそれからです。総合計画の中の現在の実施計画では、市民まちづくり事業実施率の2007年の挑戦値が40%となっていますが、現在どんな事業が、どの程度実現しているのでしょうか。お聞かせください。
(答弁)
姉崎・有秋地区の「あおばす」の運行、市津・ちはら台地区の「青空保育」や南総地区の「南市原花いっぱい運動」などです。
事業をスムーズに進めるため、市民と行政の役割分担として、行政が担うべき分野はどういうところなのか、お聞かせください。
(答弁)
協働事業がスムーズに実施できるよう、広報紙への掲載、活動の場の提供、事業の共催、後援など、行政が持つ情報手段の活用や情報提供また公共施設の利用などです。
市内でも、地域の防犯パトロールや、青葉台のコミュニティバスの「あおばす」、公園整備の愛護団体が活躍しています、また、文化的な面では、個人のギャラリーも市内にあちこちで開設されています。先日も「ものづくり展」で、市内で創作活動している多くの方々に会うことができました。このような、市民の自主的な活動が、あちこちで生まれ、盛んになっていることは、本当にすばらしいことです。
また、昨年オープンした市民活動センターは、「iほっと」という愛称がつけられ、運営協議会も立ち上がり、市民に知られるようになってきました。更に市民に周知するための対策など、ありましたら、お聞かせください。
(答弁)
広報紙などを通じて、広く周知に努めます。
昨年(平成18年)3月に「市原市協働によるまちづくりルールへの提言書」が出ました。
6つの提言がなされていますが、その中の一つに市役所各課に協働担当を配置し、協働担当者会議を設置すること、とありますが、その進捗状況をお聞かせください。又、市民活動を支える資金提供の仕組みをつくることに関しての、今後の予定をお聞かせください。
(答弁)
既に各課に協働推進員を配置し、先頃、会議を開催したところです。
資金提供の仕組みづくりは、検討していきます。
又、行政が、市民を公募する事業も増えています。
例をあげますと、海づり施設運営審議会・多文化共生推進懇話会・食育指導員などがあります。
このような市民が参加する事業をさらに拡充するべきと考えますが、この場合、参加者の公募にあたり、活動の趣旨や目的をはっきりと伝えることが大切です。募集要項には書かれてあっても、人と人の間で確認され、動機づけがないため、意欲が今一つわかなかった、との声も聞いています。市や関連団体にもその趣旨と目的の説明を徹底すべきと考えます。例えば、消費生活センターのモニターの仕事が何に役立っているのか知らせる事などです。これについての見解をお聞かせください。
(答弁)
公募により委員をお願いした方々には最初にその担うべき役割をご理解いただき、ご協力をいただいております。
又、パブリックコメントなどで、市民の意見を募集した場合、その意見がどのように反映されたか、市民に分かりやすく知らせるべきです。従来のような「聞き置く」だけでは、意見を寄せた参加者の信頼を得ることはできません。
これからの市民活動の継続・発展のために、寄せて下さった意見がどのように反映されたかを報せていくことについて、今後の方針をお聞かせ下さい。
(答弁)
先進市の状況等を踏まえた中で、制度化に向けた作業を現在進めております。
3.学校の適正な規模について
市内にある中学校21校のうち、全校生徒数98人から大規模校では828人と9倍近い差があります。市街地にある学校は、特に新しい住宅が建つ地域は、生徒数も増えていきますが、いわゆる市街化調整区域になっている農村地帯では、年々減少しています。
今回、市原市学校規模適正化検討委員会から基本的な考え方の報告がありました。
市南部地区では、将来的に複式学級になることが見込まれ、その学校の適正化を図るため、同地区の小学校を統合する方法や小学校と中学校を併設し、小中一貫校を開設する方法が示されています。
しかし、学校は、単に児童生徒のためだけの学校でなく、保護者や地域住民の方々の想いが集まった地域の中心でもあります。その規模、地域での位置づけなど、地域の人を交えての充分な話し合いが必要であり、地域の中心としての学校という位置づけで考えるべきです。
さて、自然豊かな東海中学校は、今まで学年に2クラスあったものが、今年初めて1年生は1クラスになりました。小規模校では、学校・地域・家庭が一体となり、まさに「おらが学校」として地域の中で重要な役割を果たしています。小規模校の良さとして、先生方が生徒全員の名前と顔を知っていて、きめ細やかな指導ができ、家族的な暖かさの中で生活できることなど、多くのメリットがあります。しかしながら、子どもたちの部活や教育環境を考えますと、引越しして子どもが入りたい部活がある大きな学校に移る方がおられるのも、又、事実です。
生徒数が少ない学校がますます少なくなってしまう、悪循環をおこしています。
保護者は「このままでは廃校になってしまうのではないか」という危機感をもっています。
そこで3点伺います。
1点目、東海中学校に隣接している五井中学校や、千種中学校は生徒数が年々増えていますが、学区の見直しを図り、小規模校へ生徒が通うような方法は考えられないでしょうか。
(答弁)
住んでいる皆さんの意思や通学距離、地域性等諸事情を総合的に勘案し、慎重に判断します。
2点目、小規模校が不利になるような教育環境は改善すべきと考えます。県では免許外教科担任を減らす対策を採っていますが、充分ではありません。市の単独でも行うべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
教員の配置は、国や県の責任で行うものと考え、教職員の定数改善や非常勤講師の配置を強く要望してまいります。
3点目、部活において小規模校でも顧問になる先生を複数置くか、あるいはサポートする体制を作る必要があるのではないかと思いますが、それに対する考えをお聞かせください。実は、ある保護者から「試合前日にも関わらず顧問になる先生が不在で、生徒は練習ができず試合に臨んだ」という話を聞いています。
(答弁)
部活動における顧問不足に対応するため、本市では、外部指導者や学校支援ボランティアに支援してもらっている。更なる支援につとめます。
4.児童虐待防止対策について
児童虐待により子どもの命が失われるなどの深刻な事件が頻発しています。
全国の児童相談所に寄せられた相談件数は平成18年度で37,343件、千葉県では1,287件、市原市では72件となっています。
その背景には、虐待問題への関心が高まり「発見」されやすくなったこともあり、虐待自体が増えたとは言い切れません。しかしながら、虐待を引き起こす要因は、今の社会では減ってはいません。
市原市では要保護児童対策地域協議会を設置し、関係部署と連携し、それぞれの事例に対応されていることは評価いたします。
厚生労働省では、虐待に関する情報については、すべて虐待通告として受付け緊急受理会議を開催することを徹底するように、又、安全確認に関する基本ルールを設定しています。具体的には48時間以内の安全確認です。
そこで3点伺います。
1点目、市原市ではこの時間ルールを設定しなくても、安全確認を行っているということですが、この時間ルールの採用もすべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
実質的には48時間ルールも視野に入れた迅速な対応に努めています。
2点目、市原市の相談窓口は中央児童相談所になっていますが、第一次的な窓口は市原市になっています。一刻を争う事態も今後考えられます。であるならば、立ち入り調査や一時保護ができる取り組みが必要と考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
児童相談所にまず通知し、同行するなどの対応をし、さらに緊急性が高いときは警察等の関係機関に同行を依頼する。
3点目、時間に制約されず、肌理細やかな対応をするには、専門の相談員が嘱託ではなく正職員として相談体制を強化すべきです。当局の方針をお聞かせください。
(答弁)
更なる体制強化に向け必要に応じて関係部署と協議してまいります。
虐待は、家庭内で起きるプライベートな出来事のように見えますが、何故起きるかを考えれば、社会の問題であり、虐待する親が援助の必要な人です。経済的に厳しい状況や育てにくい子どもだったり、又、家族そのものが地域社会から孤立している場合など、それらを解決するには、貧困対策や雇用対策、福祉施策を充実させて虐待の危険性を減らす取り組みが必要と考えます。
今回、児童虐待ではないかという相談を受け、調査した結果、虐待ではなく、脳性マヒの障害特性からおきる奇声だったことが分かりました。
このことから、隣近所のお付き合いの大切さや、地域で支えあう社会づくりが課題であり、又、個人情報保護が、一歩踏み込んだ対応を遅らせていることを感じました。
そこで伺いますが、民生児童委員は一人暮らしの高齢者だけではなく、見守りの必要な家庭にも訪問する仕組みを作るべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
これまでも、担当委員に家庭訪問などをお願いし、協力をいただいています。
個人情報保護に対し過剰な反応をし、それを動かない理由にしてはいけないと思いますが、
それに対しての見解をお聞かせください。
(答弁)
個々の事例に照らし合わせ、適切な対応を図っていきます。
5.高齢者虐待防止対策について
平成18年度千葉県の高齢者虐待の相談・通報件数は646件、市原市は3件という報告がなされ、そのうちの2件が認知症ではないかと思われています。
介護を必要とする高齢者のうち、認知症が認められる人は全国で約150万人、在宅の要介護状態の3人に1人は認知症だといわれています。
介護は奇麗事ではすまされず、虐待を好きでしている人もいません。追い詰められる現実から目をそらさず、介護者が加害者にならずにすむ支援を考えなければなりません。
児童虐待の場合、近所の人からの通報で比較的表に出てきますが、高齢者虐待の場合、訴える力のない本人と沈黙する家族、閉鎖的空間になりやすい施設で起きている場合、なかなか表面に出てくることはありません。それでも、家族任せだった介護を介護保険制度で
「社会全体で支える」仕組みになったことは評価するところで、虐待の通報があったのも約3割がケアマネージャーなど介護保険関係者からです。
しかしながら、いまだに世間体や経済的負担を気にかけて、充分な在宅サービスを受けない家庭もまだ多いのが現状です。
国では高齢者虐待防止法が平成18年4月から施行されています。
県内で高齢者虐待防止ネットワークが整備されているのは9箇所。今年度の整備予定は24箇所です。残念ながら市原市は整備予定市町村に入ってさえいません。
そこで、3点伺います。
1点目、市内で相談件数が3件というのは、実数というより地域包括支援センターへ連絡があった件数です。現状を把握すべきと考えますが、どのような対策を取っておられますかお聞かせください。施設内の行われる虐待、もっと見えにくい在宅での虐待、問題解決は簡単ではありませんが、対策、取り組み方針を具体的にお聞かせ下さい。
(答弁)
各関係部署、医療機関に対して実態調査、意識調査を行っています。
2点目、市原の高齢者虐待防止ネットワークの設置に関しての今後の予定をお聞かせください。
(答弁)
検討していきます。
3点目、法律では高齢者虐待の防止と養護者に対する支援も掲げられています。
その支援の内容をどのように考え、支援をしようとされているのか、お聞かせください。
(答弁)
虐待の性質にもよりますが、「措置入所」「継続した見守りと予防的な支援」など、ケースに応じた支援策を検討中です。
6.自殺対策について
日本では、9年連続で3万人を超える人が、自ら命を絶っています。
市原市でも、昨年64人の方が自ら死を選んでしまいました。
一日およそ1,000人、これは未遂も含めています。自殺率は、先進国の中でトップであり、アメリカの2倍、イギリスの3倍です。交通事故死者数の4倍以上、しかしながら、自殺対策の予算は交通安全対策予算の1700分の1になっています。
世界保健機構(WHO)は「自殺は防ぐことのできる社会問題」と明言しています。
自殺統計は40年前から始まりましたが、青少年の数が最多の886人に上っています。
青少年層の数は3%に過ぎませんが、未来を担う若者の自殺が増加の兆しを見せたことは、重く受け止めなければなりません。
先日(8月25日)、NHKテレビで「青少年の自殺を考えよう」との番組も放映されました。
「子どもとしっかりと向き合うこと」、「愛のあるおせっかい」が大人に求められていました。子どもの問題というより、大人社会の問題だと感じました。
そして又、働き盛りの中高年男性が、借金や仕事・生活上の問題で行き詰まり、追い詰められての自殺が一番多いわけですが、痛ましい限りです。自殺者の約8割が男性です。
さて、自殺対策基本法が成立して1年たちました。これは、自殺を憂慮する人々の「3万人署名」の動きがあり、わずか1ヶ月半という期間に10万1055人の署名が集まり、法制化に至りました。もはや、個人の問題ではなく社会で取り組まなくてはならない問題だと多くの人々が認識している結果です。
厚生労働省は自殺防止のモデル自治体を選定し、それぞれの取り組みを通して得られた成果を皆で共有する「地域自殺対策推進事業」に乗り出しました。そして、千葉県もその中に入っています。そして、9月10日から16日までが「自殺予防週間」になっています。
そこで3点お聞かせください。
1点目、自殺と「うつ病」は、密接な関係があるといわれ、「うつ」は誰でもかかりうる病といわれていますが、市原市では、その実態を把握しておられるのでしょうか?有効な対策をとるため把握すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
通院医療費の助成制度である「自立支援医療(精神通院)」の利用者のうち、「うつ病」と診断された方は、平成19年3月末現在で約600名となっています。
2点目、自殺した人の約8割が相談せず、保健所が相談機関だということもしらないという報告があります。「うつ」になる前に、多重債務が原因であれば、消費生活センターが窓口になっていますが、そのことを知っている人は多くありません。これらのことをどこが中心になって啓発活動を行っていくのかお聞かせください。その相談体制にどれだけの人が割り当てられているのかもお聞かせ下さい。
(答弁)
市が毎年実施している「心の病気がわかる勉強会」の中で「うつ病」をテーマとする講演会の開催や、国・県の自殺対策に関するイベント等についてのパンフレット配布、ポスター掲示などを実施しています。相談窓口「自殺予防 いのちの電話」などの周知にも努めます。相談体制はこれから研究していきます。
3点目、病院などの医療機関や相談室などの連携が大切でありますが、個人情報保護を優先し、情報の共有化が図れないのではないかと懸念します。それに対しての対策をお聞かせください。
(答弁)
市内の医療機関や相談機関・行政を構成メンバーとする「精神保健福祉連絡会」を年4回開催し、連携を深めると共に、情報の共有化に努めています。又、市と市原健康福祉センターにおいては、連絡会議を毎月1回開催し、情報交換やケース検討を実施していますが、今後も連携強化に努めます。
7.外国人市民に対する支援について
厚生労働省の2005年「人口動態統計」によりますと、国際結婚の比率が5.8%、今や、結婚している17組に1組は国際結婚になっています。
市原市も外国人登録者数は約5,000人でこの10年間に約1.5倍に増えました。
国籍(出身地)が、この10年で40カ国から50カ国に増えています。一番多い国籍はフィリピン、次が韓国・朝鮮、そして中国、そして続くのはブラジル、ペルーとなっています。
市原市では、平成19年3月は、互いの国籍や文化を認め合い、誰もが元気に暮らせるまちの実現を図るため、「市原市多文化共生プラン」もできました。
又、教育委員会では、小学校や中学校に在籍している外国人子女に対して、日本語指導や学習指導を担当する教員を加配し、又、指導協力者や支援員が学習支援をおこなっています。
そして又、社会人に対しては、市民団体などが開いている日本語教室があります。
文部科学省は、平成17年から18年度に全国の政令市12の自治体を対象に、外国人の子どもの就学状況調査を行い、小中学校段階で就学していない子どもの割合が1.1%だったと発表しています。このほか連絡が取れなかった人が17.5%ですので、その割合は増えていきます。
その理由は「学校に行くお金がないから」と思われます。
そこで、3点お聞かせください。
1点目、学校に行っていない子どもの数は把握していないとのことですが、何らかの形で、
実態を把握すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
小中学校に就学している外国籍の児童生徒は、平成19年9月1日現在で、281名です。しかし、この数は外国人登録をして就学願いを出している外国籍の児童生徒の数です。保護者が就学を願い出ない場合の児童生徒の数は把握できていません。外国籍の保護者に就学させる義務はなくても、児童生徒に適切な教育を施す必要はありますので、その実態把握に努めます。
2点目、外国人市民の新規転入者に対しては、生活ガイド等を配布していますが、広報いちはらに載るような情報は、配偶者の片方が日本人である場合を除き、新聞を取っていない人が多く、その情報が届いていません。
必要な情報をいかに届けるのか、課題です。市原市のホームページでは、英語・スペイン語・中国語・ポルトガル語で翻訳されていますが、この情報はパソコンを持っている人に限られてしまいます。外国人市民が集まる外国人料理店などの場所に日本語にルビを振った情報を提供すべきですが、他にどのような対策を考えておられるのか、お聞かせください。
(答弁)
今年度から、広報紙の一部をホームページに多言語表記して、その情報を外国人市民の集まる食料品店などで配布しています。又、日本語教室は、外国人市民間の交流や情報交換の場として、日本人ボランティアからの情報を得る場にもなっていますので、本年10月から、日本語学習支援ボランティアを養成し、日本語教室の拡充に取り組みます。
3点目、公共施設や道路標識などの案内表示は、日本語だけでなく外国語(英語)でも併記されているのもありますが、まだ不十分です。災害時用にも必須ですが、どの範囲で、いつ頃までに行うのか、予定をお聞かせください。
(答弁)
案内標識を整備する際には、ローマ字併用表示を行っているところです。
公共施設や道路標識などの案内表示については、引き続き、環境整備に取り組んでいきます。
8.残土問題と水質保全の環境問題について
市原市の残土・産廃問題は、ピーク時の9分の1に減ってきましたが、山は崩され谷は残土・産廃で埋められてしまいました。議会でも何回か取り上げました栢橋の残土処分場の事業者は、違反を犯し業務停止になっても、次に役員を変え新しい会社を作り県に申請し、書類上不備がなければ許可されるというやり方で、現在、事業者名を変えながら、事実上、第5次残土の埋め立てと、隣接地では山砂を取っています。次々と拡大を続けた結果、現在、これまでに既に約30haの水源涵養林が消え、代わりに340万立方mの建設残土が入りました。
かつて豊かだった森林は見る影もなく、赤茶けた土がむき出しになり、保水力がないため雨が降ろうものなら、隣接の山林に土砂が流出し、樹木の埋没、立ち枯れなどの被害を及ぼしています。
事業者は、これまでの指導に従わず、又、県も民々の問題であるとして、原状回復への姿勢が生ぬるかったのは事実でした。そのため、被害を受けた地権者の問題は解決されず、今も裁判は続いています。
緑はたくさんある、と思っているうちに、気がついたら禿山になっていた、ということのないように、たとえば、都市部以外でも土地利用計画をつくって適切な規模での開発にとどめるよう、一定の歯止めをかけるべきと考えます。
アセスメント(環境影響調査)の対象は40haであり、それを避けたい事業者は、巧妙にそれ以下の規模で開発許可を得ようとします。しかし、細切れの事業がつながって大規模な残土処分場になり、周辺に影響を及ぼします。環境影響評価基準面積を改正するよう、また、隣接同種事業は一体とみなすなどの制度改正をすべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
対象規模も、埋め立て事業については、自然公園等の区域内は10ha以上、また区域外は40haとするなど、一定の配慮がなされているので、県の基準を尊重していきます。又、その合計面積が対象基準面積の40haを下回る状況下では、改正する必要はないと考えています。
残土処分場の事業を行う場合、しばしば町会と協定書を結びますが、形だけになっています。その内容は事業に伴う公害、災害及び交通問題の発生を防止し、地域住民の健康で文化的な生活を保護するためとありますが、その約束を破った場合どうするのか、という罰則規定が弱く、あいまいです。住民側は業者に守らせる責任があるにも関わらず、現場に足を運んでまで、住民が業者を監視することは大変なことであり、なかなかできません。行政は、まず、事業者が規則を守って事業を行っていない場合、その事実を住民に知らせることも必要かと思います。現実的に知らせることができるのか、できないとすれば、どんな対策ならとれるのか、お聞かせください。
(答弁)
協定違反行為に対する罰則規定は、町会ごとに様々で、土砂の撤去、事業の中止、撤退、事業後の賠償責任など厳しい内容を盛り込んだものもあります。市は、協定を遵守した事業が行われるよう、監視を強化すると共に、関係町会には情報提供していきます。
今年の夏も養老川(妙香地区)に係る水質汚染問題に関する第7回住民説明会が行われました。平成10年「環境ホルモン緊急全国一斉調査」で養老川浅井橋地点で4-ターシャリー・ブチルフェノールが全国最高濃度(0.00072mg/リットル)で検出されました。平成15年度からガス吸引井戸及び揚水井戸を埋立跡地内に設置し、汚染物質の除去及び拡大防止のための対策が始まりました。
説明会では「河川の水質、井戸水は基準を満足していた」という説明でしたが、いつまで続くのか分からないこの事業に対して、井戸水を使っている住民は不安を抱いています。
今のやり方では、全量把握もできないし、終わる目途もたっていません。再検討する必要があるのではないか、と思いますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
水質汚染については、千葉県と役割を分担し、協力しながら対策を実施し、その効果は徐々に現れてきていると判断しています。住民の方から、汚染の広がりを正確に把握するためには、地下水の流れに応じた調査地点を充実すべきとの提言がありましたので、今年度の井戸調査に反映させていきます。今後も県と連携を図り、より効率的な処理方法を検討し、周辺住民への健康被害防止および周辺環境への拡大防止を図っていきます。
9.「男女がともに輝く元気ないちはら」について
平成16年に「市原市男女共同参画社会づくり条例」が制定され、この条例に基づいて平成19年3月には「いちはら男女共同参画社会づくりプラン」が策定されました。
若い世代の家庭では、家事も分担し、お互いに働いているのがあたりまえになってきています。子育ても社会全体で支えていこうという機運も高まっています。
しかし、市の政策や事業者の方針の立案及び決定の場には、まだ女性が充分に関わっていません。
そこで、お伺いいたします。
1点目、実施計画の新しいプランでは市の審議会等の委員に占める女性の登用率を平成27年に40%にするとありますが、昨年の時点では20.9%、今年の4月で21.9%となっています。公募枠を広げることで、女性の登用率を上げることができると伺っておりますが、そのほかにどのような方法を考えておられるのか、お聞かせください。
(答弁)
「女性人材リスト」を委員改選時に担当部署に紹介しています。
2点目、市の管理職への女性の登用を進めるべきですが、遅々として進んでいない。今後の管理職登用目標年次、女性管理職割合目標など、聞かせください。
(答弁)
平成19年4月現在、課長職以上の女性職員は2名、構成比1.3%。平成27年度を目標年次に5.0%を挑戦指標とし、女性の管理職への登用を積極的に図ります。
3点目、2015年には出生率が1.4人との挑戦値を掲げていますが、現在の1.21人から引き上げるのは至難の技です。何を重点に施策として取り組んでこの目標値を達成するつもりなのか、お聞かせください。
(答弁)
妊娠出産等に関する健康を支援する環境づくりの推進を重点施策として考えています。このほかにも子育て支援策の充実や雇用環境の促進などをはかっていきます。