平成19年度 第4回市原市議会定例会 12月12日(水)

市議会レポート【個別質問】岡村由美子

1.障害者の就労支援について

平成18年10月「障害者自立支援法」の全面施行により、障害者の就労支援が抜本的に強化されました。「自立支援」という名称は、就労促進が強調されすぎて、働けない障害者がますます生きづらくなるのではないか、との懸念もあり、すっかり納得しているわけではありませんが、ともあれ、全国の自治体でも障害福祉計画を策定、積極的に取り組むことになりました。
昨年4月厚生労働大臣から、公的機関に対し、障害者雇用率の達成はいうまでもなく、一層の雇用促進が要請され、とくに知的障害のある方の採用が極めて少ないので、職場実習の受け入れ等、採用に向けた具体的な取り組みの実施が求められました。
法定雇用率は行政等公共部門では2,1%です。多くの自治体が達成していますが、身体障害の方がほとんどで、知的障害者、精神障害者の雇用はなされていないのが、現状です。今まで法の枠外であった精神障害者も18年4月から算定基準の対象になりました。

千葉県においても、平成18年の知事部局の実雇用率は2,26%と法定雇用率を達成してはいるものの、知的障害の方は2名と少なく、精神障害の方は0名となっていました。そのような中での厚生労働大臣からの要請でもあり、堂本知事の決断により県では全庁的に知的障害者等の雇用に取り組む方針を打ち出しました。時を同じくして、厚労省の「障害者自立支援調査研究プロジェクト」に応募、採択されて、公募による県内法人8団体22名に委託し、昨年8月から県庁で「モデル就労」を行うことになりました。
県ではその結果を「行政(公共)サービス等における障害者就労のあり方に関する研究」と題して、このような冊子にまとめ、知的障害者等の雇用を検討している地方公共団体や民間企業等に活用してほしいと、発信しています。
なお、県庁では、引き続き総務課が中心となって産業人材課等県庁内の関係部局が協力し、このモデルプランを具体的な雇用につなげるために、今年6月から総務課にワークステーションをおいて、チャレンジドオフィスと呼んで6名の知的障害者を非常勤の嘱託職員として雇用しています。
私も先日、千葉県庁を訪問し、モデル就労推進の中心となった、産業人材課の障害者就労支援室の室長に直接にお話をうかがいました。総務課のチャレンジドオフィスで知的障害者の方々が生き生きと働いておられる現場を見学させていただき、障害者が暮らしている身近な市町村で働く場を開拓することの意味を改めて確認してまいりました。
全国で初めての取り組みで、全国の県自治体からたくさんの見学者が訪れ、注目の的となっていますが、県内市町村で訪れたところは佐倉市のみということです。

ぜひ市原市で先駆けて取り組んでいただきたいのです。そこで、今回はぜひ市長にご答弁を頂きたいと思っております。
ここで、市長はじめ皆様によりご理解いただけるように、県でのモデル就労の具体的な取り組みを写真を使用して少しご紹介させていただきます。
総務課と産業人材課を中心に県庁内で横断的に連携し、まずは働いておられる現場を視察、職員に知的障害者等が県庁で働いている現場をイメージしてもらうことからはじまりました(写真1)。その後、障害のある人が担当する業務を取り出したところ、県庁内11部局56課から、151の業務提案がありました。
これらの業務を集約し、県庁内にモデル就労実践の場として「障害者モデル就労ワークステーション」設け、県職員が誰でも立ち入れるオープンなスペースとして確保しました。これは資料を綴じている風景です(写真2)。発送作業の風景です(写真3)。シュレッダー機粉砕の風景です(写真4)。給茶機清掃の風景です(写真5)。
これらの写真で具体的な就労の状況を想像していただけたことと思います。

この問題は、障害福祉課、経済部、総務部にわたる課題です。そこであえて市長におうかがいいたします。県庁で着々と成果をあげつつある障害者就労について、ぜひ県に足をお運びいただき、直接担当課の話を聞き、働いておられる現場を見て、その手法を取り入れていただきたいと思っております。市長のお考えをお聞かせください。

市原市では法定雇用率2,1%を越える2,16%を達成しており評価できますが、内訳をみますと身体障害者の方22人で、知的障害者、精神障害者の雇用は現在はないということです。

人事権を持つ部局とそれに関連する部局の連携がポイントとなります。まずは総務部を中心に各部局の連携体制をつくっていただきたいのですが、いかがでしょうか?

障害者にとって住み、暮らしている身近な市町村で働くことに大きな意味があると思いますが、今後の障害者雇用について、特に知的障害者、精神障害者の市でのとりくみについて、また、知的障害者等については、実習を考えておられるとのことですが、具体的な方法についてお聞かせください。

市内には知的、精神、身体の3障害の団体がひとつになった、市原市心身障害者団体連絡協議会があり、就労に関してたいへん意欲を持っておられます。障害者の就労をすすめるにあたって、ぜひこのような当事者の方々の意見を取り入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか?

県はモデル就労実践と研究の成果として、行政分野の業務のなかでも知的障害者ができる業務が多くあることを確認できたことを第一にあげています。そして、県庁内の横断的な連携が確立したこと、官民の協力体制が確立したこと、また、障害のある人に対し当初は違和感を持っていた職員も、視察やモデル就労で実際に眼で見て共にはたらくことにより、体感したものが県庁全体にとっての大きな財産になるなど、職員の意識改革がなされ、支援方法が確立したことなどを成果としてあげています。
さらに大変興味深いのは、費用対効果の面においてです。県職員の日常行っている作業の中で、日中や時間外などで行ってきた印刷、封入れ等の簡易な業務を知的障害者等に依頼することで、正規職員は県民に対し、質の高いサービスを提供することができるほか、時間外勤務手当ての縮減にもつながるという検証があげられています。

次に民間における障害者就労についておたずねします。
県内企業の実雇用率は少しずつですが、上昇しています。一般の民間企業の法定雇用率は1.8%ですが、実雇用率は1.47%、雇用障害者数は4908人です。79.5%が身体障害者、知的障害者は19.8%、精神障害者は0.7%です。

市の民間企業における雇用状況と障害者別の内訳はいかがでしょうか?また、市内の就労に力を入れている社会福祉法人等との連携や、企業への働きかけ、今後の取り組みについてお聞かせください。

11月半ば、市内で積極的に知的障害者等の就労をすすめている社会福祉法人と小規模作業所を訪問し、話をうかがいました。県のモデル就労実施の際に、実際に知的障害者の方が参加されたとのことでした。
自立支援法の施行やハローワークの働きかけ等で、企業の側にも社会的責任を遵守し、障害者の雇用を促進しようという意識が高まってきました。景気の回復も追い風となり、企業の障害者雇用はこの2,3年で進んできています。市内でも2つの特例子会社ができ、また、袖ヶ浦等の特例子会社にも就職がすすんでいます。課題は「職場定着支援」であるということです。就職できても、2年でやめてしまうケースが多い、就職後のアフターケアをきちんとしていくことが、障害者雇用率をあげていくことにつながります。
就労に関しては国の管轄であり、市町村にはなかなか情報など伝わりにくいのが、現状だと思います。しかしながら、障害者が、自分が住み、暮らしている身近な場所で仕事をしていくためには、市町村のかかわりは必須であると思われます。

障害福祉課、経済部などの担当課が市内の社会福祉法人、小規模作業所などの現場を実際に訪ねて、障害ある方の働く様子を実際に目にし、現場担当者の話を聞くなどして、まずは、情報の交換をし、連携を図っていただきたいと思っていますが、いかがでしょうか?

平成14年から「就労・生活支援センター」の圏域ごとの設置が進められています。現在全国で135箇所、県内では4箇所、昨年は全国で25箇所設置され、ひとりの障害者の就労を就職の段階から、職場定着、それ以降も引き続きトータルで支援する事業として、効果をあげているとのことです。

市の障がい福祉計画に1箇所設置とあります。設置の働きかけを県・国にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか?

(障害者就労・再質問)
障害者の就労支援については、行政の役割として、ぜひ足を一歩踏み出していただきたいと思い、以下何点か、重ねてお伺いします。

まず市長におうかがいします。
県庁においてはトップの堂本知事の決断で知的障害者等の雇用への取り組みがスタートしています。市原市においてもぜひ「知的障害者、精神障害者等の雇用に取り組む」という市長のご決断のことばをいただきたいと思います。ご答弁をお願いします。

次に関係各部にお伺いいたします。
庁内の関係部局と協力体制を作って、いただきたい。まずは、身近な千葉県の成功事例を訪れて、直接に話を聞き、チャレンジドオフィスをじかに目で見て、手法を学んできていただきたいのですが、いかがでしょうか?

民間就労に関しては経済部にお尋ねします。前向きな姿勢のご答弁、ありがとうございます。
ぜひこれを足がかりに、企業や福祉施設など、民間就労の分野に情報網と連携体制をつくっていただきたいと思いますがいかがでしょうか。ご答弁をお願いします。

(答弁)

  • 市は事業主としての障害者の法定雇用率を達成しているものの、知的や精神に障害のある方の就労が課題であることは認識している。知的、精神障害者の就労については、適切な訓練機関の紹介など行っているとともに、昨年策定した第2次障がい者基本計画において、市や関係機関における職場実習の受け入れ促進、また、就労移行支援事業所の開設等を計画している。
  • それら事業の具体化に向け、障害福祉課で調査・検討しているので、今後、障害者就業支援キャリアセンターや特別支援学校など、関係機関と十分協議するとともに、関係部局と調整を図り、県庁のモデル事業などを参考にしてとりくんでいきたい。
  • 市内の社会福祉法人や小規模作業所当とは日ごろから機会をとらえて施設訪問等行い、情報交換に努めている。
  • 障害者就労・生活支援センターの市内設置に向けては県に働きかけていく。
  • 民間における障害者就労については、千葉南公共職業安定所内の企業数158社のうち74社が1・8%の法定雇用率を達成している。雇用しなければならない障害者410人に対し、実雇用者数は317人。内訳は身体障害者が260人知的障害者が53人、精神障害者が4人。
    市では広報啓発活動に努めるとともに、ワークプラザで就労相談に応えている。今後は障害者の働く場に出向き、生の話を伺うとともに国、県と連携していく。

2.特別支援教育について

10月末に市内の2つの小学校を訪問させていただき、特別支援学級と通級のことばの教室の先生に、お話をうかがいました。一人ひとりのお子さんとまっすぐ向き合い、きめ細かく心を砕いている様子がうかがわれ、たいへん参考になりました。
特別支援教育実施で大きくかわったことは、通常学級の先生方の意識が変化したということです。適切な支援がちょっとあったりすることで、他者とうまく関わったり、学習が進むお子さんがいることに気づいた通常の学級の先生方から、「この子がうまくできるためには、どうしたらいいのか?」と相談されることが増えてきた、障害のあるお子さんや、支援の必要なお子さんを学校全体で見守る姿勢が出てきたということです。
平成14年から15年にかけて、従来の特殊教育から特別支援教育へ転換を図ることが文部科学省から示されたときは、知的障害のお子さんを育てておられる保護者にとっては「特殊学級がなくなるのではないか」、また、発達障害のお子さんを育てておられる保護者にとっては「障害のラベル貼りになり、集団から排除されてしまうのではないか」などと、不安がうずまいていたことを思い出します。
障害のある子どもの一人ひとりのニーズ応じてきめ細かな支援を行うために乳幼児から学校卒業後まで一貫して計画的に教育や療育を行うという「障害者基本計画」の方針をベースに導入された特別支援教育です。理念はりっぱでも、財政的裏づけがないことが、指摘され続けている中で、特別支援教育が全面施行されたのが19年4月。制度的にもまだまだ不備や課題はありますが、試行錯誤しつつ海へ乗り出したというところです。
自閉症やかん黙症、軽度発達障害等のお子さんを支援するための情緒障害児学級の設置が増えています。平成14年度は一校でしたが、16年度1校、18年度は2校、19年度は8校(小学校7校、中学校1校)開設され、現在、情緒障害児学級は小学校11校、中学校1校、知的障害児学級は小学校13校、中学校9校、言語学級が5校、通級指導教室が4校です。

特別支援学級の設置について、今後さらに進めていくのか、予定と設置方針についてお聞かせください。これから新しく建設される学校については、特別支援学級の設置を予定に入れて設計するのでしょうか?あわせてお聞かせください。

新しく開設される特別支援学級の担任教諭の専門性についてはいかがでしょうか?研修については必修になっているのでしょうか?

導入後間もないということもあり、学校によって支援体制に差があるという話を聞きます。
学校間の差の解消のためにどのような取り組みをされているのかお聞かせください。

また、特別支援教育に詳しい教諭が学校内の教諭全員を対象に行う校内研修が、学校全体の特別支援教育の理解を深め、成果をあげている事例をよく聞きますが、校内研修についての方針をおきかせください。全小中学校で実施すべきと考えますがいかがでしょうか?

障害あるお子さんが地域で暮らしていくために、当事者以外の地域の保護者、地域の方々の理解がとても大切です。ここ数年、中学校区単位で集会を開いていますが、このような場で地域の方々に理解していただく機会を設けてほしいとの声が高いのですが、いかがでしょうか?

次に療育との連携についてお伺いいたします。障害のある子どもにとって、小さいころの療育、あるいは教育をいかに適切に行うかどうかが、卒業後の自立した生活を営むことにつながっているというのが、専門家の一致した見解です。
保育所、幼稚園、学校などで、臨床心理士等専門家に相談し、有意義な示唆を受けることが、現場や保護者にとってはたいへん役立つということですが、市には現在、嘱託の臨床心理士が2人いますが、正規職員の臨床心理士がいないために、相談したいと申し出ても、実際に相談を受けられるまでに半年待つこともあるということです。

ぜひ正規職員の臨床心理士を常駐させていただきたいのですが、ご見解をお聞かせください。

お子さんに障害のある場合、乳幼児から小学校、中学校、高校と学校卒業後まで一貫した計画的な支援を行うための個別の指導計画、個別の支援計画は欠かせないものと思われますが、作成状況と活用についてお聞かせください。

中学校の特別支援学級の現状と今後の設置計画について、お聞かせください。

(特別支援教育・再質問)
特別支援教育については、ご答弁をお聞きし、真摯な取り組みも見られ、ありがとうございます。

昨年情緒障害児学級が設置された市内のある小学校では当初希望者がひとりであったのが、いざ、春に開設してみると4人に増えたという話です。
いままで学区外の小学校に通っていたお子さんが、学区内の小学校に通うことができるようになったのです。
来年4月に仮設校舎ができるちはら台や千種の小学校には、特別支援学級が組み込まれているとのことで喜んでいます。

保護者のニーズがあったときにすぐに対応できるように、まずは新設の学校だけでも、設計の際に学級、あるいは通級の教室を念頭に入れて設計していただけないものでしょうか。もう一歩踏み込んでのご答弁をお願いいたします。

はじめの質問で触れた二人の臨床心理士のうち、お一人は年間111日で巡回相談に幼稚園、保育園などにまわっておられ、お一人は判定員として年39日の勤務とのことです。
こどもの成長は待ったなしです。相談を申し入れて半年待たされるのでは、適切な支援とは到底いえない現状となっています。

28万都市にふさわしい、複数の正規職員の臨床心理士を、まずは発達支援センターに雇用していただきたいのですが、これに対しても、もう一歩踏み込んでのご答弁お願いします。

(答弁)

  • 特別支援学級開設については県教育委員会と協議して進める。
  • 新設される特別支援学級担任の専門性については県の研修が義務付けられているとともに、市独自の研修を実施している。
  • 学校間格差には特別支援教育指導員が訪問し、支援体制の充実に努めている。
  • 地域への啓発はパンフレット作成中。
  • 療育との連携について、正規職員の臨床心理士雇用については検討していく。

3.子育て支援について

図書館で、『ハッピー・ワーキングマザーBOOK』という本を見つけました。2006年発行で、明るく働き続けることを目指すワーキングマザーおよびその予備軍のための、インターネットサイト「ムギ畑」が編集です。「4000人に聞きました」と表紙にありますが、なるほど働くお母さんとその予備軍の声が満載されています。
制度が整っていない。制度があっても実態がない。実態があっても周囲の理解が不足している・・・。雇用均等法施行から21年、働くお母さんは増えてきましたが、まだ日本の労働環境はそんなところをうろうろしています。そして「仕事も、子育ても」この当たり前の暮らしを実現するために、いまだ多くの女性たちが、へとへとになりながらも、あきらめずに日々格闘しているさまが、ありありとうかがわれます。
この本の中で特に印象的だったのは次のくだりです。「自分の体験や、身近な人たちの話を見聞きしていつも感じるのは『ワーキングマザーの子育ては体力的にきつく、専業主婦の子育ては精神的にきつい』ということです。どちらにしても世間で思われているほど楽ではありません。専業主婦とワーキングマザー、どちらが絶対的にいいということはありません。どちらにも一長一短はあります。ただ、自分の子どもを本当に可愛いと思いつつも、子どもと一緒に密室に閉じ込められることに恐怖を感じている女性がこれだけたくさんいるという事実は社会全体で重く受け止めるべきではないでしょうか。」というくだりです。
また、次のような興味深いデータがあります。平成15年の「厚生労働白書」によると、1歳以上の子どものいる夫婦について、妻の就業歴と平均出生児数との関係を、結婚持続期間10~14年の妻で比べた場合、全国平均では、再就職型2・17人、正規継続型2・16人、専業主婦型2・11人で、専業主婦よりも働いているほうが子どもの数が多い。また、再就職型、専業主婦型はいずれも1997年の前回調査より減少していますが、正規継続型の場合は逆に子ども数が増加している。つまり細々とでも仕事をやめずにつないでいくほうが子どもは持ちやすくなっています。これには育児休業取得割合の増加などが影響していると思われます。
この2ヶ月ほど白幡小学校の学童保育設置署名のお手伝いをさせていただく中で、働くお母さんにたくさん出会いました。私自身いま16歳の息子が生まれるときに周囲の条件が整わずに続けたいと思っていた仕事を断念しました。専業主婦も10年経験しています。専業主婦として幼い子どもと密室で向き合う精神的なきつさもよくわかります。同時代に子育てをしている者として、すこしでもお母さんたちのお手伝いができないものかと、模索しております。

子育て支援については、まず、認可外保育所の助成についてお伺いします。平成14年から認可外保育所の届出制が導入され、16年から届出したところには県が立ち入り調査をしています。平成17年度から県の立ち入り調査で一定基準を達した施設に対し、適格証明書が出されています。市原市では届出をしている認可外保育所が15箇所、そのうち適格証明書をもらっているのは8箇所です。
認可外保育について東京都の認証保育所や、横浜市の横浜保育室のように調理室もそなえた準認可的な施設から、かつて死亡事故が起こった「ちびっこ園」のような危うい施設までさまざまです。子どもの安全はもとより、保育者の人数、保育内容、食事内容など質の確保を進めていくのはいうまでもないことです。
一方「低年齢児を少人数のクラスで見てくれるので、大規模な保育園よりも安心感があった」などの親の声も聞かれ、施設面は恵まれなくても、小規模なだけに小回りが利き、保護者や子どもの一人ひとりの事情に合わせてくれるきめ細やかさが見られるところもあります。
公的な保育所不足が続く中、基準を設けて、認可外の保育所に助成をしている自治体が増えてきています。10月に教育民生委員会の視察で仙台へまいりました。仙台市ではA型、B型に分け、県の基準よりさらに厳しく独自の基準を設け、それをクリアした認可外保育所に対し、助成しています。平成14年に11箇所、5千万円で始めた助成が18年度は52箇所、7億2千万円となっています。千葉県においては市川市、船橋市、習志野市、柏市、浦安市、四街道市、そして大網白里町が認可外保育所関連対策として、それぞれの市町村独自の事業を行い、保護者または施設に助成しています。
認可外の場合、保育料に世帯所得による軽減がなく、特に長時間預けると高額になります。今市内で認可保育所にかよう子どもは最高5万8千3百円の保護者負担です。認可外保育所では 8万円の負担をされる方もおられます。子どもが複数になるとその負担はさらに増えます。
良質な認可外保育所に対して、助成をしてほしいと思います。助成をきっかけに、認可外保育所全体の質も向上していくのではないでしょうか?

市原市は現実施計画に載っています。これからの計画について具体的にお聞かせください。

次に病後児保育についてお尋ねします。「市原子育て応援団」という市内で子育て真っ最中のお母さんたちが運営しているホームページ上で、「働くママの一番の悩み」として挙げられているのが病気になったとき。子どもが病気になったからといって気兼ねなく休める環境に日本の職場はなっていないのが現状です。今光風台と姉崎で2箇所実施されています。

現在の利用状況はいかがでしょうか?設置場所等含めた今後の増設の計画についてお聞かせください。

学童保育についてお尋ねします。委託先は、次年度4月で3年経過のため見直しとのことで、広報いちはら11月1日号に学童保育委託先の事前調査会実施の案内が掲載されていました。現在は公設民営で、21箇所を2箇所に委託しています。

今後学童保育設置を増やす予定とのことですが、委託先の方針について具体的にお聞かせください。

また、「放課後子どもプラン」は、文部科学省の推進する「放課後子ども教室推進事業」と厚生労働省の推進する学童保育を、市町村で一体的、あるいは連携して進める総合的な放課後児童対策として昨年5月に政府が創設。2つの事業がそれぞれに出していた、実施要綱、補助金交付要綱、申請窓口を一元的にし、教育委員会主導で、原則として学校施設内で実施するとの方針になっています。これについては2つの事業は目的も内容も実施状況も大きく異なっている、それぞれを拡充しての「連携」はありえても、同じ場所で、同じ職員が2つの事業を行う一体化はありえないなど、学童保育関係者ばかりでなく、全国の自治体の担当者からも抗議や悲鳴の声があがっており、「放課後子どもプラン」は進んでいないのが現状です。
近年の学童保育要求の広がりの中で、学童保育の量的・質的な拡充をはかるのではなく、すべての子どもたちを対象にした遊び場的事業を実施して、学童保育を廃止する動きがあります。川崎市や、品川区の両自治体はともに学童保育を有していると説明していますが、施策上も実態としても学童保育はなくなっています。また、世田谷区、江戸川区、豊島区などは施策上は学童保育を実施している形になっていますが、留守家庭児童のための専用室も専任指導員もなく、子どもたちの毎日の継続した生活を保障するものではありません。川崎市では学童保育があったときと比べて、親が働いている子どもの利用は半減し、多くの「留守宅家庭」が新たに生まれている、その一方で市からの助成金が一切無く、月額2万円を超える保育料を払って13箇所になった民間の学童保育に入所する家庭が増えてきています。
ますます増える共働き・ひとり親家庭の「わが子に安全で安心して生活できる施設を」という願いに応えるためには、「全ての子どもたちを対象にした遊び場提供事業」ではなく、学童保育の量的・質的な拡充こそが求められます。もとより地域に子どもの居場所を増やすことに対しては賛成なのですが、「放課後子どもプラン」について安易な実施は、現場に混乱を招くばかりでなく、子どもの安全性に疑念を感じざるを得ません。

市の学童保育の拡充と「放課後子どもプラン」との兼ね合いと、今後の方針について見解をお聞かせください。

地域の子育て支援事業についてお伺いします。厚労省は2007年度から地域の子育て支援拠点の整備を進めるとして、子育て支援センターのような「センター型」、つどいの広場のような「ひろば型」、そして「児童館型」を、子育て支援拠点事業として再編し、拡充を進めています。
市内の子育て支援の拠点を11月の半ばに次々と訪問いたしました。
サンプラザのちびっこふれあいひろば、児童館、子育て支援センターともに、以前訪れたときに比べると利用者がかなり増えてきていることに驚かされました。
子育て支援センターは、現在はちはら台保育園、五井保育所、杏保育園の計3箇所です。現実施計画では椎津保育所にも設置予定となっています。子育て支援センターは全国で83%が保育所で実施されています。市内3箇所とも保育所ないし、民間の保育園内での実施です。
利用者の多さを目の当たりにすると、このような子育て支援の拠点が必要とされていることをひしひしと感じます。また、一方で、けして広いといえない園庭で、保育所の子どもと、支援センター利用の親子がひしめき合っている様子もうかがわれ、有料で保育されている本来の保育所の子どもたちの保育環境が確保されているのか、懸念せざるをえません。

子育て支援センターの増設と現状についてのご見解をお聞かせください。
また、これからの地域子育て支援拠点事業の方針と展開についてお聞かせください。

辰巳台ふれあいセンター内で実施されている「子育てサロン“SUKU・SUKU”」についてお尋ねします。週4回、一日5時間開かれており18年度の利用者は5556人、19年度は6月以降は月に600人程度が利用されるなど、子育て支援の拠点として地域の親子連れに頼りにされている場です。ボランティアスタッフ41人がシフトを組んで、長時間の子育て支援を実現させています。現在「子育てサロン“SUKU・SUKU”」の活動そのものには助成を受けておりません。先日お訪ねしたところ、手作りの温かさにあふれ、訪れたお母さんたちが和やかな表情をしていたのが印象的でした。
これだけの規模の子育て支援をボランティアで実現させているところは市内ではほかにはありません。去る11月2日、このふれあいセンターを地域福祉の拠点として活動を展開している社会福祉協議会の辰巳台支部が、優良地区社協として全国社会福祉協議会会長賞を受賞しました。地域と連携しながらの福祉教育推進事業が高く評価されてのことで、支部単位での受賞は初めてとのことです。「子育てサロン“SUKU・SUKU”」の存在がこの表彰に大きく貢献していることはいうまでもありません。
ひとえにふれあいセンターの使用を平成17年に許可してもらったためと関係者はつねづね感謝しているのですが、実はこのふれあいセンターが21年の3月で耐用年数の関係で使用できなくなるのではないか、とのことで、「子育てサロン“SUKU・SUKU”」の存続が危ぶまれています。
また、11月26日に議案説明が行われたなかで、20年から22年にかけての次の実施計画について報告がありました。現実施計画にのっている「東部地区の保健センターの整備」が、報告書に見当たらなかったことが、たいへん気になっております。

子育て支援の場としても利活用されている辰巳台の地域福祉の拠点は、今後どうなっていくのでしょうか?お考えをお聞かせください。

(子育て支援について・再質問)

子育て支援については、辰巳台の地域福祉の観点からお尋ねします。
先ほどのご答弁では東部保健福祉センターでの対応を考えておられるということでしたが、21年の3月で耐用年数が切れるとのことです。
ふれあいセンターの利用者は現在週4日で、月に1000人以上にのぼっています。そのうち600人が「子育てサロン“SUKU・SUKU”」の利用者です。
五井の市民活動センターの一ヶ月あたりの利用者が500人であることから見ても、その利用状況が想像できると思います。
こ市内の地域福祉のモデルとなりますし、そのマンパワーたるやすごいものです。
これが、なくなってしまうことは「協働」をかかげる市にとっても大きな損失ではないでしょうか?
「立派な場所でなくてもよい。使いやすい場があれば・・・」というのが、ふれあいセンターのスタッフの言葉ですし、現在のふれあいセンターを2年前に市が提供してくださったことに大いに感謝しつつ活動を展開しておられます。
しかしながら、21年の3月というとあと1年ちょっとしかありません。
いちど中断してしまえば再び立ち上げるのはかなりなエネルギーを要することは、容易に想像できます。

ぜひ具体的に中断しない形で場を確保していきたい、市も一緒に真剣に考えていただけたらと思います。お考えをお聞かせください。

(答弁)

  • 認可外保育所は、具体的検討を進めている。
  • 病後児保育は19年上半期は月平均40人の利用者がある。さらに一箇所の増設予定。市民ニーズを見極めつつ、検討していく。
  • 学童保育運営に関しては来年度以降の委託先の選定方法について、見直しすることして委託する方法について検討している。具体的には受託希望団体を公募し、企画提案方式による選定を予定している。市内をいくつかの地区に分割して委託する方法について検討している。学童保育は今後も計画的に拡充していく。
  • 放課後子ども教室は子どもの居場所づくりの観点から教育委員会と連携し、検討していく。
  • 子育て支援センターは今後とも計画的な拡充を進める。
  • 子育て支援センター、つどいのひろば、児童館は計画的、効果的整備を進める。
  • 辰巳台の地域福祉の拠点については東部保険福祉センターの整備をすることにより、確保していく。ふれあいセンター耐用年数についても調査をしていく。