平成20年度 第3回市原市議会定例会 9月18日(木)
市議会レポート【個別質問】桑田なお子
1. 市民公益活動について
今や全国各地で「市民との協働」が唱えられています。市原市でも行政とのパートナーシップを確立された方々が新たな社会サービスの担い手として大きな役割をはたすものと期待されています。又、市役所内でも各部署から101人の協働の推進員が選ばれ「協働とはなにか」を18グループに分けて模索中であることは心強い限りです。世界的に見ても、新しい市民社会の台頭として非政府組織(NGO)が活躍し、国内では行政、企業、市民による非営利活動団体(NPO)の三者が社会の様々なサービス提供の主体となって活躍しています。
先日(千葉日報9月7日付)も市原市鶴舞の県有林が臨海企業とNPOの連携で里山の保全整備が始まり、来年度からは学校の環境教育の場として活用する計画の記事が載っていました。
市原市内には2008年8月12日現在、認証を受けたNPO法人が57、福祉や子育て、環境などの分野で活動し、ボランティアグループは146団体、個人ボランティは280人で総勢3381人の方々が登録されています。そして、市原市は市民公益活動の拠点として、市民活動センターを設置しています。
この施設の管理運営は、運営委員会組織によって、入居団体である市原市ボランティアセンター、市原市ボランティア連絡協議会、市原NPO協議会、市原市国際交流協会、市原市男女共同参画社会を進める市民の会、そして福祉ショップ「マーブル」の6つの団体が協力して運営を行い、施設管理は社会福祉協議会として、ボランティアセンターの担当となっております。このボランティアセンターの責任者はマネージャーとの呼称で2年間の任期となっています。2年間といいますと、全体の様子が分かり「さあ、これから何々をやろう、」というところで任期が終わってしまいます。地に付いた働きをするためにも任期を伸ばすことが必要と考えますが、見解をお聞かせください。又、マネージャーという呼称は社会福祉協議会の役職と聞いていますが、今までにこの呼び名で不都合なことはなったのか、お聞かせください。
(答弁)
現在のマネージャーは、社会福祉協議会が豊富な行政経験を市民活動センターの業務に行かせると判断して市の定年退職者を雇用したものであり、年齢等を考慮し、原則として2年の任期としている。社会福祉協議会では、マネージャーを施設の管理運営を司る職として位置づけ、この呼称を使用しており、現在のところ不都合は生じていない。
又、市民活動センターは愛称「iほっと」で市民に知られてきました。ボランティアの活動拠点、会議の場として、又ボランティア養成講座の場として、そこを利用する人も少しずつではありますが増えてきました。来月10月26日は子どもが楽しめるメニューで「iほっと祭り」が予定されています。
この市民活動センターの主な役割は、情報の収集、情報の発信、そして相談機能です。
これらの充実が期待されていますが、特に相談機能の拡充は、この4月の組織再編でまちづくり部門が市民生活部に一元化され、市民活動支援課と組織された効果を目に見えるものとするためにも、今後はさらなる工夫した取り組みが必要です。
例えば、「協働のいちはら・まちづくり会議」の相談窓口が、市民活動センターを利用し、毎月第1土曜日に開かれていますが、知られていないのか、間口が広くて何の相談を受け付けているのかが分からないのか、利用者がほとんどありません。今年は出前相談として、エコフェア等のイベントのある時に出かけてこの相談窓口を宣伝しています。その努力には敬服いたしますが、利用がほとんどないこの現実を、どのように分析されているのか。又、情報の収集、発信、相談機能の充実に向けたこれからの予定をお聞かせください。
(答弁)
開設後、間もないため、この窓口の存在や会議が行っている内容について市民の認知度が低いのが原因。ポスターの掲示や広報紙の掲載をおこなう。情報収集の一助にパソコンコーナーを設置し、相談業務にボランティア・アドバイザーをおき機能強化につとめる。
「市民活動支援課」の窓口対応についてですが、ボランティアをしたいという方が相談に来られたときには、市民活動センターに行ってくださいと資料を渡すだけでなく、もっと親身になって実際に活動している人に引き合わせるなどの積極的なサポートが必要と考えます。そのためには、市民公益活動をしている方々との顔と顔の見える関係が必要です。これからは、市原市内の市民活動団体が、広く市民活動センターと関わってゆくことが必要と考えます。相談に来られた市民、団体を市民活動センターに引き継ぐことを、市民活動支援課の窓口対応として積極的に行うことは、中間支援をしている市民活動センターの活性化につながり、これらの団体と市民活動支援課の協働の推進にもなると考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
市民活動の支援及び市民との協働を推進するためには、NPOをはじめ市民公益活動団体の活動状況を調査・把握することが必要。今後も相互理解を深め、様々な情報を共有し、ニーズに即した対応を図る予定。
あわせて、市民活動支援補助事業(年間上限30万円)の応募に昨年4団体だったのが、16団体に増え、10団体がこの事業を受けることになりました。これからは、資金だけでなく市民活動を支援していく環境づくりを中心とした間接的な支援を行うとのことですが、今後の展望をお聞かせください。
(答弁)
市民公益活動を活性化するため、各団体間の情報交換やネットワーク化が必要。その仕組みづくりを検討していく。
市役所では、教育委員会で公民館や生涯学習などを担当していますが、「学び」を活かす場として、ボランティアやNPO団体との連携や協力が必要と考えます。現在、市原市シルバーカレッジの平成19年度卒業生の有志が、市民活動センターに常駐している市民ボランティアとの協力により「ボランティア講習会」を開催し、地域デビューを果たそうとされています。その心意気に敬意を表するものです。そのことが生きがいに繋がっていければ、それこそ市民参加のまちづくりの実践になっていきます。10月にはまちづくり塾が開かれ、現在もパフォーマンスコースなど行われ、これからも教育委員会の生涯学習部との連携が必要ですが、今後の予定をお聞かせくだい。
(答弁)
自発的に「学び」、そこで学んだことを今後のまちづくりに活かしたいと考えている方々を、活動できる場へと結びつける取り組みが必要。今後の予定は今月25日にサンプラザ市原で地域活動インターンシップ出会いフォーラムが開催予定。ボランティアの養成講座開催など、生涯学習部と連携を図り、市民公益活動への参加に向けた環境づくりに努める。
2. 市原市生涯学習推進プランについて
この度、生涯学習施策を総合的かつ計画的に進めるために、市原市生涯学習推進プランが見直され、6月にはそれに対する意見(パブリックコメント)が募集されました。
3件の応募があったと聞いています。
これまでは平成13年に「いちはら生き生きプラン」を策定し、生涯学習施策を推進してきました。この7年間あまりの成果をどう評価されているのか、お聞かせください。
(答弁)
平成12年度と平成19年度における公民館の利用状況は利用回数で32%増、総利用者数では12.4%の増となっている。とりわけ図書室の利用者数は68%も増加しており、生涯学習の拠点として公民館が大いに利用されている。市民意識調査報告書でも、生涯学習に対して平成12年度の66%から平成19年度85.2%と増加。一定の、意識の向上や意欲が醸成されたとして評価している。
見直し計画では、場を提供し個々の学習を支援した公民館や個人の自己実現や生きがいから、一歩進んで、学んだことを生かすことを重視したと聞いています。
「生涯学習による人づくり」から「生涯学習によるまちづくり」へとつなげていくその想いが伝わるような計画になっていますが、福祉の分野や学校教育の分野、そして男女共同参画や人権の分野などと重ねるところが多くあります。各部との連携が必要不可欠です。
例えば、子育て支援員活動の担当課は子ども福祉課ですが、親子共育支援事業では生涯学習課が担当課です。市民の目から見ると、違いが分からない状況です。どのように連携していかれるのか、どこの部署が全体を把握していくのか見解をお聞かせください。
(答弁)
各部局との連携が必要であり、プラン策定時から関わっている各部長からなる「市原市生涯学習推進会議」などを通して連携を図り、進行管理は生涯学習課が実施する。
又、いろいろな教室や講座を終了された方が、それらを生かす活動となると、市民活動センターとの連携も不可欠です。課題が相互に関連するものや、同じような事業ではお互いに協力して開催すると効果が上がると予想されます。市民活動支援課とともに市民活動センターとの情報の共有が必要と考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
市民が必要とする生涯学習情報の交換等に努める。将来は、データベース化し、速やかな情報提供ができるようICTの活用などにより、市民活動センターとの連携強化にも意を用いていきたい。
この計画は「学び」と「活かす」の循環を目指していますが、生涯学習市民アンケートによると「学習の成果を発表したいとか役立てたいとか思わない」と答えた人が40%以上を占め、「活かす」に結びつく学習活動が少ないと報告されています。「活かす」事が楽しければ、そちらを選ぶわけですので、自主性を重んじる姿勢は大切にしなければならないと考えます。しかし、その自主性を育むような行政の企画があれば、一層弾みがつくと考えます。いま、団塊世代を地域活動に取り込んでいこうとする事業が多く見られますが、市原市として「生涯学習による人づくり」から「生涯学習によるまちづくり」へと発展し、市民力一番、地域力一番につながることを願うものです。そのためにも、教育委員会生涯学習部と市民活動支援課が、市民活動センターと協働して地域活動デビューの事業を推進してはと考えます。
又、市原市には豊かな人生経験や職業経験、知恵、技術などを有する人や団体がたくさんあります。これらを発掘し活躍できる場を提供していくのが、行政の役割と考えます。「学校ボランティア」や「まちの先生」など仕組みはありますが、まだまだ発掘されない方々が、多くおられると聞いています。自分から名乗りを上げる方はそう多くおられません。
本人に承諾を得てからの推薦という形で発掘していかれたらいかがでしょうか。
又、臨海部の企業にお勤めの方の中には、海外で仕事をされた方など、各国の言語に堪能な方もおられると聞いています。定年後に活躍できるよう発掘していただきたいと考えます。見解を、お聞かせください。
(答弁)
「シルバーカレッジ」「まちづくり塾」などの講座参加に対する呼びかけを行なうとともに、企業にも協力を要請して、人材の発掘をしていきたい。
3. 裁判員制度について
平成21年5月21日にスタートする裁判員制度を前に、野党から「国民の理解が不十分だ」として施行の延期を求める意見が相つぎましたが、8月20日に日本弁護士連合会の宮崎誠会長は予定通りの開始を求める緊急声明を発表しています。
この裁判員制度について、市民ネットワークではで2回の学習会を開きました。
第1回目は制度設計に携わった推進派の四ノ宮哲氏、第2回目は反対派の立松彰氏です。
この裁判員制度の導入は、平成11年7月内閣に設置された司法制度改革審議会が、平成13年6月に取りまとめた意見書の中で国民的基盤の確立を掲げ、平成16年5月に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が公布されました。
裁判は長期にかかる場合が多く、国民には分かりにくい等の声があったわけですが、この制度の導入で裁判の進め方やその内容に国民の視点や感覚が反映し、そのことで裁判全体に対する国民の理解が深まり、司法がより身近なものとして信頼も高まる事が期待されています。しかしながら、裁判員に選ばれることに対し、2006年の内閣府調査では33.6%の人が「参加したくない」、そして44.5%の人が「あまり参加したくないが、義務であるなら参加せざるをえない」と答えています。この44.5%部分の人たちを「参加したい」方に入れるのか、「参加したくない」方に入れるのか、大きく変わってきます。
参加したくない理由に「運命を決める責任を重く感じる」(64.5%)、又「冷静に判断できるか自信がない」(44.5%)となっています。
市民ネットワークは、裁判員制度に課題が多く死刑制度に対しても論議されていないとの理由からこの制度には反対しています。
裁判員は選挙人からくじで選ばれるとありますが、公正に選ばれたと示す選任過程が公開されるべきであり、又、裁判員として任期を終えた人に守秘義務が課されていますが、この制度の研究や検証が出来るように、そして報道などを通じて市民が広くこの制度について知る機会を活かせるようにするべきと考えます。
そこで3点お聞かせください。
1点目、この制度の構成は裁判官3、裁判員6とされていますが、この比率で一般市民が対等に議論できるかが疑問です。公判前整理手続きでも裁判官は多くの情報を持ちその影響力が大きくなるのではないかと考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
裁判長等は、裁判員に必要な法令に関する説明をし、又裁判員が発言する機会を十分に設けるなどの配慮をすることになっている。
2点目、裁判では被告人の公正な裁判を受ける権利が保障されなくてはなりませんが、
この制度は裁判員が主役と錯覚するような報道がなされていますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
裁判員制度導入後もこれまで同様に保障されるものと認識している。
3点目、公判審理は3日~5日とあり、「迅速・軽負担・平易化」で裁判を進めようとするとき冤罪を作り出す危険性が大きいといえますが、そのことに対しての見解をお聞かせください。
(答弁)
公判前整理手続きにより、事件の争点整理や最も適切な証拠は何かなどを、裁判官、検察官、弁護人が協議し、審理日数などの公判の日程が調整されるので、公判期日では、具体的な争点が明らかにされ、その争点に関する実質的な証拠調べが計画的になされることによって、より充実した公正な審理を行なわれると認識している。
4. 公園年報について
今年度、議員にも公園年報が配布されました。それを読んで気がついたことを質問します。
都市公園や特殊公園(墓園)や条例公園といわれる市民の森を合計すると330箇所でその面積は3.38K㎡で市内の約100分の一となっています。都市計画区域内の一人当たり公園面積は8.02㎡で、国の平均9.3㎡を下回っています。もっともまだ整備されていない公園予定地の姉崎森林公園や五井駅東口の総合公園は含まれていませんが、この数字をどのように捉えておられるのでしょうか。お聞かせください。
(答弁)
現在整備中である(仮称)市原市総合公園や既に用地を確保している(仮称)南青柳近隣公園、出津中央公園、さらには土地区画整理事業の減歩で用地を確保している街区公園等の公園用地を考慮すると標準面積である10㎡を超える見込みである。
都市計画による公園は既に作ってありますが、臨海企業の団地が出来て約40年、街の様子も変わり、今、社宅が取り壊され一戸建ての住宅に変わってきています。
社宅の場合、そこに公園もあったわけですが、一戸建てになった場合その街に公園の用地が確保されていません。現実に、有秋台団地や辰巳団地で社宅から一戸建てになり余裕のない街になるおそれがありますが、そのことに対して市では対策を考えておられるのでしょうか。見解をお聞かせください。
(答弁)
開発計画面積が3,000㎡を超える場合は、「都市計画法に基づく開発行為等の基準に関する条例」のより、原則として開発面積の3%以上、かつ計画人口に3㎡を乗じた面積の公園や緑地の確保を義務付けており、良好な市街地形成に努めている。
公園は、身近に緑を楽しめるところであり、火災の時には延焼を防ぐなどいろいろな機能があります。市役所隣の国分寺台中央公園はプレイパークとして子どもたちに利用されています。このような公園を増やしていくべきと考えます。これから整備される姉崎森林公園は主に散策路が中心と聞いていますが、ぜひ子どもたちが自然の中で遊べるプレイパークとしても活用できるよう要望いたします。他に市民からの要望があった場合には、プレイパークとして使用できるのか、見解をお聞かせください。
(答弁)
安全性の観点からいくつかの許可要件があるので、適宜、相談に応じながら対応を図りたい。
又、公園の中には文化財保存事業で整備される史跡公園もありますが、市原市の遺跡で史跡指定を受けている文化財については、市民に広く親しめるよう案内板を設置し、歩いて楽しめる場にするため、ここでもボランティアの観光ガイドの方を配置していただきたいと思います。例を挙げますと、国分尼寺3.8haや国分総寺4.3haの史跡です。
団地の中でこれだけの緑があるわけですから、ぜひ活用を考えていくべきです。現在、年に2回草刈が行われ、夏場は背丈まで草が伸びています。これを背丈が足首までの植物を植えられないかと考え工夫されていることに敬意を表します。とにかく歩ける空間が確保されるよう希望いたします。国分尼寺は行事があるときしか活用されていませんが、見解をお聞かせください。
(答弁)
尼寺跡展示館は、当時の歴史文化に関する資料の展示・啓発のガイダンス施設として、平成5年7月のオープン以来、日常的に史跡の公開をしており、1日当たり50人を超える来館者がある。又、「上総まほろば祭」・「天平の甍コンサート」・「市原菊華展」など、史跡のロケーションを活かした催しも開催している。今後も、本市の歴史と文化について一層理解を深めてもらうよう努める。
さて、この年報に中に緑化の推進と緑地の拡大を図るため、昭和51年に設置された緑化基金があります。主にゴルフ場等の開発事業者と協定書を結び、前年度の入場者に応じて納入してもらっています。募金目標額の35億円には及びませんが、現在5億8千万円の基金があります。今までに活用されたものに町会植樹用苗木や花の種、樹林保全地区等奨励金、生垣設置奨励金や公園の整備に使われていますが、このことを広く市民に知らせ、もっと緑化基金として緑化を進める企画など有効な使い方を考えるべきと思いますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
公園整備のほか樹木の保全等に役立っていることについても、広く市民にPRしていきたい。又、現在策定中の「市原市緑の基本計画」のなかで、その方向性等について整理していく予定。
5. ふるさと納税について
平成20年4月から「ふるさと納税」が導入されました。名称から受ける印象では「自治体を選んで税金を納める」のかと勘違いしそうですが、これは寄付金税制で、県・市町村に対して寄付を行った場合5000円を越える部分について、通常の所得税や住民税の寄付金控除のほか住民税所得割額の10%を上限として、住民税の特例控除が行われるものです。
寄付した翌年に確定申告し、所得税と個人住民税が税額軽減されます。
税の構造改革と分権改革の推進であり、地方の格差を縮める制度ともいわれています。
市原市の場合、いまや人口の三分の二が全国各地から集まってきた方々です。
しかし一方では、市原市から外に出られた方もおられるのですから、「ふるさと納税」をもらうこともありますし、市原に住んでおられる方が市原市に「ふるさと納税」をすることも考えられます。
そこで質問ですが、この「ふるさと納税」に対して市はどのような対応を考えておられるのでしょうか、お聞かせください。
(答弁)
現段階では、この制度による寄附の実績はないが、今後この制度による本市への寄附の受け入れが円滑に行なえるよう、市内外への周知を含め、その体制づくりを進めていきたい。
6. 学校現場の人権侵害について
平成20年8月20日NHKのニュース、そして各新聞で報道された市原市の中学教諭の不適切なメール事件、「付き合うまで口説くからね」などの内容だったと報じられました。県の教育委員会は減給10分の1の懲戒処分にしたとの発表でした。この教諭は教育センターで2週間の研修を受けたそうですが、情報モラル、信用失墜についての研修だったそうですが、それだけで考え方が変わるのでしょうか、素朴な疑問です。
学校現場は、教職員と児童生徒、大人と子ども、指導する者と指導を受ける者と明らかに立場の違い、力の違いでスクール・セクシャル・ハラスメントという人権侵害が起こりやすい場所です。弱い立場の人に対して力の強い者がその力を悪用したと言わざるをえません。この事件でひとつの救いは、勇気をもって被害者と保護者が学校長に話し、そして教育委員会に直接訴えたことです。
学ぶものとしての生徒の権利も大切にされる民主的な学校でなければ、再びこのような事件がおきるのではないでしょうか。
不祥事が起きた場合、加害者を罰するだけで終わってしまい本質的な解決がなされないままになってしまうのではないか、そしてこのような事件は、氷山の一角ではないかとの疑念が起きました。
現在、市内の全部の中学校にはカウンセラーが配置されています。しかしながらこの事件では、カウンセラーのところには相談が入らず、セクハラの相談に関してカウンセラー室は機能しませんでした。校内で、しかも相手が先生となると相談できなかったのだと思います。
この事件の後、校長・園長会議が行われ、職員と生徒間のメールは禁止と決まったそうです。例外として不登校の場合や特別な場合は校長と保護者の許可を得てからとのことですが、禁止になったらその禁止が守られると考えておられるのでしょうか。
そこで3点お聞かせください。
1点目、高校では、毎年「セクハラ実態調査」を行っています。研修と共に市原市の小学校や中学校でも、この「セクハラ実態調査」を行うべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
現在、各小中学校には、セクハラ相談窓口を設け、複数の教職員による担当者を割り当てている。そこでは教職員間、教職員から児童生徒へ、児童生徒間のセクハラ等についての相談を受けている。今後は児童生徒に対し、教科・領域のそれぞれの指導を通して、セクハラについての認識を一層深めさせ、相談窓口等の利用を啓発していく。なお、実態調査については、慎重に検討していく。
2点目、学校内で人権教育がなされなくてはならないと考えます。児童憲章や児童の権利に関する条約の存在をまず知らせていくべきです。今後の対応策をお聞かせください。
(答弁)
児童の権利に関する条約は全文54か条からなり、18歳未満の子どもの「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」という4つの権利が包括的に定められている。この条約に関する国や県の通知を受け、児童生徒の発達段階に応じた一人一人の個性を尊重した指導をしてきた。又、教職員の人権に関する意識の醸成については、教育推進プランの中に人権教育を重点に位置づけ、校内研修において活用するなど推進している。加えて本年度、「市原の子どもの4つの約束」を定めたところであり、その中の、特に「道義の心」や「恕の心」の育成は、子どもの権利条約の理念につながるので、その推進にもつとめる。
3点目、自分の身を守る研修であるCAP(child assault prevention)「子どもがあらゆる暴力から身を守るための教育プログラム」の事業が今年度は予算化されませんでした。もう一度復活すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
事業の復活については、市教委主催による学校危機管理の対応教職員研修の内容をもとに、子どもたちの指導に当たっている。今後さらに「児童の権利に関する条約」の周知や、児童生徒一人一人の人権を尊重する教育の充実に向け、取り組んでいく。