平成21年度 決算委員会
決算委員会 質疑と意見陳述
質疑いたします。次の3項目をお聞かせください。
1.公文書の情報公開について。
市から連合町会に出す文書は公文書ですが、行政協力交付金の使い方は公文書ではないため、任意団体の町会の会計は情報公開の対象にはならないとの答弁でしたが、交付金も公金で税金です。明らかにしていく必要があるのではないでしょうか。
また、補助金については、宮城県や山梨県では、情報公開の対象としています。補助金は公金であり、税金です。私たちは、補助金に該当する事業や収支の部分は、情報公開の対象とすべきと主張してきました。市原市も情報公開の対象となっていると聞いていますが、実績についてお聞かせください。
(答弁)
任意団体のものは情報公開の対象ではありませんが、当然交付金は税金ですので、会計を明らかにしていくようお願いしていきます。
又、補助金は情報公開の対象となっています。情報公開の実績として、平成15年・16年・19年度はそれぞれ1件、平成17年度・18年度・20年度はなし、21年度はこれまでに2件です。
2.地域医療について。
① 二次救急診療体制事業では診療委託料を見直し医療確保対策をとり、3つの中核病院が救急車搬送の約86%を受け入れているとの昨日の回答でした。
3つの中核病院といえば帝京大学病院、労災病院、鶴舞循環器病センターだと認識しておりますが、今現在、鶴舞循環器病センターでは、どの程度救急車を受け入れているのか、お聞かせください。
鶴舞の場合、高度専門医療を受け持つ場と地域医療の2本立です。そして地域医療については自治体が中心になって構築するとなっています。県と連携して市も主体的に医師確保に向けて運動すべきです。市は現在、どのような働きかけを行なっているのか、改めてお聞かせください。
(答弁)
循環器病センターの救急車の受け入れ状況は、平成20年に552件、552人の方を収容しました。これは全搬送人員の5.1%です。
地元住民の方々は、循環器病センターのかかりつけ医としての機能、つまり一般外来診部門の拡充を望んでおりますので、今後も粘り強く県に働きかけています。
② 鶴舞地区にも、地域の方が安心して気軽に受診できる常勤の医師がいる病院が必要です。その役割を循環器病センターに期待するのか、別の手立てを考えるのか、市として明確な方針を持つことが必要ですが、見解をお聞かせください。
又、地域医療を守るには、患者と医療機関のアクセスが課題です。労災病院に転院をすすめられた患者さんが、高額なタクシー代を払って病院まで通っている、と話も聞いています。アクセス確保のために、どのような政策を検討しておられるのか、お聞かせください。
(答弁)
循環器病センターに期待しています。アクセスについては、既存の交通を利用することを考えています。それと共に課題等については、今後、関係部と協議していきます。
3.福祉関連の決算について。
① 保育所の待機児童201人、特別養護老人ホームの待機者800人の解消に新たな施設計画がありますが、それだけでは間に合わない状況です。
さらに今後、ますます保育所の需要は増えていくことが考えられます。保育所の待機児童ゼロを目指し、今後どのように保育所を拡充していくのか、お聞かせください。
(答弁)
色々な方法を考えて、待機児童を減らしていく予定です。
② 次に地域の社会資源の連携についてお伺いします。
社会問題になっているひとり暮らしの高齢者の孤独死、介護疲れの虐待、児童虐待など何れも、その背後には地域の中で孤立して暮らさざるを得ない方々の実態があります。
助け合う地域社会にするための社会資源といわれている、地域包括支援センター、中核地域生活支援センター(県の事業で24時間365日体制)、民生委員、介護相談員、訪問看護ステーション、地域住民の方々が主体的に参加する小域福祉ネットワーク、そしてファミリーサポートセンター事業などの連携が必要と考えます。
それには、コーディネートする部署が重要になりますが、どこがその役割を担うのか、お聞かせください。(うまく地域で連携できると安易に救急車を呼ばなくなる)
(答弁)
その役割を担うのは、保健福祉部です。土日でも守衛室から、担当部の方に連絡が入るようになっています。
(意見)
市民ネットワークを代表して、平成20年度市原市一般会計及び特別・企業各会計決算に関して意見の陳述を行ないます。
一般会計及び特別会計を合算した歳入決算額は1,348億7,523万円で、予算現額に対する比率は95.5%、歳出決算額は1,313億8,538万円で同じく比率は93,0%でした。全年度と比較すると、歳入決算額は6,1%、歳出決算額は6,3%とそれぞれ減少していますが、これは昨年の世界的な経済不況の影響とおもわれます。
しかしながらそのような中、本市では、一貫して危機意識をもった財政運営がなされ、財政構造の弾力性を示す経常収支比率83,8%、(実質的には全年度同様86,7%)公債費比率は9,3%(一般的に望ましいとされる10%を下回る)、財政の健全化判断比率でもある実質公債比率は12,9%、財政力指数は1,231となり、市原市の財政状況は健全財政といえます。
平成20年度の予算は新実施計画「輝・望いちはら」の初年度に向けた実践型予算として、計画事業の約9割が予算計上されました。
5つの基本的方向別でみた事業の状況を市民の目線で審査いたしました。
1.「ともに支えあうまち」副題として「助けあう地域社会をめざして」となっています。
誰もが歳を重ねていくわけですが、安心して暮らせる生活を支えるのが地域包括支援センターの役割です。本来ならば、総合相談・支援、権利擁護などが業務として上げられていますが、現実には高齢者の介護予防ケアマネジメントで手いっぱいの状況です。
委託料を増やし、人を配置して機能の拡充を望みます。
ひとり暮らしの高齢者等の家に緊急時報装置を設置する事業も、徘徊高齢者位置探索システム利用助成事業も、その恩恵にあずかって喜んでいる方々も承知していますが、まだまだ周知が充分でなく見込みの予算を下回った執行状況でした。
福祉制度は申請主義で、自ら申請しなければ本来受けられる福祉の恩恵を受けられません。こもりがちな一人暮らしですと、情報も届きません。町会などにも入っていない独居高齢者をくまなく訪問する仕組みの検討が必要です。今回の補正予算で、南総地域でそのモデル事業をおこなうと聞いていますが、ぜひ具体的な施策に生かしてください。
障がい者の就労の推進についても、公的機関が率先して雇用をはかり、障がい支援課ではなく、市役所全体で障がい者にできる仕事を探り、県庁で行なわれているワークステーションのような部署を庁内に設けていただきたく要望いたします。
2.「ともに育むまち」その内容は「温かい心と未来を託す人づくりをめざして」います。
学童保育は前倒しで整備予定が示されたことは評価いたします。しかしながら、ファミリーサポートセンター事業は、協力者がたいして増えず充分な執行はなされませんでした。担当者は社協の嘱託職員一人です。働く人が充分に活躍できる環境を整える
ことが必要です。さらに重要なのが、保育所の待機児童の解消です。早急に待機児童ゼロをめざす方針を立て、施策を行なってください。
特別支援教育が平成19年度から始まりました。発達支援センターは教育委員会と連携し、子どもの発達を支援する場になるよう機能の拡充をもとめます。又、助けが必要な子どもには支援が受けられる体制をとってください。
外国人市民も増えています。仕事をして税金が納められるような大人に育つためには教育が必要です。1週間に1時間の日本語指導ではあまりにもお粗末です。拡充を望みます。
学校では先生方が教材研究の時間が確保できる環境を整えてください。
3.「ともに培うまち」その内容は「人と自然が調和したまち」です。
農地・水農村環境保全向上活動支援事業は平成23年が事業終了年度です。その後の事業の継続は」どうなるのでしょうか?市原市のこれからの農業をどうするのか、大きく捉え方向を示す必要があると思います。
次に残土産廃問題です。
先日も、市民からの通報があり、市内勝間で行なわれている山砂採取現場を見てきました。どう見ても鉱サイと思われる石がごろごろしていました。
市に問い合わせると県の管轄だから、まずはどのような指導をしているか聞いてみるとの対応、県環境対策課及び保安課に電話したところ、早速現場に行ってくれましたが、「悪質なものではない」「搬入路でコウサイをしくのは一般的に行なわれていることで、山砂採取が済んだら、コウサイも除去する」という手ぬるいものでした。
残土問題は山間部でおきていて、地下水が一旦汚染されたら取り返しが出来ません。里山を守るという観点からの残土処分場の規制を検討してください。
市民との協働という観点から公園愛護団体が公園の掃除を引き受けています。
住んでいる地域の公園であればまめな手入れが出来ますが、遠くの公園を引き受けている団体だと手が届かない点がありますので、チェック体制が必要です。
又、愛護団体では手に負えないところは業者に任せ、市内の雇用を守ることも大事です。経費節減だけが前面に出るのは本来の姿ではありません。
4.「ともに創造するまち」副題は「個性あふれる安全なまちをめざして」となっています。
市域の広い市原市の課題は交通手段の確保です。コミュニティバスの運行は地域の方々の努力で現在稼動しています。3年後は見直しであり、廃止するわけではないと回答されました。需要が少ないため路線バスが走らない地域では、行政のサポートも必要です。交通空白地帯の解消をめざしてさらに取り組んでください。
又、都市景観形成啓発事業のように当初の目的を達したもの、つまり応募者と入賞者が同じ数になるような企画は再考するときになっています。
5.「ともに成長するまち」副題は「豊かさと活力のあるまちをめざして」となっています。
都市交流拠点整備事業は「賑わいと交流」をつくる「まちづくり」です。
しかも、五井駅西口を含めた中心市街地の活性化と一体となったまちづくりの説明でした。
3年前の決算委員会の議事録を読みますと、当時の都市交流拠点事業の担当者は「五井駅前東土地区画整理組合と協働してまちづくりを進める」と言われています。しかしながら、都交流拠点整備推進協議会では意見交換会や講演会を開いていますが、そのような時に地権者を招くことはなかったと聞いています。
五井駅西口を含めた市街地では、新たな中心市街地活性化基本計画を策定する前の段階の「中心市街地活性化協議会」の設立も未だできておらず、道半ばです。まち開きが来年に迫っておりますが、心許ない状況です。
これでは「一体的なまちづくり」ではなく、単なる「区画整理事業」になってしまいます。組合は平成25年に解散しますが、市原市は人任せにしないで50haの一体的なまちづくりを推し進めてください。
都市交流拠点整備事業には納得がいかず反対いたします。
以上、主だった項目をあげて述べてまいりました。市民との協働が進んだ活動(まちづくり塾など)評価するところもありますが、都市交流拠点整備事業に対する行政の対応のまずさ、待機児童が一向に改善されない保育事業の遅れ、環境行政の取り組みの手ぬるさ等納得いかない点が多く、市民ネットワークは平成20年度市原市一般・特別・企業各会計決算に対して非認定といたします。