平成22年度 第3回市原市議会定例会 9月10日(金)
個別質問 岡村由美子
1.地域福祉について
(1) 市原市地域福祉計画の検証と次期計画の策定について
所在不明の高齢者が全国で相次いで明らかになっています。この問題は、地域のつながりが薄くなってきていることを如実にあらわしています。
いま、自分の住んでいる近隣を歩いてみても高齢者のお一人暮らしが増えています。「向こう三軒両隣の支えあい」をかかげたこの地域福祉をすすめていくことが、いままさに求められていると思います。
平成17年に策定された現行の市原市地域福祉計画は今年で最終年の5年目となりました。
本計画の目的は「高齢者、障害者、子どもをはじめ、だれもが住み慣れた地域で自立して暮らせるまちの実現」でした。当時千葉県がすすめていた「健康福祉千葉方式」をうしろだてにつくられたこの計画の大きな特徴は次の二つであると私はとらえています。
・ひとつは市民参画・・・つまり住民が主体となって計画を作り、住民と行政との協働による施策展開をもりこんだことです。
・ふたつめには対象者横断的な施策展開・・・これは高齢者・障害者・子どもという従来の対象者別の施策ではなく、地域福祉という横割りの考え方を入れたということです
この2点はめざすべき地域福祉の本質を端的に言い表していると思いますので、この2点を念頭に置きつつ、質問します。
① 計画における市民参画と協働について
○ まず、住民主体の計画作りについては、これまでの計画作りは行政が案をつくって、審議会、委員会に意見を求めるという形でしたが、はじめて住民が計画作りから参画し、施策の提案者になりました。
平成16年10月の意識調査にはじまって、市内10地区12会場で実施した地域座談会で出された意見、(これは述べ参加人数は2,122 人でした)を各地域会議で検討し、地域福祉計画策定委員会へ報告。策定委員会では計画書作成の作業部会を設置し、各地域座談会で出された課題や対応策を整理し、本市の目指す地域福祉の方向を定めていきました。
これは県内他市にもさきがけたとりくみでした。市民参加で新しいものをつくっていこうという意気込みで、地域の方々が自分たちの課題を洗い出し、具体的な対応策を熱心に語り合い、本計画の提案者となったという意味で大変意義深い計画作りだったといえます。
この計画策定後、市内で小域福祉ネットワークが19立ち上がっています。昨年より拠点に対しても念願の家賃助成がはじまりました。
私はこの3年余り、地域で福祉活動に携わる方、障害者団体の方、福祉施設の方など多くの方たちにお会いして、直接に話をうかがってきました。
そして、今回も、小域福祉ネットワークの方々や拠点、社会福祉協議会、をおたずねし、話をうかがってきました。
そんな現場の声を聞かせていただくなかで、地域福祉が確実にひろがり、根付いてきていることを感じました。
市民参加、当事者参加の計画作りはたいへん手間と労力、時間がかかります。
しかし、まいた種が市内の各地域で芽を出し、育ちつつある・・・という実感を持ちました。
昨年と今年は「次期市原市地域福祉計画」の策定の年にあたっています。
これから本市の地域福祉がどこに向かうのか、この4年数ヶ月をしっかり検証し、次の計画をどうつくっていくかが、今後の本市の地域福祉の行方を決める大きな分岐点であり、ふんばりどころであると思います。
○ 今年は最終年ですが、現行の計画についてどのように検証しておられるのか、お伺いします。
また、次期計画をどのような視点で策定していかれるのか、あわせてお伺いします。これを一回目の質問といたします。
(答弁)
現計画は4つの目標、17の対応方針、36の取り組みという計画体系になっている。それらの対応として、地域住民、福祉事業者、社会福祉協議会、市の4者の役割分担により、取り組み内容を整理している。
市と社協の役割については掲載事業の達成度や今後の方向性について、双方の担当職員で構成している作業部会で点検評価している。
地域住民の役割については各小域福祉ネットワークにおいて振り返るとともに、福祉事業者にはアンケート調査をする予定。
次期計画に向けた視点は3つ。
・1点目は意識啓発型から実行推進型の視点。現計画のように計画づくりを通じて意識啓発をはかる段階から、具体的な活動の成果を多くの市民に実感し、参画してもらえるような実効推進型の計画作りを目指す。
・2 点目は災害時用演技者支援対策への対応の視点。全庁的取り組みを推進できるよう今後検討していく。
・3 点目は社会福祉協議会との連携の視点。
庁内に設置した担当者レベルの作業部会にも社協の職員が参加し、計画の素案作りから協働で進めている。
今後社協が策定する「地域福祉活動計画」の策定も視野に入れた取り組みで、両者が一体となって地域福祉を進めるための第一歩と考えている。
○ 次期計画の策定体制と、市民参加をどのようにしていかれるのか、重ねてお伺いいたします。
(答弁)
庁内に地域福祉計画策定会議を設置し、3階層で作業をすすめていく。
市民参加については保健福祉懇話会およびその専門部会で策定方針や素案、最終案を審議するとともに、小域福祉ネットワークの意見や提案をいただくほか、福祉事業者へのアンケート、市民参加のワークショップの開催、パブリックコメントの実施を予定している。
○ 現行の計画書によりますと、地域福祉計画策定委員会を継承した「(仮称)地域福祉推進会議」を設置し、地域福祉の計画の普及、小域福祉ネットワークの進捗状況の点検評価をし、時期計画策定に向けて検討していくことになっておりますが、今後のスケジュール等を伺った中では、そのような組織はみあたりません。
市民参加の策定委員会を継承したこの組織がたいへん重要な役割を果たすと考えますが、これはどうなったのか、お聞かせください。
(答弁)
地域福祉推進会議は平成18年に設置し、21年3月まで4回開催し、その後20年8月に保健福祉懇話会のなかに地域福祉推進会議を発展解消し、保健福祉懇話会のなかに地域福祉専門部会を設置した。
○次期計画策定にあたり小域福祉ネットワークの意見をどのように取り入れるのか、具体的な取り組みをお伺いします。
(答弁)
先日小域福祉ネットワークの代表者にあつまってもらって意見をうかがった。今後も機会を得て、そのような会議を設けて生きたい。
○私は現行の計画と同じ規模での市民参画を求めているわけではありません。
しかし、少なくとも市民の手で現計画の4年数ヶ月の検証と、市民の協議の上での計画策定は、この地域福祉計画の成り立ちから見て、外してはならないものです。
あらためて「地域福祉推進会議」を設置し、小域や社協、福祉事業者、もちろん公募もして、メンバーを募り、次期計画をつくっていくべきだと考えます。
お考えをお聞かせください。
(答弁)
計画作りにおける市民参加は重要と認識しているが、現計画の基本理念や目的等はこの4年を経過した中でも大幅に見直す必要性はないと考えている。現在点では先ほど申し上げた体制でいきたいと考えている。
○ 今年は国体もあり大変。少し策定時期を遅らせてでも、ゆっくりていねいに市民参加で計画作りをすべきと思いますが、見解を伺います。
(答弁)
現在点では先ほど申し上げた体制でいきたいと考えている。理解をお願いしたい。
第一期の基盤がありますので、ぜひ市民参画でゆっくりていねいにつくっていただきたいと要望いたします。
これは先細りしがちな担い手を広げるためにぜひとも必要です。
②福祉圏域の見直しと保健福祉センターについて
○ 福祉圏域についてお伺いします。
本市は県下で一番市面積が広く、くまなくサービス・情報をいきわたさせるための工夫が必要です。現在の基本福祉圏・中域福祉圏、小域福祉圏の3層福祉圏域では将来的にきめこまかな地域福祉を展開していくには、粗いのではないかと考えます。
基本福祉圏・保健福祉センター・中域・小域・町会の5層の圏域とすべきと思いますが、見解をうかがいます。
(答弁)
現在は3階層で福祉圏域を設定し、なかでも小学校区を範囲とした小域福祉圏においての「小域福祉ネットワーク」の立ち上げに重点を置いて取り組んでいる。いままで19が設置され40%の設置率となっている。今後福祉圏域の設定についてはひとつのテーマと考えているので、検討していく。
○ その際、保健福祉センターを本市4ゾーンにおける地域福祉推進のための拠点と位置づけ、中域、・小域の推進をはかる機能を付け加えるなど機能強化が必要と思います。そして、保健福祉センターに配置された市職員(保健師等)、社協職員(コミュニティ」ソーシャルワーカー等)でチームを作成し、中域、小域の運営を支援するようなしくみにしていくことを提案いたしますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
現在は南部保健福祉センターの設置をすすめている。保健福祉センターの位置づけについては現計画で推進している小域福祉ネットワークの設置状況や活動内容が重要な判断材料となるので、次期計画の中で検討していく。保健師等を活用したチームを結成しという提言については、保健師は保健福祉活動を行う専門職であり、その専門職が地域福祉活動を行うのは、具体的な理由が求められるので、理由を明らかにしなければならない。また、業務については業務量を算定し、職員数が決められている。あらたにチームをつくって仕事をするとなると恒常的に時間外勤務を行わなければならない可能性が出てくるので、現在は非常に厳しい。
いろいろと課題があるようですが、「保健福祉センターの設置および管理に関する条例」の第一条に「地域福祉を基盤とする社会福祉事業の推進をはかるため、同センターを設置する」とあります。積極的な機能強化を計画に盛り込むべきと思います。
市原市の場合はとにかく面積が広い。これは向こう三軒両隣の支えあいを標榜する地域福祉をすすめていくにあたって、大きな課題と思います。
南部保健福祉センター建設については、本年度用地取得し、基本設計にとりかかるときいております。
南部の次に辰巳台に予定されている保健福祉センターについては、私の平成19年6月の議会質問に対し、南部保健福祉センターの見通しが立ってからと答弁をいただいております。南部の見通しがたったところであらためて伺いたいのです。
○ ぜひ次の実施計画にのせてほしいが、いかがでしょうか?
●通告外の質問と副議長から指摘を受ける
私自身はこの質問は通告外とは思っておりませんが、わかりました。それでは私の思いを述べさせていただきます。辰巳台においては、平成6 年から辰巳台保健福祉センター促進委員会を設置し、毎年要望書を出してきております。地元では南部の保健福祉センターと同じように、地元住民による協議会設立の気運が高まっております。
ぜひ協議会の設立を支援していただき、地元住民の協議の場を設けていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
③ 小域福祉ネットワークについて
小域福祉ネットワークが現在、小学校区で19の圏域に立ち上がっています。なかには辰巳台のように中学校圏域のところもあります。
当初計画では小学校は46に圏域にネットワークをつくることになっています。
○ 小域福祉ネットワークについてはどのように点検、評価されているのか伺います。
(答弁)
小域福祉ネットワークは現在19立ち上がっている。各団体がそれぞれの地域課題を抽出し、自分たちで話し合い、解決していくといった活動内容やその手法、人材等は各地域の貴重な財産となったと評価している。
運営補助についてうかがいます。県社協の立ち上げ補助金20万円(3年間)市の補助金12万円(3年間)
○現在この補助金で運営しているのはいくつぐらいなのか、また、4年目からの補助金についてはどのようにお考えですか?
(答弁)
県の福祉フォーラムの補助金が9団体、市の補助金が5団体。4年目以降の補助金については検討していく。
○ 拠点についてお伺いします。
モデル拠点2箇所に昨年度より、月5万円の家賃補助がはじまりました。牛久は、平成21年度途中から、青葉台は今年7月の開所です。7月18日に行われた、青葉台の開所祝賀会に参加いたしました。まちの中心部の郵便局を改装し、子ども、高齢者、障害者だれもが立ち寄れるたまり場的拠点です。まちの方たちの笑顔が輝いていたのが印象的でした。
拠点については今後どうするお考えでしょうか?他の地域の拠点についてはどう考えておられるのでしょうか?
(答弁)
地域福祉拠点整備モデル事業は小域福祉ネットワークが地域の空き店舗や空き家を借りて活動拠点とした場合、家賃を補助する制度で昨年度から牛久と青葉台の2箇所で試行的に取り組んでいる。
小域の拠点確保、費用負担のあり方、事業効果について調査・検討することを目的としている。今後は公共施設の活用や民間施設の活用含め、拠点のあり方について検証した上で、支援策について検討していく。
○ 家賃補助に限定しないで、たとえば光熱費などにも柔軟に出すようにしてはいかがでしょうか。(空き家が増えていますし、空き店舗などを、低額で提供してくださる方も増えていますし、空き家を無料で提供してくださる方もあらわれています。)
(答弁)
市の運営補助金を光熱費等の運営費に当てていただくことも想定している。
運営費補助金の12万円では少ないと思います。家賃以外にも光熱費その他で5万円ほどは、かかります。小域福祉ネットワークで大いに活動しておられる様子をみていますと、住民ができることはやらなければと十分に自覚しておられます、しかし、拠点にかかる費用を自分たちで捻出するのは並大抵ではありません。
資源回収や福祉バザー、おまつりなどで資金稼ぎをしなければならない、というのでは、活動のかたわらたいへんなエネルギーを要し、本来の活動にまわす力がそがれます。
○ 学校の余裕教室の開放についてはいかがでしょうか? ・・・ちはら台水の江小学校は、市内ではじめて、小域福祉ネットワークの子育て支援に教室を提供しました。大きな一歩と歓迎いたします。地域福祉の拠点として、ぜひほかの学校も必要に応じて開放していただきたいと思いますが、いかがでしょうか?
(答弁)
開かれたが公施設として、社会教育や福祉等への活用が求められているので、学校教育や学校管理上、支障のない範囲で利活用に努めていく。
○ 小域福祉ネットワークの活動は、多岐にわたり、多様性があります。拠点もその地域に応じて、多様なニーズにこたえていくことが必要とおもいます。財源の限られている中、知恵を絞り、拠点の開拓をしていく必要があると考えます。
市の役割は環境整備です。22年度予算は360万円ですが、小域の活動に対し、公的な投資を今後増やしていくことが必要と考えます。見解をお聞かせください。
(答弁)
小域福祉ネットワークの状況をみながら、関係部と協議していく。
(2)計画の推進と対象者横断的な施策展開について
①社協について
社協については平成12年の社会福祉法成立で、「地域福祉推進をはかることを目的にする中核的な団体」として明確に位置づけられています。
現在、小域福祉NW の立ち上げの支援や事務局を担ったり、ふれあいいきいきサロン事業や子育てサロン事業等、地域に密着した活動を行っています。
しかし、急速にすすんでいる少子高齢等にともない、福祉ニーズが多様化し、従来の活動では対応できない状況が出始めています。また、人件費や主要事業について支出されている補助金についても、市の財源状況の悪化等にともない、増やすことがむずかしくなっている中で、自主財源を確保していくことが課題となっています。市社協活動は住民からの会費も原資となっていますが、その会費は、住民の身近な生活課題や地域課題の改善や解決を目指すための活動の財源であることを周知する活動が必要です。
○ 自主財源の確保と認知度のアップについての市の考えをおきかせください。
(答弁)
社会福祉協議会の主な財源としては、住民や福祉関係団体からの会費収入、寄付金収入、共同募金からの配分金収入、福祉バザーなどの事業収入、介護保険収入、指定管理委託などの受託近収入がある。
自主財源を確保していくためには、その中でも会費や寄付金を確保することが大変重要である。そのためには身近な日常生活を支える地域福祉を社会福祉協議会が担っているということを、市民の皆さんにご理解いただけるような、具体的な活動を展開したり、積極的な広報活動をすることが大事。
今後「地域福祉活動計画」を社協が策定する予定となっているが、その中でいかに住民ニーズをとりいれて次の活動に結び付けていくかが大きな鍵となるので、計画作りの段階から連携して取り組んでいく。
○ また、社協職員は地域福祉の専門家として、地域活動のコーディネーターとなる人材の育成や、地域福祉の気軽な相談窓口になるなど、組織基盤を強化していく必要があると思われますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
社協では職員全員にコミュニティソーシャルワーカーの養成講座を受講させるよう取り組んでいる。
また、国のモデル事業である安心生活創造事業の推進にあたり、地域の相談窓口としての役割を社協にお願いする予定だが、このような機会が職員の人材育成につながると考えている。
社協は住民の中にはいりこんで、地域福祉を推進していくという大きな役割を担っていますが、現在、地域によって取り組みに差があったり、また、行政となれあいではないか、行政が丸投げをしているのではないかなど厳しい意見もあります。
これを機会に、組織基盤強化、市との関係などもふくめ、ざっくばらんに話し合って、真の推進の中核を担っていただきたいと思います。
② 対象者横断的な施策展開について
2000年6 月、介護保険施行の2ヶ月後、社会福祉事業法から社会福祉法へ改正され、第4条にはじめて地域福祉ということばが盛り込まれ、事業者の側からだけでなく利用者の側からも福祉について規定しました。
それまでは高齢者福祉があり、障害者福祉があり、児童福祉があり、母子福祉があり、その他の部分が地域福祉の位置づけでした。多くの市町村の組織機構はいまだにそうなっています。
地域福祉はそういう対象者別の考え方に地域福祉という横割りの考え方を入れました。地域住民は客体ではなく主体になりました。役所の組織機構を変えるいいチャンスです。
○対象者横断的な組織作りの必要な時期と思いますが、見解を伺います。
(答弁)
地域福祉推進に当たり、各地域においては高齢者、障害者、子育て世代など、幅広い方々を対称にしているほか、防犯、防災などさまざまな課題に対して横断的に取り組んでいる。しかし、その対応窓口がさまざまな部署に関係することから、解決までに時間を要するなどの指摘を受けている。
そこで職員の社会福祉に関する理解が必要と考え、次期計画策定にあたっては庁内に3階層の策定体制を設置し、より多くの職員が計画づくりに携われるよう取り組んでいる。
また、地域福祉を推進する上でどのような課題があり、その解決のためにはどのような組織体制が求められているのか、具体的に問題点を整理したうえで、必要に応じて関係部局と協議していく。
○ 船橋市では地域福祉課が福祉サービス部の筆頭課となって全庁的に取り組んでいます。本市でも地域福祉推進課を設置し、横割りとして地域福祉を位置づけて推進してほしいが、いかがでしょうか?
(答弁)
船橋市の事例の紹介があったが、船橋市の状況と、本市の状況で違うところがあると思う。船橋市の状況がどのような状況か、どういう時点で課を設置したのか調査していきたい。
福祉とは生活全般にかかわるものです。子ども、高齢者、障害者といった縦割りでなく、福祉全体を見渡し、コーディネートする部署が必要と思います。これについては次の機会に質問いたします。
3) 安心生活創造事業について
これは平成21年、22年、23年の3ヵ年の国の補助金が上限1,000万円のモデル事業です。22年4月時点で全国58の市町村が認定され、県では千葉市や鴨川市がこの事業に認定されています。本年度は・国の補助880万円が予算計上されています。
基本理念は悲惨な孤独死、虐待などを1 例も発生させない地域づくりで、事業内容は見守りと買い物を基盤支援とる計画です。本市は南総地区をモデル地域として事業を進めています。
○進捗状況はいかがでしょうか?
また、今後はどのような地域のネットワークをつくってくのでしょうか?
(答弁)
平成21年度では南総地区の小域福祉ネットワークの協力を得て、「市民ニーズ調査」を実施した。
この結果から見守り支援に対するニーズが高かったので、平成22年度は見守り支援の体制整備と実施を目標に掲げ、小域福祉NW の代表者による全体会を2 回開いている。協議の結果、現在は小域福祉NW に出向き、「安心訪問院」について協力をお願いしている。今後は安心訪問員の研修、対象者への意向を確認した上で、見守り活動を実施する予定である。
○ 財源についてうかがいます。国庫補助3年経過後には国庫補助以外の自主財源で事業を運営することになりますが、どうしていかれるのでしょうか?
(答弁)
この事業は国のモデル事業として3年は補助金が交付されるが、4年目以降の支援は未定である。
市としてはこの事業を継続して取り組むことが重要と考え、ボランティアによる取り組みを基盤として地域と協働で進めている。現在は小域福祉NW,社会福祉協議会、市の3者が中心となって活動しているが、今後は地元企業など幅広い支援体制についても検討していく。
南総には6地区すべてに小域福祉ネットワークがたちあがっています。小域福祉ネットワーク、地域包括支援センター、社協、民生委員、地域住民など地域福祉のネットワーク作りの実践としても大いに注目されます。ぜひ企業もいれて、実践を進めてください。
2. 高齢者福祉について
(1) 地域包括支援センターについて
平成18年に改正された介護保険の、改正のキーワードは「地域」でした。
介護予防にしても、自立生活支援にしても、それを地域で支えていくということが非常に強く打ち出されています。
日常生活圏域において、地域包括支援センターなどを通じて、地域密着型サービスの介護予防を展開していくという道筋が立てられました。
本市では昨年10月にたいよう、ひまわり、ごいの3つの地域包括支援センターが設置され、直営も含めて、6箇所が整備されました。
私は地域包括支援センターは地域を支える要と考えております。今回6箇所すべてを訪問させていただき、現場の声をお聞きいたしました。
① 地区割りについて
地区割りの見直しについては、平成24年からの次期介護保険事業計画で、日常圏域がみなおされると聞いているので次の質問に移ります。
② 地域のネットワークと周知について
昨年10月に委託事業として3箇所がオープンし、それぞれ奮闘していらっしゃいます。
○「地域包括支援センター」ということばになじみがなく、「オレオレ詐欺」と間違われたり、相談は無料なのに有料と警戒されるなど、のケースがあったということです。どうやって周知をはかるかが、課題です。周知に対してのお考えをお聞かせください。
(答弁)
広報いちはらやホームページなどに掲載するほか、パンフレットを作成し、市役所や出先機関などの窓口で配布している。また、各センターでは地域の民生委員協議会や老人クラブの会議等にも積極的に参加し、PR につとめている。今後も周知活動に努めていく。
地域のネットワーク作りが今後の課題ですが、民生委員、町会、老人クラブ、小域福祉ネットワークなど地域の集まりに入り込みづらいところがあるようです。
○いろんなところで知ってもらう活動、話を聞いてもらう機会を行政側も各地域団体に働きかけて積極的につくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか?
(答弁)
周知に努めているつもりだが、まだまだということなので、さらに関係団体にそのような話をしていきたい。
③ 委託料、スタッフについて
現在は主任ケアマネージャー、保健師あるいは看護師、社会福祉士、の3つの専門職種に加えて予防ケアプランナー、そして事務員がスタッフとなっています。
地域包括支援センターによせられる期待は大きく、また、実際の相談も現在の社会生活を反映して多岐にわたり複雑です。現場ではひとつひとつ手探りで解決に結び付けておられます。
総合相談など件数も増えて、事例も複雑になっています。かなりなオーバーワークのところも見受けられます。スタッフの増加が必要と思われます。
また、専門の3職種を必ずそろえなければならない条件であるにかかわらず、委託料がみあわないため、人件費が低く抑えられている現状です。
○委託料を増やし、スタッフの増員、人件費増をはかるべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
現在の委託料は近隣市や専門職の給与実態を嵯勘案して算定している。業務に必要な所要額であると認識している。
見直しについては各地域包括の活動状況の推移や国の制度改正の方向など見極めながら、今後の検討課題としていきたい。
○ これについて、私たちはたびたび質問してきています。平成21年12月の私たちの会派の質問に対し、「委託包括につきましては、担当区域によりまして高齢者の人口ですとか、面積が異なる。その設置状況なども異なることから、これについては他市の状況等も参考にしながら、委託料の積算方法について検討してまいりたいというふうに考えている。今後、また高齢者人口というのはどんどんふえてくると思いますので、そういう点も加味しながら、検討したいと考えている」との答弁をいただいていますが、その後、どのように検討されたのかお聞かせください。
(答弁)地域包括の担当区域ごとの高齢者人口は一定の基準があるが、それぞれの地区によってどのような委託料の算定の仕方がよいのか、内部的にも検討しているところである。
○ 事務員については国の緊急雇用対策事業を利用して、新しい3箇所に配置しているとのことです。このこと自体はありがたいことなのですが、緊急雇用ですと6ヶ月で交代しなければならない、せっかく仕事を覚え、戦力となり、チームでやっていこうとしているところで、辞めなければなりません。事務量がかなり多い現状ですので、たいへんな痛手と見受けられます。これに対しての対応が必要と思いますが、見解をお聞かせください。
(答弁)
国の緊急雇用対策事業を利用した「サポート事業」だが、雇用期間については少しでも多くの方が働く機会を得られるように6ヶ月となっているが、一回に限り更新できることになっている。実際更新したところもある。
1年まで延長ということですが、ちょうどこの10月で、事務員が交代となります。事務員についてももっと長期的につとめられるような対策をぜひ検討いただきたいと思います。
④ 地域包括支援センターの役割について
○ 包括は地域の窓口として、高齢者の問題だけではなくかなりいろいろな相談が寄せられるようです。たとえば、精神障害の方の相談、ホームレスや児童にかかわる相談などです。このような現状にあって、地域包括の役割についてどうお考えか、見解を伺います。
(答弁)
介護保険制度において介護予防、総合相談、権利擁護などの業務を包括的に行う機関として義務付けられている。
高齢者をめぐる多方面の相談をワンストップとして受けること、また、この相談内容を必要に応じ、行政機関や医療機関などのサービス提供期間につなぐ橋渡し役であると認識している。
重複したニーズを持っている家庭はたくさんありますお年寄りが認知症で、同居している家族がなんらかの障害を持っていたり、子どもが問題を抱えていたり、とてもひとつの枠でおさまりきれない重複した生活課題が山積しているケースが多々あります。
直営の包括センターについては、委託事業者の求めに応じ、同行や相談などきめ細かく対応してくれているということです。
地域包括支援センターは介護給付、予防給付、地域支援事業だけではなく、地域のあらゆる資源をコーディネートしていくことが大切、すなわちソーシャルワークです。
「地域包括」との名乗る以上、その地域に暮らす住民の生活をトータルに支援できる存在で、発生した困難事例に対応するだけではなくそうした生活困難が発生しないように予防することも大事な役割です。
地域包括の役割は今後高齢者だけにかぎらず、広がっていくと思います。今後の介護保険の改正ともからむ問題です。
地域福祉的な視点からコミュニティケア、地域包括ケアを考えるときには、その視野に高齢者だけではなく精神障害も含む障害者や子どもがはいっていることが大事で、欠かすことのできない点です。
介護保険の枠内だけではなく、地域にあるあらゆる社会資源を利用することなしに問題解決はできない、縦割り組織のどこかが地域包括を受け持つというのでは、活動の幅が非常に狭まってしまいます。
このあたりは、さっきの地域福祉の質問のところでも申し上げましたが、やはり対象者横断的な組織の組み換えが必要になってきていると思います。
日常生活圏域をていねいに全国すべての市町村が作っていけば非常にすばらしい保健、医療、福祉の体制ができます。そういう可能性を日常生活圏域や地域包括支援センターは持っています。
この制度を地道に育てていくことが大事と考えます。
3.就学援助について
就学援助は、経済的理由によって就学が困難と認められる児童生徒の保護者に対し、学用品費・医療費・学校給食費などの援助を行う制度です。
市原市の現状をみてみますと、2007年と2009年をくらべて、小中学校の子どもの数が2年間で700人近く減ったにもかかわらず、援助を受ける子どもは増えており、約10人にひとりとなっています。
○まずは、この援助を受ける子どもの人数が増えている背景をお聞かせください。
(答弁)
認定要件の内訳をみると、受給者数の約8 割が児童扶養手当受給者ともっとも多く、続いて認定基準額より、所得が低い世帯、市民税非課税世帯となっている。このことからひとり親の増加、経済不況による所得の減少が受給者増に大きな影響を与えていると考える。
○また、制度運用に関する保護者向けの説明はいつどんな形でしていますか?
保護者へのお知らせはどのようにしていますか?
案内書についてうかがいます。外国人家庭向けに案内書はひらがなあるいはルビが必要と思います。また、所得基準の明示も必要ですが、現在はどちらもなされていませんが、そのような対応についてのお考えをお聞かせください。
(答弁)
保護者向けの説明は各小中学校にて入学式当日に説明したり、個別に担当職員から説明したりしている。入学前の各家庭には就学時健康診断実施日にそれぞれパンフレットを配布している。
ひらがな、ルビは見直しの検討を行っている。
○ 担当者について伺います。誰が担当者ですか?
担当者に対する説明会はどのような形でおこなっているのでしょうか?
給食費の滞納者の中にこの就学援助の対象者でありながら気がつかない家庭があります。一番身近な担任の先生のこの制度に対する理解が必要です。また、多忙な教職員に代わって実際の事務を担当する学校事務職員にも関与をしてもらう必要があります。
そのために学校現場での研修を教育委員会でおこなってほしいがいかがでしょうか?
(答弁)
学校事務職員が主に担当している。担当者の説明会は事務職員の研修会を利用し、行っている。また、円滑に校内事務がすすめられるように学級担任含む全教職員の説明についても、各小中学校で行っている。研修会については本年度から初任者研修をおこなっているのでこういう際に説明の機会を設けていきたい。
今年度は新任の先生が100人と聞いておりますが、ぜひ就学援助の理解を深めていただきたいと思います。
民主党の看板政策「子ども手当て」の支給で、ひとり親や子どもの多い世帯の支援制度を廃止・縮小したり、低所得者向けの学費援助を見直したりする自治体が相次いでいます。
○ 今後の増加についてはどう予想されますか?財源措置についての見解をお聞かせください。
(答弁)
認定要件については県内他市町村の動向を注視しながら検討していく。財源措置についても国、県、田市町村の動向を注視しつつ、すばやく対応していきたい。
廃止・縮小ということのないようにお願いします。いま、子どもの貧困が大きな社会問題となっています。援助を必要としている子どもたちに支援の手が行き届き、少なくとも貧しさのゆえに学ぶ機会が失われることのないように、教育条件を保障していくことを切に求めます。