平成24年9月議会 閉会日討論(10/16)入江晶子
2012年9月議会 閉会日討論(10/16)
発議案趣旨説明 入江晶子(市・社・無 会派) さくら・市民ネットワーク
市民ネット・社民・無所属の入江晶子です。会派を代表し、発議案第22号及び23号について、議員各位のご賛同を求め、趣旨説明を行います。
初めに、発議案22号「沖縄普天間基地へのオスプレイ配備を中止し、沖縄の基地負担軽減を求める意見書案」についてです。沖縄県議会及び全市町村議会でのオスプレイ配備撤回を求める決議、9月9日の10万人を超える県民集会で示された圧倒的な沖縄の民意を無視し、日米両政府は今月1日、米海兵隊の普天間飛行場へのオスプレイ配備を強行しました。以来2週間が経過しましたが、6日までに第一陣として12機全ての配備が完了。4日から始まった飛行訓練では回転翼を上に向けたヘリコプターモードでの飛行が基地外の市街地上空で頻繁に目撃されています。ヘリモードは原則基地内上空で行うとしていた日米合意は事実上反故にされました。そればかりか旧型の輸送ヘリからオスプレイに代わることで夜間や早朝の離着陸回数が年間76回から280回、3.7倍に増えることも明らかとなりました。沖縄県民は更なる犠牲を強いられています。
先週12日、複数の政府関係者によれば、オスプレイの普天間飛行場配備による負担軽減のために日米両政府が検討することで合意している訓練移転は、年内の実施が難しいこと、訓練移転に伴う費用は日本政府が負担することが明らかになりました。政府はオスプレイの本格運用後、日米合同委員会を活用して今後移転先などの協議を始める方針ですが、移転先となる本土自治体の反発は避けられません。9月19日の沖縄配備に向けた日米の「安全確保策」の合意に盛り込まれ、「配備後、既存の計画の一部として、日本政府からの支援を得て沖縄以外で飛行訓練を行う可能性を検討する」と明記されています。 この移転訓練は米軍が日本各地で実施する低空飛行訓練とは別ですが、米軍の本土での訓練計画は明らかにされていません。
13日付の琉球新報では、オスプレイの安全性について「事故過少申告 安全宣言は破たん」と報じています。米海兵隊は重大な「クラスA」の事故が1991年以降7件と発表してきましたが、元海兵隊大尉の軍事評論家カールトン・メイヤー氏は「少なくとも23件」としています。海兵隊はこれを否定していますが、メイヤー氏は「第三者機関による調査もせず、海兵隊が独自に分類・申告し、『高い安全性』を言うのは公正でない」と指摘しています。防衛省は米軍の過少申告を基にオスプレイの事故率を「1・93」とし、米海兵隊全体の「2・45」より低いと説明してきましたが、同氏の指摘通りなら海兵隊全体をはるかに上回ることになります。米軍は事故は人為的ミスとの見解を崩しませんが、日本政府が安全性を保障する根拠にはなりえません。普天間基地は宜野湾市の中心部にあり、周辺には約9万人が居住し、学校や保育園、病院などの公共施設が120以上あります。沖縄県民は不安と憤りの中、連日抗議活動を続けています。一方、米海兵隊は最近ハワイの2つの空港で計画していたオスプレイの訓練を中止し、6月には空軍が環境アセスに対する住民意見を受けて、ニューメキシコ州での低空飛行訓練を延期しています。
米国内では住民への配慮でオスプレイ訓練が中止されたのに沖縄ではなぜ強行するのか。本土のメディアも沖縄の基地問題を積極的に取り上げることはなく、大多数の国民は沖縄の歴史や現状に疎く、無関心でした。沖縄県民はこれまでの歴史から沖縄の声や命は無視して構わない、その程度の位置づけしかされてこなかった根底に日米両政府の差別があったと憤り、この局面において沖縄全土をあげて抵抗していることを私たちは直視すべきではないでしょうか。
一方、本土でも岩国基地やキャンプ富士に数基を移し、東北、四国、九州などを通る6ルートで低空飛行訓練を実施することになっており、本県の上空も通過することが計画されています。しかし、米国追従の政府の安全宣言は完全に破綻しており、日米安保を優先させる政府は国民の命を守る責任を放棄していると言わざるを得ません。つきましては、議員各位に本意見書へのご賛同をお願い申し上げます。
次は、発議案23号生活保護予算削減方針の撤回を求める意見書についてです。政府は来年度予算要求に際して生活保護制度について「最大限の効率化」を図るように指示し、保護費の削減方針を明確にしました。この十数年来、生活保護受給者は増加の一途をたどり、自治体財政の圧迫、現役世代の受給者の急増、高齢者割合の増加、不正受給や過大支給など、さまざまな課題があります。これらの課題を解決するためには、単に保護費を削減するのではなく、雇用、年金、教育などの分野にわたる包括的な政策の見直しが求められるところです。具体的には、受給者が職を得て自立するための景気対策、雇用の安定化、生活保護の給付水準とリンクしている最低賃金の大幅な引き上げ、高齢者が暮らしていける最低年金の保障など、どれも民主党政権のマニフェストにその実現が掲げられていたものです。
政府は来年から7年かけて「生活支援戦略」に取り組むとしていますが、特に働きたくても働けない現役世代の就労支援などの自立支援に本腰を入れなければなりません。自治体の現場では職員削減の流れの中で十分な職員配置がされず、社会福祉法で定める80世帯に一人のケースワーカの配置も難しく、千葉県内でも受け持ちが100世帯を超える自治体がほとんどと報告されています。これでは自立のための支援や不正受給を防ぐための調査が十分に行われるはずがありません。言うまでもなく生活保護は日本国憲法第25条の生存権に基づき、私たち国民の命や暮らしを守る最後のセーフティネットです。予算削減ありきの見直し議論は本末転倒であり、制度本来の趣旨に沿った予算配分を求めるものです。
以上、本意見書案への議員各位のご賛同を心からお願いいたしまして、趣旨説明を終わります。