令和3年 第2回市原市議会定例会
代表質問 小沢みか
冒頭に、今定例議会では市制始まって以来初めて、執行部席に女性の部長が座っておられる姿に接し、本当に嬉しく思います。ここからさらに女性職員の活躍が進み、市政に新たな風が吹き込まれることを大いに期待しています。
1.本市における不祥事の根本的な原因と改善策について
*不祥事多発の現状について
今年に入り、職員が懲戒処分となる事案や管理不行き届きによるワクチン廃棄など、市原市に関する不名誉な報道が相次いでいます。
少し遡っても、昨年の乳児衰弱死事件や4年前の水道有収率のデータ改ざんなど、重大な失態も繰り返し、市民は多大な不利益を被っています。この状況は異常だと言えるでしょう。
*「他人事」の組織風土がしみついている事について
これまで組織に関わる重大な不祥事が起きた場合、例えば
児童虐待事件が起きれば、要保護児童保護施策 推進本部を設置
生活保護で不適切な事務が判明すれば、生活保護事務適正化本部を設置
というように、
その時その時で厳重に対応されていることは理解しますが、敢えて厳しく言わせて頂ければ、得られた教訓を庁内すべての部署あるいは職員が肝に銘じ、自分ごととして捉えるという感覚がまだ希薄だと言わざるを得ません。
まずそのことについてどう認識されているのか伺います。
(総務部長)
職員への服務規律の確保及び綱紀の粛正については、これまでも機会を捉え注意喚起をしてまいりましたが、市政に対する市民の信頼を著しく損なう不祥事が発生したことは誠に無念であり、深くお詫びを申し上げます。
もとより、市民の行政への信頼は、業務推進の礎であります。
そこで、問題意識を共有するため、改めて全職員を対象としたコンプライアンス研修を実施することとし、現在までに課長級以上の職員に対する研修を終えたところでございます。
この研修では、過去に生じたコンプライアンス違反の事例における類似点から、不正事案は、個々の動機、それを可能とする機会、さらに正当化できる理由の3つの要素が揃ったときに起き、逆にこれを防ぐにはこの3要素の一つでも取り除けば、重大な事案に発展しないと総括いたしました。
そして、本市で生じた事案について、その原因を検証した結果、事務が個人任せとなっていたこと、安易に前例や周囲の状況に従っていた点、組織としてのチェック体制の不備が、共通する問題点として浮かび上がりました。
これらのことから、コンプライアンスに即効薬はないという強い認識のもと、本研修を継続しながら、それぞれの職場においてやるべきことをしっかりと考え、組織での進捗管理、チェック体制を確立させるとともに、職員からの相談を丁寧に聞き取り、不正が起こる原因を生じさせない、風通しの良い組織風土の構築に取り組むことを確認いたしました。
また、職員が市原市職員であることに誇りを持ち、仕事へのやる気に溢れる職場となるよう、現在策定している組織ビジョン、経営理念、行動指針の浸透を図り、コンプライアンスの向上に繋げることで、本市行政に対する市民からの確かな信頼を取り戻してまいります。
*行財政改革大綱などへの反映など、具体的な手立ては
コンプライアンス研修など、職員の意識改革に積極的に取り組まれていることは十分理解しています。すぐに成果が表れるわけではありませんから、今後を注視したいと思います。
しかし個々の意識改革が図られても、それが組織体としてかみ合い機能しなければ意味がありません。その取り組みの姿勢が今一つ私たちに見えてきません。
このほど次期行財政改革大綱の策定方針が示されましたが、数々の不祥事を踏まえ、全庁的な危機管理体制の強化を改革の柱にしっかりと据えて、具現化する必要があるのではないでしょうか。
当局のご見解をお聞かせ願います。
(総務部長)
組織がもっと前に進もうとするとき、これまで、前例や慣習で判断していたさまざまな事柄に対し、改革・改善の視点が芽生え、見直す意識が生じてまいります。
まさに今この時期を変革の機会と捉え、組織として、あらゆる活動を通して職員の改革意識の醸成に取り組んでいるところでございます。
一方、不祥事の防止には、職員の意識改革に加え、組織のマネジメントの確立が重要であります。
現在、策定を進めております次期市原市行財政改革大綱では、改革の論点として、リスクマネジメントの強化を掲げ、改革の必要性について、整理をしているところでございます。
今後、さらに策定の過程で、不適切な事務処理を発生させない処理フローの構築や職員の危機管理能力の習熟を図り、組織としてのコンプライアンス体制の整備に取り組んでまいります。
ふじみ野市の危機管理基本マニュアルがとても良くできています。ふじみ野市は、2006年に市営プールで児童が吸水口に吸い込まれて亡くなるという痛ましい事故が起きたその翌年に策定しています。
ここで強調したいのは指針の策定ありきではなく、その姿勢の問題です。
市原市も参考にして下さい。
*本当の理由は「職員のモチベーションの低下」ではないか
次に、もっと根本的な問題を指摘したいと思います。
それは、職員のモチベーションの低下が進んでいるのではないか、ということです。人間苦しくなると思考を止めてしまうもです。
実際に休職者や、メンタル不調による病休取得者の10年間の推移を見ますと、明らかに増加傾向にあります。因みにR2年度の休職者は34名です。
*事業の大胆なスクラップが必要ではないか
私は地方創生の取り組みがスタートした2015年頃から気になっていたのですが、人口減少という地方自治体レベルだけでは如何ともしがたい課題によって、否応なく自治体間競争にさらされ、新たな地域活性化事業を次々と打ち出さなければならないというプレッシャーは、想像以上に大きかったのではないでしょうか。
総合計画実行計画もローリングの手法を取り入れたはいいが、幹部が集まって話し合っても、結局各々の部署内の調整で事業を付け替えるだけでは、スクラップは小粒にならざるを得ません。転がせば転がすほど当初の計画にない事業が雪だるま式に膨らむばかりです。
*無駄と思われる事業の具体例
例えば、直近3年間の職員の平均残業時間を職場ごとに見ますと、例に挙げて恐縮ですが、大災害時でもコロナ禍でも芸術祭推進課やオリパラ推進室が常にトップクラスです。イベント型のまちおこしに職員を動員するやり方は、もう限界に来ているのではないでしょうか。
また数々の公募型公民連携事業も、仮に市単独ででもやるという必要性の高い事業が一体どのくらいあるのでしょうか。
つまり私たちが市長に申し上げたいのは、①職員が本来の業務に専念できるよう、まず「公務は住民の福祉が最大の目的」という基本に立ち返ることと、②政策レベルで優先順位を明確にしていただきたいということ。
そして「もっと前へ」はいいとして、③その際には住民福祉の取り組みに影響が出ないよう配慮した上で、担当部署が受け止められるだけの体制整備を図っていただきたいのです。
色々と述べさせて頂きましたが、改めて市長のお考えをお聞かせ願います。
(市長)
私は、令和3年第1回市議会定例会に於ける施政方針の中で、どのような厳しい状況下にあっても、希望を忘れず、総合計画に掲げる目指す都市像の実現に向け、大切なものを「守る戦略」、未来を見据えた「攻める戦略」、この2つの戦略を掲げ、さらなる市民サービスの向上を進める覚悟を表明いたしました。
こうした中、市民に対して重い社会的責任を負う存在である職員による不祥事の発生は痛恨の極みであり、職員の資質向上、コンプライアンスをより強化しなければなりません。
また、単に、一個人、一部署だけのこととして終わらせるのではなく、組織として学び、成長していくことが必要であると強く認識しているところであり、全てのうみを出し切る決意で組織変革に取り組んでいるところであります。
人は、自らの使命であっても、漫然と継続しているうちに「疲れ」「馴れ」「飽き」を生じてしまうことがあると言われています。
だからこそ、もう一度、自らの使命、組織の使命と真剣に向き合い、組織ビジョンと経営理念のもと、原点に立ち返ることで、仕事の在り方や意識を今までの延長線上に留めることなく、改革改善することが不可欠であり、そのために全庁的な、改革の指針が必要であると考えております。
現在、策定を進めている次期市原市行財政改革大綱では、何のための改革なのか、しっかりとした課題認識を持ち、全職員と意識を共有することで、真に市民にとって必要な事業を効果的・効率的な体制により執行できるよう取り組んでまいります。
一方、優れた民間の知見を広く活用することで、事業の効率化が図れるものについては、より積極的に民間の力を活用していかなければなりません。
そのような場合であっても、単なるアウトソーシングではなく、事務事業の課題を組織として明確に認識し、何をどういう目的で依頼するのか、本質をしっかりと見極め、公民の連携を推進してまいります。
これらのことにより、市民はもとより、職員にとっても、成果を実感できる行財政経営を展開し、自分事化をさらに進めることで、全職員の持てる力を最大限に活かし、市民サービスのさらなる向上を果たしてまいります。
職員も限りある市の財産です。
「選択と集中」は、単に財政的な理由だけではなく、職員がやりがいを持って自ら業務にあたることができるようにするためにも必要です。
今まさにコロナで危機対応シフトを組まれていると思いますが、そのような状況下でも職員の提案や創意工夫などその能力が最大限発揮されるよう、ご配慮を願います。
2.貧困の連鎖を断ち切るための生活保護世帯における中高生等への支援について
*前振り
このほど本市がSDGs戦略のリーディングプロジェクトとして「子ども若者の貧困対策」に光を当てたのは願ってもないことで、着実な具現化に大いに期待するところです。
私たちは、貧困の連鎖を断ち切るという意味で特に、自我が形成され進学や就職という人生の岐路(つまり貧困から脱却するか否かの岐路)にたつ年代が、重要なポイントになると考えています。
しかし公共も民間も、この年代に対する支援が非常に手薄なのが実情です。
*福祉事務所の失態から懸念されること
市原市の生活保護世帯の子どもはR2年度で230世帯、439名。児童全体の約1%にあたります。
当初私たちは、生活保護世帯はケースワーカーという伴走支援者が制度上保証されているから、基本的にそれほど心配はないはずだと思っていました。
ところが先般、市原市議会女性議員の会「こすもす倶楽部」による独自調査や、会計検査院の指摘による内部点検で、福祉事務所の組織的な問題が多数存在することが明らかとなりました。
定型的な業務すら適切に行えていないとすれば、子どもたちの状況が何よりも心配です。
当局は現在立て直しの途上にあることは承知だが、敢えて今回質問に取り上げさせていただきます。
*学習支援「未来くらぶ」の受講者の少なさの原因と解決策は
まず、学習支援事業「未来くらぶ」について確認します。
同事業は準要保護世帯に加え生活保護世帯の生徒も対象とされているが、生活保護世帯の利用者は毎年ごくわずかで、R3年度は全利用者65名中3名にとどまっている。生活保護世帯の中学生は毎年90名前後だから、ほとんど同事業につながっていないと言えます。
この原因をどう分析し、今後どのような取り組みが必要と考えているのか、お聞かせ願います。
(保健福祉部長)
子どもの学習・生活支援事業、通称「未来くらぶ」では、準要保護世帯および生活保護受給世帯の中学生を受講対象としておりますが、このうち、生活保護受給世帯の生徒の参加人数は、令和2年度が受講生58人中9人、今年度が65人中3人となっております。
準要保護世帯と生活保護受給世帯の中学生の比率は、概ね9:1となっておりますので、特に今年度は、生活保護受給世帯の子どもの参加割合が少ない状況にあります。
市では、中学生がいる生活保護受給世帯に対し、例年4月に、「未来くらぶ」の受講を案内するリーフレットを送付したうえで、ケースワーカーが家庭へ訪問活動を行った際に、参加を呼びかけております。
生活保護受給世帯の生徒の参加が少ない要因といたしましては、「未来くらぶ」の会場が自宅から離れている場合、保護者が自家用車を所有していないため、送迎できないなどの理由が考えられます。
また、保護者が日常生活のやりくりで余裕がなく、子どもの学習を後押しするまでに至らないということもあるのでないかと推察しております。
「未来くらぶ」の受講は、高校進学を控える子どもを応援し、貧困の連鎖を断ち切る支援にもつながるものと考えておりますので、引き続き家庭訪問を通じて、保護者に対して学習の大切さを認識していただき、学習支援事業への参加を促すよう、働きかけていくほか、学習機会の創出に繋がる先進事例について、関係部署とも連携し、早急に調査してまいります。
*どうしたら学習支援につながるか
訪問時の働きかけの強化は当然ですが、課題をもっと掘り下げる必要があるのではないでしょうか。
例えば足がないから通えないという問題。
これは実際にあったケースですが、「未来くらぶ」に通う準要保護の生徒が、途中から生活保護に切り替わった。そうすると自家用車での送迎は不可能だから、このままでは辞めざるをえません。
ならばどうしたら救うことができるのか、知恵を絞ってほしいのです。
タクシー券なのか、拠点を増やすのか、民間の塾のクーポン券なのか。
こうなると福祉事務所だけが抱える問題ではないと思いますが、いずれにせよこれを考えるのが行政の務めではないでしょうか。
その前に、まずケースワーカーが「決まりだから仕方ない」ではなく、生徒に寄り添い考えるという姿勢が足りないのではないでしょうか。
ご見解をお聞かせ願います。
(保健福祉部長)
今ご指摘のありました、制度が変わったときにお子さんが「未来クラブ」をやめざるをえないという課題については、大変重要な問題と考えておりますので、なんとか補っていけるよう、おそらく全国には色々な事例があると思いますので、先進事例を早急に調査して市原市でできることがあれば早急に対策をたててまいりたいと思います。
文科省の調査によりますと、家庭の教育支出のうち約6~7割が学習塾や習い事等の費用で、日本での貧困による教育格差は放課後に生まれていると言われています。
その格差をなくすための事業がこれでは、宝の持ち腐れです。
「一人も取りこぼさない」という覚悟をここで見せていただくよう願います。
*ケースワーカーは子どもに寄り添うことができていない。ではどうするか。
もう1点、私は子どもへのアプローチの仕方にも課題があると思います。
「未来くらぶ」の情報は、準要保護の生徒は学校を通じて直接伝えられるが、生活保護の生徒はケースワーカーに任されています。しかし、実際は訪問しても子どもは学校などで不在がちで、中々コミュニケーションが取れないと伺っています。
学習支援事業以外にも、直接本人に伝えたい情報はたくさんあります。
例えばバイト代。
申告すれば条件により収入と見なされないし、自立更生計画書を提出すれば進学や就職などを目的に貯蓄することもできます。
しかし、実際は申告せず不正受給として返還を求められるケースが後を絶ちません。因みにR2年度は8件でした。
そういった知識や、卒業後の進路のこと・進学に必要なお金のことなど、パンフレットの送付だけではなく直接本人に伝え、相談に乗ってあげることは非常に大事だと思います。
仮にケースワーカーだけで対応できないのであれば、学校を起点とする関与や地域資源の活用なども考えられますが、子どもに直にアプローチするための方策についてお考えをお聞かせ願います。
(保健福祉部長)
中学生や高校生のいる世帯に対しましては、将来の進路に不安を抱かせないよう、適切な支援制度の利用について、家庭訪問の機会などを通じて相談に応じております。
学習や卒業後の進路などの支援に関しましては、厚生労働省が作成している生活保護世帯を対象としたパンフレット「まるカツ(○カツ)」を年度当初に配布し、必要となる経済的支援の確認や相談を行い、併せて学習支援事業への参加を勧奨しております。
また、アルバイトを希望する子どもがいる世帯に対しましては、アルバイトの収入申告がなされず、不正受給と見なされ、勤労意欲を失うことのないよう、生活保護法上の制度を利用することにより、将来に向けた貯蓄をすることが可能であることの説明もしております。
生活保護世帯の中高生に対しましては、保護者の御理解のもと、家庭訪問時に直接お会いし、その子に寄り添った対応に努め、それぞれの御家庭に必要な支援に繋がるよう、今後取り組んでまいります。
(学校教育部長)
中学3年時の進路選択は、生徒の将来に係わるとても重要なことであり、各学校では、誰一人取り残すことのないよう全ての生徒と保護者に、援助が受けられる事業や相談機関を紹介するなど丁寧に対応しています。
また、保護者から相談を受けたり、学校が必要と判断した場合は、県のスクールソーシャルワーカーや教育委員会職員を交えたケース会議を開き、家庭との関わりや福祉関係機関への連絡調整等、対応策を協議し解決に向けて支援しています。
具体的には、スクールソーシャルワーカーが直接家庭の状況を聞き取り、進路の選択肢を助言したり、給付金や助成金制度の説明をしたりするケースもあります。
今後とも、進路選択等において、個々の生徒が自己実現を図れるよう、学校と教育委員会が連携し取り組んでまいります。
スクールソーシャルワーカーの配置や活用については私たちもこれまで強く要望してきました。ぜひ充実させてください。
福祉事務所では厚生労働省の資料を各家庭に配布しているとのことですが、他自治体の事例として、市からの直接のメッセージが届くよう独自にパンフレットを工夫しているところもあります。参考にしていただければと思います。
「子ども若者の貧困対策推進計画」でも、ぜひ重要なテーマとして取り組んでください。
3.学校規模適正化とまちづくりの一体的な取組について
*八幡地区の学校規模適正化の流れ
平成29年に策定された学校模適正化基本方針に基づき、八幡地区については平成31年3月より検討が進められ、今年3月には八幡中と八幡東中の統廃合という方向性が固まりました。
当事者である子どもや保護者の方々からは、概ね理解が得られていると伺っています。
全国的な少子化の流れは止められるものではなく、方向性そのものについては私たちも理解をしているところです。
*統廃合を巡る問題
ただ、「仕方ないね」の一言では済まされません。
何故ならば、今回の地元との話し合いの過程で、地域活動に熱心に取り組まれている住民ほど、行政に対する不信感を募らせてしまっているからです。
これは単に「学校が無くなってしまう」というノスタルジーや地域エゴで片付けられるような感情ではありません。
この住民の不信感は、行政の対応が招いたものだと思っています。
*教育委員会の問題点。学区外就学者の多さへの対応について
一つは3年前にも指摘しましたが、八幡東中は学区外就学が非常に多く、毎年約三分の一もの生徒が学区外に流れているという問題です。
その主な本当の理由が、大規模校を好む傾向や部活動の関係で、これは明らかにルール違反です。未だに裏技で簡単に許可をもらえるという話が当たり前のように受け継がれていると聞いています。
地元とすれば、なし崩し的な学区外就学を長年放置しておきながら、生徒数の減少を理由に統合するのはあまりにも理不尽ではないか、という声が上がるのは当然です。
教育委員会として例えば学区制度のテコ入れや八幡東中の魅力付けなど、これまでどのような努力をされてきたのか、ご説明願います。
(学校教育部長)
市原市教育委員会では、学区外就学については、八幡東中学校区を含む全ての区域において、あらかじめ定めた学区への就学を原則としつつ、学年途中の転居後も従前の学校への就学を希望する場合や、共働きにより児童生徒を親戚等に預託する場合などにおいて、保護者から学区外就学の許可申請があった際は、丁寧な聞き取りを行い、許可要件への適合性について審査の上、学区外就学の可否を判断し適正に運用してまいりました。
今後につきましても、引き続き適正な運用に努めてまいります。
また、議員ご指摘の学校の魅力化を図る取組につきましては、これまで、中学校と地域が共にアイデアを出しながら生徒の夢を実現させる「夢プラン21事業」や、小学校と中学校及び地域が連携して、ボランティア活動や地域の特色を生かした取組を支援する「市原力で輝く学校地域連携事業」を、全ての中学校区において展開してまいりました。
八幡東中学校においても、これらの取組を進めるとともに、若宮小学校と連携した児童生徒の作品交流や地域行事への合同参加、近隣の市原八幡高等学校と連携した中学3年生の授業交流等、学校独自の取組を展開し、校長・教頭をはじめ、教職員が一丸となって、教育活動の充実に取り組んでおります。
何もしなかった訳ではないとおっしゃりたいのだと思いますが、今になってしこりの原因になってしまったのは非常に残念です。
今更ながらですが、もう少し誠意ある対応が必要だったのではないかと、敢えて指摘させていただきます。
*まちづくりとの整合性について
もう一つの問題点は、学校施設の統廃合と拠点まちづくりの取り組みが噛み合っていないということです。
両校は拠点形成構想に掲げるエリアの一つ・八幡宿駅周辺に位置していて、過疎地域のそれとは意味合いが全く異なります。
当然まちの整備と一体的に取り組まなければならないはずですが、地元にそのビジョンは何も語られず、統廃合の話だけが先行しているため、住民が将来に対する不安や行政に対する不信感を抱く結果となっています。
実際、学校規模適正化は教育委員会、空いた資産の活用は公共資産マネジメント、駅周辺のまちづくりは拠点形成構想で、と私たちから見れば相変わらず縦割りという印象がぬぐえません。
本来はエリアの将来像がまずあって、その上でどちらの学校に集約するのがベストかなど、行政としての見通しを立ててから進めるのが筋だと思いますが、そもそもその事について教育委員会と都市戦略部が膝を突き合わせて揉んだことが無いのではないでしょうか?
この状況について、改めてご説明願います。
(都市戦略部長)
JR3駅周辺における拠点の形成に向けましては、総合計画や都市計画マスタープラン等の上位計画に基づき、拠点形成構想を明確化する「拠点まちづくりビジョン」を令和2年度に策定したところであります。
策定の過程では、市長を本部長とする「都市戦略本部」及び下部組織となるワーキンググループを設置し、全庁横断体制のもとで議論を重ねるとともに、庁外の様々な関係者とも意見交換を進めてまいりました。
今年度は、本ビジョンの実現に向けて、駅周辺に配置すべき都市機能をお示しする拠点別整備計画の策定に取り掛かっております。
引き続き都市戦略本部による庁内横断体制のもと、教育委員会など各部局と議論を交わしながら、各分野における実情、さらには民間の動向にも配慮し、学校施設など公共施設のあり方を含めた、エリア全体を俯瞰する整備計画の策定に取り組んでまいります。
今の発言は答えになっていません。ちゃんと議論していたのであれば、こんな事態を招くはずが無いではないでしょう。
そもそも学校規模適正化基本方針の策定は4年前。少なくともその時点から今の状況を見越して準備することはできたはずです。それによっては統廃合の時期をずらすという選択肢もあったかもしれません。
対照的に、廃校活用の成功事例で有名な鋸南町の保田小学校は、統廃合の方向性を出した時点からリノベーションの準備を進め、廃校の翌年にはオープンさせています。
厳しい言い方ですが、ほんの数年先も見越した調整もできずに遠い将来のビジョンが実現するのか、甚だ疑問です。
*住民への対応について
地元では廃校というネガティブな話だけが流れている状況ですが、都市拠点に空いた公的資産があるという事は、逆にポジティブな話のはずです。
「学校は統合します。その後まちがどうなるかは知りません、言えません」ではなくて、伝え方ひとつで地元のモチベーションも大きく違ってくるという事です。
学校規模適正化のタイミングの今が、周辺のまちづくりに関する市側の考え方や方向性について住民と共有したり意見を聴取したりするチャンスだと思いますが、今後どのように取り組まれるのでしょうか。
(都市戦略部長)
JR八幡宿駅周辺では、学校規模適正化に伴い、駅から徒歩圏内という好立地において、まとまった面積の利活用可能な公共用地が創出され、「拠点まちづくりビジョン」に掲げる新たなまちづくりを戦略的に進める上で、大きな資源になるものと捉えております。
この利活用に当たりましては、学校という地域コミュニティの大切な柱に対する思いを共有しながら、地域の皆様とともに、持続可能な夢の持てる新たなまちづくりを進めていかなければならないと考えております。
現在、八幡宿駅周辺のまちづくりに関係する庁内部局、さらには庁外の様々な関係者と意見交換をしながら、地域の皆様とまちづくりに向けた活発な議論ができるよう、地域にお示しするための「たたき台」づくりに取り組んでおります。
できるだけ早い時期に、地域の皆様との対話を行い、ご意見をしっかりと伺いながら、具体的なまちづくりにつなげていけるよう、取組を進めてまいります。
学校施設は単に児童数やコスト面から集約化に走るのではなく、地域コミュニティの拠点としての公共性も正当に評価した上で、新しい価値観を地域住民と共有することが極めて重要です。これは八幡だけの話ではありません。
このほど示された「拠点まちづくりビジョン(素案)」には「住民も含めた公民連携の組織体で具現化を目指す」としています。
八幡宿駅西口の複合施設のモデル事業で対話の実践は積んだはずですから、その教訓を今後の取り組みに生かしていただくよう念押しして、質問を終わります。