平成24年9月定例県議会

生活保護予算削減方針の撤回を求める意見書(案)

政府は8月17日,2013年度予算の概算要求基準を閣議決定した。その中で「特に財政に大きな負担となっている社会保障分野についても、これを聖域視することなく、生活保護の見直しをはじめとして、最大限の効率化を図る」とし、生活保護費の削減の方向を明確に示した。
近年、生活保護利用者数と生活保護費が年々増加していることは確かである。そして今年に入ってから、芸能人の母親の受給を契機とした、マスコミ報道・一部国会議員の追及などで加熱した「生活保護バッシング」により、生活保護不正受給が問題とされている。
しかしながら、厚労省により統計上過去最悪とされている2010年度での不正受給額は総額の0.4%であり、その内容も収入の申告漏れが大半である。また、現在の保護を受けている世帯の75%は高齢者、障がい者、疾病者であり、「働けない」からこそ保護を受けているという現実がある。さらに近年の雇用環境の劣悪化により雇用の不安定化が進んでいること、急速に進行する高齢社会の中で,年金等の生活保障機能が決定的に弱いことが、生活保護利用者の増加の最大の原因であることは論を待たない。
そもそも、わが国の生活保護利用率は2~3割と予測される低い補足率により、全人口の1.6%と、先進国の中では異常なまでに低い。日本国憲法第25条の生存権を守る最後のセーフティネットとして充分に機能していないのが現状である。さらに抑制すれば、困窮者は餓死、孤立死、そして自死、さらには貧困故の犯罪へと追い込まれることは目に見えている。
現政権は国民の多くが反対する中、消費税増税法案を成立させた。社会保障の充実を謳った増税を強行しながら、「生存権」を保障する生活保護を標的とした削減は許されるものではない。
よって政府においては以下のことを要望する。

生活保護予算削減の方針を即時撤回し、憲法第25条に基づき、雇用と社会保障を充実させ、所得再分配機能を抜本的に強化する政策の立案と実現を強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成24年9月 日

千葉県議会議長

内閣総理大臣 あて
厚生労働大臣


沖縄普天間基地へのオスプレイ配備を中止し、沖縄の基地負担軽減を求める意見書(案)

6月29日、米国政府から日本政府に対して米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV-22オスプレイの沖縄普天間飛行場への配備が通報された。機体はすでに岩国基地で整備中であり、9月の試験飛行を経て、10月初旬には普天間基地での本格運用開始を予定しているとのことである。
オスプレイは、開発段階及び実戦配備後に墜落等を繰り返しており、本年4月にはモロッコ、6月にはフロリダ州で墜落事故を起こし多数の犠牲者を出している。機械的な欠陥が指摘される中、米側は事故報告書で「マニュアル違反」を強調しているが、逆に運転の困難さを浮き彫りにしている。また、離着陸時の騒音は現行機種のCH46を上回り、早朝と深夜の飛行訓練の増加も計画されるため、基地周辺住民への騒音被害はますます深刻化する懸念がある。
SACO合意より16年が経過した現在でも、国土面積の0.6%にすぎない沖縄に74%もの在日米軍基地・施設が集中している現状は一向に改善されず、米兵による周辺住民への犯罪・被害も後を絶たない。そうした中で「世界で最も危険」とラムズフェルド元国防長官が指摘した普天間基地へのオスプレイの配備と運用は,沖縄県民にさらなる負担と危険を押しつけることに他ならない。
さらに、このような危険で騒音被害をまき散らすオスプレイは日本各地での低空飛行訓練が予定されている。全国知事会が「安全性について未だ確認できていない現状においては、受け入れることはできない」との緊急決議を全会一致で採択し、非常訓練ルートに当たる自治体での訓練反対の意見書の採択も続いている。オスプレイの普天間配備は沖縄のみの問題ではない。
日本政府においては、以下の事項を米政府・米軍に要求することを強く求める。

1 岩国基地のオスプレイ試験飛行の実施を凍結すること
2 普天間基地へのオスプレイ本格配備と運用を中止すること
3 オスプレイの日本各地での飛行訓練の計画を抜本的に見直すこと
4 沖縄県民の基地負担の軽減を速やかに実現すること
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成24年9月  日

千葉県議会議長

内閣総理大臣 あて