令和7年 第3回市原市議会定例会 R6年度決算審査 総括質疑・意見陳述 森山かおる

いちはら奏会、森山薫です。会派を代表して始めに質疑を行います。

総括質疑

1.補助金執行に係る指導体制の見直しについて

市監査委員によるR5年度財政援助団体等監査において、市の観光行政のほぼ全般を担ってきた一般社団法人市原市観光協会が、不適切な会計処理をしていたことが発覚しました。その調査のためにR6年2月に「一般社団法人市原市観光協会における不正経理調査対策本部」が設置されました。

ところがR6年10月に公表された最終報告書では、観光施策推進体制の再構築として、「新たな中間支援組織を設置する場合には、財政面や組織面に関する適切な関与の在り方を検討・整備し、健全性を確保していく」と述べられているだけで、補助金執行に係る指導体制の見直しについては触れられていません。

観光協会での不適切な会計処理を契機に、全庁的な市の補助金執行に係る指導体制の見直しについて、どのように取組まれたのかお伺いします。

(財政部長)

市原市監査委員による、財政援助団体等の監査や令和6年度定期監査における補助金執行に係る、複数の不適切な事務処理事案の指摘を重く受け止め、再発防止に向けた事務執行の適正化に迅速に取り組んだところであります。

具体的な対応として、補助金執行手続ガイドラインを令和7年2月に策定し、令和6年度の補助金実績報告の審査から活用を開始いたしました。

本ガイドラインにより、補助金執行手続の具体的な事務レベルでの手順と留意点や、実績報告書、収支予算書等の確認内容を全ての職員が深く理解できるよう、統一的に示すことで、実効性ある補助金交付事務全体の標準化と最適化を進め、公平かつ適正な執行管理の徹底に努めてまいります。


観光協会の不適切な会計処理に関する報告やその対応については都度、議会にも示されてきましたが、再発防止として抜本的な対策としてガイドラインを作成したのであれば、それも議会に示していただきたかったと思います。

2.現総合計画の成果検証について

R6年度は現総合計画の終盤ともいえる重要な年であり、これまでの取組みが集大成となるため、ここで確認させていただきます。

総合計画成果検証2017~2024総括評価によると、アウトプットである施策の直接的な成果を測る成果指標が、目標通り、もしくは計画を上回った指標は全指標141のうち72で約5割に留まっています。この結果をどのように捉えているのか伺います。

(企画部長)

成果指標の達成度について、お答えいたします。

成果指標は、市が取り組んだ施策の直接的な成果を図る指標として設定しております。

5割となっている要因といたしましては、大きく2点あると考えております。

1点目は、現総合計画の期間内には、令和元年房総半島台風や新型コロナウイルス感染症の蔓延など、市民生活に大きな影響を及ぼす事案が多数発生し、市民の行動や活動、意識にも大きく影響したものと捉えております。

例えば、指標に掲げるコミュニティセンターや社会教育関連施設の利用者数などは、行動制限により大きく減少し、徐々に回復してきているところであります。

2点目は、2度にわたる基本計画の改定におきまして、大幅な施策の強化とあわせ、早期に目標を達成した27指標については、より高い目標値へと上方修正するとともに、新たな指標の設定などを行いましたので、達成度には、そうした影響がございます。


一方、アウトカムである市民の受け止め方を測る活躍指標については、目標に向けて計画通り、もしくは計画を上回ったのは全指標55のうち12で約2割に留まっております。総合計画がスタートして8年も経ったというのに、当初市が掲げた都市像に2割しか近づいていないことになります。

そこで、先程お聞きした成果指標の達成度が5割に対して、活躍指標の達成度が2割に留まったことについて、どのように捉えているのか伺います。

(企画部長)

活躍指標は市民の行動量を図る指標であり、基準値を測るアンケート調査において、「行動しなかった」と回答した人の50%が「行動した」へと変化した場合の割合を目標値としております。

活躍指標の達成度が、成果指標に比べ、低くなっている要因としましては、挑戦的な指標値を設定したことに加え、効果が市民の行動変容につながるまでに一定の時間を要すること、また、意識や行動の変化に、様々な外的な要因も影響したものと考えております。

活躍指標においても、成果指標と同様に、新型コロナウイルス感染症対策のための行動制限やその後の生活様式の変容など、市民の行動や意識に大きく影響したものと捉えております。

このことから、現在策定している新たな総合計画では、ロジックモデルなどにより、目標と、施策の方向性や各事業とのつながりを見える化し、より多面的・総合的に成果や効果の検証ができるよう工夫してまいります。

また、市民をはじめ、あらゆる主体との目標や施策の共有を進め、これまで以上に連携、協働して取り組むことで、さらなる行動変容や目標実現につなげてまいります。

これまで指摘してきたことですが、事業シートには目標値が設定されていないものや、成果指標の設定がないものも散見されます。これでPDCAサイクルが回せたのでしょうか。
また、成果指標と活躍指標の関連性の曖昧さや、そもそも指標の設定の仕方にも問題があったのではないでしょうか。
活躍指標は市民アンケートによるものなので、施策の効果を実感できる聞き方を工夫する事も必要だと思います。
新たな総合計画で取り入れられるロジックモデルにより、事業や施策効果を的確に評価できる指標の改善がなされることを期待しています。

意見陳述

それでは意見陳述に移ります。
ここでは特に気になった点について申し上げますが、各分科会で出された意見も勘案していただくよう予めお願い致します。

公共資産マネジメントの推進について

公共資産マネジメント推進計画では公共施設の延床面積を2055年度までに概ね25%削減するとしています。R6年度は市原学校給食センターの整備により延床面積の縮減率が0.9ポイント低下し4.8%となりました。計画の第1期、R8年度までに10%の縮減を達成するには、今後の進め方が重要になります。

延床面積の削減を重んじると、過疎化した南部の公共施設は売却が難しいため、北部の施設を売却することで帳尻合わせするしかありません。
そのため、八幡総合市民センターの併用開始に伴う公共施設の跡地について、売却ありきで進められていたことも一定の理解はできます。

一方、先程質疑した総合計画成果検証2017~2024総括評価によると、市民活動に関する成果指標、活躍指標は伸びています。活動が活発になればなるほど展開する場所が必要になってきますが、現在すでに不足している状況にあり、このままでは市民活動が低迷しかねません。

今回、閉校となった学校施設の維持管理費について資料要求したところ、民間活用されている旧高滝小学校以外の施設は9つあり、その維持管理費にR6年度で1,060万円かかっているとのこと。
そこで、一時的なイベント利用に留まらず、地域の活性化や市民活動に資する場所として有効活用していただくよう要望します。
その際、施設周辺の住民の声を聴くだけでなく、広く市民活動に携わる団体等の意見も聴取し、市全体を俯瞰して検討されるようお願い致します。

子ども真ん中社会の実現について

R6年度は、いちはら子ども未来館がオープンし、利用人数は目標値の1.6倍164,496人という成果を上げました。同館に地域支援室を設置されたことで、療育相談へのハードルが下がり、新規相談者数が前年度の1.5倍、346人になったことは大変評価しています。

これは以前から申し上げている事ですが、子育てには光もあれば影の部分もあります。私達は障がいのある子どもを育てる家庭や、孤立感・不安を抱える保護者など本当に困っている方々に焦点をあててほしいとの思いから、ここでは特に2点申し上げます。

1点目 子育て支援の充実について
市内で起きた痛ましい事件を受けて、令和3年度から虐待未然防止対策として児童福祉スーパーバイザーの設置、子育て短期支援事業、子育て世帯訪問支援事業など数々の新規事業を立ち上げられました。
以来、利用料金の引き下げや受入れ施設の拡充、支援メニューの追加(登校登園支援)など数々の見直しを行い、分科会審査において、より利用しやすい制度設計に随時取組まれてきたことを感じました。
しかし虐待認知件数は3年間ほぼ横ばいでR6年度は881件。そのうち約160件の中学高校生への支援は殆どありません。
ついては、中学高校生を含め更なる支援強化に努めていただくよう要望致します。
加えて、生活困窮者自立支援事業における子どもの学習生活支援については、生活保護受給者の利用は約6割に留まっています。市域が広い本市では交通手段がネックになっていることも十分考えられることから、利用したいと思っている子どもを取りこぼすことがないよう改善を求めます。

2点目 療育の底上げについて
R6年度は民間による児童発達支援センターが整備され、定員30名が募集からすぐに埋まりました。これは療育を必要する子どもがまだまだいることを示唆しております。
翻って市の児童発達支援センターの療育クラスの利用者は年々減少しています。午前か午後のみという昼食時間を挟まない利用形態であることや、親子通園においては付き添ってまで通いたいと思える療育内容でないことが要因だと推測しています。
また、療育相談、心理指導、作業療法士などの専門職を会計年度任用職員が担っており、これでは継続性が担保されず、市が療育を軽視している現れだと感じざるを得ません。
ついては市の児童発達支援センターの在り方を抜本的に改革し、市原市の療育の底上げを図っていただくよう要望します。

職員の人材育成について

かねてより複線型人事の導入を求めてきましたが、市の方針は一般行政職は全ての職員が様々な分野における専門性を高めていくことが必要とし、高度な専門性をもつスペシャリストについては任期付き職員が担っております。
確かにスキルの高い人を採用することは即戦力になりますが、その人がいないとできない、応えられないというような事が生じないよう、スペシャリストのもつノウハウを職員のスキルアップに繋げていただくよう要望します。

また、日頃から様々な分野の市民の方から「引き継ぎができていない、同じことを何度も伝えなければならない」と、職員の短期異動が問題だと耳にしております。
職員が様々な分野で経験を積み短期間で異動することが市民サービスの向上に繋がっているのか。職員にとっても、専門的な資格を取っても活かす前に異動になってしまい、モチベーションが上がらないのではないでしょうか。
冒頭でお聞きした総合計画成果検証における成果指標の達成度の低さも、職員の短期異動が要因の一つかもしれません。
職員の人材育成については、市民を主体とした目線で取組んでいただくよう要望します。

SDGSの推進について

R3年に本市は千葉県内で初めての自治体としてSDGs未来都市に選定されました。それを機に3つのリーディングプロジェクトに取組まれ成果をあげているものの、R6年度は、企業版ふるさと納税にSDGs推進に関する項目を掲げなかったことや、SDGsアクションの広がりが見えにくかったことが気になりました。
SDGs未来都市に選定されてから今年で5年目となりますが、本市がSDGs未来都市であることを知っている市民はどれくらいいるでしょうか。
地道な取組みではありますが市原版ゲット・ザ・ポイントなどを通して、市民がSDGsを知る機会を広めていただくようお願いします。

行財政改革の効果額の考え方について

R6年度予算審査においても指摘しましたが、行財政改革の効果額15億2,000万円のうち、主なものは国民健康保険料や介護保険料の値上げによる10億6,000万円で全体の約7割を占めています。加えて市原市福祉手当の対象者を絞ったことなども含まれていました。
行財政改革とは、限られた財源を効率的に活用し、ムダを省きながら質の高い公共サービスを提供することを目的とした改革です。
保険料の値上げを効果額とせず、収納率の向上や医療費を削減するために適切な医療受診の呼びかけを強化することで、効果をあげていただくよう求めます。

財政について

主な指標をR6年度当初予算と決算を比較すると、経常収支比率は92.3%の見込みに対して88.9%。実質公債比率は6.2%に対し5.7%。将来負担比率は26.4%に対し12.1%と、いずれも当初見込みより改善されております。
しかしながら、債務負担行為支出予定額はR5年度の約1.7倍の735億8,500万円、ここ5年間で5倍に膨れ上がっています。長期契約の指定管理料、公共施設包括管理委託事業など民間への委託切替え、PFIなど建設から運営までを一括委託する事業の増加にも留意が必要です。

行政組織機構改革による影響について

この度の決算審査ではR6年度をもって地方創生部が解消されたことにより、同部が所管していた31事業は企画部、経済部、生涯学習部が担うこととなりました。
そもそも地方創生部の設置に関しては目的や構成に多々疑問を感じてきたため、部の解消自体に異論はありません。
しかし、市長部局である地方創生部で立案された、遊休施設の利活用を目的にキャリア教育や多文化共生を当てはめた事業が、道半ばで生涯学習部に投げられたことにより、総合計画における施策の位置づけや指標が変わってしまい、事業評価に一貫性を欠くことになりかねません。
教育委員会は教育の政治的中立性を確保するため、首長から独立した行政機関として位置づけられており、決してコンパクト・プラス・ネットワークを推進するためのものではありません。
今後、行政組織機構改革を行う際には、所管している一つ一つの事業について、目的や成り立ち、経過を踏まえて慎重に判断されるよう要望します。

まとめ

種々申し上げましたが、R6年度は中学校における医療的ケア実施、新たな児童発達支援センターの整備、不登校児童生徒への支援、児童虐待未然防止策の改善、子ども未来館の地域支援室の設置など、障がいのある子どもを育てる家庭や、孤立感・不安を抱える保護者など本当に困っている方々への支援に着実に取組まれたことを評価し、いちはら奏会はR6年度市原市一般会計並びに特別・企業各会計決算について認定致します。